更新日:2026年7月1日
収入保障保険の大きな特徴は、保険金を年金形式で毎月受け取れることです。 この保険は定期保険のような従来の死亡保険とは仕組みが異なります。 この記事では収入保障保険の仕組みや特徴、メリット・デメリットなどについて分かりやすく解説します。
収入保障保険は死亡保険の一種で、被保険者が死亡あるいは高度障害状態など生命保険会社所定の状態になった場合に保険金を年金形式で受け取ることができます。
なお、保険金額は保険期間の経過にともない減少し、保険期間満了時には0円となります。
収入保障保険は契約時に保険期間を定める定期型の保険のため、保険金を受け取れるのは被保険者が死亡・高度障害状態になってから保険期間が満了するまでです。
保険期間中に被保険者が死亡・高度障害状態にならなかった場合は保険金を受け取れません。
また収入保障保険は掛け捨て型の保険のため、解約しても返戻金はないか、あってもわずかです。
なお、コのほけん!が行った「保険加入に関するアンケート調査」では、全国の20歳から59歳の男女486名を対象に現在加入している保険について調査したところ、収入保障保険の加入割合は5.6%でした。
定期保険と比べると加入率の差は大きく、加入割合が高いとはいえませんが、一定の割合の人が収入保障保険を選んでいることがわかります。

収入保障保険は被保険者の収入を保障するものではなく、被保険者が死亡した際に遺された家族の収入を保障することを目的として加入します。
収入保障保険には、以下4つの点において特徴があります。
収入保障保険は、契約時に保険期間を定める定期型の保険です。
保険期間を5年や10年など年数で定める年満了と、50歳や60歳までなど年齢で定める歳満了の設定があります。
収入保障保険の大きな特徴のひとつが、保険金の受け取り方です。
定期保険や終身保険では、被保険者が死亡した時に契約で定めた保険金を一括で受け取りますが、収入保障保険では、保険期間満了まで年金形式で保険金を受け取ります。
なお、収入保障保険の保険金は年金形式のほかに一括で受け取ることもできますが、一括受け取りの場合の総額は年金形式に比べ少なくなります。
一般的な死亡保険は、500万円や1,000万円など、保険期間を通した保険金額を設定します。
これに対して収入保障保険は、毎月10万円や20万円など、受け取る保険金を月額で設定します。
また、収入保障保険の保険金額(受取総額)は、保険期間の経過にともない減少します。
例えば、保険金を月額10万円、保険期間を20年間として収入保障保険に加入した場合、保険期間の経過に応じて受け取る保険金の総額は以下のようになります。
収入保障保険は、保険期間の経過に応じて保険金額が少しずつ減少します。
また、保険金を受け取れる期間は、被保険者が死亡してから保険期間満了までとなります。
この場合、もし保険期間が残りわずかのタイミングで被保険者が死亡した場合、受け取れる保険金は大幅に減少します。
このような事態を避けるため、収入保障保険には支払保証期間(最低保証期間)が設けられています。
保険期間中に被保険者が死亡・高度障害状態など保険会社所定の状態になった場合、支払保証期間中は保険金を受け取れる制度。なお、支払保証期間は1~5年の間で決める商品が一般的であり、期間の長さに応じて保険料は高くなる。
例えば、支払保証期間を5年間に設定することで、もし保険期間が残り2か月のタイミングで被保険者が死亡した場合、死亡時より5年間にわたり保険金を受け取れます。
収入保障保険の保険料が、定期保険や終身保険に比べ安い理由は主に以下の3点です。
収入保障保険の保険料は契約時の年齢と保険期間をもとに算出されるため、契約時の年齢が若く保険期間が短いほど保険料は安くなります。
さらに、収入保障保険は掛け捨て型のため、基本的に解約返戻金はないものの、保険料を安く抑えられます。
また、収入保障保険は、保険期間の経過にともなって受け取り可能な保険金額が減少する性質があるため、定期保険や終身保険に比べて保険料が安くなります。
収入保障保険は、死亡保障を主契約とします。そのため、原則として病気やけがのリスクに備えられる保険ではありません。
ただし、商品によっては以下の特約を付保することで、三大疾病や病気、けがなどに備えることもできます。
なお、付加できる特約や具体的な保障内容は、保険会社によって異なります。
収入保障保険を選ぶ際は主契約だけでなく、特約の種類や保障内容についても確認するようにしましょう。
がんと診断されるなど、保険会社所定の状態になった際に、以後の保険料の支払いが免除されます。
保険会社所定の働けなくなった状態になった際に、就労不能年金を受け取れます。
メンタル疾患および七大疾病により保険会社所定の状態になった際に、生活サポート年金を受け取れます。
貯蓄性がなく、定期保険とは異なり保険金額が少しずつ減少する収入保障保険は、毎月の給与のように保険金を受け取れ、保険金額が少しずつ減っていくという特徴があります。
この収入保障保険ならではの特徴を、目的に応じて活用しましょう。
収入保障保険の加入目的で特に多いのが死亡保障の確保です。
