がんの治療費と自己負担額は平均でいくら?手術や抗がん剤治療などの治療別に解説

がんになった場合、治療方法のほか、治療費がどの程度かかるのか、お金の面での心配も発生します。
具体的にどんな費用がかかるのかを知っておくことで、経済的な面からの不安を払拭し、安心して治療を受けられる体制にしておくべきです。
そこでこの記事では、がんの治療費と自己負担額について解説を行います。
この記事のポイント
- がんの入院治療費の自己負担額の平均は6~8万円程度、通院治療費の自己負担額の平均は4,000円~1万1,000円程度。ただしがんの種類や治療法によってこの額は大きく変わることがある。
- 手術・抗がん剤・放射線治療などにかかった費用は高額療養費制度により一定の額まで抑えることができる。また多数回該当に当てはまればさらに負担を軽くすることができる。
- 先進医療の費用や差額ベッド代、入院・通院時の交通費や日用品の購入費用など公的保険適用外の費用に対しては、がん保険や医療保険などの民間の保険で備えることができる。
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がんの治療費やがん保険について、コのほけん!の公式YouTubeチャンネル「コのほけん!ラボ」の以下動画でも解説しています。
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がん治療で実際にかかる費用とは?

厚生労働省の医療給付実態調査によると、がんによる入院治療費の平均や入院外治療費(通院)の平均は以下の通りとなっています。
入院治療費の平均※ | 入院外治療費の平均※ | |
|---|---|---|
胃の悪性新生物 | 6万6,762円 | 4,377円 |
結腸の悪性新生物 | 6万7,379円 | 4,543円 |
直腸S状結腸移行部及び直腸の悪性新生物 | 7万8,429円 | 6,173円 |
肝及び肝内胆管の悪性新生物 | 6万5,769円 | 1万85円 |
気管,気管支及び肺の悪性新生物 | 7万3,062円 | 1万1,102円 |
乳房の悪性新生物 | 6万285円 | 5,886円 |
子宮の悪性新生物 | 6万4,619円 | 3,333円 |
悪性リンパ腫 | 10万7,234円 | 7,634円 |
白血病 | 17万6,568円 | 9,630円 |
その他の悪性新生物 | 6万7,646円 | 6,989円 |
※円未満四捨五入
がんの種類によって、入院治療費の平均、入院外治療費(通院)の平均は異なるものの、入院治療費の平均はいずれも6~8万円程度、入院外治療費(通院)の平均は4,000円~1万1,000円程度となっています。
なお、この金額は、公的医療保険を適用した後の金額です。
もし想定以上に長期の入院や通院が必要となった場合には、さらに費用がかかることになるため、その点を考慮する必要があります。
また、がんの治療では、細かく分けると検査費や入院費、手術費用など様々な費用がかかります。
これらの費用は公的医療保険の対象となるものと、保険がきかないものに分けることができます。
公的医療保険の対象となるもの
公的医療保険の対象となるものには、診察費、検査費、入院費、手術や放射線治療などの治療費があります。
こうした公的医療保険の対象となる費用は、原則3割負担(年齢等によっては1〜2割負担のケースあり)です。
公的医療保険の対象とならないものや治療以外にかかる費用
一方、公的医療保険の対象とならないものがあります。
個室に入院した場合にかかる差額ベッド代は、公的医療保険の適用がされません。
また、先進医療や自由診療の治療費も、公的医療保険の対象外の治療となり、高額となる可能性があります。
治療以外の部分としては、入院時の食事代(入院時食事療養費)として、一般のケースの場合で一食490円がかかります。
この他、通院・入院時の交通費やご家族の交通費・宿泊費などもかかることを忘れてはなりません。
関連記事:差額ベッド代をわかりやすく解説!医療費控除や高額療養費は適用される?
