医療保険

医療保険|特約とは?詳しく解説

医療保険の保障内容を充実させるために、複数の特約を付加することができます。医療保険の特約にはどのようなものがあるのか、本記事で紹介いたします。

保障の充実を図る特約

医療に関連する特約は、じつに多種多様なものがそろっています。

特約は主契約に上乗せするオプションですから、チョイスは自由自在。

あなたが必要だなと思う部分にプラスしておけば、いっそう保障内容を充実させられます。

そうはいっても、名前を聞いただけではどういう保障なのか戸惑うこともありますよね。

多彩な特約の中から、いくつかご紹介しましょう。

通院特約

昨今は入院日数がどんどん短くなっています。

そのかわりに長くなってきたものがあるのですが、なんだと思いますか?

答えは通院による治療です。

短期間で退院し、あとは週に1回病院に通って治療を続けるといったスタイルに変化しているのです。

すると、どうなるでしょう。医療保険の入院給付金は、入院に対する保障です。

したがって、入院している間は給付金をもらえます。しかし、退院後は治療が続行中であろうとも、給付金は出ません。

読者1
読者1
入院していた日数より、通院治療のほうがずっと長いのに……

なんて嘆きたくなることも。

こうした現状に対応すべく誕生したのが「通院特約」です。

通院特約(つういんとくやく)とは

病気・けがで入院し、退院後、通院治療を受けた場合に通院日数分の通院給付金を受け取ることができる特約のことです。

通院治療を行えば、1日につきいくらという形で通院給付金が出ることが一般的です。

1入院につき30日を限度とし、退院後120日以内、180日以内等の通院であること等の条件がついています。

近ごろは通院特約がつけられる医療保険やがん保険が増えてきました。

ただ、通院特約にはひとつ注意点があります。

多くの通院特約は、入院することが前提になっています。

退院後、その病気やケガが理由で通院したときを給付の対象としているのです。

ですから、通院のみの治療だと、給付金を受け取れません。

もっとも、医療保険は変化を続けているので、なかには入院前の通院にも対応するタイプも登場しています。

ココに注意

いずれにしろ、通院特約は、すべての通院治療に給付金が出るとは限らないので、どんな条件かは選ぶ際に必ず確認するようにしましょう。

女性疾病特約

乳がん、子宮頸癌、子宮筋腫……など、女性特有の病気があります。

そして、それらを保障する女性向けの特約として、女性疾病特約が存在します。

誤解のないよういっておきますが、普通の医療保険が女性特有の病気を対象外にしているとか、保障額が減額されるというわけではありません。

ほかの病気と同様に、女性特有の病気でも入院給付金も手術給付金も支払われます。

読者3
読者3
では、いったいなんのための特約?
これは女性特有の病気にかかったときに限り、とくに保障を手厚くする特約なのです。
読者2
読者2

女性疾病特約(じょせいしっぺいとくやく)とは

女性疾病特約とは、子宮頸がんや乳がんなど、女性特有の病気になった場合に、通常の給付金にプラスして女性疾病入院給付金等を受け取ることができる特約です。

たとえば、入院日額が5000円なら、もう5000円プラスされて1万円になるといった具合に、入院給付金や手術給付金が上乗せされるしくみになっています。

女性特有の病気をフォローする保障は特約だけでなく、女性向け医療保険やレディースプランとして単独の保険でも販売されています。

こちらも基本的なしくみは同じです。女性特有の病気は保障が割り増しされ、その他の病気は通常通りの保障になります。

1入院の支払限度日数や通算支払限度日数は、主契約の入院給付金と同じです。

ココに注意

注意しておきたいのは、女性特有の病気といっても、対象となる病気は取り扱う保険会社によって微妙に異なっていることです。

乳房・子宮・卵巣といった女性特有の部位の病気やがんだけでなく、幅広く五大生活習慣病(脳血管疾患・心疾患・高血圧性疾患・糖尿病・がん)が含まれているところなどまちまちですので、保障される内容は必ずチェックするようにしましょう。

""
医療保険 20代・30代女性の入院給付金や保険料の平均はいくら?

仕事もプライベートも充実してきて、自分の健康が気になってくる人も多いはず。 読者3もし病気になったら、もしケガをして入院や手術が必要になったら、どうしよう・・・ そんな不安を感じたことがある女性も多い …

続きを見る

入院一時金特約

入院一時金特約(にゅういんいちじきんとくやく)とは

入院一時金特約とは、入院すると所定の金額の入院一時金(給付金)が支払われる特約です。

医療保険の主契約は一般的に、入院日額や入院日数に基づいて保障されます。

「日額5,000円」なら「5,000円 × 入院日数」、10倍に該当する手術をしたら「5,000円 × 10」のように、契約時に決めた入院日額や入院日数に応じて給付金額が決まります。

入院5日目から給付される医療保険に加入した場合や手術をしない短期入院をした場合などは十分な給付金を受け取れない可能性があります。

ココがポイント

なお最近は入院一時金を主契約とする医療保険もあります。

先進医療特約

先進医療特約(せんしんいりょうとくやく)とは

先進医療特約とは、厚生労働省が指定する先進医療を受けた場合に保障される特約です。

受けられる先進医療の種類はさまざまで、医療費も数万円から数百万円と幅広く、先進医療の技術に係る費用と同額の給付金が一時金として支払われます。

もっと詳しく

先進医療とは、厚生労働大臣が定める施設基準に適合する医療機関(大学病院等)で実施される先端技術を用いた医療のうち、厚生労働大臣の承認を受けたもののことをいいます。