家計を支える世帯主などに万一のことが起きても、収入保障保険の保険金を遺された家族の生活費や子どもの教育資金に充てられます。
なお、片働き世帯でも専業主婦(夫)の死亡保障を収入保障保険などで用意しておくと、子どもが幼い場合に保険金を家事代行サービスやベビーシッターの費用に充て、仕事を継続しやすくなります。
家の購入にあたって住宅ローンを組む際に、多くの人が加入する団体信用生命保険を収入保障保険で代用することも可能です。
収入保障保険の保険期間をローン完済時期にあわせておけば、被保険者が死亡しても、毎月受け取る保険金をローンの返済に充てることも可能です。
ただし、ローンの返済に充ててしまうと遺族の生活費が不足するため、代用する場合は生活費と分けて考えるとよいでしょう。
なお、もし被保険者の年齢が若く、健康体割引や非喫煙者割引が使える場合、団体信用生命保険の保険料より安くなる可能性があります。
収入保障保険は定期型で保険料は掛け捨て、さらに保険金は減少していくため、定期保険や終身保険よりも保険料が安くなります。
大きな保障を安価な保険料で用意できるのは、収入保障保険の大きなメリットです。
収入保障保険には定期保険のように一定年数ごとの契約更新がないため、保険期間中の保険料が一定です。年齢を重ねても保険料が上がらないのは大きなメリットです。
なお、一部の収入保障保険では、保険料が一定のまま変わらない「平準型」と、保険期間の経過にともない保険料が変動する「逓減型」を選択できる商品もあります。
逓減型を選択した場合、契約当初の保険料は平準型に比べて高くなりますが、保険期間の経過にともない安くなっていきます。
ただしこのような選択肢はすべての商品に用意されているわけではないため、希望する場合は加入前に各保険会社の商品内容を確認することをおすすめします。
よって、子どもが小さいうちに逓減型の収入保障保険に加入しておけば、子どもへの出費が少ない時期は保険料が高めでも、学費などで出費がかさむ時期には保険料が安くなり、家計の負担を合理的に調整できます。
子どもの成長にともない、養育費や教育費など子どもにかかる費用は少しずつ減っていきます。
よって、世帯主に万一のことが起きた場合に必要な保障額も、年々少なくなっていくといえます。
収入保障保険は保険金額が段階的に減る仕組みのため、子どもの成長にあわせて、保障を合理的に用意できる商品であるといえます。
生命保険に加入する際、多くの人が保険金額について悩みます。
もし定期保険に加入する場合、遺された家族に必要な生活費や、子どもの教育資金などをシミュレーションし、必要な保障額を決める必要があります。
これに対して、収入保障保険は保険金額を月額で決めるため、現在の毎月の収入や生活費をベースに考えやすいのが特徴です。
万一の際に受け取れる公的年金である遺族年金は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」から試算できます。
遺族年金を受け取ったうえで、不足する分はいくらか試算し、保険金額を決めるといいでしょう。
収入保障保険は、毎月決まった保険金を年金形式で受け取るため、定期保険のようにまとまった金額の保険金を一括で受け取る場合に比べ、保険金の浪費を防ぎやすいといえます。
もし、子どもを死亡保険金の受取人に指定する場合は、年金形式で保険金を受け取れる収入保障保険を選択すると、親としても安心なのではないでしょうか。
ただし、子どもが未成年の場合は、保険金請求は親権者、または未成年後見人が行うこととなります。
シングルマザー・ファザーなどの場合は、信頼のおける未成年後見人を指定する遺言書を準備しておくなど、保険金が意に反した使い方をされない工夫が必要です。
収入保障保険は、生命保険料控除の対象です。1年間に払い込んだ保険料の金額に応じて、所得税と住民税が控除されます。
具体的な控除額は年間保険料や、新制度と旧制度で異なります。
なお、新制度が適用されるのは2012年1月1日以降の契約であり、旧制度が適用されるのは2011年12月31日以前の契約です。
年間払込保険料 | 控除される金額 |
|---|---|
20,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | (払込保険料×1/4)+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
年間払込保険料 | 控除される金額 |
|---|---|
25,000円以下 | 払込保険料全額 |
25,000円超50,000円以下 | (払込保険料×1/2)+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | (払込保険料×1/4)+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
年間払込保険料 | 控除される金額 |
|---|---|
12,000円以下 | 払込保険料全額 |
12,000円超32,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
