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業界をアップデートし、保険が適切に届く世の中を目指す「hokan」|InsurTech最新動向
InsurTech Interview

業界をアップデートし、保険が適切に届く世の中を目指す「hokan」|InsurTech最新動向

「保険業界をアップデートする。」をミッションに事業を展開する株式会社hokanの尾花 政篤CEOに「hokan」についてお話を伺いました。

「hokan」はお客様をフォローするためのシステム

コのほけん!編集部

顧客・契約管理サービス「hokan」はどのようなサービスでしょうか。

尾花CEO
複数の保険会社の商品の中から最適な保険商品を提案している主に乗合保険代理店向けのシステムです。
システムの特徴は、

  • 顧客・契約管理をはじめとする保険代理店業務を一元管理できるシステム(CRM)
  • 意向把握管理などといった、保険業界に特化した素早い業法改正対応
  • 組織全体の業務効率向上

の3つです。

乗合代理店の複雑な業務や手間のかかる業務をデジタルで効率よく進められるようなシステムを開発しています。「hokan」は、乗合代理店がお客様により最適な保険をより適切に販売できることを目指しています

機能を一部紹介すると、プロジェクト機能という、保険代理店においてお客様のご契約情報を適切に管理でき、お客様にとって大切なタイミング(契約の更新や満期など)で適切にお客様とコンタクトを取れる仕組みを用意しています。また、保険業法で義務化されている内容でもありますが、お客様が保険にご加入される際の意向把握といったお客様を守るための情報も含め、お客様への対応履歴を誰でも見やすい形で残しておくことができます。結果、チームで共有でき、しっかりとお客様のデータを格納、管理することで、継続的にお客様のフォローができるようになります

コのほけん!編集部
保険代理店における業務効率化だけでなく、どういう募集をしたのかを見える化することでお客様への営業の質が高まるサービスなんですね。

「hokan」を開発した背景は?

コのほけん!編集部

「hokan」を開発された背景について教えて下さい。

尾花CEO
ITコンサルタントに就いていた頃、保険会社のレガシーシステムの保守にお金と人手を取られてしまい、イノベーションを生み出しづらい状況にあるのを目の当たりにし、非常にもったいないと思ったのが起業の理由です。

とはいえ、保険会社システムは非常にアップデートが難しい領域です。また、より一般消費者に近い位置からイノベーションを興した方が、業界全体のアップデートに繋がりやすいだろうと考えていました。そこで、一般消費者と保険会社の間に存在し、一般消費者に近く、より素早いアップデートが可能な保険代理店のシステムに着目しました。加えて、保険の加入を検討しているお客様においては、比較検討する流れが強くなっていましたが、保険代理店はそれらに対応するために、紙やエクセル、システムを活用せざるを得ず、事務手続きはどんどん煩雑になっていました。それを見た時に、非常に大きな課題を抱えているので、なんとかしたいと思ったことが開発に繋がりました

保険代理店の日々のデータがAll-in-Oneで入っている

コのほけん!編集部

「hokan」はどのような方のどんな課題を解決するサービスでしょうか。

尾花CEO
保険代理店にて扱われる日々のデータを全て1か所に集めることで、煩雑な手続きや業務を効率化することができます。

また、保険はいまでも人から説明を受けて納得して加入したいと思う方も多い商品です。これは、保険商品が高度な内容でそもそもが難しい商品であるがゆえであるとともに、保険の効用を感じるまでにタイムラグがあり、万が一というネガティブな未来に備えるためのものであることが理由だと考えています。オンラインが普及しても、これらの根本の考えかたは覆すことが難しいと思っています。そのため、販売する方、つまり保険代理店側で働く方々がより仕事をしやすいシステムを用意していきたいと考えています。

こだわりはアップデートし続けるシステム

コのほけん!編集部

「hokan」の中でも一押しの機能/こだわりポイントはどこでしょうか。

尾花CEO
「アップデートし続ける」ことがポイントであり、使命ですね。
保険の販売を規制する保険業法はどんどん変わっていきます。その変化に対応していかなければいけません。
hokanだけでは変化に対応できなくなり、また別のシステムが必要になってしまうと、せっかく一つにまとめたシステムがまた分散してしまいます。そうならないように、日々進化し続けることを重視しており、その期待感で「hokan」を選んでいただくケースも多くあります。

コのほけん!編集部
導入されている保険会社にとっては、どんどん使いやすいシステムが構築されていくところが「hokan」の魅力ですね。常にアップデートしていくということは、現在の「hokan」は初期版とはかなり違うシステムなのでしょうか。

尾花CEO
全く違いますね。
加えて、心掛けているのは、個社の要望でアップデートせずに、共通の課題を解決するという点です。

弊社のミッションである「保険業界をアップデートする。」を実現するには、保険代理店方々の共通の課題や絶対に業界が良くなるポイントを発見し、開発していかないと業界をリードしていくこともできないと思っています。

コのほけん!編集部
その中でも好評な機能はどこですか?

