生活習慣病の中でもとくに有名な糖尿病。怖いイメージの強い病気ですが診断されても加入できる保険はあるのでしょうか?
そこで今回は、糖尿病でも加入できる保険や選ぶときの注意点について解説していきます。読んでいただくことで、糖尿病と診断されたときに選べる保険が分かるため、ぜひご一読ください。
目次
1.糖尿病になると生命保険や医療保険に加入しにくくなる
結論からお伝えすると、糖尿病と診断され治療を受けている場合、一般的な生命保険や医療保険への加入がとても難しくなります。生命保険や医療保険に加入するときは告知が必要で、健康状態が悪いと加入できないからです。
糖尿病は、投薬や通院による治療が長期間にわたって行われることが多く完治が難しい病気です。一度糖尿病と診断されると、健康な人と比較して入院したり死亡したりする可能性が高くなるため、生命保険や医療保険への加入を希望しても断られることがあります。
がん保険のような、告知項目が少なく健康状態に多少の問題があっても加入できる場合もあるでも、3ヶ月以内に糖尿病による治療を受けていると加入できない可能性が高いです。
関連ページ:なぜ生命保険に告知が必要なの?その重要性と告知の種類を解説します
2.糖尿病とはどんな病気?
なぜ糖尿病になると加入が難しくなるのでしょうか?そこで糖尿病という病気についてご紹介していきます。
糖尿病の種類と患者数
糖尿病は、インスリンの分泌が低下することにより血糖値が上昇する病気で、以下の2種類に分かれています。
Ⅰ型:自己免疫疾患が主な原因
Ⅱ型:食事や飲酒などの生活習慣、肥満などの体質が原因
また、上記以外にも女性は妊娠期間中に、インスリンが効きにくくなり、妊娠糖尿病になることがあります。
糖尿病の患者数は年々増加傾向にあります。以下は、糖尿病の患者数の推移を表したものです。
(単位:万人)
総数 | 男性 | 女性 | |
2005年 | 246.9 | 132.3 | 114.7 |
2008年 | 237.1 | 131.2 | 106.1 |
2011年 | 270.0 | 148.7 | 121.5 |
2014年 | 316.6 | 176.8 | 140.1 |
2017年 | 328.9 | 184.8 | 144.2 |
※出典:厚生労働省「患者調査」のそれぞれの年度
このように糖尿病の患者数は、2005年と2017年を比較すると82万人も増加しています。また、男性の方が女性よりも患者数が多いのが特徴です。
糖尿病の症状とニ次リスク
糖尿病は自覚症状もないまま体を蝕んでいく怖い病気です。そして糖尿病で血糖値の濃度が高い状態が続くと、血管が傷ついてさまざまな合併症を引き起こします。
さらに糖尿病によって、神経障害や網膜症、腎症、動脈硬化などの合併症を引き起こす可能性が高まります。特に動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞のような重い病気に罹患するリスクが増えるのです。
血糖値が高い場合は、糖尿病と診断される前に食事療法や運動療法、薬物療法などで血糖値を下げなければなりません。
しかし糖尿病は、目立った自覚症状がない病気です。糖尿病の可能性が疑われる糖尿病予備軍の人は、生活習慣を改善せずに過ごしている人も多く、そのまま糖尿病の有病者となるケースが非常に多いのです。
また、肥満の人は糖尿病のリスクが高まるため、血糖値が高い場合は減量に努めなければなりません。以下は糖尿病患者のうち、肥満者と痩せている人の割合を示した表です。
男性 | 女性 | |
肥満者の割合(BMI≧25) | 32.2% | 21.9% |
やせの人(BMI≧18.5) | 3.7% | 11.2% |
※出典:平成30年「国民健康・栄養調査」の結果
※BMIは「体重(kg)÷身長(m)2
このように、肥満の人の方が男性、女性にかかわらず、糖尿病になるリスクが高いことがわかります。特に男性の場合は、肥満になるとやせている人の約10倍の罹患リスクがあるといえます。
関連ページ:生命保険|持病があっても入れる?入れない?見つけ方と加入方法
3.糖尿病で加入が可能な保険はある?
それでは、糖尿病と診断されると全く保険に加入できないのでしょうか?実は、糖尿病と診断された場合でも、以下の2つの保険は加入できる可能性があります。
引受基準緩和型保険
無選択型保険
上記の保険には、生命保険や医療保険などさまざまな種類があります。
ただし、すでに糖尿病の診断されている人が引受基準緩和型保険や無選択型保険に加入できたとしても、糖尿病自体は保障の対象外となることもある点に注意しましょう。
また、引受基準緩和型保険や無選択型保険は、それぞれ注意点やデメリットが存在します。そのため、一般的な生命保険や医療保険に本当に加入できないか最初に確認したうえで、引受基準緩和型保険や無選択型保険への加入を検討すると良いでしょう。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、告知する項目が少ない保険で、持病がある方でも加入しやすいのが特徴です。
引受基準緩和型保険の告知項目は、基本的に以下のような項目に絞られており、医師による診断書も必要ありません。
過去数ヶ月以内に医師から診察や検査で入院または手術がすすめられたことがあるか
過去数年(2年など)以内における病気やケガによる入院や手術の有無
現在がんなどの疾病にかかり医師による診察・治療・投薬を受けているか
過去数年(5年など)以内にがんなどの病気や入院・手術を受けたことがあるか
告知すべき内容や対象となる病気は、保険会社や保険商品によって大きく異なりますが、糖尿病の人でも加入できるケースが多い保険です。
ただし、引受基準緩和型保険は、保険料が一般的な生命保険や医療保険と比較して割高となります。加えて引受基準緩和型保険の多くは、加入後一定期間(多くの場合1年)は保障が減額されます。
例えば、以下のような引受基準緩和型の医療保険に加入したとしましょう。
入院給付金日額:5,000円
削減内容:加入から1年間、保険金の給付金額を半分に減額
上記の場合は、加入から1年以内に病気やケガで入院をしても、入院給付金の額が半分の2,500円になる仕組みです。
関連ページ:引受基準緩和型医療保険について
無選択型保険
無選択型保険とは、告知の必要がない保険で、もちろん医師による審査も必要ありません。
そのため、健康状態にかかわらず誰でも加入できます。
一方で無選択型保険は、引受基準緩和型保険よりも保険料がさらに割高になります。
そのため無選択型保険は、引受基準緩和型への加入も難しいような人が最後に検討する保険といえるでしょう。
関連ページ:告知の重要性と生命保険に加入するときの注意点
4.まとめ
今回は、糖尿病の特徴や罹患した場合に加入できる生命保険について解説しました。
糖尿病は、さまざまな重い病気へと繋がる可能性があるため、一度糖尿病と診断されると一般的な生命保険や医療保険への加入は難しくなってしまいます。
そのため糖尿病と診断された場合は、引受基準緩和型保険や無選択型保険のような告知すべき項目が少ない、もしくは全くない保険が主な選択肢となります。
一方で、引受基準緩和型保険や無選択型保険は、保険料が割高であるため、加入するかどうかは慎重に判断しなければなりません。
もし自分にとって引受基準緩和型保険や無選択型保険が合っているかどうか分からない場合は、ファイナンシャルプランナーや保険の専門家への相談がおすすめです。あなたの状況に合わせた適切なプランを提案してくれるでしょう。