ペット保険を解約するには?解約の流れや解約前にチェックしておきたい注意点を解説
家計の状況の変化や補償内容の見直しを理由に、ペット保険の解約を検討している人もいるでしょう。しかし、途中解約しても損にならないのか、何から手続きを始めれば良いのかと悩んでいる人も少なくないはずです。
この記事では、ペット保険の解約を検討している人に向けて、解約のメリット・デメリットや手続き方法、解約前に確認しておきたい注意点を詳しく解説します。
この記事のポイント
- ペット保険の解約には、保険料の負担軽減や他社商品への見直しといったメリットがある一方で、再加入の難しさや医療費の全額自己負担といったデメリットもある。
- ペット保険の解約は途中でも可能だが、保険会社ごとの手続き方法や返金条件を事前に確認する必要がある。
- ペット保険の解約前には無保険期間中の備えや他社加入の審査条件などを慎重に確認し、必要に応じて契約内容の変更も検討するのがおすすめ。
ペット保険を解約することのメリット・デメリットとは?

ペット保険の解約を決める前に、まずは解約によってどのようなメリット・デメリットがあるのかを把握しておきましょう。
ペット保険を解約するメリット
ペット保険を解約する主なメリットは以下の通りです。
- 保険料の支払いがなくなる
- 他の保険商品を検討しやすくなる
毎月・毎年支払っていた保険料が不要になるため、家計にゆとりが生まれます。例えば、月々5,000円の保険料なら年間60,000円、5年間で300,000円の支出削減につながります。支払いが減った分を、ペットのおやつや質の高いフード、または将来の治療費のための貯蓄に充てることが可能です。
特に大型犬や高齢犬の保険料は高くなりやすいため、解約による経済的なメリットを実感しやすいでしょう。
また、ペット保険は各保険会社で様々なプランを取り扱っており、補償内容や保険料も異なります。一度契約すると見直しを怠りがちですが、解約を機に、現在のペットの年齢や健康状態に適した保険を探すのも一つの方法です。
例えば、日々の細かな通院に対応できる保険に加入している場合、成犬・成猫になり健康状態が安定しているなら、大きな手術や入院に特化したプランに変更することで保険料を抑えられるかもしれません。
ペット保険を解約するデメリット
ペット保険を解約するデメリットは以下の通りです。
- 病気やケガの治療が全額自己負担になる
- 再加入しにくくなる
ペットには人間のような公的医療保険制度がなく、病院によって治療費が異なるため、治療費が高額になることがあります。
例えば、トイ・プードルがかかりやすい病気の年間診療費は以下の通りです。
■ トイ・プードルがかかりやすい病気と年間の診療費
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
糖尿病 | 22万7,211円 | 17万4,358円 |
骨折 | 23万8,129円 | 13万9,078円 |
膵炎 | 9万3,928円 | 5万7,079円 |
保険に加入していれば自己負担額を軽減できますが、解約するとこれらの費用を全額自分で賄う必要があります。十分な貯蓄がなければ、ペットに必要な治療を受けさせられない、あるいは治療法の選択肢が限られてしまう場合もあるでしょう。
また、多くのペット保険では新規加入できる年齢に上限を設けているため、ペットが高齢の場合は、再加入できない可能性があります。一般的にペット保険は年齢が上がるほど保険料も高くなるため、解約前より保険料が割高になる可能性も考慮しなくてはなりません。
さらに、再加入する際に健康状態が悪化している場合は、契約を断られる可能性もあります。
ペット保険を解約するには?
ペット保険の解約を具体的に考え始めたものの、手続き方法や条件について不安を感じることもあるでしょう。ここでは、ペット保険の解約手続きに関する基本的なルールや流れを解説します。
ペット保険を途中で解約することはできる?
ペット保険は契約者からの申し出があれば、原則として契約期間の途中でも解約可能です。
ただし、解約日は保険会社によって異なります。解約日がいつになるかによって、最終的な保険料の支払いや、いつまで補償が有効なのかが変わるため、「ご契約のしおり」や「約款」で確認しておきましょう。
また、保険料を年払いで支払っている場合、一般的に未経過期間に相当する保険料は返還されます。ただし、保険会社所定の計算方法に基づいて返還額が決定されるため、日割りで保険料が戻ってくるとは限りません。
なお、解約手続き完了後の保険金請求に対応している保険会社もあります。ただし、診療日から3年以上経過した場合は、保険法に基づき、保険金を請求する権利自体が消滅するため、注意しましょう。
ペット保険の解約手続きの流れと必要なもの
保険会社によって多少の違いはありますが、一般的にペット保険の解約手続きは以下の流れで進めます。
- 保険会社へ解約の意思を伝える
- 解約請求書の記入
- 解約請求書・必要書類の提出
- 解約手続き完了の通知
まず、電話や契約者専用ページから、加入している保険会社に解約の意思を伝えます。手元に保険証券を用意しておくと手続きがスムーズに進むでしょう。
保険会社から解約に必要な書類が送られてきたら、契約者の情報や解約希望日などを記入します。記入漏れや誤りがあると解約が遅くなるため、慎重に確認してから提出しましょう。
記入した解約請求書と、保険証券や本人確認書類のコピーなどの必要書類を同封して、保険会社に郵送で提出します。
保険会社で書類確認が完了し、不備がなければ解約手続きが行われます。手続き完了後は、郵送またはメールで通知が届きます。
主な保険会社の解約方法を紹介
代表的な保険会社の解約方法を紹介します。
■ アニコム損保
- マイページにログインし、解約の手続きをする
- 電話で連絡し、解約書類を返送する
■ アイペット損保
電話またはWEB問い合わせ窓口から連絡し、解約書類を返送する
※参考:アイペット損保「よくある質問」
■ FPC
WEB問い合わせフォームから連絡し、解約届を返送する
なお、契約内容によって手続き方法が変わる可能性もあるため、実際に解約する際は保険会社の公式サイトを確認するか、直接問い合わせて最新の情報を得るようにしてください。
ペット保険を解約する前に!注意すべきポイント