先進医療技術は随時見直しされており、契約時に指定されている先進医療ではなく、給付時に指定されている先進医療が保障の対象です。

「先進医療に係る費用」は公的医療保険の保険給付の対象外で全額自己負担となることから、おもに先進医療により治療費が高額になった場合に備える特約です。

待機期間(免責期間)がある特約

保険の種類によっては、待機期間(免責期間)が設けられていることがあります。

たとえば、がん保障では一般的に90日間の待機期間(免責期間)が設けられており、この期間にがんと診断されても保障されません。ここでは待機期間(免責期間)がある特約をまとめます。

がん特約

がん特約は、医療保険に特約として付加する、がんに対する保障です。

医療保険はがんを含む幅広い病気に対応していますが、支払限度日数があることや入院日数が基準になっているため、保障額が不足する場合があります。がん特約のおもな保障として、がん診断一時金があります。

がんと診断されたら一定額が受け取れるため、入院日数が短期化傾向にあるがんの治療費などに充てることができます。

また支払日数が無制限となる「がん入院給付金」や「がん手術給付金」、「放射線治療給付金」「抗がん剤治療給付金」などの保障を備えている特約もあり、現在加入中の医療保険にがんの保障を付加したい場合に効果的です。

給付金名 内容
がん診断一時金(給付金) 初めてがんと診断されたら一定額が支払われる保障
がん入院給付金 がんで入院した場合に「日額 × 入院日数」が支払われる保障、医療保険とは異なり、支払限度日数は無制限
がん手術給付金 がんで手術した場合に「日額 × 倍率」が支払われる保障
放射線治療給付金・抗がん剤治療給付金 所定の放射線治療や抗がん剤治療給付金を受けた場合に一定額が支払われる保障

三大疾病特約、特定疾病特約

三大疾病特約や特定疾病特約は、所定のがん・心疾患・脳血管疾患に対する保障です。

がん・心疾患・脳血管疾患で所定の状態になった場合に一時金で三大疾病(特定疾病)保険金、保険金を受け取らず死亡した場合は死亡保険金(一時金)を受け取れます。

一般的な病気よりも医療費の負担が重くなる可能性があり、医療保険の主契約である入院給付金や手術給付金だけでは心もとないかもしれません。なお保険会社によって保障内容や支払条件が異なりますので、注意が必要です。

一般的に三大疾病のうちがんの保障については待機期間(免責期間)が設けられています。

その他の特約

ここまでは入院一時金やがん診断給付金など保障を手厚くするための特約を紹介しました。ここでは特約を付加することで保険をより有効活用できる特約を紹介します。

保険料払込免除特約

保険料払込免除特約は、病気になるなど所定の要件を満たした場合に以降の保険料が免除される特約です。

おもに3大疾病で所定の状態になった場合、所定の身体障害の状態になった場合、所定の要介護状態になった場合に保険料の払込が免除されます。保険料が免除される条件は、保険会社や保険商品によって異なり、付加されていないものもあります。

たとえば医療保険の保険料払込免除では、所定の高度障害状態になった場合、がん保険ではがんと診断された場合を条件とするのが一般的です。

心疾患や脳血管疾患については「60日以上労働の制限を必要とする状態が継続したと診断されたとき」や「所定の手術を受けたとき、または継続20日以上の入院をしたとき」など保険会社によって所定の要件が異なります。

リビング・ニーズ特約

リビング・ニーズ特約は、余命6ヶ月以内と診断された場合に、死亡保険金など本来なら死亡後に受け取れる保険金を生前に受け取れるようにする特約です。

受け取った保険金は自由に医療費などに使うことができるため、お金の心配なく残された時間を過ごすことができます。リビング・ニーズ特約は無料で付加することができます。

なおリビング・ニーズ特約で保険金を受け取ったあと病気が治ったとしても返金する必要はありません。また生前に受け取った保険金は非課税ですが、使い切らず亡くなった場合、その残額は遺族が相続することになり、相続税の課税対象となります。

健康祝い金特約

掛け捨て型の医療保険の場合、保険期間中に入院したり手術をしたりしなければ、給付金はもらえません。給付金がゼロということは元気で過ごせた証ですから、非常に喜ばしい話です。とはいえ、保険料を払うだけでなにも出ないと、なんとなく損をした気分になってしまうかもしれませんね。

健康祝い金特約は、健康な人にもそれなりに還元をしましょうという保障です。「健康祝い金」という名前のほか、「生存祝い見舞金」や「健康ボーナス」といった呼び方もします。

この特約は、給付金を受け取る事態が起きなかったら、3年や5年ごとに一定の金額が戻ってくるしくみになっています。入院給付金が日額5000円なら健康祝い金は5万円、日額が1万円なら健康祝い金は10万円くらいが標準的な給付額でしょう。入院すれば入院給付金が、入院しなければ健康祝い金が出るわけです。

ただし、何事もなくてもお祝い金で受け取れる可能性が高まるということは、それだけ保険料も高くなりますので、どのくらい負担できるかはしっかりと家計支出のバランスを見て検討しましょう。

ちなみに、ある年齢に達すると払い込んだ保険料が全額戻ってくる医療保険もありますが、それとはしくみが違いますので混同しないようにしてください。

特徴を知って賢く選ぶ

これ以外にも、所定の介護状態になったら一時金や年金が受け取れる特約……など、まだまだたくさんの特約があります。

あれもこれもつけたくなりますが、本当に必要な保障に絞るのが賢い方法です。

また、既に、収入保障保険と医療保険のように、複数の保険に入っている人もいると思います。その際に、それぞれに似たような内容の特約がついていることも。これはもったいない話です。重複した特約がついていないか、見比べてみましょう。

医療保険には、医療に関するさまざまな場面をフォローする特約が用意されています。

入院給付金ではカバーしきれない通院を保障する特約、健康な人には祝い金が出る特約、女性特有の病気は保障を上乗せする特約……。

それぞれの特徴を知り、自分に会った保障を準備することが大切です。

関連記事