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児童扶養手当はいくらもらえる?受給条件や金額のシミュレーションを紹介

児童扶養手当はいくらもらえる?受給条件や金額のシミュレーションを紹介

少子高齢化や家族構成の多様化といった社会の変化を受け、近年はひとり親家庭が利用できる支援策は増えつつあります。

一定の要件のもと、現金で給付される児童扶養手当もその1つです。

児童扶養手当はその受給が他のひとり親家庭向けの支援制度を受ける要件になることも多いため、ひとり親家庭となる際には最初に押さえておきたい制度ですが、活用にあたっては注意点もあります

こちらの記事では、児童扶養手当の基本から対象となる方の要件、注意点などについて分かりやすく解説します。

児童扶養手当とは?

児童扶養手当とは?

児童扶養手当は、子どもとともに生活するのに困難な環境にある一定の世帯に給付される手当です。

具体的には両親の離婚などにより父又は母と生計を同じくしていない18歳までの子ども(障害のある子どもは20歳まで)を育てるひとり親家庭等に、一定の要件のもと定期的に支給されます。

子どもが育成される家庭での生活の安定と自立の促進に貢献し、子どもの福祉の増進を図ることを目的としており、受給者数はおよそ777,962人(令和7年3月時点)です。

これまでに度重なる見直しを経て、現在の制度内容に至っています。

なお、2010年(平成22年)の法改正以前は母子家庭のみが対象であったことから、「母子手当」という通称で呼ばれることもありますが、現在は父子家庭も受給対象です。

児童扶養手当を受給できる対象者・条件

児童扶養手当は対象となる方のうち、一定の要件を満たす方に支給されます。

対象となる方は、以下のとおりです。

  1. 18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童(一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満)を監護している母
  2. 監護しかつ生計を同じくする父
  3. 父母に代わってその児童を養育している方

あわせて、育てる児童が以下のいずれかの要件に当てはまっていることも必要です。

  1. 父母が婚姻を解消(事実婚の解消含む)した後、父又は母と生計を同じくしていない児童
  2. 父又は母が死亡した児童
  3. 父又は母が政令で定める障害の状態にある児童(父が障害の場合、受給資格者は母又は養育者となり、母が障害の場合、受給資格者は父又は養育者となります)
  4. 父又は母の生死が不明である児童
  5. 父又は母がDVによる保護命令を受けた児童
  6. 父又は母から引き続き1年以上遺棄されている児童
  7. 父又は母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
  8. 母が婚姻によらないで出産した児童

なお、遺棄とは保護の断絶を示しています。

父又は母が児童と同居しないで養育をまったく放棄している状態であり、仕送りや安否を気遣う連絡などがある場合は、児童扶養手当における遺棄には該当しません。

児童扶養手当を受給できない対象者

児童扶養手当の支給を受けられる要件については前述のとおり、要件を満たしている場合でも、児童等が以下のいずれかに当てはまる場合は受給できません。

  1. 児童又は請求者(母、父又は養育者)が日本国内に住んでいないとき
  2. 児童が児童福祉施設等(母子生活支援施設、保育所、通園施設を除く)に入所しているとき
  3. 児童が里親に委託されているとき
  4. 児童が父および母と生計を同じくしているとき(父又は母が障害を理由に受給している場合を除く)
  5. 児童が父又は母の配偶者(事実婚など、内縁関係にあるものを含む)に養育されているとき

なお、公的年金(老齢年金、障害年金、遺族年金など)を受給しており、年金額が児童扶養手当額より低い場合は、その差額分を受給できる可能性があります。

ご自身が当てはまるのかどうか分からない場合は、お住まいの市区町村などに詳しく問い合わせてみましょう。

児童扶養手当を満額もらうには?月収・年収の目安

児童扶養手当を満額(全部支給)でもらうには、受給者本人の所得が全部支給の所得制限限度額未満である必要があります。

ここでは、全部支給を受けるための月収・年収の目安を解説します。

児童扶養手当の満額はいくら?

