利上げで保険はどう変わる?影響や見直しのポイントをわかりやすく解説

日本の政策金利が1995年以来、約30年ぶりに1%台となりました。
この30年間の「当たり前」が変わり始めています。
私たちの生活や保険にはどのような影響がありそうなのか、考えてみました。
この記事のポイント
- 利上げは住宅ローンなどの負担を増やす一方、予定利率が引き上がることで、貯蓄型保険などの保険料や返戻率へプラスに働く。
- 定期保険などの掛捨て型保険や自動車保険などの損害保険は、利上げの影響を受けにくい。
- 金利は上昇局面だが、保険の新規加入・見直しは金利の動向だけではなく、現状の契約内容やライフプランと照らし合わせて判断するとよい。
利上げで私たちの生活にはどのような影響がある?

2026年6月16日、日本銀行(日銀)は政策金利を1.0%に引き上げる方針を決定しました。
長らく低金利が続いてきた中で、政策金利が1.0%となるのは約30年ぶりのことです。
利上げの影響を生活者目線で捉えると、メリットもデメリットもあります。
利上げのメリット
まずメリットとしては、お金を預けている金融商品で、運用益が期待できます。
普通預金でも、金利が上がれば利息は増えます。
定期預金も金利が1%を超えるようになってきており、仮に100万円を預けると、1年間で1万円程度の利息を受け取れます。
個人だけでなく、一般企業や保険会社なども今まで以上に運用益を期待できるため、上場企業では株価が上がる可能性もあります。
利上げのデメリット
反対にデメリットとしては、お金を借りていると金利負担が増えます。
特に影響があるのは、借入金額の大きい住宅ローンです。
例えば5,000万円を借入期間35年、借入金利1%で借りたとすると、月々の返済額は141,142円です。
1%金利が上がって2%になると、月々の返済額は165,631円になります。
住宅ローンの借入額 | 5,000万円 | 5,000万円 |
|---|---|---|
借入期間 | 35年 | 35年 |
借入金利 | 1% | 2% |
月々の返済額 | 141,142円 | 165,631円 |
金利1%上昇による増額 | ― | +24,489円/月 |
毎月の返済額が24,489円も負担増になるのは、厳しいと言えるのではないでしょうか。
なお、すでに借入れしている場合、固定金利なら心配は要りません。
一方で変動金利だと、いずれ借入金利が上がり返済額が増えるでしょう。
固定金利・変動金利(こていきんり・へんどうきんり)とは?
住宅ローンの金利タイプのこと。固定金利は返済期間中の金利が変わらない一方、変動金利は市場金利などに応じて金利の見直しが定期的に行われる。
そのほかに、利上げによってインフレ傾向が強まれば、購入する商品の価格も上がります。
ただ、収入も上がるのであれば、家計収支への影響は限定的かもしれません。
物価上昇並みに収入が上昇しない場合、節約を強いられるでしょう。
利上げが保険に与える影響とは?
利上げによって保険商品の一部では保険料が下がり、保険会社の運用益は増えます。
どのような仕組みなのかを説明します。
まず、生命保険会社は以下の3要素をもとに、保険料を算出しています。
■ 保険料を算出する3要素
予定死亡率 | 過去の統計をもとに算出した男女別・年齢別の死亡率 |
|---|---|
予定利率 | 保険会社が資産運用によって見込める運用益分を保険料から割り引く率 |
予定事業費率 | 保険会社が経営上必要な経費(人件費や宣伝費、事務所家賃など)の率 |
「予定死亡率」が高いと、保険会社の保険金の支払いが増えるので、加入者が払う保険料は高くなります。
反対に、予定死亡率が低いと保険料は安くなります。
「予定利率」については、運用益をあまり見込めない場合には、保険会社は加入者から多めに保険料を集めなければならないので、加入者が払う保険料は高くなります。
反対に、多くの運用益を見込める場合は、保険料は安くなります。
「予定事業費率」については、保険会社が人件費や家賃の上昇を想定し、事業費を多く見込めば、加入者が払う保険料は高くなります。
一方で、企業努力によって少なく見込めば保険料は安くなります。
金利が上がることで、主に影響が出るのは2番目の予定利率です。
生命保険協会の「生命保険の動向」で、加盟保険会社全体の資産運用益を確認すると、2024年の利息・配当金などの収入が9兆1,017億円となっています。
なお、10年前の2014年が5兆7,200億円なので、2024年時点で、すでに運用益が増え始めています。
今後も金利上昇により運用益を期待できるなら、保険会社は予定利率を高めに設定しやすくなります。
割引率が大きくなることで、同じ保険であれば以前より保険料を下げられるようになります。
また、想定よりも運用益を出せれば、保険会社の利差益も増えます。
貯蓄型の保険への影響
貯蓄型の保険の代表である学資保険は、近年販売実績が大幅に減っています。
生命保険協会の「生命保険の動向」で、協会加盟保険会社全体の新規契約件数を確認すると、2014年には101万件ありましたが、2024年はわずか11万件しかありません。
少子化やNISA拡大の影響が大きいと考えられますが、積み立てても以前ほど増えにくい商品性も影響していると考えられます。
金利が上がっていけば、「貯まりやすさ」が今までより魅力的になり、学資保険を使って教育資金を準備する人が増えていくでしょう。
掛捨て型保険への影響
掛捨て型保険は、利上げの影響がほとんどないタイプの保険です。
定期保険や収入保障保険などの掛捨て型の保険は、保険料を算出する3要素のうち、主に予定死亡率の影響を受けます。
長期的には長寿化によって死亡率は下がり、保険料も下がっています。
人は皆いつか亡くなりますが、例えば60歳までに亡くなる割合は以前より下がっています。
昨今の金利上昇は死亡率(男女別・年齢別)と連動しないため、保険料への影響は基本的にはありません。
資産形成を目的とした保険への影響
利上げによって、一時払いの終身保険や個人年金保険の魅力は増します。
現在、円よりも米ドル建てのほうが積立利率(※保険会社が積立金に対して付ける利息の割合)は高く、10年後や20年後の解約返戻率も米ドルのほうがかなり高くなっています。
解約返戻率(かいやくへんれいりつ)とは?
解約時に戻る解約返戻金の割合を示す数値。支払った保険料総額に対し、いくら手元に戻ってくるかをパーセンテージで表す。
仮に円建てでも、米ドルと同じような利率になれば、為替の影響を受けずに同程度の解約返戻率が期待できます。
保険で貯めるのであれば、積立利率の高いときに加入するほうがよいので、保険会社が設定している利率の推移を十分に確認し、適切なタイミングで加入するとよいでしょう。
関連記事:今注目のドル建て一時払い終身保険とは?仕組みと注意点、選び方のポイントを徹底解説!
損害保険への影響
損害保険は多くが掛捨て型であるため、定期保険などと同様に利上げの影響はほとんどありません。
自動車保険や火災保険の保険料は、保険事故によって支払う保険金(純保険料)の増減に大きく影響を受けます。
一方で、自動車保険と火災保険の保険金の支払いは、修理にかかる部品代や人件費の上昇、自然災害の頻度などに連動して増加傾向にあります。
利上げによって保険会社の運用益が増えても収支は厳しいため、保険料を値上げする方向にあります。
利上げを機に保険の加入を考える際のポイントと注意点

