自動貯金アプリ「finbee」について|FinTech最新動向

自動貯金アプリ「finbee」について|FinTech最新動向

「ユーザーオリエンテッドな新しい金融サービスをリデザインする」をビジョンに掲げ、FinTech事業を展開する株式会社ネストエッグ代表取締役田村栄仁様に自動貯金アプリ「finbee」についてお話を伺いました。

「自動でラクに楽しく」貯金ができるアプリ

コのほけん!編集部

「finbee」とはどういうサービスなのでしょうか。

田村さん
finbeeはユーザー様がお持ちの銀行口座とアプリを連携させて、「自動でラクに楽しく」貯金ができるアプリです。2016年の12月にリリースしました。

「finbee」で貯金の目的、期間、お金を貯めるルールを設定すると、設定したルールに基づいて、ユーザー様の銀行口座からfinbee専用の貯金用口座にお金が自動で移動し、貯金する事ができます。仕組みとしては、お持ちの銀行口座内に別途finbee専用の貯金口座が作られ資金移動が行われるので、いわゆる、「別口座に取り分ける貯金」をアプリ経由で自動化することができるサービスとお考えください。

<コのほけん!編集部>
「自動でラクに、そして楽しく」ということですが、「楽しく」というのは、具体的にどのようなことなのでしょうか。

田村さん
実は、貯金に対するサービス・ソリューションというのは世の中にあまりありません。
お金を貯めようと思うと、節約することや、なるべくATMに近づかないようにするなど自分の意志に頼った方法をとる方が多いのではないでしょうか。
または目的ごとに口座を分けて管理する方法もありますが、その場合は、普段使いの口座と貯蓄用口座を分けて、自分で送金や入金する必要があり、やはり自分の意志で貯金を継続していく必要があります。

一方、「finbee」では、口座と連携さえすれば、自動的に貯金ができます。
多くの方が持っている「貯金はしたいけど、面倒だな、しんどいな」という気持ちや、別口座に取り分ける手間を、送金や入金のプロセスをfinbeeが自動化することで解消することができます。「気づいたらお金がたまっている」という成功体験をfinbeeは提供できるのが強みだと考えています。また、お金を貯める行為自体を楽しめるよう「お金を貯めるためのルール」をユーザー様が選べるようにしております。
貯金のルールを選択肢から自分で選ぶという楽しさを追加することで、全く新しい金融体験を提供できるのではないかと考えました。毎月1万円といった金融機関に元々ある自動積み立てとは違う貯め方ができるようになるのです。

積立のルール

お金を賢く使えるようになってほしい

コのほけん!編集部

「finbee」の開発の背景を教えてください。

田村さん
元々、7年半ほど銀行員をしており、その後ライブドアという会社でIT関連の業務に携わることになりました。そこで、プリペイド型電子マネー『BitCash』の代表を務め、テクノロジー×金融という組み合わせにおいて、アイデア次第で新しいサービスが作れる面白さに惹かれました。

その後、フィンテックという言葉が出てきて、法整備なども進み、私の想いと重なり、自分でサービスを立ち上げてみようと思い、2016年にインフキュリオン社と共同で当社を設立しました。

<コのほけん!編集部>
なるほど、長年の思いと時代の流れからご自身で起業されたのですね。フィンテック領域の中でも、「貯金」に着目した理由はなんでしょうか。

田村さん
銀行員の頃、銀行や提供されるサービスにユーザー様目線がないことに大きな課題を感じていました。
銀行は、銀行法に守られた規制業種ということもあり、異業界からの参入が難しいため、商品開発やサービスのUIUXが旧態依然としているところがあります。
特に、私が銀行にいた頃はそれを強く感じており、金融サービスの使い勝手を変えることでお金や金融サービスの使い方そのものが変わるのではないかと思いました。私は、お金の使い方が変わると人生が豊かになり、選択肢が増えると思っています。そのため、いつかは、立場を変え、既存のビジネスと異なった視点でサービスを作りたいと思っていました。

その中で、「貯金」に着目した理由は大きく2つあります。

まず、フィンテック系のサービスの中には家計簿アプリやQRコード決済等がありますが、あまりに先進的なサービスだと、多くの人に届けるのが難しくなります。お金についてよくわからない方やスマホに慣れていない方も含め、すそ野を広げてより多くの人に使ってもらえるサービスを作ろうと考えました。そこで、誰もが必ず一度は経験したことのある「貯金」に着目し、ITと掛け合わせても使いやすいサービスを作れば、多くの人にアプローチできると思ったのです。

