【2026(令和8)年度版】ねんきん定期便の見方は?毎月いくら年金をもらえる?計算方法も解説
日本年金機構から「ねんきん定期便」が届いても、「難しい用語が並んでいて、見方がよくわからない」「実際に年金が毎月いくら受け取れるのかよくわからない」と思う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、ねんきん定期便の基本的な見方から、月額や年額で実際にもらえる年金額の計算方法を中心に解説します。
さらに未納期間がある場合の注意点や、年金額をより簡単に試算できるツールまで詳しく解説します。
この記事のポイント
- ねんきん定期便は、日本年金機構から毎年誕生月に送られる書類で、過去の年金保険料納付実績や年金加入期間、現時点での年金見込額が記載されている。
- ねんきん定期便は35歳、45歳、59歳の節目となる年には、全期間の年金記録情報が記載された封書が送付される。
- ねんきん定期便に記載された年金額は現時点での試算額であり、社会情勢や収入の変動によって実際の受給額が異なる場合がある。
「ねんきん定期便」とは?

「ねんきん定期便」は、日本年金機構から毎年送付される書類です。
これまでの年金保険料納付実績から、定期便作成時点の年金額などが記載されています。
具体的には、毎年誕生月に直近1年間の情報(これまでの加入実績に応じた年金額)が記載されたはがきが送付されます。
また、35歳・45歳・59歳の節目の年には、全期間の年金記録情報(年金見込額)が封書にて送付されます。
ねんきん定期便を確認することで、将来受け取れる年金額が試算でき、老後生活の資産設計に役立ちます。
まずは、ねんきん定期便の見方を確認しましょう。
【50歳未満の場合】「ねんきん定期便」の見方
「ねんきん定期便」は、50歳未満と50歳以上で様式が異なります。
ここでは50歳未満の方に送付される「ねんきん定期便」の見方について、下の図をもとに解説します。
■ ねんきん定期便(50歳未満・裏面)


Aには、「これまでの保険料納付額(累計額)」が記載されています。
なお、納めている金額と異なる場合は、年金記録に漏れがある可能性があるため、日本年金機構に確認しましょう。
Bには、「これまでの年金加入期間」が記載されています。
「国民年金(a)」と「厚生年金保険(b)」では計算方法が異なるため、上下段に分かれて記載されています。
老齢年金の加入期間が120月(10年)以上であれば、年金の受給資格があり、右端の「受給資格期間」で確認できます。
なお、Bの「これまでの年金加入期間」のうち、【1】の部分には、国民年金の加入期間が記載されています。
これからの加入期間はすべて納付するものとして計算すれば、老齢基礎年金の予定額を求めることができます。
一方で、【2】には厚生年金の加入期間が記載されています。
しかし、報酬比例部分の計算に総報酬制が導入される前(平成15年3月以前)と、導入された後(平成15年4月以降)で分けられていないため、ご自身で期間を分けて計算する必要があります。
なお「平均報酬月額」や「平均報酬額」は、節目年に送られてくる「ねんきん定期便」に記載されています。
これらの情報をもとに、受け取れる年金額の概算を把握できますが、確実に受け取れる年金額ではないことには注意しましょう。
Cには、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。
ただし、あくまで現時点での実績ですので、これから支払う保険料分の年金額は反映されていません。
【50歳以上の場合】「ねんきん定期便」の見方
ここでは50歳以上の方に送付される「ねんきん定期便」の見方について、下の図をもとに解説します。
■ ねんきん定期便(50歳以上)