【治療法別】がん治療にかかる治療費と自己負担額の平均とは

次に、治療法別にがん治療にかかる治療費と自己負担額の平均を確認していきましょう。
手術にかかる費用と自己負担額
中電病院ホームページによれば、がんの手術費および入院期間の目安は以下の通りとなっています。
疾患名 | 手術名 | 入院期間 | 手術費(3割負担) |
|---|---|---|---|
乳がん | 乳腺悪性腫瘍手術 | 15日 | 約30万円 |
肺がん | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) | 10日 | 約30万円 |
肝がん | 肝切除術 | 14日 | 約38万円 |
膵がん | 膵体尾部腫瘍切除術 | 1ヶ月 | 約70万円 |
膵頭部腫瘍切除術 | 約80万円 | ||
胃がん | 胃切除(悪性) | 10日 | 約20~35万円 |
胃切除(悪性)+胆のう摘出術 | 約35~50万円 | ||
腹腔鏡下胃切除術(悪性) | 約48~50万円 | ||
胃全摘(悪性)+胆のう摘出術 | 14日 | 約50~60万円 | |
結腸がん | 結腸切除術(悪性) | 10日 | 約30~40万円 |
腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 約35万円 | ||
直腸がん | 腹腔鏡下直腸切除・切除術(高位) | 10日 | 約45万円 |
腹腔鏡下直腸切除・低位前方切除術 | 14日 | 約55万円 |
上記費用は個人によって変動する可能性があり、食事代や差額ベッド代は含まれていません。
また、上記手術費は、高額療養費制度を利用する前の金額です。
後述する高額療養費制度を利用すれば、負担額をさらに抑えることが可能です。
抗がん剤治療にかかる費用と自己負担額
次に、抗がん剤治療にかかる費用を確認していきましょう。
例えば、胃がんの治療で用いられるmFOLFOX6(フォルフォックス)療法では、オキサリプラチン点滴など、複数の抗がん剤が使用されます。
これらの点滴は体表面積に応じて投与量が決められているため、平均的な体格であれば一度の点滴でおよそ150mgが投与されます。
仮に、オキサリプラチン点滴静注50mg「トーワ」(1本あたり5,433円)と、オキサリプラチン点滴静注100mg「トーワ」(1本あたり9,067円)を使用したケースを想定します。
その場合、治療にかかる費用は1万4,500円ですが、3割負担であれば自己負担額は4,350円となります。
ただし、同じ薬でも製薬会社や先発品・後発品によって薬価は異なるため、自己負担額がより高額になる可能性もあります。
また、抗がん剤治療は、使用する薬剤が保険適用されるものかどうか、何種類の薬剤を使用するか、またがんの種類によって金額に大きく差が生じます。
そのため、目安となる金額の算出は難しいのが実情ですが、1回の抗がん剤の投与で数万円程度がかかると考えてよいでしょう。
なお、公的医療保険が適用できない場合には、数百万円かかるケースもあります。
放射線治療にかかる費用と自己負担額
放射線治療にかかる費用も、病状や治療法の種類、治療回数などによって異なるため、断定的なことはいえませんが、3割負担の場合、目安として以下の試算があります。
治療 | 回数 | 自己負担額(3割負担の場合の目安) |
|---|---|---|
乳がん温存手術後の放射線照射 | 25~33回 | 約18~21万円 |
前立腺がんの強度変調放射線治療(IMRT) | 33~41回 | 約40~47万円 |
放射線治療には治療計画作成費、診療費、照射費用などをあわせて、総額で数百万円程度かかる可能性もあります。
治療費が高額になる理由には、公的医療保険が適用されない先進医療が多く用いられていることがあります。
がんの治療費の自己負担額を軽くするには
がんの治療費はがんの種類や状況によって異なることがわかりました。
特に長期入院や先進医療を利用する場合などには多額の費用がかかる恐れがあります。
この費用を少しでも軽減できる方法はないのでしょうか。
以下に、自己負担額を軽減する方法を解説します。
高額療養費制度で医療費の払い戻しを受ける
まず、高額療養費制度を確認していきましょう。
高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)とは?
