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医療保険

医療保険の日額タイプと一時金タイプについて違いとメリット・デメリットを解説

医療保険の日額タイプと一時金タイプについて違いとメリット・デメリットを解説

医療保険を選ぶ際、「日額タイプ」と「一時金タイプ」のどちらにするか迷っていませんか?

この記事では、長期入院や手術に手厚い「日額タイプ」と、日帰りなどの短期入院でもまとまったお金が受け取れる「一時金タイプ」の違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

2026年8月からの高額療養費制度(自己負担上限)の引き上げも見据え、ご自身の貯蓄額やライフスタイルに合った最適な保険の選び方をお伝えします。

この記事のポイント

  • 医療保険の日額タイプは入院日数に応じて支払われるため長期入院や手術に手厚い一方、短期入院では給付金が少なくなる傾向がある。
  • 一時金タイプは日数に関わらずまとまった金額を受け取れるため短期入院に強い一方、入院が長期化すると自己負担額をカバーしきれない場合がある。
  • 日額タイプと一時金タイプを選ぶ際には、まず現在の貯蓄額と公的医療保険や高額療養費制度で医療費がどこまでカバーできるか把握したうえで検討するとよい。

医療保険の「日額タイプ」と「一時金タイプ」の違いとは?

医療保険には、日額タイプと一時金タイプがあります。

日額タイプとは?

入院1日につき一定額の入院給付金が支払われるタイプで、1日5,000円や10,000円などから選べる。

日額タイプでは、入院日数が長いほど受け取れる入院給付金の総額は増えます

しかし、60日や120日など1入院あたりの支払限度日数と、1,095日や730日など通算支払限度日数が設けられています。

入院給付金の保障イメージ

一時金タイプとは?

入院日数に関係なく、入院すれば一定額の入院一時金(給付金)を受け取れる。

一時金タイプでは日帰り入院も保障の対象となり、一時金の受け取りは「180日に1回」「通算50回」などの限度が設けられています

日額タイプの特徴とメリット・デメリット

医療保険の中でも「日額タイプ」は一般的な保障のタイプです。

1日あたりの給付金額と限度日数をベースに保障を組み立てるこのタイプは、長期入院になるほど手厚いサポートが受けられるという特徴があります。

その一方で、近年の医療事情に伴う短期入院などでは、十分な保障を得られないケースも存在します。

ここでは、日額タイプの基本的な仕組みと、知っておきたいメリット・デメリットについて詳しく解説します。

日額タイプの特徴

日額タイプは、「1日5,000円」や「1日10,000円」などの1日あたりの給付金額と、「60日型」や「120日型」などの1入院あたりの限度日数を基本として選びます。

また一般的に、入院給付金と合わせて手術給付金も付帯しており、1日あたりの給付金額をもとに手術給付金の額が決まります。

たとえば手術の種類に応じて、「5倍」「20倍」「40倍」などの倍率が決められており、20倍に該当する手術をした場合は、「1日あたり給付金額×20」が手術給付金として支払われます。

