「ほけんパシャ」について|InsurTech最新動向
「ほけんパシャ」は、LINEで保険の見直しができるサービス
コのほけん!編集部
長谷部さん
「ほけんパシャ」はLINEで手軽に保険の見直しができるサービスです。
一般的に知られているオンラインで保険に加入できるウェブサイトは、新たに保険に加入する人向けのサービスに重点が置かれていますが、弊社は既に保険加入している人が、今の保険を改めて確認をした上で、他の保険に見直すところに重点を置いています。
具体的には、お客様が加入している保険証券をスマホのLINEアプリを通じ、「パシャッ」っと撮ってもらいます。それが「ほけんパシャ」という名前の由来でもあります。そして、撮影した保険証券の画像を「ほけんパシャ」のサービス上にアップロードするだけで、お客様は保険の見直しを始めることができます。
アップロードされた保険証券をAIとファイナンシャルプランナー(FP)が分析することで、お客さまが現在加入している保険がいくら安くなるのかを診断します。そして、診断結果を基に今よりもっと保険料が安くなる保険を提案する、というところまでを全てスマ―トフォン上で行えるのが「ほけんパシャ」というサービスです。
例えば、「A保険会社で加入している保険をBのネット専業の保険会社の○○定期保険に変えると保険料が年間で半分ぐらいに節約できます」といった診断ができます。
一般的によく行われる保険見直しの提案と大きく違う点は、お客様にあれこれと不安を喚起して今より多くの保険に入るような提案をするのではなく、お客様ごとに無駄な保険は減らすことや同じ保障内容なら今より保険料の安い保険を提案することで、お客様の保険料負担を減らすことを主な目的としていることです。
従来から保険の見直しというのは一般に行われていますが、対面相談(保険代理店の窓口や生命保険の販売員に保険の見直しを相談。)が9割以上を占めています。
新規の加入と違い、保険の見直しは、まず、今の保険の内容を確認するところから始まります。
これまでオンライン完結での保険の見直しは行われてきませんでした。理由は、保険の見直しが「現在加入している保険がその人のライフスタイルに合っているという前提の基、よりよい保険に変えていく」というプロセスだからです。
今、加入している保険の内容をオンライン上で確認でき、かつ全てのプロセスをワンストップで完結できるサービスは「ほけんパシャ」だけなのではないかと思っています。
コのほけん!編集部
お客さまがご自宅にある保険証券をLINEアプリで撮影すると、その場で節約できるかどうかが分かり、手続きまでできるというサービスなのですね。
長谷部さん
そうですね、今年の3月に正式リリースを迎えましたが、構想は前職のプルデンシャル生命で保険営業をしていた時にできたものです。「ほけんパシャ」を利用すると平均で8万円ぐらい節約できる方が多いようです。
また、利用者も増えてきており、現在、約1万2000人の方にお使い頂いています。
利用者が伸びている要因の一つに「ほけんパシャ」では、保険証券以外も読み込むことができる点を上げられると考えています。
コのほけん!編集部
保険証券以外というとどういうものがあるのでしょうか。
長谷部さん
保険証券をどこに保管したか忘れてしまった方もたくさんいると思うので、保険証券以外に「契約内容のお知らせ」でも診断することができるようにしています。
「契約内容のお知らせ」とは、毎年1回、加入している保険会社から保険加入者へ送られてくる書類です。「契約内容のお知らせ」にも保険の内容を調べるのに必要な情報はだいたい入っているので、保険証券でなくてもその「契約内容のお知らせ」を送っていただければ、診断ができます。
コのほけん!編集部
保険証券でもいいし、保険証券が分からない方は年1回送られてくる「契約内容のお知らせ」でも良いということなのですね。
コのほけん!編集部
ちなみにお名前や住所といった個人情報を入力することに抵抗がある方も多いかと思いますが、その点についてはどうされているのでしょうか。
長谷部さん
そこに関しては、「ほけんパシャ」上で、画像をアップロードした後に、指でなぞると個人情報を隠すことができる「マスキング機能」を用意してありますので、個人情報を一切出すことなく、ご利用頂けます。
コのほけん!編集部
保険証券の個人情報を削除できるというのは、分析を目当てに登録しているお客さまにとっては安心ですね。
開発の背景は?
