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介護・認知症保険の選び方・見直し方

介護・認知症保険の選び方・見直し方

「所定の介護状態や認知症を保障する」
介護・認知症保険

介護・認知症保険の選び方・見直し方 about

目次

1. 民間の介護保険7つの選び方ポイント

長生きリスクに備えるためにも、用途を限定しない貯蓄を増やしておいて、もし介護が必要になった時にはその貯蓄を利用する方も多いでしょう。

貯蓄は非常に自由度が高い手段と言えますが、一般的に介護で必要な総額は約800万円程度と考えられます。

この金額が用意できない場合には、民間の介護保険の利用を検討しましょう。ここでは、民間の介護保険の選び方を7つのポイントに分けてご紹介します。

(1)貯蓄タイプか掛け捨てタイプか

介護保険は、貯蓄性があるか否かによって

・貯蓄タイプ

・掛け捨てタイプ

の2つがあります。

貯蓄タイプ

貯蓄タイプとは、介護保障に「死亡保障」や「年金保険」などがセットになったタイプです。

要介護状態になった場合に支給される介護保障に加え、高度障害状態や死亡時に死亡保険金が受け取れるほか、解約時には解約返戻金が受け取れます。

貯蓄タイプの介護保険のメリットとデメリットは、次のとおりです。

メリット ・要介護になった時の備えと老後資金の備えを同時に行える
・解約返戻金が受け取れる
デメリット ・保障が手厚くなる分だけ毎月の保険料は割高になる
・解約時に受け取る解約返戻金が保険料総額を下回る可能性がある

介護以外に大きな資金が必要になった時に自分や家族が何かしらの形で保険金を受け取ることができるため、万が一の時のための生活資金を準備したい人におすすめです。

掛け捨てタイプ

掛け捨てタイプは、介護保障はそのままに、解約返戻金を少なく(あるいゼロに)することで割安な保険料を実現しているタイプです。

掛け捨てタイプのメリットとデメリットは、次のとおりです。

メリット ・保障内容がシンプル
・保険料が割安になる
デメリット ・保障内容が介護保障に限定される
・所定の要介護状態にならないと保険料が無駄になる

介護保険以外に老後の備えや死亡保障をすでに準備している方、できる限り保障内容をシンプルにしたい方に選ばれています。

(2)支払い要件がどのタイプか

介護保険の給付金を受け取るには、所定の要介護状態を満たすのが条件です。

「所定の要介護状態」の定義については商品によって異なりますが、大きく分けて以下の3タイプに分かれます。

・公的保障連動タイプ

・自社基準タイプ

・両方の併用タイプ

公的保障連動タイプ

公的保障連動タイプは、給付条件が公的介護保険に連動しているタイプです。連動しているので、明確で分かりやすいのが特徴です。

市町村から「介護が必要だ」と認められることが支給の要件になります。

軽度な要介護1から重度の要介護5までの5段階に区分されており、いずれかの要件に該当した場合に保険金を受け取れます。

一方で、要介護認定がされるまでは給付金の請求ができないデメリットもあります。要介護度が給付要件より低い場合は、給付金を受け取れない点も注意点です。

自社基準タイプ

自社基準タイプは、保険会社が独自に定めた給付要件に該当した場合に給付金が受け取れるタイプです。

保険会社によって条件はさまざまですが、保険会社の要件に該当すれば給付金の受取はスムーズになります。公的介護保険の要介護認定を待つことなく、支給を受けたい方におすすめです。

一方で公的保障連動タイプのように給付要件が同じではないため、保険ごとの比較がしにくいデメリットがあります。

どんな状態の時に支給されるのか加入前に確認しておくようにしましょう。

両方の併用タイプ

さらに、両方の特徴を併せ持った「併用タイプ」もあります。

基本的には公的保障連動型ですが、65歳未満の場合は公的介護保険の保障対象が「特定疾病のどれかに罹患している場合」に限定されるため、会社の独自基準を用いた保障になります。

若いうちの万が一にも備えたい場合には、併用タイプがおすすめです。

(3)支払い基準が緩いか厳しいか

保険金の支払い基準は、保険会社ごとに異なります。

基準が緩い保険の場合

「要介護1」「要介護2」で受け取ることも可能です。要介護3以上が支払い条件になっている保険と比較して保険金を受取りやすいですが、その分だけ保険料が高くなりやすいという注意点もあります。

