掛け捨ての収入保障保険は損?仕組みとメリット・デメリットを徹底解説

収入保障保険の加入を検討するなかで「掛け捨てだと保険料がムダになるのでは?」「本当に入る意味があるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
掛け捨ての収入保障保険には、満期保険金や解約返戻金がありませんが、一方で保険料の安さや合理的な保障設計といったメリットもあります。
仕組みを正しく理解すれば、万が一の備えとして有効に活用できるでしょう。
この記事では、掛け捨ての収入保障保険の仕組みやメリット・デメリット、向いている人の特徴を詳しく解説します。
この記事のポイント
- 収入保障保険は、解約返戻金や満期保険金がない「掛け捨て型」の死亡保険であり、万が一の際には毎月定額の保険金(年金形式)が遺族に支払われる。
- 収入保障保険は年月の経過とともに保険金の受取総額も自然と減っていく仕組みのため、通常の定期保険や終身保険よりも保険料を抑えられる。
- 掛け捨ての収入保障保険は、毎月の保険料負担を抑えて手厚い保障を持ちたい子育て世帯にとっては、非常に合理的でメリットが大きいと言える。
掛け捨ての収入保障保険とは?基本の仕組みを解説

収入保障保険とは、被保険者に万一のことがあった際に、遺族が毎月一定額の保険金を年金形式で受け取れる死亡保険です。
基本的に満期保険金や解約返戻金などはなく、保険期間中に支払条件を満たすことがなければ受け取れるお金はありません(※掛け捨ての場合)。
その代わり、貯蓄性のある保険に比べると割安な保険料で加入できるメリットがあります。
掛け捨て型と貯蓄型の保険の違いは?
掛け捨て型と貯蓄型の保険の違いは以下の通りです。
■ 掛け捨て型と貯蓄型の保険の比較表
掛け捨て型保険 | 貯蓄型保険 | |
|---|---|---|
満期保険金 | なし | あり |
解約返戻金 | なし(あってもごくわずか) | あり |
保険料 | 貯蓄型保険よりも安め | 掛け捨て型保険よりも高め |
代表的な商品 |
|
|
掛け捨て型は保障のみに保険料を充てる仕組みのため、保障額や保障期間が同じであれば、貯蓄型よりも月々の負担は小さくなる傾向があります。
収入保障保険と定期保険・終身保険の違いは?
収入保障保険と、そのほか死亡保険の違いは以下の通りです。
■ 収入保障保険と死亡保険(定期型・終身型)の比較表
収入保障保険は、保険期間の満了まで毎月定額の保険金が年金形式で支払われる点が特徴です。
例えば、35歳で加入し65歳満了・年金月額15万円の契約を結んだ場合、40歳で万が一のことが起きると残り25年間にわたり毎月15万円が給付されます。
一方、55歳時点で万が一のことが起きた場合、受取総額は1,800万円(受取期間10年)に減少します。
保障期間が終身保険のように一生涯ではなく一定期間に限られており、その分だけ保険料は抑えられます。
さらに、保険期間の経過に伴い受取総額が減る仕組みになっているため、定期保険や終身保険と比べて保険料は基本的に割安です。
関連記事:収入保障保険の選び方・見直し方・選ぶ際の注意点や保険料の節約方法
掛け捨ての収入保障保険は損?収入保障保険のメリットとは
収入保障保険のメリットは以下の通りです。
- 同じ保障の保険と比べて保険料が割安
- 必要保障額が年々下がるため合理的な設計が可能
- 生命保険料控除の対象になる
「掛け捨て=損」と思われがちな収入保障保険ですが、仕組みを踏まえるとむしろ合理的な保険といえます。
同じ保障の保険と比べて保険料が割安
同じ保障の保険と比べて保険料が割安な点は、掛け捨ての収入保障保険のメリットです。
収入保障保険は保険期間の経過とともに受取総額が減少し、保障期間も一定期間に限られています。
そのため、定期保険や終身保険に比べると割安な保険料で加入できることが多くなっています。
保険料を抑えた分をNISAやiDeCoなどの資産運用に回すことで、保障と資産形成を両立させることも可能です。
必要保障額が年々下がるため合理的な設計が可能
必要な保障を過不足なく備えられる点も、収入保障保険のメリットです。
一家の大黒柱に万一のことがあった場合、遺族に必要な生活費や教育費の総額(必要保障額)は、子どもの成長に伴い自然と減っていきます。
収入保障保険は保険期間の経過とともに受取総額が減る仕組みのため、保障額が常に一定の定期保険と比べて、そのときどきの必要保障額に見合った保障を効率よく確保できます。
支払った保険料が生命保険料控除の対象になる
収入保障保険の保険料は、生命保険料控除の対象です。
生命保険料控除とは、1年間に支払った生命保険料に応じて、所得から一定額を差し引ける制度で、所得税と住民税の負担を軽減できる制度です。
■ 所得税の生命保険料控除額(2012年1月1日以降に締結した契約の場合)
年間払込保険料 | 控除される金額 |
|---|---|
20,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | (払込保険料×1/4)+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
■ 住民税の生命保険料控除額(2012年1月1日以降に締結した契約の場合)
年間払込保険料 | 控除される金額 |
|---|---|
12,000円以下 | 払込保険料全額 |
12,000円超32,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
32,000円超56,000円以下 | (払込保険料×1/4)+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
例えば、収入保障保険の保険料として年間6万円を払い込んだ場合、所得税については35,000円、住民税については28,000円の控除を受けられます。
掛け捨ての収入保障保険の場合、手元にお金は戻りませんが、支払った保険料に応じて税金の負担が軽くなるため、実質的な出費を抑えられます。
関連記事:生命保険料控除でいくら戻る?還付金額の計算方法【会社員・個人事業主・フリーランス・パート】
掛け捨ての収入保障保険のデメリットと注意すべきポイントは?
掛け捨ての収入保障保険には、以下のようなデメリットがあります。
- 満期・解約時に返戻金はない
- 保険金の受取総額は年々減少する
- 毎月受取の保険金は雑所得として課税対象になる場合がある
加入してから後悔しないよう、デメリットも事前に把握しておきましょう。
満期・解約時に返戻金はない
掛け捨ての収入保障保険には、満期保険金や解約返戻金がありません。
保険期間中に万一のことが起きなければ、保険金が遺族に支払われることはなく、解約しても支払った保険料は戻ってこない仕組みになっています。
基本的に被保険者本人が保険金を使える場面はないため「掛け捨てになるのはもったいない」と感じる方もいるでしょう。
ただし、満期保険金や解約返戻金がない分、月々の保険料は割安に設定されています。
効率よく保障を確保したい場合は、有効な選択肢になるでしょう。
保険金の受取総額は年々減少する
収入保障保険は、保険期間の経過とともに保険金の受取総額が減少していきます。
タイミングによっては、受け取れる金額が想定より少なくなる点に注意が必要です。
例えば、35歳で加入し65歳満了・年金月額15万円の契約の場合、36歳で万一のことが起きれば受取総額は約5,220万円です。
一方、60歳時点では残り5年間の受け取りとなり、総額は900万円まで減少します。
ただし、多くの収入保障保険には「最低支払保証期間」が設けられており、保険期間の満了間際に万一のことが起きた場合でも、2年間や5年間など一定期間分の年金は保証されます。
加入時には、最低支払保証期間の長さも確認しておきましょう。
毎月受取の保険金は雑所得として課税対象になる場合がある
収入保障保険の保険金を年金形式で受け取る場合、翌年から受け取る年金については、相続税や贈与税の課税対象とならなかった部分が雑所得として扱われ、所得税・住民税が課されます。
雑所得の金額は「その年に受け取った年金額」から「その年金額に対応する払込保険料(必要経費)」を差し引いて算出するため、年数が経過するにつれ税負担が変動する可能性があることは理解しておきましょう。
※参考:国税庁「No.1500 雑所得」
なお、保険金を一括で受け取る選択肢もありますが、年金形式で受け取る場合と比べて受取総額は少なくなるのが一般的です。
受取方法による手取り額の違いは、税理士やファイナンシャルプランナーに相談して事前に確認しておきましょう。
掛け捨ての収入保障保険が向いている人とは?