日額タイプのメリット

日額タイプは、1入院あたり60日や120日などの限度日数が設けられています。

そのため、長期入院の場合、入院日数に応じて給付金の受取総額が増えるのがメリットです

また、手術給付金も受け取れるため、手術を伴う入院にも対応しています。

日額タイプのデメリット

日額タイプは、入院給付金・手術給付金ともに1日あたりの給付金の額に影響します。

そのため、入院日数が長くても1日あたりの給付金の額が少なければ十分な保障を得られない場合があります

また入院日数が短い場合や手術を受けなかった場合、手術が手術給付金の対象外であった場合なども自己負担分をカバーできない可能性があります。

一時金タイプの特徴とメリット・デメリット

日額タイプと並んで近年注目を集めているのが、「一時金タイプ」の医療保険です。

日帰りなどのごく短い入院であっても、日数にかかわらず一時金としてまとまった給付金を受け取れるのが最大の特徴です。

ただし、短期入院時の自己負担をカバーしやすい一方で、入院が長期化しても給付金が増えないという注意点もあります。

ここでは、一時金タイプの基本的な仕組みと、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

一時金タイプの特徴

一時金タイプは、日帰り入院であっても入院すれば日数にかかわらず、一定額を一時金として受け取ることができます

一時金の額はあらかじめ決めておくため、保険から支払われる金額が事前にわかり、高額療養費制度を使ったあとの自己負担分もカバーしやすくなります。

なお、一時金タイプは一定期間のみ保障を受けられる定期型が主流です。

一時金タイプのメリット

一時金タイプは、入院日数が短くてもまとまった一時金が支給されるため、治療費の自己負担分をカバーできる可能性が高まります

自己負担分を超えた場合は、交通費などの諸費用に充てることもでき、入院による収入減にも対応できます。

一時金タイプのデメリット

長期入院をしたり手術などにかかる治療費が高額になったりするケースでは、医療費が一時金タイプで受け取れる額を超えると、自己負担分をカバーできない可能性が出てきます

そのため、入院日数に応じて給付金の額が増えない点がデメリットとなります。

日額タイプと一時金タイプで受け取れる給付金はどのくらい違う?

具体的な病気の平均医療費と平均入院日数から、日額タイプと一時金タイプの給付金総額を比べます。

厚生労働省の調査によると、喘息による平均入院日数は約10日、3割負担の場合の医療費は平均で約108,000円となっています。

同様に、脳血管疾患による平均入院日数が約20日、3割負担の場合の医療費は平均で約230,000円です。

また、O社の日額タイプの医療保険と、N社の一時金タイプの医療保険で受取額の違いを比較します。

  • O社:入院給付金日額5,000円・手術給付金20万円・特約なし
  • N社:入院一時金10万円・特約なし

 病名

入院日数

医療費(3割負担)

喘息
(入院のみ・手術なし)

10日

108,000円

脳血管疾患
(入院・手術あり)

20日

230,000円

■ 手術給付金がある場合

タイプ

保険商品

保障内容

入院日数

5日

10日

15日

30日

60日

日額タイプ

O社

入院給付金

2.5

5

7.5

15

30

手術給付金

合計

2.5

5

7.5

15

30

一時金タイプ

N社

入院一時金

10

10

10

10

10

合計

10

10

10

10

10

※入院給付金・手術給付金は万円単位で記載 

■ 手術給付金がない場合

タイプ

保険商品

保障内容

入院日数

5日

10日

15日

30日

60日

日額タイプ

O社

入院給付金

2.5

5

7.5

15

30

手術給付金

20

20

20

20

20

合計

22.5

25

27.5

35

50

一時金タイプ

N社

入院一時金

10

10

10

10

10

合計

10

10

10

10

10

※入院給付金・手術給付金は万円単位で記載

喘息で入院をした場合、O社では受取額5万円、N社では10万円となるため、一時金タイプのN社のほうが受取額は多くなります

なお、喘息の平均医療費は約108,000円となるので、O社の日額タイプの医療保険の場合、不足してしまいます。

一方、脳血管疾患で入院・手術をした場合、O社では受取額30万円、N社では10万円となり、日額タイプのO社のほうが受取額は多くなります

また、脳血管疾患の平均医療費(3割負担)は230,000円であるため、N社の一時金タイプの医療保険の場合、不足してしまいます。

ただ、O社の場合、実際の医療費負担に比べ給付金の額は多いため、医療費だけでなく交通費などの諸費用に充当することができます。

日額タイプと一時金タイプ、選ぶならどちら?