コのほけん!編集部
長谷部さん
「新たに保険に加入するため」のオンラインサービスというのは、これまでに様々なものが出ており、多くの方が利用していますが、お客さまにとっては、新規加入であろうと、見直しであろうと「保険について考える」ということは同じなので、「保険の見直し」についてもオンラインで手軽にやりたいという気持ちに応えたいと考えました。
「だれから」または「どこから」保険に加入するかを見ると、オンラインでの加入はまだ4%(※) と低位にあり、今後ますます高まっていくだろう予測されています。そのため、新規加入者向けのサービスが伸びていくと考えられ、弊社においても、新規加入者向けのサービスを提供しております。
一方で、「保険の見直し」というのをメインに据えてオンラインで展開しているサービスというのは、従来なかったと認識しています。
また、人口分布の観点では子どもが減ってきているので、新規の保険加入は減少傾向にあります。
将来保険に加入する世代が先細る状況の中、今後、保険加入の大きなシェアを握るのは、現在の20代・30代で結婚して保険に加入するといった世代ではなくなると考えています。既に保険に加入している人がライフステージの変化があった人や、今のような物価高の状況により家計が厳しくなり、「家計をどうにか節約しよう、固定費を節約しよう」となった人のシェアが拡大すると思うのです。
保険が家計の中で大きな固定費になる場合も多いので、節約という観点で保険を見直しする人の割合が、今後、保険加入者の中でますます高まっていくだろうと予測しています。ですので、そうした見通しに立ったときに、保険の見直しに特化したオンラインのサービスを提供しようと考えたことも開発の背景にあります。
ここで少し、私の個人的な体験をお話しさせて頂きます。
私は、元々プルデンシャル生命という保険会社で営業をしていました。その時にとても悔しい経験をしたことがあります。
コンサルティング営業といって、お客さまのライフプランや保険の提案などをしていた時の話です。2時間〜3時間程お話し、具体的な保険プランも決まったのち、お客さまが「ちょっと考えます」と言って、最後に保険の提案をお持ち帰りされました。
そうしたら、その後、検討して私にご連絡を頂くのではなく、お客さまご自身で店舗のある保険代理店に行き、私のご提案したプランと同じような内容でより保険料の安い保険会社の商品に入るということがありました。
このこと自体は、お客さまにとってベストな選択だったと私自身も思っており、この行動を非難するものでは全くありません。自分自身でベストな選択をご提案できなかった点にとても悔しさを感じました。
1社専業(自社の保険商品のみを取り扱う)営業マンから話を聞くと、断りづらいことや、もっと安い保険はありますか?とは聞きづらいことがありますよね。その結果の出来事だと考えています。
一方で、複数の保険商品を取り扱っている乗合保険代理店に自分から話を聞きにいこうと思っても、なかなか時間がとれないことも多いですよね。
そういった方々に、パッと使ってもらい、「家計のために今より安い保険を選んで保険料を節約できる」という体験をしてもらえると、保険に対するネガティブなイメージも払拭できると考え、出来上がったプロダクトがこの「ほけんパシャ」というサービスです。
ちなみに、今より10年以上前に加入した保険商品でみても当時の保険料より安く乗り換えることができることも多いです。
コの保険編集部
そうすると、昔に入った保険はお得だから乗り換えない方がいいと言われることがありますが、そういった保険も見直してみる価値があるということでしょうか。
長谷部さん
そうです。多くの方は若い時に入った保険はお得だから、今見直しても高くなると考えますが、実は、見直すと安くなることもあります。
それは、似た内容の保障でも保険料に高い、安いの差があるのと同じで、昔と今で見直すと似たような保障内容で安くすることができる場合もあるからです。
先ほど申し上げた、10年以上前に加入した保険の場合でも、4割程度、保険料を安くできる可能性があると思います。
「ほけんパシャ」はお客様と保険業界の課題の両方を解決できる
コのほけん!編集部
長谷部さん
大きく分けて、
- 見直しについて
- 加入方法について
2つの課題があると考えています。
1つ目は、お客さまにとって「どのような見直しをしたらいいかがそもそもわからない」ということです。これは、御社のコンセプトでもある「自分にあった保険を、自分で選べる世界を。」と共通することだと思います。
なぜ、これが今できていないかを細分化していくとおよそ次の3つの要因が考えられます。
①保険の商品内容が複雑で難しい
②保険料の情報が不透明
③情報の非対称性の高さ
これらが見直しの壁になっており、調べようとしても分からないということが起きていると考えています。
例えば、大手の保険会社に入られている方は、担当の営業さんに保険を変えますとは言いづらいですよね。なので、乗り換えについて直接聞かずにオンラインで調べようと思っても、商品内容が複雑で理解できないため、保険料についても正しく比較検討することが難しくなります。そして情報の非対称性(※)が大きいため、自分で調べて決めることができない。だからこそ、松井さん(弊社CEO)も自分で選べるような世界を作りたいと考えているのだと思いますし、私もそう思っています。
情報の非対称性とは
商品やサービスの売り手と買い手の間、または企業と投資家など異なる経済主体の間で保有する情報に格差があること。
出典:三井住友DSアセットマネジメント
2つ目は保険加入の方法についてです。
現在は、対面で保険に加入される方が90%超を占めています。これは、保険業界全体の課題なのでそういった業界全体の課題を踏まえて見ると、ほけんパシャのユーザーの方々も世帯で9割ぐらいが専業保険会社(1社の保険商品のみ取り扱う保険会社)や保険代理店などで加入しています。
その方々が保険ショップや保険会社の営業職員を経由することなく、「ほけんパシャ」を使うことで、自宅にいながらスマートフォンで簡単に保険の見直しの提案を受けられるようになります。
コのほけん!編集部
何を見直すべきか分からないお客さまが自分で入っている保険を確認でき、見直しについての最適な提案を自宅にいながら受けられるところがポイントなのですね。
こだわりのポイントは?