掛け捨ての収入保障保険は以下のような方に向いています。
掛け捨ての収入保障保険が向いている方
- 小さな子どもがいる子育て世帯
- 保険料をできるだけ抑えて必要な保障を確保したい方
収入保障保険なら、ライフステージの変化に合わせて受取総額が自然と減っていくため、必要な保障を過不足なく準備できます。
また、住宅ローンの返済中で毎月の支出が多い方など、保険料の負担をできるだけ軽くしたい方にも収入保障保険は適しています。
関連記事:病気やけがで働けない時の支えになる「就業不能保険」と「収入保障保険」の違いについてわかりやすく解説
収入保障保険に関するよくある質問
ここでは、収入保障保険についてよくある質問に回答します。
Q. 収入保障保険の保障額はいくらに設定すればいいですか?
A.遺族が必要な生活費から、遺族年金の受給見込み額や貯蓄などを差し引いた金額を目安に設定するのが一般的です。
例えば、毎月の生活費が30万円で遺族年金の受給見込みが15万円であれば、不足分の月15万円が年金月額の目安になります。
家族構成や配偶者の収入などによっても必要額は異なるため、保険会社の必要保障額シミュレーションも活用してみてください。
Q. フリーランス・自営業でも収入保障保険に加入できますか?
A.各保険会社が定める条件(健康状態など)を満たせば、フリーランス・自営業でも収入保障保険に加入することは可能です。
自営業者の遺族が受給できる公的年金は原則として遺族基礎年金のみで、会社員世帯より保障が手薄になるため、積極的に検討したい保険といえます。
Q. 独身・単身者にも収入保障保険は必要ですか?
A.収入保障保険は遺族の生活費を保障する保険のため、扶養する家族がいない独身・単身者の場合、加入の優先度は高くありません。
単身者であれば医療保険や就業不能保険など、自身の病気やケガに備える保障を優先的に検討した方が良いでしょう。
ただし、親や兄弟姉妹に仕送りをしているなど、経済的に支えている家族がいる場合は加入の必要性が高くなります。
まとめ
掛け捨ての収入保障保険は、満期保険金や解約返戻金がない代わりに、割安な保険料で遺族の生活費を保障できる合理的な死亡保険です。
保険期間の経過とともに受取総額が減る仕組みのため、子どもの成長に伴い必要保障額が縮小していく家庭のライフサイクルに適した商品といえます。
「掛け捨て=損」と決めつけず、家族構成やライフステージに合わせて加入を検討してみてください。

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