前述の医療費と給付金のシミュレーションから、日額タイプは一時金タイプよりも保障が厚く、入院が長期化するほど受け取れる給付金が増えました。

また短期の入院であれば、一時金タイプも日額タイプの引けを取りません。

疾病リスクへの対策について、保険の利用を最低限におさえたいのであれば、無駄を少なくした一時金タイプがよいかもしれません

一方、長期入院した場合の医療費負担を考え、保障はできる限り手厚いほうがよければ、日額タイプを選びましょう

給付金額はいくらにする?公的医療保険制度(健康保険)と高額療養費制度を踏まえて決めよう

加入する際、日額タイプでは、1日あたりの給付金の額や1入院あたりの支払限度日数を決めなければなりません。

一時金タイプでは一時金の額を考える必要があります。

医療保険を検討する際には、公的医療保険制度(健康保険)と高額療養費制度でどのくらい自己負担額が軽くなるのか、あらかじめ知っておくとよいでしょう。

公的医療保険制度(健康保険)では6歳(就学前)から70歳までは医療費の3割負担となるなど、年齢や所得の額によって負担割合が決まっています。

疾病の種類や症状によって医療費の負担は変わりますが、高額療養費制度があるため、医療費の負担はある程度おさえられます。

高額療養費制度の自己負担上限額は所得の区分によって計算式が異なりますが、標準報酬月額28万円~50万円の場合、以下の式で求めます。

80,100円 + ( 総医療費 – 267,000円) × 1%

この算式から総医療費が増えたとしても、80,100円に加算されるのは1%分だとわかります。

たとえば総医療費が300万円(3割負担で90万円)かかったとしても、自己負担限度額は107,430円におさえられます。

■ 70歳未満の方の区分

所得区分

自己負担限度額

多数該当(※2)

① 区分イ

  • 標準報酬月額83万円以上の方
  • 報酬月額81万円以上の方

252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1%

140,100円

② 区分ロ

  • 標準報酬月額53万〜79万円の方
  • 報酬月額51万5千円以上〜81万円未満の方

167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1%

93,000円

③ 区分ハ

  • 標準報酬月額28万〜50万円の方
  • 報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方

80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%

44,400円

④ 区分ニ

  • 標準報酬月額26万円以下の方
  • 報酬月額27万円未満の方

57,600円

44,400円

⑤ 区分ホ(低所得者)
被保険者が市区町村民税の非課税者等)

35,400円

24,600円

※1:総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)
※2:療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減される
※「区分イ」または「区分ロ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分イ」または「区分ロ」の該当となる
※2026年5月時点での自己負担限度額を掲載

なお、ほとんどの疾病の平均入院日数は1か月以内であることから、一時金タイプの10万円であっても医療費の負担を大きく減らすことができます

しかし前述のシミュレーション結果ぎりぎりの金額を基準にしてしまうと、長期入院の場合は特に、予定以上の医療費を負担することになるかもしれません。

なぜなら保険の対象となる医療費のほかにも、諸費用がかかるためです。

また、高額療養費制度は2026年8月より段階的に見直しが行われる方針が決まり、今後2段階で各所得区分の自己負担限度額が引き上げられる見通しです。

そのため、長期や継続的に医療費がかかった場合、以前よりも負担が大きくなる可能性もあります。

関連記事:高額療養費制度は医療費がいくら以上から使える?さらに負担を軽くする多数該当、世帯合算とは?

その他にかかる費用を把握しよう

なお、入院が長期化すると、諸費用の負担も大きくなります。

家族の病院までの交通費、着替えなどの日用品の新調、公的医療保険の対象外となる差額ベッド代や食事代などが諸費用として考えられます。

入院による収入減の影響も考えられます。

日額タイプでも一時金タイプでも、自分に合ったほうを選択するとよいですが、諸費用がかかることを考慮し、余裕をもって給付金や一時金の額を決めるようにしましょう。

関連記事:差額ベッド代をわかりやすく解説!医療費控除や高額療養費は適用される?

まとめ

医療の進歩により入院日数が短期化している現代において、日帰り入院でもまとまったお金が受け取れる「一時金タイプ」には大きなメリットがあります。

一方で、脳血管疾患などのように治療が長引く疾病のリスクを考慮すると、従来からある「日額タイプ」の保障の手厚さも魅力です。

大切なのは、ご自身の貯蓄や公的医療保険や高額療養費制度の利用により、どれくらいの医療費がカバーできるか把握することです。

なお、2026年8月からは高額療養費の負担上限が引き上げられる方針のため、以前よりも医療費の自己負担が増えていく可能性がある点には注意が必要です。

それらを踏まえ、足りない部分や不安な部分を医療保険の日額タイプや一時金タイプで無駄なくカバーできるよう、検討することをおすすめします。