Aには、「これまでの保険料納付額(累計額)」が記載されています。
Bには、「これまでの年金加入期間」が記載されているため、受給資格期間(120月以上)を満たしているか確認するとよいでしょう。
Cには、現在の加入条件(働き方・収入)が60歳まで続いたと仮定した場合の、「年金受給見込額」が記載されています。
ただし、今後、役職定年による収入減や早期退職を予定している場合は、記載額よりも実際の年金額は少なくなる可能性があります。
一方で、60歳以降も働き続ける場合は、記載額よりも増える可能性があります。
なお、50歳未満の方に送付されるねんきん定期便には、「これまでに納付した分のみの金額」が記載されるため、若い方ほど金額が少なく見えがちです。
一方で、50歳以上の方に送付されるねんきん定期便では、将来の加入期間も織り込んだ、より現実に近い年金額を確認できます。
Dには、受給開始年齢を遅らせ、「繰下げ受給」をした場合の見込額も記載されています。
繰下げ受給(くりさげじゅきゅう)とは?
66歳以降75歳までの間に受給開始を遅らせることで、1カ月あたり0.7%の年金額が増額される制度。
65歳・70歳・75歳で年金を受け取り始めた場合の金額が一覧で確認できますので、繰下げ受給を検討している方は必ずチェックしましょう。
なお、繰下げ受給により年金の受給開始年齢を75歳まで繰下げた場合、最大84%の増額となります。
たとえば、老齢基礎年金が満額(年額847,300円)の方が70歳まで繰下げた場合、42%増の年額約120万円になる計算です。
※参考:日本年金機構「年金の繰下げ受給」
老齢年金の仕組みと計算式
老齢年金は、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金の2階建てとなっています。
学生や自営業者は国民年金部分に充当される国民年金保険料、会社員や公務員は国民年金と厚生年金に充当される厚生年金保険料を支払っています。
老齢年金を受け取るには、原則として10年以上の受給資格期間が必要です。
また、厚生年金では月収や賞与(平均標準報酬額)が年金額に影響します。
そのため年金額を試算するためには、「加入期間」と「平均標準報酬額(平均報酬月額)」が必要となります。
ただし、平均標準報酬額の算出は複雑なため、ここでは目安として賞与を含めた年収を12で割った平均月収を使って計算します。
なお、年金額自体は受給開始時点にならないと確定しないため、基本的には予定額となります。
また、年金額は名目手取り賃金変動率や物価変動率、さらに少子高齢化などの社会情勢の変動に応じて毎年見直しがされています。
令和8年度については、国民年金(基礎年金)は令和7年度から1.9%の引き上げ、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%の引き上げとなりました。
関連記事:年金制度の基本!厚生年金と国民年金の違いと切り替えのタイミングを知っておこう
老齢基礎年金の計算式
令和8年4月分からの、基本的な老齢基礎年金額の計算式は以下の通りとなります。

計算式中の「847,300円」は、昭和31年4月2日以後に生まれた人が40年間で1カ月も未納がない場合の年金額(満額)です。
昭和31年4月1日以前に生まれた人の場合は、844,900円となります。
なお、この金額は改定により毎年変わる可能性があります。
保険料免除期間がない人は、次の式が理解しやすいでしょう。
847,300円 ✕ 保険料納付済月数/480月
なお40年間のうち加入期間が20年であれば、年金額は半分の423,650円となります。
厚生年金の計算式
厚生年金は、報酬比例部分の計算に総報酬制が導入される前(平成15年3月以前)と、導入された後(平成15年4月以後)の加入分で計算式が異なります。

この式から、平均収入と加入月数が年金額に影響することがわかります。
関連記事:年金制度とは?公的年金と私的年金の種類や仕組み、特徴をわかりやすく解説
毎月いくらもらえる?年金額をシミュレーションしてみよう