コのほけん!編集部
長谷部さん
ポイントは、
- 圧倒的な手軽さ
- 保険料を減らす
の2つです。これらをコンセプトにサービスを開発しています。
「ほけんパシャ」の1番の価値は手軽さです。
対面で見直し相談をすると、1回に2時間程かかります。さらに、保険を契約しようとすると、初回の相談に加えもう1、2回、多い時には3回面談することもあります。そうすると、トータルで4時間〜6時間かかってしまいます。
そういった時間のかかるプロセスも、「ほけんパシャ」で保険証券をアップロードすれば、それだけで保険料が安くなるかどうか、手軽に知ることができます。
保険料が安くならないのであれば、「今のままでいいですよ。このまま継続しましょう」という診断結果になり、安くなるのであれば、「見直しの検討をおすすめします」という診断結果を得られます。まず、この見直しの要否の診断結果があれば、時間を作って対面相談に行く必要がなくなります。ですので、「圧倒的に手軽にできる」というのが1つ目のおすすめのポイントです。
2つ目は、同じような保障であれば、保険料をより安くできる保険を提案し、保険料を減らすための軸で診断結果を出しているところです。ここは、従来の保険の見直しを提案している会社様との大きな違いだと思っています。
コのほけん!編集部
手軽さと保険を最適化することで保険料が安くなるところがポイントですね。
実現したい世界と今後の展望
コのほけん!編集部
長谷部さん
今はまだ、保険の営業職員に対する不信感を持っている人も一定数いるので、オンラインで完結できるような世界を作っていきたいですね。
お金の勉強をしていると「3大支出」として、教育資金、住宅資金、老後資金とあるのですが、これらを削ることは難しいですよね。
そのため、準固定費と言われる、携帯電話料金や水道光熱費、そして保険料を削りましょうという話になります。また、いかに簡単に固定費を削減するか、という点が重要になります。
今は長生きする世の中ですので、保険より老後の資産に可処分所得を充てた方が良いと思うのですが、営業職員の話を聞いて、多めの保険に加入するといったこともままあります。入りすぎている保険を見直し、保険料を下げることで、子供の教育資金やご自分の将来の夢など、ご自身のためにお金を回してもらう事がとても重要だと考えています。
個人的には、お金の使い道にはネガティブな面とポジティブな面があると考えており、保険は「亡くなった時や病気になった時」に使うある意味ネガティブなモノだと感じています。
私は、ほけんパシャを通じて、保険料を節約すると他の楽しいことにお金が回せるんだよ!というメッセージをより多くの方に伝えていきたいと思います。同じお金を今楽しむためのお金や将来もっと楽しむためのお金に使うと幸福度が変わってきます。
今、インターネットで保険に加入したり、見直したりする人は全体の4%(※)しかいませんが、その割合を4割まで引き上げることができると、10倍の市場規模になります。そのために、我々も保険を通して、そういう楽しい世界を作っていきたいと考えています。
これを読んでいる読者の方には、高い保険料にお金を使うのではなく、最低限必要な保険にお金を使いつつ、他のワクワクすることにお金を回して欲しいですね。
※出典:公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
まとめ(編集後記)
保険の見直しは、幸福度にも繋がるポジティブなことと捉えると、これまでと違う景色が見えてくるのかもしれませんね。
長谷部直大 プロフィール
JPモルガン証券会社、モルガン・スタンレー証券株式会社にて資産運用や財務戦略にかかわる営業を担当。その後、外資系生命保険会社にキャリアチェンジし、個人・法人保険の営業を行う。証券・保険の両分野から金融課題の解決を得意とする。15年超の金融営業を通じて培った問題意識を解決すべくフィンプラネットを創業、現在に至る。
日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(CFP)、生命保険・損害保険仲立人