保険に入れない病気一覧とは?持病で保険に入れない場合の対処法
持病があると保険会社の指定する保険に入れない病気一覧に該当するため保険に入ることができない、と聞いたことはありませんか?持病により生命保険(死亡保険)や医療保険などに入れなかったらどうしよう、と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、保険に入れない病気一覧に含まれる持病とはそもそもどんな病気を指すのか解説し、通常の保険に入れないときに持病があっても入れる保険はあるのかなどの疑問について解説いたします。
この記事のポイント
- 「持病」は既往症や既往歴、さらに慢性疾患や基礎疾患などと表現されることがある。
- 保険に入れない病気一覧に含まれる持病があると保険に入りづらくなるのは、健康な人と比べ保険金・給付金等を支払う可能性が高いから。
- 保険に入れない病気一覧の持病があっても、まずは必ず通常の保険に加入できないか検討する。そのうえで引受基準緩和型保険や無選択型保険を検討するとよい。
保険に入れない病気一覧に含まれる「持病」について解説
持病とは、一般的に長期にわたってなかなか治らない病気のことです。
なお法律や医学的な「持病」についての定義はありません。保険会社や商品によって、既往症(きおうしょう)や慢性疾患(まんせいしっかん)、そして基礎疾患(きそしっかん)を「持病」と表現するしていることも多くあります。よって幅広い病気をひっくるめて「持病」と呼んでいるのが実態です。それぞれの言葉の意味は以下の通りです。
既往症とは生まれてからこれまででかかった病気の中ですでに治癒した病気のことを指します。既往歴(きおうれき)と呼ばれることもあります。
慢性疾患は複数の原因により引き起こされ、症状などが比較的ゆっくりと徐々に出てくる病気のことを指します。罹患期間(病気の期間)は不定ですがどちらかといえば長く、診断もはっきりとしないことから治癒はまれとされています。
基礎疾患については、厚生労働省で下記のような定義がされています。
1.以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
- 慢性の呼吸器の病気
- 慢性の心臓病(高血圧を含む)
- 慢性の腎臓病
- 慢性の肝臓病(肝硬変等)
- インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
- 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く)
- 免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む)
- ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
- 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
- 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
- 染色体異常
- 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している(※)、又は自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している(※)場合)(※)重い精神障害を有する者として精神障害者保健福祉手帳を所持している方、及び知的障害を有する者として療育手帳を所持している方については、通院又は入院をしていない場合も、基礎疾患を有する者に該当する。
2.基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方 (※)
(※)BMI30の目安:身長170cmで体重約87kg、身長160cmで体重約77kg。
※参考:厚生労働省「基礎疾患を有する者」
なぜ持病があると保険に入りづらくなるのか?
それではなぜ持病があると保険に入りづらくなるのでしょうか?それは持病がある人には保険金・給付金等を支払う確率が高くなるからです。
生命保険や医療保険といった保険の契約は、あるリスクの確率が同じ人たちに対し保険会社が保険料を集めることで保険金・給付金を払うための責任準備金を用意し、万が一のことがあった場合にそこから保険金・給付金等を支払うという仕組みで成り立っています。
保障の対象となる人(被保険者)のリスクの種類には、持病の有無だけではなくケガをする可能性が高い職業に就いていることや、完治しにくい病気にかかっていることなども含まれます。保険会社はこういったリスクの高低をみて、保険契約の引受をしています。
もし保険期間(保証期間)1年、保険料は一律同じ金額の条件で、病気になって入院する確率が10%の人たちが被保険者として集まっている保険契約の中に、病気になって入院する確率が80%の人が被保険者として加わった場合、どういうことが起きるのでしょうか?
この場合、病気になって入院する確率が80%の人は保険金・給付金等を受け取る一方で、病気になって入院する確率が10%の人たちは何も受け取ることなく保険期間(保障期間)が終わる可能性が高いと考えられます。
しかし、こうした保険金などの受け取りの有無にかかわらず、保険料については皆で同じ水準のものを負担しなければなりません。そのため、保険会社としては契約者(被保険者)間の公平性を保つため保険契約の引受に慎重にならざるをえず、持病がある人は保険に入りづらくなるという事情があります。
持病があっても加入しやすい保険はある?
しかし一方で、病気になって入院する確率が高い人の保険加入を保険会社の一存ですべて断ってしまっては、保険の本来の役目である社会的役目を果たすことができません。
そのため、年齢・性別・職業、病気などの様々な条件のもと、その人のリスクに応じた保険料の負担を求めたり、リスクのある部位を保障の対象外にする(部位不担保)、保障をする際の条件をつける(条件付)などで、保険会社は契約者(被保険者)間の公平性を保つようにしています。
また、「持病」がある人でも保険に加入することができるように、契約の引受基準をゆるやかにし加入しやすい引受基準緩和型保険や、リスクを問わず告知を必要としない無選択型保険などの商品を各社で販売しています。なおこれらの保険は、以下の順で保険料が高くなります。
無選択型保険 > 引受基準緩和型保険 > 通常の保険
保険会社で「持病」として指定されている病気の種類により、保険に入りやすいかどうか異なるためまずは保険会社に確認することが大事です。
持病があるからといっていきなり無選択型保険や引受基準緩和型保険を選ぶのではなく、まずは通常の保険から加入できないか、通常の保険以外でも加入しやすい商品がないか保険会社などに必ず問い合わせるようにしましょう。
関連記事:持病があっても生命保険に入れる?入れない?見つけ方と加入方法を解説
生命保険や医療保険などの保険に入れない病気一覧とは?
