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災害時位置情報共有アプリ「ココダヨ」について|InsurTech最新動向
InsurTech Interview

災害時位置情報共有アプリ「ココダヨ」について|InsurTech最新動向

「ココダヨ」とは一言でいうと、どのようなサービス?

コのほけん!編集部

「ココダヨ」のサービスについて教えて下さい。

伊与さん
「ココダヨ」は震度5弱以上の地震発生時に、最新の位置情報をプッシュ通知し、ご登録されているご家族等の居場所を即座にお知らせするサービスです。

 

開発の背景

コのほけん!編集部

御社は製造業向けの開発等が主軸だと思うのですが、なぜ、「ココダヨ」の開発に至ったのでしょうか。

伊与さん
当社代表の上野が阪神淡路大震災から新潟中越地震までの大地震を目の当たりにし、ITで何かできることはないか、一人でも多くの命を助けたいと思い、アイディアとして思いついたのが、位置情報データを活用したサービスの原型です。

コのほけん!編集部
アイディアを形にして、リリースするまでに開発で苦労したことは何かありましたか?

伊与さん
開発当時は、まだガラケーの時代でした。ガラケーは、必ずしもGPSが搭載されておらず、位置情報を取得できる端末というものは一般的ではありませんでした。

そのため、ユーザーが持つ端末で位置情報を利用することは出来ませんでした。一方で、通信キャリア事業者は、どの端末がどの基地局に繋がっているかという情報を取得しているため、当初は、通信キャリア向けにサービス開発の提案を行いました。しかし、通信キャリアとのサービス開発が進展しないまま2011年の東日本大震災が発生してしまったのです。

東日本大震災での津波の二次災害を目の当たりにし、「我々のサービスがあれば救えた命があったのではないか」と強く思いました。また、この頃にようやくスマートフォンが流通、浸透し始めました。個人が位置情報を利用できるようになり、スマートフォンアプリであれば自社で開発して、サービスを提供できると確信しました。

こうして、東日本大震災の後、自社開発に舵を切り、2015年に最初の「ココダヨBasic」をリリースしました。当時は無料サービスとして提供を始め、1年後の2016年にはサブスクリプション型の課金サービスとして現在の『ココダヨ』の提供を開始しました。

コのほけん!編集部
災害時サービスということで、無料で使用できるサービスも多くありますが、なぜ有料のサービスにしたのでしょうか。

伊与さん
もちろん無料にした方が皆さんに使ってもらえるのでは、との声もありました。しかし、災害時にお使いいただくものだからこそ、いざという時に動きませんでした、ということがあってはならないのです。「ココダヨ」は皆さまの位置情報を平時から取得し、クラウドにお預かりしているサービスです。そのため、サービスの肝となるクラウドの安定運用に必要なコストをご負担いただくことに致しました。

月額で費用をお支払いいただくサブスクリプションサービスとしてご提供しております。また、「ココダヨ」は家族単位(※)でお使いいただくサービスです。そのため、例えば、ご家族の中でお父様が料金を支払えば、他のご家族は無料でお使いいただける仕組みにしています。
一番多くご利用いただいている「4人コース」では月額360円(消費税込み)となっており、災害利用だけであれば、お一人当たりのご負担は90円以下です。万一の時の保険として、お支払いいただくのには大きすぎない負担かなと思います。
※単身世帯向けには「ココダヨsolo」をご提供

「ココダヨ」でできること

コのほけん!編集部

「ココダヨ」ではどのような事ができるのでしょうか。

伊与さん
スマートフォンアプリ「ココダヨ」をダウンロードして頂き、ご家族を招待して頂くことで、ご家族の皆さんの最新の位置情報をお預かりできるようになります。位置情報は定期的に、あるいは移動を感知した時に、クラウド上に保存されています。

そして、緊急地震速報が発令されたと同時に、登録しているご家族にあらかじめ取得している皆さまの位置情報をスマートフォンのプッシュ通知で即時に通知します。さらに、ご自身の安否情報をワンタップで報告でき、迅速にお互いの安否確認ができます。

コのほけん!編集部
なるほど。お互いの居場所がすぐに通知され、どこにいるか分かるので、家族を探しに行き、被害に遭ってしまう二次災害を防ぐことができるのですね。

伊与さん
その通りです。さらにメリットは、ご家族の居場所により、誰かに任せられるのか、自分が迎えに行かなければならないのか、などを判断することができることです。例えば、ご自宅に一人でいるおばあちゃんと学校にいるお子様がいた場合、お子様が学校で見守られていることが分かれば、おばあちゃんの様子を先に見に行くという判断もできますよね。

「ココダヨ」では、震央周辺に家族がいる場合は、地震情報の背景が赤になります。該当する家族の方のアイコンは赤丸で囲まれます。

また、地震発生時に必要となる避難所を検索する機能や、事前に地点を登録しておくことで、その地域で発生した地震以外の警報の通知を受信することも可能です。例えば、大雨危険度などの通知を受け取ることができます。

「ココダヨ」の特徴は?