ペット保険を安易に解約して後悔しないために、解約手続きを進める前に必ず確認しておきたいポイントを解説します。
他社に乗り換える際は引受審査や加入条件に注意
他社に乗り換える場合も保険会社所定の審査があるため、新しい保険にスムーズに加入できるとは限りません。
ペット保険に申し込む際には、ペットの過去の病歴や現在の健康状態、ワクチンの接種状況などを正確に告知する義務があります。
告知内容に基づき保険会社は引受審査を行うため、健康状態によっては特定の病気や部位が補償対象外となる「特定疾病不担保」や「部位不担保」といった条件がついたり、加入を断られたりする可能性があります。
また、ペット保険では新規加入年齢の上限を設けているケースがほとんどであるため、高齢のペットは保険に加入できない可能性が高くなる点には注意してください。
実際に乗り換えをする場合は、補償の空白期間が生じないように、新しい保険に加入できたことを確認してから、現在加入している保険の解約手続きを進めましょう。

無保険期間中もペットの医療費に備えられるか確認する
ペット保険を解約してから新しい保険に加入するまでの間にペットが病気やケガをしてしまった場合、治療費は全額自己負担となります。この無保険期間中に医療費が発生した場合に対応できるだけの貯蓄があるか、あらためて確認しておきましょう。
特にペットが高齢の場合は、治療が長期化するケースもあり、高額の医療費負担が発生する可能性があります。「◯◯円あれば安心」とは一概には言えませんが、最低でも数十万円程度の出費に対応できるようにしておくと、治療の選択肢も広がるでしょう。
契約内容を変更し今の契約を続けることも検討する
「保険料は減らしたいけど、無保険は不安」と感じるなら、解約をせずに契約内容の見直しを検討してみましょう。
以下のポイントを見直すと、保険料を抑えられる可能性があります。
- 補償プランの変更
- 補償割合の引き下げ
- 特約の解約
ただし、変更できるタイミングや条件は保険会社・契約によって異なります。加入している保険会社に直接問い合わせて確認しましょう。
まとめ
ペット保険を解約すると保険料の負担がなくなるメリットがあります。しかし、病気やケガの際は治療費をすべて自分で支払う必要があるため、今後の備えについて十分考えてから解約手続きを進めましょう。保険料の負担を減らしたい場合は、解約ではなく契約内容の見直しを検討するのも一つの方法です。
また、新しい保険に乗り換える場合も、高齢のペットや既往歴があるペットは加入を断られるケースもあるため、補償の空白期間が生じないように解約手続きを進めましょう。