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医療保険

医療保険はいらない?入らないで後悔する前に確認しておきたい実際の加入率や必要性

日本は公的医療保険(健康保険)をはじめとした社会保険が充実しており、現役世代だと医療費の自己負担額は医療費総額の3割です。

本記事では、手厚い社会保険制度があるのに、民間の医療保険に加入する必要があるのか、民間の医療保険は不要なのか考えていきます。

本記事のポイント

  • 医療費は公的医療保険(健康保険)制度などの社会保険制度で医療費の自己負担額が抑えられており、預貯金があれば自己負担額がまかなえる
  • 民間の医療保険の世帯加入率は93.6%
  • 病気・ケガ等で実際に必要となる費用は、医療費の自己負担額 + 公的医療保険(健康保険)適用外の関連支出 + 最低限の生活費

医療保険はなぜいらない(不要)と言われているのか?

まずは、医療保険について簡単なおさらいです。ひとくちに、医療保険といっても、大きく分けて2種類あります。

ひとつ目は、いわゆる健康保険で、日本国民全員が加入する公的医療保険制度、強制加入の保険です。

ふたつ目は、民間の医療保険です。生命保険会社や損害保険会社などが取扱っている任意加入の保険です。

医療保険はいらない・不要だといった話の場合、ふたつ目の民間の医療保険のことになります。

民間の医療保険はいらない・不要だという意見の理由・根拠

民間の医療保険はいらない・不要だという意見の理由・根拠は主に2点になります。

民間の医療保険はいらない・不要だという意見の理由・根拠として、一番に挙げられるのは、公的医療保険制度(健康保険)をはじめとした社会保険制度が整っているという点があります。

日本では公的医療保険(健康保険)があることで、治療にかかった医療費の全額を自己負担する必要がないようになっています。年齢や所得にも応じて自己負担割合は異なりますが、現役世代であれば、自己負担割合は3割、未就学児(小学校に入学する前のこども)は2割となっています。

関連記事:医療保険とは?公的医療保険制度との仕組みの違いをわかりやすく解説

公的医療保険で自己負担額が抑えられていること以外にも、医療機関等の窓口での支払う医療費が高額になった場合に、あとから申請することで自己負担限度額を超えた額が払い戻される「高額療養費制度」や、あらかじめ申請をしておくことで1ヶ月間の医療機関等の窓口での支払額を抑制することができる「限度額適用認定証」があります。

そしてその世帯で支払った医療費が年間10万円を超える場合には超えた部分が所得税・住民税から控除される「医療費控除」等の各種制度が整っていることが民間医療保険がいらない・不要だという意見の理由・根拠として挙げられます。

民間の医療保険はいらない・不要だという意見の理由・根拠の2点目は、公的医療保険で自己負担額が抑えられているので、預貯金があれば、あえて民間の医療保険に加入する必要はない、民間の医療保険は不要だといわれています。

関連記事:高額療養費制度は医療費がいくら以上から使える?さらに負担を軽くする多数該当、世帯合算とは?

医療保険はなぜ必要なのか?

民間の医療保険が必要といわれる理由は、公的医療保険で自己負担額が抑えられるとは言っても、それはあくまで自己負担額に限った話であって、医療費の自己負担額が積み重なった場合、家計の中で通常の生活費などを圧迫する可能性があるからです。

預貯金があれば自己負担額がまかなえるので不要とはいえ、医療費として使える預貯金にも限度があります。

実際の医療保険の加入率はどれくらい?

公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、医療保険の世帯加入率は93.6%となっています。

医療保険に加入している世帯で、医療保険の被保険者となっている人は、世帯主88.7%、配偶者65.8%、その他の家族20.2%となっています。

割合(%)

世帯

93.6

加入者の内訳

世帯主

88.7

配偶者

65.8

その他の家族

20.2

加入していない

1.2

不明

5.3

医療保険に入っていない実際どれくらい治療費がかかる?貯金はどれくらい必要?

厚生労働省が行った調査によると、年齢階級別の1人当たり医療費は以下の表の通りでした。

年齢階級別1人当たり医療費とは

年齢階級別に1人当たり医療費を推計し、さらに、入院・入院外別に受診率、1件当たり日数、1日当たり医療費の三要素等に分解したもの。

ご注意いただきたい点は下記の4点です。

  • 実際の公的医療保険(健康保険)の保険料は収入に応じて金額が異なること
  • 入院・手術等をした場合に公的医療保険(健康保険)適用外の関連支出があること
  • 長期入院を余儀なくされるような病気になった、もしくはケガをした場合、自己負担額が高くなること
  • 住居費などの生活費は別途発生する可能性があること

上記の図表を見ると、年間の医療費がおおよそどれくらいなのか、また自己負担額や公的医療保険(健康保険)の保険料がどれくらいなのかがわかります。

例えば、30〜34歳の方は以下の通りとなっています。

  • 医療費12.1万円/年額
  • 医療費の自己負担額2.7万円/年額
  • 公的医療保険(健康保険)の保険料29.0万円/年額

なお、上記の図表はあくまで医療費に限定した話で、生活費などの家計の支出は通常通り変わらないため、働けない場合に生活費として使える預貯金が必要となります。

それでは、30〜34歳の方の生活費はいくらぐらいなのでしょうか?

総務省統計局の家計調査によると、勤労者世帯で34歳以下の生活費は以下の通りです。

  • 実収入 約33.7万円
  • 実支出 約20.1万円
    ∟ 住居       約3.5万円
    ∟ 光熱・水道    約0.8万円
    ∟ 交通・通信 約2.0万円

実支出の約20.1万円をまかなうことができる預貯金とまではいきませんが、最低でも「住居」「光熱・水道」「交通・通信」の3項目を合わせた約6.3万円+αを出せる程度の預貯金は必要といえるでしょう。

30〜34歳の方が民間の医療保険に入らない場合に必要となる預貯金は、以下の式で計算することができます。

医療費の自己負担額 + 公的医療保険(健康保険)適用外の関連支出 + 最低限の生活費約6.3万円〜

医療費の自己負担額と公的医療保険(健康保険)適用外の関連支出は、どのような病気またはケガをするか、その期間によっても、大きく変動してしまうため一概には言えませんが、病気やケガをした場合に使っても問題がない預貯金が1ヶ月あたり10万円程度あればよいのではないでしょうか。

年額の医療費の自己負担額を超える可能性があり、公的医療保険(健康保険)適用外の支出や病気やケガで働けない場合の生活費として使える預貯金がないなら、民間の医療保険を検討したほうがいいでしょう。

まとめ

民間の医療保険はいらない(不要)と言われる理由は、公的医療保険をはじめとする社会保険制度が整っており、ある程度の預貯金があればまかなうことが可能だからです。

ただし、公的医療保険(健康保険)で医療費の自己負担額がおさえられても、自己負担額の医療費が積み重なれば生活費をはじめとした家計を圧迫すること、公的医療保険(健康保険)適用外の支出があること、病気やケガで働けない場合でも医療費とは別途生活費が必要となります。

これらを支出をカバーできるような預貯金がないなら、民間の医療保険を検討したほうがいいでしょう。

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