同一医療機関(入院・外来は別)の窓口で支払った自己負担額が、1ヵ月に一定の限度額を超えた場合に、超えた部分が給付される仕組み
なお、高額療養費制度は2026年8月から2段階の見直しが行われています。
■第1段階(2026年8月~2027年7月)の見直し
所得区分 | 月額上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
約1,160万円~ | 270,300円+1% | 1,680,000円 |
約770~約1,160万円 | 179,100円+1% | 1,110,000円 |
約370~約770万円 | 85,800円+1% | 530,000円 |
約200万円~約370万円 | 61,500円 | 530,000円 |
~約200万円 | 61,500円 | 530,000円 |
非課税【70歳未満】 | 36,900円 | 290,000円 |
非課税【70歳以上】 | 25,700円 | 290,000円 |
一定所得以下【70歳以上】 | 15,700円 | 180,000円 |
※70歳未満の場合
※「~約200万円(標準報酬月額~15万円)」区分に該当する場合は年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払いとなる
また、2027年8月からの第2段階の見直しでは、現行の4つの所得区分(住民税非課税を除く)が13区分に細分化されたうえで、所得に応じた追加の引き上げが行われます。
■第2段階(2027年8月~)の見直し
所得区分 | 月額上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
約1,650万円~ | 342,000円+1% | 1,680,000円 |
約1,410~約1,650万円 | 303,000円+1% | |
約1,160~約1,410万円 | 270,300円+1% | |
約1,040~約1,160万円 | 209,400円+1% | 1,110,000円 |
約950~約1,040万円 | 194,400円+1% | |
約770~約950万円 | 179,100円+1% | |
約650~約770万円 | 110,400円+1% | 530,000円 |
約510~約650万円 | 98,100円+1% | |
約370~約510万円 | 85,800円+1% | |
約260~約370万円 | 69,600円 | 530,000円 |
約200~約260万円 | 65,400円 | |
~約200万円 | 61,500円 | 410,000円 |
非課税【70歳未満】 | 36,900円 | 290,000円 |
非課税【70歳以上】 | 25,700円 | 290,000円 |
一定所得以下【70歳以上】 | 15,700円 | 180,000円 |
※70歳未満の場合
※「~約200万円(標報:~15万円)」区分に該当する場合は年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払いとなる
例えば、一般的なサラリーマン(標準報酬月額28~50万円)の場合、自己負担限度額(月額)を求める計算式は以下の通りです。
85,800円 +(医療費-286,000円)× 1%
仮に、一か月に100万円の医療費がかかった場合には、自己負担額を以下のように計算することができます。
85,800円+(1,000,000円-286,000円)×1%=92,940円
また、4ヵ月以上にわたり高額な医療費がかかる場合には、多数回該当により4ヵ月目から毎月44,400円のみ負担すればよいことになります(※標準報酬月額が28~50万円の場合)。
この高額療養費の仕組みがあるために、毎月の医療費を軽減することができます。
関連記事:高額療養費制度は医療費がいくら以上から使える?さらに医療費の負担を軽くする制度も紹介!
医療費控除で税金の控除を受ける
「医療費控除」と呼ばれる仕組みで、税金を軽減できる方法もあります。
医療費控除とは、納税者本人または生計を一にする配偶者やその他の親族のために支出した医療費のうち、一定の金額を所得から差し引いて所得税などの税金を計算することができるものです。
ただし、保険金などの支給を受けた場合にはその金額は自己負担額から差し引く必要があります。
また、医療費として支払ったお金でも、医療費控除の対象とはならないものがあります。
また、医療費控除は確定申告により、申請を行なう必要があります。
対象となる医療費の例 | 対象とならない医療費の例 |
|---|---|
|
|
なお、医療費控除額の計算には以下の式が用いられます。
医療費控除額 =(支払った医療費の総額 - 保険などで補てんされた金額)-10万円(※)
※その年の総所得金額が200万円未満の場合には、総所得金額の5%の額
※参考:国税庁「医療費を支払ったとき」
傷病手当金を受給する
「傷病手当金」という制度もあります。
会社員など、健康保険の被保険者が病気やケガのため働くことができない場合に、支給される給付です。
会社を連続して3日以上休んだ場合に、4日目から最高1年6ヵ月間支給されます。支給額は以下の式で計算できます。
欠勤1日につき標準報酬日額 × 2/3
ただし、任意継続被保険者になってからは新たに支給されません。
また、会社を休んでも、傷病手当金以上の給料が支払われた場合には傷病手当金は支給されません。
関連記事:傷病手当金とは?退職後にもらえる?支給条件や計算・申請方法などを解説
がん保険・医療保険など民間の保険で備える
公的な制度を活用することで、ある程度の費用負担は軽減できますが、すべての費用をカバーすることができるわけではありません。
入院中の食事代や通院のための交通費、日用品の購入など別途かかる費用があることも忘れてはなりません。
こうした費用をカバーするには、一般的にはがん保険や医療保険で備えることになります。
がん保険や医療保険に加入することで、医療費はもちろんのこと、その他にかかる費用もある程度カバーできるようになります。
公的な制度を活用しつつ、民間保険で不足する金額はカバーしていきましょう。
まとめ
以上、がんの治療費や自己負担額について解説しました。
高額療養費制度を利用してもある程度の治療費はどうしてもかかります。実際にお金の面で苦しむことのないようにするためにも、ある程度の貯蓄はしておくべきです。
そして、いざという時に備えて、がん保険や医療保険に加入することも検討すべきです。
お金の面で悩まずに治療に専念することが、私たちができる最善策といえるのではないでしょうか。














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