児童扶養手当の金額は、物価変動等を反映するかたちで毎年4月分から見直されます。

令和8年度の児童扶養手当の支給額は以下のとおりです。

対象児童

全部支給

一部支給

児童1人のとき

月額48,050円

月額11,340円~48,040円

児童2人目以降の加算額

月額11,350円

月額5,680円~11,340円

満額受給できる月収・年収の目安

児童扶養手当の受給判定に使われるのは「所得」であり、「収入(額面の給与)」とは異なります。

給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が所得となるため、同じ所得制限でも給与収入に換算すると金額は大きくなります

令和6年11月分以降の制度改正を踏まえた、給与収入のみの場合の年収・月収の目安は以下のとおりです。

扶養児童の数

全部支給の年収制限

一部支給の年収制限

0人

142万円(月収約11.8万円)

334万3,000円(月収約27.9万円)

1人

190万円(月収約15.8万円)

385万円(月収約32.1万円)

2人

244万3,000円(月収約20.4万円)

432万5,000円(月収約36.1万円)

3人

298万6,000円(月収約24.9万円)

480万円(月収約40万円)

上記はあくまで給与収入のみの場合の概算の目安です。

養育費を受け取っている場合は、その8割相当額が所得に加算されるため、実際に満額受給できる月収の上限はさらに低くなります。

また、各種所得控除の適用状況によっても判定結果は変わるため、正確な判定はお住まいの市区町村窓口にてご確認ください。

全部支給となるのか、あるいは一部支給となるのかは、基本的に扶養親族等の数に応じた所得制限限度額を基準に決定されます

(※11月1日から翌年の10月31日までを支給年度として、毎年見直されます。)

児童扶養手当を受け取れる?所得制限限度額と詳しい受給の判定手順

児童扶養手当を実際に受給できるのか、またいくら受給できるのか、判定の手順は複雑です。順番に確認していきましょう。

受給者本人の所得額を計算する

まずは収入から必要経費を差し引いた所得額を計算しましょう。

給与収入のみの方であれば、対象年度の源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」で確認できます。

給与所得又は公的年金所得がある場合は、合計所得額からさらに10万円を差し引くことができます。

児童扶養手当の審査で使われる「控除後の所得」を計算する

受給者本人の所得額が分かったら、一定の控除を差し引いて控除後の所得を計算しましょう。

なお、養育費を受け取っている場合は、養育費の8割相当額を所得に加算します。

所得から差し引ける控除額は以下のとおりです。

控除の種類

控除額

定額控除

8万円

障害者控除

27万円

特別障害者控除

40万円

勤労学生控除

27万円

寡婦控除

27万円

※受給者が母・父以外(養育者・扶養義務者)の場合のみ適用

ひとり親控除

35万円

※受給者が母・父以外(養育者・扶養義務者)の場合のみ適用

小規模企業共済等掛金控除

控除相当額

配偶者特別控除

控除相当額

医療費控除

控除相当額

雑損控除

控除相当額

長期・短期譲渡所得特別控除

控除相当額

いずれの控除も適用にあたっては要件があり、要件を満たす場合に適用することができますが、定額控除は社会保険料控除に相当するものとされ、全ての方が控除できます。

(同居家族がいる場合)同居家族の所得を確認する

同居のご家族がいる場合、その方の所得も確認しましょう。

確認が必要な同居家族とは、以下のとおりです。

  1. (父または母が障害の場合)配偶者
  2. 生計を同じくしている受給者本人の祖父母や両親、子ども、兄弟姉妹などの扶養義務者

受給者本人の場合同様に、所得から一定の控除額を差し引いた金額が受給判定に使われる所得となります。

控除の種類

控除額

定額控除

8万円

障害者控除

27万円

特別障害者控除

40万円

勤労学生控除

27万円

寡婦控除

27万円

ひとり親控除

35万円

小規模企業共済等掛金控除

控除相当額

配偶者特別控除

控除相当額

医療費控除

控除相当額

雑損控除

控除相当額

長期・短期譲渡所得特別控除

控除相当額

定額控除を除き、適用できる控除はご家庭の状況によっても異なります。個別に確認しましょう。

控除後の各所得が所得制限限度額未満となっているか確認する

控除後の各所得が分かったら、所得制限限度額未満となっているのか確認しましょう。

所得制限限度額とは、児童扶養手当の受給にあたって、子どもを養育する家庭の所得に設けられた一定のボーダーラインです。所得限度額は以下のとおりです。

▼受給者本人の場合(令和6年11月以降)