基準が厳しい保険の場合

要介護4や5にならないと保険金を受け取れないタイプについては、受け取り要件を満たすのは難しくなっています。代わりに、要介護1~2で受け取れるタイプと比較して保険料は割安です。

(4)受け取り方が一時金タイプ、年金タイプ、両方の併用タイプ

公的な介護保険の場合、介護費用の自己負担が1~3割になる「現物給付」が基本です。

一方の民間の介護保険は「現金による給付」が原則です。

受け取り方の違いによって、次の3タイプがあります。

・一時金タイプ

・年金タイプ

・併用タイプ

一時金タイプ

一時金タイプは、給付金を一回で受け取るタイプです。介護でお金がかかるタイミングの1つである、初期費用を補うのに向いています。

介護保険 一時金タイプ

文部科学省の調査によると、介護に要した費用※1のうち、一時費用※2の合計額の平均は69万円でした。

介護費用

※出典:文部科学省 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」
※1…公的介護保険サービスの自己負担費用を含む
※2…住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用

何も費用がかからなかった人が15.8%いる一方で、全体の6%の人が100~150万円の金額がかかっています。

この費用をまかないたい人には、一時金の選択がおすすめです。

年金タイプ

一方の年金タイプは、文字通り給付金を年金形式で受け取るタイプになります。

介護保険 年金タイプ

同調査において、介護費用の月平均は7.8万円という調査結果があることから、年間に換算すると約94万円にもなることがわかります。

月額あたりの介護費用

※出典:文部科学省 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」

厚生労働省の調査によると、2016年の時点での平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性は約13年あるとされており、それだけ介護期間が長期化する可能性があります。

平均寿命と健康寿命の差

※出典:厚生労働省 平成30年3月「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」
※出典:生命保険文化センター「健康寿命とはどのようなものか」

継続して介護費用に備えたい方は、年金タイプで長期にわたる安心を得られるでしょう。

併用タイプ

併用タイプは、一時金と年金の両方を受け取れるタイプです。

介護の初期費用と継続してかかる費用の両方をカバーすることができるため、より手厚い介護保障がほしい人におすすめです。

一方で、両方を受け取るために保険料が割高になる点に注意が必要です。

(5)保障期間は定期か終身か

介護保険の保障がいつまでに続くのかによって、

・定期型

・終身型

の2つに分類できます。

定期型

年満了と歳満了

定期型は「15年などの一区切り」や「40歳などの一定年齢までの期間」に限って保障するタイプです。

保障期間内に給付条件に当てはまった場合にのみ保障を受けられます。

年齢で保障期間が決められているものは更新できませんが、10年などの期間が決まっている商品の場合は更新が可能です。

更新型

終身型に比べて保険料が割安なため、できるだけ保険料を抑えたい方に選ばれています。ただし、更新を迎えるたびに保険料は高くなることは知っておきましょう。

終身型

終身保険

終身型は、契約した内容での保障が一生涯続きます。保険料は途中で上がらないため、保障が一生涯続く安心感を得られます。

一方、定期型に比べて保険料が高くなる点がデメリットです。ただし、更新をくりかえすほどに徐々に保険料が高くなる更新型と比べて、常に保険料が一定という点では優れています。

早めに老後の安心を得たいと考えている方には、終身型がおすすめです。

(6)保険金額はいくらに設定する?

前述したとおり、介護に要する費用は以下のとおりです。

・介護を始めるタイミングでかかる一時費用※1の合計額の平均…69万円

・月々に支払っている(支払っていた)費用…1ヶ月あたり平均で7.8万円

さらに、介護にかかる平均的な期間は54.5ヶ月であるというデータがあります。

介護期間 平成30年

※出典:生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」
※1…住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用

介護にかかる費用の平均を計算すると、以下のとおりです。

7.8万円 × 54.5ヶ月 + 初期費用69万円 = 494万円

保険料の受け取り方法には一括タイプや年金タイプがあるため、どちらを選ぶかによって設定する保険金は変わってきます。

一括の場合、上記の494万円に対する備えとして500万円が1つの目安になります。

一方の年金の場合は、月7.8万円×12=93万6,000円がかかることを考えて、年間100万円の年金を設定するのが目安として考えられます。

(7)特約はどうする?