では、加入している年金の種類や働き方によって、将来受け取れる年金額は実際にどの程度異なるのでしょうか。
ここでは、加入している年金の種類が異なる、AさんとBさんのケースで年金額をシミュレーションします。
Aさん(会社員・28歳男性)の年金額をシミュレーション
はじめに、会社員として働くAさんの年金額をシミュレーションします。
■ Aさん・28歳男性
- 22歳で大学卒業後就職、厚生年金保険加入
- 大学生時代の国民年金保険料は学生納付特例制度を利用
- 年収はボーナス込みで額面360万円
Aさんが受け取れる老齢基礎年金はいくら?
Aさんが大学に在籍していた4年間は、受給資格期間(10年以上)に反映されますが、「学生納付特例制度」を利用したため、年金を後納しなければ年金額に反映されません。
学生納付特例制度(がくせいのうふとくれいせいど)とは?
学生本人の所得が一定以下の場合、申請すると在学中の国民年金保険料の納付が猶予される制度。
ここでは大学在学中の4年間は未納として計算し、そのほかの期間は60歳まで納付したとします。
そのため、Aさんの老齢基礎年金は以下の計算式で求めることができます。
847,300円 × 432月/480月 = 762,570円
Aさんが受け取れる老齢厚生年金はいくら?
Aさんは、平成15年4月以降から厚生年金に加入しています。
現在の年収は360万円ですが、今後の増加を見込んで平均報酬額は35万円で計算します。
退職年齢を65歳とすると、65歳まで勤務した場合、厚生年金保険の加入期間は516月(43年)となります。
そのため、Aさんの老齢厚生年金は以下の計算式で求めることができます。
350,000円 × 5.481/1000 × 516月 = 989,869円
Aさんが年間で受け取れる年金額はいくら?
年間で受け取れる年金額は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計した額です。
そのため、令和8年度の年金額に基づいて計算すると、Aさんが年間で受け取れる年金額は175万2,439円となり、月額にすると約14万6,000円となります。
老齢基礎年金:762,570円+ 老齢厚生年金:989,869円 = 1,752,439円
なお、年金は2カ月分が偶数月に支給されます。
Bさん(フリーランス・35歳女性)の年金額をシミュレーション
次に、現在はフリーランスとして働くBさんの年金額をシミュレーションしてみましょう。
■ Bさん 35歳女性
- 22歳で大学卒後就職、厚生年金保険加入
- 30歳でフリーランスになり国民年金加入
- 大学生時代の国民年金保険料は学生納付特例制度を利用
- 会社員時代の年収はボーナス込みで額面で360万円
- フリーランスになってからの年収は430万円
Bさんが受け取れる老齢基礎年金はいくら?
Aさんと同じく、Bさんも大学在学中は学生納付特例制度を利用しているため、この分を納付しない限り年金額には反映されません。
また、Bさんはフリーランスになってからも国民年金保険料を納付しています。
そのため、国民年金に60歳まで加入すると仮定すると、Bさんの老齢基礎年金は以下の計算式で求めることができます。
847,300円 × 432月/480月 = 762,570円
Bさんが受け取れる老齢厚生年金はいくら?
Bさんの厚生年金加入期間は、22歳から29歳までの8年間のみです。
また、加入期間が平成15年4月以後のみのため、Aさんの場合と同様に「平均報酬額」の式だけを使用します。
なお、年金を受け取るまで厚生年金に加入しない場合は、平均報酬額は変化しません。
そのため、Aさんのように将来の年収を加味する必要はありません。
なお、会社員時代のBさんの年収は360万円ですが、入社時の年収はこれよりも低かったと考えられます。
そこで、平均報酬額を少し低めに設定して計算すると、老齢厚生年金は以下の式で求められます。
250,000円 × 5.481/1000 × 96月 = 131,544円
Bさんが年間で受け取れる年金額はいくら?
以上の計算から令和8年度の年金額に基づき、Bさんが年間で受け取れる年金額は89万4,114円となり、月額にすると約7万5,000円となります。
老齢基礎年金:76万2,570円+ 老齢厚生年金:13万1,544円 = 89万4,114円
Aさんと比べると、厚生年金の加入期間の差が年金額に大きく影響していることがわかります。
年金見込額はWebサイトで確認・計算することも可能
「ねんきんネット」は、個々の年金情報をインターネット上で確認できるサービスです。
毎年の「ねんきん定期便」には記載されていない平均報酬額や将来の年金見込額など、詳細な情報を確認することができます。
また、年金見込額を計算するツールとして、厚生労働省が「公的年金シミュレーター」を提供しています。
手元に「ねんきん定期便」があればより正確に、また「ねんきん定期便」がなくても、手軽に年金額をシミュレーションできます。
ねんきん定期便に関するよくある質問
ここでは、ねんきん定期便に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q.未納期間がある場合、ねんきん定期便はどこを見ればいいですか?
A.はがきのねんきん定期便であれば、以下赤枠内の「最近の月別状況です」欄に「未納」と表示されています。

封書の場合は、同封されている「これまでの国民年金保険料の納付状況」欄に「未納」と表示されています。
Q.60歳以降もねんきん定期便は届きますか?
A.60歳以降も厚生年金に加入しながら働く場合は、毎年誕生月にねんきん定期便が届きます。
なお、国民年金の加入年齢は20~60歳までと定められていますが、厚生年金は70歳まで加入できます。
Q. ねんきん定期便に記載されている年金額をそのまま受け取れますか?
A. 記載されている年金額を、そのまま受け取れるとは限りません。
50歳未満の方のねんきん定期便に記載されているのは「これまでの加入実績に応じた年金額」であり、今後の加入状況によって金額が増加します。
また、公的年金額は物価や社会情勢に応じて毎年改定されるため、記載額はあくまで現時点での目安として捉えておきましょう。
Q. 50歳未満と50歳以上で、ねんきん定期便の記載内容にどのような違いがありますか?
A. 主に「年金の見込額の計算方法」が異なります。
50歳未満の方向けには「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されます。
一方で、50歳以上の方には「現在の加入条件が60歳まで続くと仮定した場合の受給見込額」が記載されるため、より正確な将来の受給額を把握しやすくなります。
Q. ねんきん定期便を確認した結果、公的年金だけで老後資金が不足する場合どのような準備方法がありますか?
A. ねんきん定期便で試算した年金見込額と、想定される老後生活費との差額を確認し、不足分を補う計画を立てることが大切です。
準備方法としては、個人年金保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)、NISAなどを活用し、早期から計画的に資産形成を進めるのが効果的です。
関連記事:個人年金保険の選び方・見直し方を徹底解説!注意点や保険料の節約方法とは?
まとめ
「ねんきん定期便」を確認することは、ご自身のこれまでの保険料納付実績を確認し、将来の老後生活に向けた資金計画を立てるための大切な第一歩となります。
難しい用語や計算式に戸惑うこともあるかもしれませんが、基本的な見方や計算方法を押さえておけば、おおよその受給額を把握することは十分に可能です。
さらに、「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」などの便利なツールを活用することで、より簡単に正確な年金見込額を試算できます。
ぜひこの記事を参考に、ねんきん定期便の内容をしっかりと確認して、安心できる老後への準備を始めてみましょう。

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