保険に入れない病気は、保険会社ごとや保険の種類、商品ごとにも異なっています。生命保険(死亡保険)と医療保険における保険に入れない病気一覧の一例を紹介します。
生命保険(死亡保険)に入れない病気の一覧
まず通常の生命保険(死亡保険)では、上で挙げた持病に当てはまる病気がある場合、加入を断られる可能性があります。さらに精神的な病気を原因とした自殺もリスクとして考慮されるため、精神疾患がある場合も加入を断られる可能性があります。
関連記事:死亡原因が自殺の場合は生命保険はどうなる?死亡保険金が支払われるケースとは?
また、何らかの病気で治療中の場合は保険料が割増しになったり部位不担保や条件付での加入となったりする可能性が高くなります。
もし持病が保険に入れない病気一覧に含まれていることなど理由に生命保険(死亡保険)の加入を断られた場合、引受基準緩和型保険を検討しましょう。ただし引受基準緩和型の生命保険(死亡保険)にも保険に入れない病気一覧があることが多く、一般的には以下のような病気が含まれています。
- がん(悪性新生物)
- 上皮内新生物
- 肝硬変
- 統合失調症
- 認知症
- アルコール依存症 など
医療保険に入れない病気の一覧
医療保険についても、保険に入れない病気があらかじめ指定されています。以下のような病気が保険に入れない病気一覧に含まれていることが多いようです。
がん | 悪性新生物 |
---|---|
上皮内新生物 | 乳腺の非浸潤性乳管がん、大腸の粘膜内がん、子宮頚部の上皮内がん 等 |
糖尿病の合併症 | 糖尿病の合併症(網膜症、腎症、下肢の潰瘍・えそ) |
脳・心臓・血管の病気 | 一過性脳虚血発作、脳梗塞(脳血栓症、脳塞栓症を含む)、脳内出血、くも膜下出血、狭心症、心筋梗塞、心筋症、動脈瘤、先天性心臓病、心臓弁膜症、食道静脈瘤 |
肝臓・すい臓の病気 | 慢性肝炎、肝硬変、慢性すい炎 |
腎臓の病気 | 慢性腎炎、投薬や透析を必要とする慢性腎機能障害 |
肺の病気 | 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎を含む)、酸素吸入が必要な慢性呼吸機能障害 |
指定難病 | 申込時点で難病医療費助成制度の対象となる指定難病 |
神経系の損傷 | 頸髄の損傷 |
精神および行動の障害 | 躁病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、アルコール依存症、薬物依存症、認知症、アルツハイマー病 |
なお、同じ医療保険でも保険に入れない病気一覧に含まれている病気は保険会社や商品ごとに異なるため、必ずあらかじめ確認をするとよいでしょう。
関連記事:がんになっても入れる保険はある?実際のがんの医療費や保険加入時の注意点とは?
保険に入れない病気一覧に含まれる持病で保険に入れない場合の対処法とは?
持病があって保険に入れない場合、対処法はあるのでしょうか。おすすめなのはいわゆる告知なしで入れる保険である無選択型保険を選ぶもしくは預貯金で備えるという方法です。
ただし、無選択型保険には以下のようなメリットとデメリットがあるためあらかじめ注意しておきましょう。
告知なしで入れる無選択型保険に加入するメリットとデメリット
無選択型保険は、引受基準を設けていないため告知なしで誰でも加入することができることが最も大きなメリットといえます。
ただし一方で、生命保険(死亡保険)であれば「責任開始後2年間は死亡保険金ではなく、既に払い込んだ保険料相当額を支払う」という制限や、医療保険であれば「契約後90日間は免責期間(待機期間)がある」や「現在治療中の病気や既往症(医学上重要な関係がある病気)は保障の対象外」という制限が加入時に設けられることがデメリットといえます。
また、無選択型保険の保険料は引受基準緩和型保険や通常の保険と比べると割高となるため注意が必要です。
関連記事:持病があっても入れる保険のメリットやデメリットとは?どんな人におすすめ?
保険に入れない病気一覧の持病があっても入れる保険とは?
現在、コのほけん!で取扱っている生命保険や医療保険の中でも、引受基準緩和型保険や無選択型保険の一例は以下の通りです。ちなみにコのほけん!では「持病がある方向けの保険」として紹介しています。
引受基準緩和型保険
生命保険(死亡保険)
医療保険
収入保障保険
無選択型保険
生命保険(死亡保険)
コのほけん!の引受基準緩和型保険(持病がある方向けの保険)ランキングもぜひご覧ください
コのほけん!では上記の引受基準緩和型保険や無選択型保険以外にも様々な商品を取扱っています。ランキング形式で紹介しておりますので、ぜひ以下の生命(死亡)・医療・がん保険のランキングもあわせてご覧ください!
引受基準緩和型の生命(死亡)保険ランキング
引受基準緩和型の医療保険ランキング
引受基準緩和型のがん保険ランキング
まとめ
保険に入れない病気一覧に含まれる持病があると保険に入りづらいのには、健康な人と比べ保険金・給付金等を支払う可能性が高い人に対し保険会社も契約の引受に慎重にならざるをえないという事情があります。
もし保険に入れない病気一覧に含まれるような病気があっても、加入の基準が通常より緩められた引受基準緩和型保険や告知が一切いらない無選択型保険を選ぶという方法もあります。ただし無選択型保険は誰でも加入できるというメリットの一方で、通常の保険よりも保険料が非常に高くなるというデメリットもあるためあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
最も大事なことは引受基準緩和型保険や無選択型保険保険の前に、まずは通常の保険に加入できないか検討をすることです。通常の保険に加入できないときに、はじめてまず引受基準緩和型保険、次に無選択型保険の順に検討をします。保険に入れない病気一覧に含まれるような持病があると保険の加入もあきらめなければならないと考えがちですが、保険の種類や商品を変えれば多くの選択肢があります。ぜひ加入しやすいものがないか検討してみるとよいでしょう。