扶養親族等の数

全部支給所得

制限限度額

一部支給所得

制限限度額

0人

690,000円

2,080,000

1人

1,070,000円

2,460,000円

2人

1,450,000円

2,840,000円

3人

1,830,000円

3,220,000円

以降1人に付き

380,000円加算

380,000円加算

▼配偶者・扶養義務者、孤児等の養育者の場合

扶養親族等の数

所得制限限度額

0人

2,360,000円

1人

2,740,000円

2人

3,120,000円

3人

3,500,000円

以降1人につき

380,000円加算

基本的に本人の控除後の所得金額が全部支給所得制限限度額未満であれば全額支給となり、控除後の各所得がいずれも所得限度額未満であれば、児童扶養手当が受給できます。

なお、以下のような一定の扶養親族がある場合は、所得制限限度額に加算することができます。

70歳以上の
同一生計配偶者

老人扶養親族

特定扶養親族または

16歳以上19歳未満の扶養親族

本人

1人あたり10万円

1人あたり10万円

1人あたり15万円

扶養親族等

1人あたり6万円

※扶養親族等がすべて老人扶養親族の場合は、1人を除きます

関連ページ:扶養控除とは?配偶者控除の違いや金額や年齢などの対象要件などをわかりやすく大解説!

扶養人数別の手当月額の計算式・シミュレーション

児童扶養手当の一部支給となる場合、所得と扶養親族等の人数によって毎月の手当額が異なります。

また手当額の計算方法は子どもの生まれ順によって異なります。

それぞれの計算式を確認しましょう。

第1子の手当月額

46,680円-(受給者の所得額―全部支給所得制限限度額)×0.0256619

第2子の手当月額

11,020円-(受給者の所得額―全部支給所得制限限度額)×0.0039568

※計算式内の46,680円および11,020円は、全部支給の手当額から10円を差し引いた額です。
※右側の係数は物価変動等に応じて毎年改定されます。

控除後の所得金額とは、前述のとおり収入から給与所得控除等の控除を差し引いて、養育費の8割相当額を加算した金額です。

支給額は10円刻みで調整されます。

給与収入や養育費、子どもの人数が異なる3つのケースで試算を行いました。

シミュレーション結果は以下のとおりです。

Aさん

Bさん

Cさん

給与収入

250万円

360万円

330万円

年間養育費

60万円

60万円

48万円

子どもの人数

2人

3人

2人

児童扶養手当の月額(1人目)

33,340円

23,330円

21,430円

児童扶養手当の月額(2人目)

8,960円

7,420円

7,130円

児童扶養手当の月額(3人目)

7,420円

児童扶養手当の月額合計

42,300円

38,170円

28,560円

(※社会保険料控除などの所得控除は考慮していません。)

児童扶養手当の支給日

児童扶養手当は、以下のスケジュールで支給されます。

  • 年に6回
  • 奇数月(1月・3月・5月・7月・9月・11月)の11日に前月までの2か月分

あらかじめ指定した金融機関の口座に振込まれますが、振込の通知はないため、通帳等で確認が必要です。

なお、初めて受給する場合は、申請の翌月分から支給を受けることができます

児童扶養手当の手続き方法

児童扶養手当は都道府県や市、福祉事務所を設置している町村が実施しています。

申請には必要書類があり、審査には通常2〜3か月程度かかります。

また、手続きは原則として本人のみが行えるため、事前に書類を準備したうえで手続きに臨むようにしましょう。

なお、戸籍謄本と住民票は申請日から1か月以内に発行されたものが必要です

必要書類は状況によって異なるため、事前に個別に確認しておきましょう。

初めて申請を行う場合、必要な書類は以下のとおりです。

必要書類等

内容詳細

①戸籍謄本

申請者と児童の現在の状況及び事由発生年月日がわかるもの(離婚日の記載のあるもの等)

