生命保険(死亡保険)は、被保険者の死亡や保険会社所定の高度障害状態になったときに死亡保険金もしくは高度障害保険金が支払われます。一般的に、残される家族の生活資金等の確保のための備えとして利用される保険です。本記事では、生命保険に加入していない人の割合や加入しない場合にどういった事態が想定されるのかについてご紹介いたします。
目次
生命保険(死亡保険)に入っていない人の割合
個人としての保険の加入率のデータはないため、世帯の加入割合で見てみましょう。
公益財団法人生命保険文化センターの 2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」(2021年12月発行)によると、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.8%となっており、生命保険(死亡保険)に入っていない人の割合、全体生保未加入の世帯の割合は10.2%となっております。
この調査には、個人年金保険の契約も含まれているため、純粋な生命保険(死亡保険)の未加入者ではありません。
※全体生保:民間保険(かんぽ生命含む)、簡保・JA・共済
実際に生命保険に入っていないとどうなる?
生命保険(死亡保険)の加入目的は、生命保険文化センターの調査によると、
目的 | 割合 |
医療費や入院費のため | 59.0 |
万一のときの家族の生活保障のため | 52.4 |
万一のときの葬式代のため | 12.4 |
老後の生活資金のため | 9.1 |
災害、交通事故などにそなえて | 7.8 |
子どもの教育、結婚資金のため | 7.8 |
貯蓄のため | 5.8 |
介護費用のため | 4.8 |
万一のときのローン等の返済のため | 3.4 |
財産づくりのため | 2.5 |
相続および相続税の支払を考えて | 1.6 |
税金が安くなるので | 1.6 |
その他 | 1.1 |
不明 | 0.6 |
土地、家屋の取得、増改築のため | 0.2 |
となっていることから、下記が生命保険(死亡保険)の加入目的としていえます。
- 万一のときの家族の生活保障のため
- 万一のときの葬式代のため
- 災害、交通事故などにそなえて
- 子どもの教育、結婚資金のため
- 万一のときのローン等の返済のため
- 相続および相続税の支払を考えて
生命保険(死亡保険)の加入目的から考えた生命保険(死亡保険)に加入していないことで起こるかもしれない事態というと、
例えば、
- 残された家族が生活に困窮する(経済的困難を抱える)
- 葬式代の捻出に困る
- 残されたこどもの教育に十分にお金をかけられない
等のことが考えられます。
全員が全員、生命保険(死亡保険)に入る必要はありません。
ココがポイント
生命保険(死亡保険)は、今ある預貯金等の資金・資産で残される家族等が生活していけない場合、必要保障額が足りない場合に加入する保険です。
端的に言ってしまうと、生命保険は必要保障額が足りない人が入ればいいということになります。
それでは、具体的に、生命保険の必要がある人、ない人がどのような人なのかみていきましょう。
関連記事:生命保険は4種類に分類できる!特徴を図・一覧でわかりやすく解説
生命保険の必要があまりない人とは?
生命保険の必要があまりない人
- 残された家族が生活していくのに十分な資金・資産がある人、例えば、資産家等
- 万が一の場合に、経済的困難を抱える家族等がいない人、例えば、独身等
生命保険の必要性がある人とは?
生命保険の必要性がある人
- 死亡した時に経済的困窮する可能性がある家族等がいる人
- 死亡後の相続時に相続税を多額の現金で支払う必要がある人
繰り返しになりますが、死亡時の必要保障額を計算したときに、必要保障額に足りていない人が、生命保険(死亡保険)が必要な人といえます。
そして、その必要保障額の計算には、生命保険(死亡保険)の加入目的『誰、何のために保険に入るのか?』が重要です。
会社員・公務員等は、18歳未満のこどもがいる等の所定の条件を満たしていれば、厚生年金・国民年金からそれぞれ遺族厚生年金および遺族基礎年金の受給ができるため、必要保障額はそこまで高額になりません。
自営業・フリーランスの方は、2階建部分である厚生年金がなく国民年金のみとなるので、会社員・公務員等と比較すると、必要保障額の足りない部分が大きい傾向があるため、ご自身の資金・資産と、民間の生命保険(死亡保険)でカバーする必要性があります。
関連記事:生命保険(死亡保険)はいらない?不要と言われている理由や必要性がある人・ない人を解説
生命保険の平均的な保険料はいくらくらい?
生命保険の平均的な保険料は、生命保険文化センターの調査によると、358,700円(世帯年間払込保険料平均)となっています。
1ヶ月に換算すると、29,891円になります。
これは個人年金保険などの貯蓄性商品が含まれているため、生命保険(死亡保険)単独の調査ではない点に留意してください。
世帯の年間払込保険料の割合でみると、12万円未満と回答した世帯が20.8%、次に12〜24万円未満と回答した世帯が20.3%となっているので、1ヶ月あたり1万円前後の負担ということになります。
世帯年間払込保険料 | 割合 |
12万円未満 | 20.8 |
12~24万円未満 | 20.3 |
24~36万円未満 | 17.8 |
36~48万円未満 | 9.5 |
48~60万円未満 | 6.8 |
60~72万円未満 | 4.6 |
72~84万円未満 | 2.3 |
84万円以上 | 5.5 |
不明 | 12.4 |
平均値(千円) | 358.7 |
いくら貯金があれば生命保険はいらない?
個人差です。
目安としては、独身であれば100〜200万円程度あればお葬式代を賄うことが可能です。
こどもがいらっしゃる方であれば、こどもの人数・年齢、教育プランによっても大きく異なりますが、一般に500万円以上あればよいのではないでしょうか。
まとめ
生命保険(死亡保険)は、加入目的『誰、何のために保険に入るのか?』が重要です。
あなたが万が一亡くなった時に残される家族が経済的困窮になるのであれば、加入する必要性が高まります。
経済的に困る家族がいないのであれば、生命保険(死亡保険)の必要性はないでしょう。そして、生命保険(死亡保険)よりも、ご自身のための保険、例えば、医療保険やがん保険、就業不能保険などについてご検討されてもよいでしょう。
また、保険選びで迷った時には、ファイナンシャルプランナー等の専門家へ相談することもおすすめです。