介護保険の代表的な特約として、

・認知症特約

・保険料免除特則

があります。保険料が割増しになりますが、無理のない範囲で支払えるのであれば特約の検討を行うことも可能です。

認知症特約

保険マメ知識

認知症特約(にんちしょうとくやく)
介護の理由が認知症であった場合に、介護保険金に上乗せする形で保険金を受け取れる特約。

認知症は身体そのものは健康であることが多く、その場合、病気やケガによる介護に比べて介護期間が長期化する可能性があります。

このような認知症によるリスクに備えたい場合は、認知症特約を検討しましょう。

保険料免除特則

保険マメ知識

保険料免除特則(ほけんりょうめんじょとくそく)
所定の要介護状態に該当したあとの保障は継続され、保険料の支払いが免除される特約。

要介護状態になった場合、介護保険から保険金を受け取ることができる一方で、毎月の保険料を引き続き支払う必要があります。

所定の介護状態になった際に支払いが免除されれば、万が一の時の経済的な負担を和らげることができます。

保険料払込免除特約

要介護になった際の費用負担を限定的にしたい方には、おすすめです。

2. 認知症保険の選び方

(1)認知調保険も支払要件が重要

認知症保険も同じように、支払い要件が重要なポイントになります。

従来は認知症と診断されてから180日以上経過することが支払い要件になっていましたが、最近では認知症と診断されたら支払われるという支払い要件が緩いものが登場してきました。

それに追随して、要件を緩くした保険会社もあります。

また、認知症予備軍と言われる軽度認知傷害(MCI)を給付条件とした保険も生まれています。MCIは回復の可能性もある状態で、MCIスクリーニング検査でわかります。

(2)認知症の場合には、損害保険も要検討

認知症高齢者が電車にはねられて死亡する事件がありました。

JR東海は、死亡した認知症の家族に対して720万円の損害賠償を請求。一審の名古屋地裁では全額請求が認められたのですが、最高裁では支払い義務を否定する逆転の判決が出て確定をしました。

この裁判をきっかけに、認知症の高齢者の監督義務者に対する責任が問題になりました。それを受け、個人賠償責任保険の内容を改定する動きが出てきました。損害保険会社大手3社は、あらたに被保険者の範囲を拡大して、別生計・別居の場合でも「監督義務者」であれば適用されるとしました。

新しく個人賠償責任保険に入る場合には、これが適用されるかどうかを確認してください。

個人賠償責任保険は、補償の範囲が広いことが特徴です。掛金も年間2000円ぐらいで、1億円の保障がついています。

通常は自動車保険や火災保険の特約として販売されていますが、最近は単独でも契約できる個人賠償責任保険が登場してきました。

3. 介護保険・認知症保険の見直し方

通常の生命保険に加入していても、被保険者である本人が認知症で高度障害状態に当てはまった場合は、死亡保障を受け取ることが可能です。

ただし、受取人を被保険者と同一にしていると指定代理人が請求するといった手間が発生します。

あらかじめ受取人を被保険者の子どもなどの健常者に変更しておくことでも対策できますが、保険の見直しによって認知症保険に切り替えるのも有効です。

所定の認知症の症状が出れば保険金が発行されるため、生命保険の死亡保障の請求よりスムーズに受け取ることができます。

認知症特約が付帯した生命保険もありますが、主契約が修了すると特約も終わってしまうリスクがあります。また、以前の介護特約は支払条件が厳しく設定されていることがあります。

最近は介護特約の条件が緩和されていることも多いため、条件次第では特約を見直したり、新たに認知症保険に加入するのも有効です。

監修者プロフィール

吹田 朝子(すいた ともこ)

吹田 朝子

(すいた ともこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士、
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

ぜにわらい協会会長 一般社団法人円流塾 代表理事。人とお金の理想的な関係を追究するお金のメンタリスト®。1989年一橋大学卒業後、金融機関にて企画調査・主計部門を経て1994年より独立。
顧客相談3300世帯以上。TV出演・新聞連載など多数。結婚・妊娠・出産・子育てや転職・住宅購入、そして親の介護など、様々な人生イベントを含み、夫婦の稼ぎ方からお金の使い方、受け取り方、増やし方、そして家族のために次世代まで幸せが続くお金の使い道を設計することを生業としている。著書に「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」(スタンダーズ社)、「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」(C&R研究所)など多数。

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