コのほけん!編集部

類似の安否確認サービスがいくつかあるかと存じますが、「ココダヨ」独自のサービスの特徴はどういった点になりますか?

伊与さん
即時自動通知の機能です。一般的な安否確認サービスは、災害発生時、緊急地震速報を受け取った後に、位置情報を測位し通知します。こういった方法ですと通信障害が発生していた場合通知が遅れ、重要な情報を受け取れないといったケースも発生します。一方、「ココダヨ」は常に最新の位置情報をお預かりしていますので、クラウド側で震度5以上の地震を感知したら、即時に自動通知できる仕組みとなっています。緊急地震速報と同時に家族の位置情報も受信することができるということです。

事前に位置情報をお預かりし、警報などのトリガーがあった時にメールやプッシュ通知でお知らせする一連の技術で特許を取得しており、この警報と連動した即時自動通知は「ココダヨ」でしか受けられないサービスです。

また、定期的に位置情報を取得しているのですが、この得頻度が高頻度であるほど、通信回数が増え、端末の電池の減りが早くなるといった課題も出てきます。現在はスマートフォン自体が進歩していますので、デバイスの技術も活用しつつ、車や新幹線の移動時にはある程度の頻度で、そうでない時は時間単位で取得するなど取得頻度については自社で様々な工夫をこらしています。

さらに位置情報が常に取得されているとプライバシーの観点で気になる方もいらっしゃいます。そのため、位置情報の公開方法も各自で選べるようになっています。半数のお客様は常にご自身の位置情報をオープンにして、見守り機能としてもご利用いただいております。位置情報の公開レベルも、都道府県だけ、市町村だけなど限定することも可能です。残り半分の方は、災害時だけ位置情報を公開する設定にしていらっしゃいます。

InsurTech企業との取り組みについて

コのほけん!編集部

2023年2月に、InsurTech企業のiChain株式会社(以下、iChain)との協業が発表されています。これはどのような取組なのでしょうか。

伊与さん
iChainが提供している家族の保険管理アプリ「うちの保険」と「ココダヨ」がアプリ内でそれぞれ行き来できるように相互リンクしています。キーワードは「家族」です。「ココダヨ」は災害発生時の「家族の位置情報」を、「うちの保険」は「家族の保険」を共有し確認できるアプリサービスです。
今後は、データ連携などで双方のアプリ利用者がより使いやすいサービスを目指していきたいと考えています。

今後の展望

コのほけん!編集部

「ココダヨ」の今後の展望をお聞かせください。

伊与さん
今後、「高さ」の位置情報を取得し、3次元での位置情報をご提供できるように開発を進めています。

現在の位置情報というのは、平面なのですね。例えば、新宿アイランドタワーにいることを取得・通知できる。しかし、建物の何階にいるか、ということまでは分からないのです。1階かもしれないし、25階かも知れない。これは都市部ではより重要な課題です。

アメリカでは既に高さを含めた位置情報が実用化されています。アメリカでの救急要請などはアプリから要請できるのですが、その時には、高さ情報付加して救急要請することが必須となっているそうです。

来期以降にはなりますが、より精度の高い位置情報をご提供し、防災にお役立ていただきたいと考えています。

また、「ココダヨ」はOEMでも提供しており、損害保険会社の付帯サービスとしても既にご提供されています。今後は、防災という分野に留まらず、幅広く、家族という括りで、より多くの人が安心・安全に生活できるようなサービスを開発、提供していきたいと思います。

伊与 徹也プロフィール


株式会社ゼネテック 執行役員/ココダヨ事業本部
名古屋大卒業後、SIerやCADベンダーに勤務し一貫してITプロダクトの開発、販売、運用に従事。2021年6月にゼネテックに入社以来、ココダヨ事業本部長として、災害時位置情報共有アプリ「ココダヨ」の事業統括に従事している。

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