生命保険の特約にはどんな種類がある?保障を手厚くする特約を種類別に解説
生命保険は、被保険者が亡くなった場合には死亡保険金、所定の高度障害になった場合には高度障害金を受け取ることができる保険です。この保障の中心となる部分を主契約といいますが、特約を主契約へ追加することで、保障を手厚くしたり不足分を補うことができます。
この記事では、特約を保障対象別に大きく3つに分け、それぞれの種類と特徴を解説します。
生命保険の仕組み
生命保険は、保険契約の中心となる主契約と、任意で選んで主契約に追加する特約があり、最終的に主契約と特約の組み合わせで保障内容が決まります。
保険契約の基本保障を担う主契約
主契約は、保険契約の基本となる保障を担い、次のような種類があります。
基本的に上記のなかから必要な保障を選び、主契約を決定しますが、主契約だけでは保障が不足している場合に特約を付加します。なお、生命保険(死亡保険)は、被保険者の死亡が保障の対象です。
主契約に保障を追加・強化する特約
特約は、主契約に追加することで、主契約とは別の保障を付加することもできます。
たとえば主契約の終身保険に定期保険特約を追加すれば、一定期間の死亡保障を特に手厚くすることができます。また、生命保険に医療保険特約などを追加すれば、主契約の死亡保障以外に、所定の疾病による入院・手術を保障の対象とすることも可能です。
特約で注意したいこと
なお、特約は主契約に追加するオプション要素であるため、主契約を解約すると同時に特約も解約されます。
また、保険期間中にも特約のみ解約することはできますが、主契約を解約したあとに特約のみで契約を継続することはできません。
特約の種類
特約は保険会社によって様々なものが用意されており、商品によって追加できるものが異なります。
特約は「死亡を保障の対象とする特約」と「病気やケガ、介護状態等を保障の対象とする特約」、そして「その他の補償を加える特約」の3つのタイプに大きく分けることができます。それぞれのタイプの特約について紹介します。
死亡を保障の対象とする特約
死亡を保障の対象とする特約は主に5つあり、そのうちの定期保険特約・終身保険特約・収入保障特約は、被保険者が死亡した場合には死亡保険金、所定の高度障害状態になった場合には高度障害保険金が支払われます。
また災害割増特約や傷害特約は不慮の事故によるケガが原因で、その事故から180日以内に死亡した場合に災害死亡保険金が、所定の障害に該当したときには障害保険金や障害給付金が支払われます。
なお特約の名前は同じでも、保険会社や商品によってその保障対象が異なる可能性があります。必ず契約のしおりや約款で確認しましょう。
定期保険特約
定期保険特約は一定期間の死亡や高度障害状態を保障の対象とする特約です。終身保険特約とは異なり期間は限定されますが、保障期間中の保障金額は一定です。
例えば主契約の終身保険にこの特約を付加することで、一定期間やある年齢までの死亡保障を特に手厚くすることができます。
なお、終身保険にこの特約をあらかじめ付加し、「定期付終身保険」という名前で売り出されている商品もあります。
終身保険特約
終身保険特約は一生涯にわたり死亡や高度障害状態を保障の対象とする特約です。定期保険特約と同じく、保障期間中の保障金額は一定です。
いくつか特約を組み合わせることで、必要な保障を自由に設計することができる組立型の保険で目にすることが多い特約です。
収入保障特約
収入保障特約は一定期間の死亡や高度障害状態を保障の対象とし、もしそれらの状態になった場合にはあらかじめ契約時に定めた回数や期間に分けて保険金を受け取ることができる特約です。
なおこの特約では、一度に保険金の全額を受け取れる定期保険特約や終身保険特約とは異なり、総額の保険金は徐々に減少していきます。
災害割増特約
災害割増特約は、不慮の事故や所定の感染症を原因とした死亡、そして所定の高度障害状態に対し、保険金を上乗せして受け取ることができる特約です。保障対象となる具体的な事例は、保険会社の契約のしおりや約款等を確認しましょう。
ココに注意!
この特約における「災害」とは自然災害ではなく、いわゆる不慮の事故にあたる急激かつ偶発的な外来の事故を指します。具体的には交通事故や火災に巻き込まれるケースなどが該当します。
「高度障害状態」とはどんな状態のことを指す?