では、昨今の利上げを踏まえ、生命保険をどのように考えればいいでしょうか。
検討するにあたって、気をつけたいポイントを挙げます。
利上げで注目すべき保険とは?
利上げの影響を受けるのは日本円です。
そのため、円建ての終身保険や個人年金保険、学資保険など、どちらかといえば保障を備えるより、貯蓄性の高い商品が有利になりやすいでしょう。
一方で、米ドルや豪ドルなどの外貨建てに関しては、金利は円とは違う動きをしています。
それぞれ金利が高くなったときに、注目するとよいでしょう。
関連記事:円建て保険で資産形成できる?NISA・iDeCo・外貨建て保険との違いを徹底比較
利上げで新規加入に向いている保険・向いていない保険とは
現在の日本は、金利が上昇途中にあると考えられます。
今日よりも来年、来年よりも再来年のほうが金利は高いと予測するなら、現在の(将来より)低い金利で固定して預けるのはもったいないでしょう。
保険商品に限りませんが、長期の金利固定商品である終身保険(※積立利率変動型や変額保険は除く)や定期預金、日本国債などは、もう少し様子を見てから判断するのがよいでしょう。
利上げを機に保険を見直す際のポイントと注意点
利上げを受けて、生命保険の保障は見直したほうがよいのでしょうか。
保障の見直しを検討するにあたって、気をつけてほしいポイントも挙げてみました。
利上げを機に見直すべき保険とは?
加入している貯蓄型の保険の中で、満期が近い、または解約返戻率が許容できる水準にある場合は、より貯まりやすい保険に入り直してもよいでしょう。
それ以外の加入中の保険は、利上げによる見直しの必要はありません。
なお、不必要になった保険や、保障に過不足がある場合は、利上げに関係なく見直すとよいでしょう。
今の保険を続けるべきか判断するためのポイント
今の保険は、保障の必要性を感じたり貯める目的があったりして加入したはずです。
そのときから、家族構成や家計状況などに大きな変化があれば、保障内容を確認し必要に応じて見直しをしたほうがよいでしょう。
保険契約は「現状のまま続ける」か「解約する」かの2択ではなく、減額や特約の解約、払済など選択肢が他にもあります。
どの方法が最適か、慎重に判断しましょう。
まとめ
日本の金利は今後も上昇する可能性があります。
生命保険は契約期間が長い商品のため、利上げのたびに反応するのはあまりおすすめしません。
ご自身のライフプランからいつどのくらい保障や貯蓄が必要なのかを確認したうえで、必要な分だけ、適切に加入するようにしましょう。





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