尾花CEO
意向確認の機能です。

先ほども挙げましたが、意向確認は保険加入前後にお客様に確認が必須になっており、その履歴は残しておかなければなりません。従来だと紙で意向確認を実施し、紙のまま管理している状況でした。さらに、募集人によって、同じ保障を希望していても、提案される商品が違うといった課題もありました。この機能では、提案する保険商品を保険代理店毎の募集方針や勧誘方針に沿って、調整・カスタマイズできるようになっています。そして、選択式のアンケートのような形でお客様の前に提示できるので、お客様も簡単にチェックし、そのまま意向確認を完了し、hokan上に保存することができます。そのため、これまでの紙での管理が不要になります。加えて、お客様に希望する保障のヒアリング(意向確認)をしていくとその保険代理店で取扱のある最適な保険商品が提案されるようになっており、どの募集人が対応しても同じ提案が出てくるので、均質化が保たれます。

そしてもう一つプロジェクト機能があります。
満期対応や更改手続きなどをはじめとした諸々の手続きの進行状況が看板方式で管理できます。
そのため、直感的な操作で進捗の確認や社内での共有も簡単にでき、担当者が不在の場合でもお客様からの問い合わせや電話にも早急に対応することができます。

今後の展望は?

コのほけん!編集部

本事業を通じて実現したいことや今後のご展望を教えてください。

尾花CEO

■保険が適切に届いてほしい
保険は情報の非対称性が発生しやすく、お客様側が保険会社や保険代理店よりも情報が不足して判断に迷ったり、不信感を抱いてまいしがちな業界なので、保険業界側がしっかりと責任をもってアップデートしていかないといけないと思っており、また、弊社としても責任をもって取り組んでいきたいと考えています。その中でも、「人」がキーになり、正しい保険を届けられる世の中にしていきたいと思っています。

情報の非対称性とは

商品やサービスの売り手と買い手の間、または企業と投資家など異なる経済主体の間で保有する情報に格差があること。
※出典:三井住友DSアセットマネジメント

人生100年時代といわれる世の中で、生き方が多様化しています。一昔前の22歳で大学を卒業し、定年まで勤め上げ、60歳で退職金をもらい、その後年金をもらうライフプランシミュレーションは万人に通用するものではなくなりました。世の中の変化が速く、先が見通しづらい、この先何が起こるか分からない時代では、ライフプラン設計も様々なパターンが生まれます。ライフプランに応じて、備えるべきリスクも変わってきます

保険も変わってくると思います。現在は、ベーシックなリスクに対しての保険が設計されていますが、生き方や価値観が多様化してくると、最適な保険も変わってきます。そういった中でも、しっかり必要な人に保険を届けていく事が必要です。その際にキーになるのはやはり「人」だと思うので、人をどうエンパワーメントして行けるかが重要になると思っています。

■システムの根幹は保険会社のシステム
保険にまつわるシステムの根幹を辿っていくと、大半は保険会社のシステムにたどり着くケースが多いです。そのため、保険代理店のシステムだけではなく、将来的には保険会社のシステムの改良にも関与していきたいと考えています。そうすれば保険業界全体のアップデートに繋がると思っています。

まとめ(編集後記)

生命保険のリスクが多様化していく中で、保険業界全体がアップデートされていくと、例えば自分にあった商品の設計ができるようになる、また、保険の加入や契約の観点でも進化していく、そういった未来が実現されていくとよいですね。

尾花 政篤プロフィール

東京大学経済学部卒業。
株式会社ベイカレント・コンサルティングへ入社。保険業界を中心にマーケティング戦略・IT戦略立案・投資管理・PMOなどに従事。保険業界のレガシー環境に疑問を覚え、消費者に保険の価値が届いていない世の中を変えることを目指し、2017年8月に株式会社hokanを設立。
3度の事業転換を経て、2019年1月に保険代理店向けの顧客・契約管理システム「hokan」の提供に至る。日本のインシュアテックをけん引するべく、日本唯一のメディア「InsurTech Japan」も運営。

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