主契約や特約の保障内容を確認しているとよく目にする「高度障害状態」は、一般的には以下の非常に重い障害状態のことを指します。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系・精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ1下肢を足関節以上で失ったもの
ただし、国の公的制度において障害等級表等で定められている障害状態と、保険会社で定めている高度障害状態は必ずしも一致するとは限りません。
保障対象となる障害状態は契約のしおりや約款で確認するとよいでしょう。
傷害特約
傷害特約も災害割増特約と同様、不慮の事故や所定の感染症を原因とした死亡および障害状態に対し、保険金を上乗せして受け取ることができる特約です。
災害割増特約と保障内容は同じですが、災害割増特約が所定の高度傷害状態を対象とするのに対し、傷害特約はより広い範囲の身体障害を対象とします。
災害割増特約と同様に、国の公的制度において障害等級表等で定められている障害状態と、保険会社で保障対象として定めている障害状態が異なる可能性があります。契約のしおりや約款で必ず確認しましょう。
病気やケガ、介護状態等を保障の対象とする特約
死亡を保障の対象とする特約の他に、病気やケガ等を保障対象とする特約も数多くあります。
ここではおもに所定の病気やケガ、介護状態を保障対象とする特約を紹介します。
なお死亡を保障する特約と同様に、特約の名前は同じでも、保険会社や商品ごとに保障対象が異なる可能性があります。必ず契約のしおりや約款で確認しましょう。
就業不能保障特約
就業不能特約は、保険会社所定の病気やケガにより長期間働けなくなった場合の所得を保障の対象とする特約です。保障対象となる病気やケガは契約のしおりや約款で確認しましょう。
特定(三大)疾病保障特約
特定(三大)疾病保障特約は、がん・心疾患・脳血管疾患のいわゆる三大疾病(さんだいしっぺい)に備えることができる特約で、疾病と診断された時や所定の状態になったときに三大疾病保険金を受け取ることができます。なお、死亡した場合には死亡保険金が、所定の高度障害に該当した場合には高度障害保険金が支払われます。
注意点として、これらの保険金はいずれか一つしか受け取ることができず、保険金を受け取った時点でこの特約は消滅します。
関連記事:医療保険の保障対象になる三大疾病って何?普通の三大疾病とは違う?!注意したいことを解説!
疾病入院特約
疾病入院特約は、所定の病気によって一定以上の日数の入院をした場合に入院給付金を受け取ることができる特約です。そのほかにも所定の手術をした場合には手術給付金が支払われることもあります。
災害入院特約
災害入院特約は、不慮の事故を理由に、一定以上の日数の入院をした場合に入院給付金を受け取れる特約です。
なお、この特約の名前に含まれる「災害」は、自然災害ではなく、急激かつ偶発的な外来の不慮の事故のことを指します。
成人病(生活習慣病)特約
成人病(生活習慣病)特約は、がん・心疾患・脳血管疾患の三大疾病や、糖尿病等の生活習慣病といった所定の病気を理由に、入院した際に入院給付金を受け取れる特約です。保障範囲とする病気は保険会社によって異なるので注意が必要です。
入院一時金特約
入院一時金特約は保険会社所定の入院をした際に、主契約の入院一時金とは別に一時金を受け取れる特約です。
がん入院特約
がん入院特約は、がんによる入院で入院給付金が受け取れる特約です。一般的にがん保険と同様に責任開始日から90日以内は免責期間となります。
このがん入院特約以外にも、がんと診断されたら一時金が受け取れるがん診断特約や、放射線治療を保障の対象とする放射線治療特約など、がんに関する特約は数多くあります。
女性疾病入院特約
女性疾病入院特約は、乳がんや子宮頸がんなど女性特有の病気に備えた特約で、所定の条件を満たせば入院給付金を受け取ることができます。
先進医療特約
先進医療特約は、病気や不慮の事故によるケガを理由に、厚生労働省が定めている先進医療を受けた場合に、技術料相当額の給付金を受け取れる特約です。
関連記事:先進医療とは?医療保険でカバーできる治療や注意点、先進医療の代表例を紹介
介護特約
介護特約は、所定の要介護状態になった場合に保険金を受け取れる特約です。給付条件は保険会社によって異なり、保険金の受け取り方法も一時金や年金など選ぶことができます。
リビング・ニーズ特約
リビング・ニーズ特約は、被保険者が余命6ヶ月以内と診断された場合に、生前に死亡保険金を受け取ることができる特約です。受け取った保険金は医療費など自由に使うことができます。
関連記事:リビングニーズ特約は役に立つ?ポイントを押さえて万一に備えよう
その他の補償を加える特約
特約には、死亡や特定の病気・ケガの保障以外に、契約に対してその他様々な保障を加えるものがあります。保険を選ぶ際に知っておきたいものを紹介します。
保険料払込免除特約・特定疾病保険料免除特約
所定の条件に該当した場合、保険期間満了まで保険料の払込が全額免除される特約です。所定の状態には主に高度障害状態や要介護状態、三大疾病等の罹患が当てはまります。
これらの特約により、保険料を支払わなくても保険期間満了まで保障が続き、給付金を受け取ることができます。
関連記事:加入前に押さえたい!保険料払込免除特約の内容、条件や注意点
生命保険|特定疾病保険料免除特約ってなに?
指定代理請求特約
保険の被保険者が何らかの理由で保険会社へ保険金等を請求することができない場合、指定代理人が代わりに保険金請求を行うことができる特約です。
被保険者が事故や病気で意思表示ができない状態になっていたり、がん等の病気や余命の告知を被保険者本人以外が受けているケースが想定されます。
関連記事:指定代理請求特約はどんな特約?ポイントを押さえて万一に備えよう!
まとめ
以上みてきたように、特約には様々な種類があり、主契約と特約の組み合わせも無数にあります。
もし、どの組み合わせがよいか迷ったら、保険の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。