②住民票

世帯全員の省略のないもの(本籍、筆頭者、続柄の記載があるもの)

③預金通帳(普通預金)

金融機関名、支店名、口座番号がわかるもの(申請者名義のもの)

④マイナンバー(個人番号カード)または、

通知カード及び本人確認書類

※本人確認書類

①写真付の官公庁発行のものを1点(運転免許証、パスポートなど)

②①をお持ちでない場合は、「氏名と生年月日」または「氏名と住所」が記載され、市長が適当と認めるもの2点(公的医療保険の被保険者証、年金手帳など)

その他(必要な場合)

・民生委員の確認書

・借家の賃貸借契約書(写し)または家賃の領収書

・公共料金等の領収書など光熱費の名義がわかるもの

・身体障害者手帳や療育手帳など

・父又は母の年金手帳や年金証書など

・所定の様式による診断書(申請日から1ヶ月以内に発行されたもの)

・保護命令決定書

・拘禁の証明書

・公的年金給付等受給証明書

・養育者もしくは扶養義務者等の寡婦・寡夫控除のみなし適用を希望される場合は、適用を受ける方が法律婚をしていないことを確認するための戸籍や、適用を受ける方の所得証明書

児童扶養手当を受け取る際の注意点

児童扶養手当には、押さえておきたい注意点が3つあります。

  • 現況届が毎年必要
  • 支給停止制度により受給期間が5年を超えると手当が減額される
  • 原則前年の申告内容に応じて所得制限限度額が決まる

現況届が毎年必要

児童扶養手当を継続して受給するには、毎年8月に現況届を提出する必要があります

現況届を2年間提出しない場合は時効により受給資格を失ってしまうため、必ず期限内に提出するようにしましょう

なお、マイナカードを使えば児童扶養手当の現況届を電子申請で行える自治体もありますが、別途添付書類の提出や面談が必要な場合は、市役所等へ直接行く必要があります。

支給停止制度により受給期間が5年を超えると手当が減額される

児童扶養手当はいつでも申請できますが、支給開始から5年、または支給要件に該当した日から7年を経過すると、手当額の2分の1が支給停止となる仕組みがあります。

ただし、就労していたり求職活動をしているなど一定の要件を満たしている場合は適用除外となり、それまでどおりの手当額を受け取ることができます。

減額の対象となる方には減額に関するお知らせと手続きについて、手紙が届きます。

必ず確認して期日までに必要な手続きを行いましょう

原則前年の申告内容に応じて所得制限限度額が決まる

児童扶養手当の受給の可否や金額を判断する基準となる所得制限限度額は、基本的にご自身の所得額や扶養親族等の人数によって変わりますが、原則前年の申告内容をベースとしています

(※1~9月までに申請を行う場合は前々年のものとなります。)

そのため、離婚前に元配偶者の扶養に入っており、子どもも元配偶者の扶養に入っていた場合、現時点では子どもを扶養しているにもかかわらず、扶養親族等の人数にカウントされないケースがあります。

その結果、所得制限限度額が低くなり、児童扶養手当を受給できない場合も想定されます。

離婚直後から児童扶養手当を受け取ることを希望される場合は、事前に社会復帰を進めておくなどの準備が必要になる可能性があります。

また、親などと同居していると、親などの所得も受給に影響する可能性があります

ご自身の所得だけではなく、同居する家族の所得についてもあらかじめ確認するようにしましょう

まとめ

児童扶養手当の受給はその他の支援策にもひも付き、自治体によってはJRの通勤定期の割引や水道・下水道料金の減免、医療費助成など、児童扶養手当の受給者が受けられる優遇支援策もあります。

特に離婚した当初は経済的にも厳しい時期であるため、児童扶養手当を受け取れるか、受け取れる場合は毎月いくら受け取れるのかの違いは大きいでしょう。

自治体や担当者によって対応が異なる場合もあるため、事前に情報収集や相談を行うなど、離婚前からの準備が大切です。