32,000円超56,000円以下 | (払込保険料×1/2)+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
年間払込保険料 | 控除される金額 |
|---|---|
15,000円以下 | 払込保険料全額 |
15,000円超40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+7,500円 |
40,000円超70,000円以下 | (払込保険料×1/2)+17,500円 |
70,000円超 | 一律35,000円 |
収入保障保険は、保険期間の経過にともなって保険金額が段階的に減っていきます。
そのため、納税資金や子どもの学費のためにまとまった金額の保障を目的とする場合は、終身保険や学資保険などを検討するとよいでしょう。
収入保障保険は掛け捨て型のため、途中で解約しても基本的に解約返戻金はありません。
※一部の商品や条件によっては解約返戻金が発生する場合があります。
死亡保障と貯蓄を兼ねたい場合は、終身保険などを検討するとよいでしょう。
収入保障保険の保険金は、終身保険や定期保険など、他の生命保険の保険金と課税方法が異なります。
生命保険の死亡保険金は相続時に非課税枠があり、受け取った保険金のうち「500万円×法定相続人の数」までは課税されません。
これに対して、収入保障保険の初年度の保険金は、契約形態に応じて相続税・贈与税・所得税のいずれかの対象となり、2年目以降の保険金は雑所得として所得税と住民税の課税対象になります。
2年目以降に課税対象となる雑所得を計算する際は、年金権利受給権の評価額に相当する部分だけでなく、払い込んだ保険料の一部が必要経費として、年金の受取額から差し引かれます。
そのため、保険金の全額が課税対象となるわけではありません。
また、税法上、身体の疾病や傷害によって受け取る保険金・給付金は非課税とされているため、被保険者が高度障害状態や介護状態になり働けなくなった場合に本人が受け取る保険金には税金がかかりません。
収入保障保険の特徴やメリット・デメリット、他の保険との違いもふまえ、収入保障保険の必要性について考えていきます。
自分に万一のことが起きた際、遺された家族の生活や子どもの教育資金に不安がある方にとって、収入保障保険の必要性は高いといえるでしょう。
生命保険文化センターの調査によると、自分が死亡した後の遺族の生活に「不安感あり」と回答した割合は62.5%にのぼります。
また、不安の具体的な内容としては「遺族年金等の公的保障だけでは不十分」という回答が多く、遺族の経済的な備えに不安を抱えている人が多いことがわかりました。
さらに、同調査で死亡保障に対する私的準備状況を尋ねたところ、「何らかの準備をしている」と回答した割合は74.8%でした。準備手段としては生命保険が60.2%でトップとなっています。
収入保障保険の特徴をふまえたうえで、この保険の必要性が高い人と低い人について考えてみましょう。
以下に当てはまる場合、収入保障保険の必要性は高いといえます。
一方で、以下に当てはまる場合、収入保障保険の必要性はさほど高くないといえます。
収入保障保険選びにおいて大切なポイントは、以下の4つです。
収入保障保険の選び方
収入保障保険の保険期間は、年数もしくは保険期間満了時の年齢で設定します。
子どもの独立時期や、自分や配偶者の年金受給開始年齢に保険期間を合わせるとよいでしょう。
収入保障保険の保険金額は、自分が死亡した場合に必要な家族の毎月の生活費をもとに設定しましょう。
ただし、保険金額が高くなるほど保険料も上がるため、遺族年金などの公的保険制度や勤務先からの弔慰金・退職金、配偶者の収入も考慮したうえで適切な金額を設定しましょう。
収入保障保険の保険金は年金形式で受け取るのが基本ですが、一括受け取りを選択することもできます。
ただし、保険金を一括で受け取る場合、年金形式で受け取る場合に比べて受取総額が少なくなることに注意しましょう。
収入保障保険の多くは、保険料払込免除特約を付加できます。
この特約は、保険料の払込期間中に保険会社が定める所定の状態になると、以後の保険料の支払いが免除されるものです。
保険料払込免除の条件となる「所定の状態」には、三大疾病や七大疾病などがあります。
また「がんと診断された場合」を条件とする場合、上皮内がんを対象に含めるか否かが異なるケースもあります。
保険料払込免除特約を付保する場合は、その条件の細かい部分まで入念に確認するとよいでしょう。
死亡・高度障害に加え、障害等級の認定時、公的介護保険の認定時、病気・けが・精神的要因による就労不能時なども保障対象となる契約タイプがあり、保障の範囲は多様です。
死亡に限らず、収入が途絶えるときのことを想定し、保障内容を決めましょう。
自分に万一のことが起きても家族が安心して生活できるよう、将来に備えるために収入保障保険への加入を検討してはいかがでしょうか。
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