さらにその中でも、「貯金」は若年層に身近なお金の行動であると考えています。
40代や50代ぐらいになってくると、 コツコツ貯金をするということも減ってきます。一方で、20代や30代は上の世代に比べ、所得水準はそんなに高くない反面、消費欲は他の世代よりも強いため、この世代は、欲しいものを手に入れたい、行きたい場所へ行きたい、という、「欲しい・やりたい」を叶えるためにお金をより賢く使わなければなりません。そこで、この世代に対する最適なソリューションを考えた時に、まずは「貯金」という概念を変え、使いたい用途に合わせてお金を取り分けておくという考え方が有用なのではないかと考えました。

先ほど、ラクに楽しく貯めると申し上げましたが、それは自分の20年後、30年後の老後に備えて、今から2000万円をコツコツ貯めるという文脈ではありません。半年先、1年先に欲しいもの、行きたいところ、やりたいことがあり、それらを目的に貯金し、お金を使うきっかけにするということです。

そして、「お金を使う」前段階として、「貯金」があります。目的のために賢くお金を使うために「finbee」というツールを使ってお金を取り分けてもらいたいと思います。その「取り分ける」過程に楽しめる要素があった方がお金を貯めるよりよいソリューションになるのではないかと思い、「finbee」を開発しました。

ユーザー様のゴールは「貯金」ではなく、貯めたお金で欲しいものを手に入れ、行きたいところへ行き、やりたいことを実現することです。「finbee」は貯金をそのための手段と捉えています。そのため、貯めたお金をスムーズに、目的通りに使う一連の金融体験を提供したいと思っています。それが結果として、お金を賢く使う点に貢献し、ユーザー様の金融リテラシーの向上にも繋がるのではないかと考えています。

目的通りにお金を使えるようになる

コのほけん!編集部

誰のどのような課題を解決するのでしょうか。

田村さん
一つ目として、手元にあると使ってしまって、やりたいことのためにうまく貯められない人がラクに、楽しく貯められるようにお手伝いできると思います。例えば、来年、家族で海外へ行きたいのにいつまでもお金が貯まらない方が半強制的に貯金できるようサポートできます
天引きされる企業の財形貯蓄のような形で、給料が入った時に自動で取り分けるという使い方ですね。

もう一つは、一応貯金はしているが、まだ何もできてない方への課題解決です。なんとなく旅行に行きたいとは思っていても、具体的にどこに行きたいか、何をしたいか計画するまでに至ってない方に向けたサポートができたらと考えています。
今はまだ道半ばですが、今後会社として挑戦していきたい、需要喚起の取り組みになりますね。無目的にではあっても貯金できているが、使いどころが分からない方の課題を解決していきたいと思っています。

「finbee」のユーザー様の中には、旅行には行きたいけど、どこに行けばいいか分からない、といったユーザー様も一定数いらっしゃいます。資金のゆとりはあり、30万円くらいは貯まっているユーザー様に対し、「今、A社からこういう旅行のプランがご提供できます」といった形で、消費意欲を具体化し、実現に繋げていく取り組みを現在進めています。

一押しの機能は?

コのほけん!編集部

「finbee」の中で一押しの機能やこだわりのポイントはどのような部分でしょうか。

田村さん
アプリのUIUXです。
金融系のサービスは、近年かなり進歩していますが、使いづらいデザインが見受けられることもあり、非常に情報過多なことが多いと感じています。

そのため、「finbee」は金融サービスの中の「貯金」のみを提供し、アプリ内の情報をとにかくシンプルに、かつ、直感的に認識でき、体感できることに徹底的にこだわっています。この点は、ユーザー様の声として弊社にも届いており、弊社の想いがユーザー様に伝わっている部分だと感じています。

さらに、機能面と併せて、銀行口座との連携を一つ一つ手作業することなく、スムーズに行えるようにしている点です。貯金のルールのバリエーションは複数ありますが、シンプルに選ぶだけで連携した銀行口座から資金移動が簡単にできます。
「finbee」の一番のこだわりは、ユーザビリティを第一に考えたUIUXと言えますね。

今後の展望は?

コのほけん!編集部

今後本事業を通じて実現したいことや今後の展望を教えてください。

田村さん
「finbee」では現在、個別に金融機関と連携しながら、サービスを展開しており、現在、11の金融機関と提携しています。しかしながら、提携の金融機関をお持ちでないと貯金機能を使うことができません。

例えば、ゆうちょ銀行や三菱UFJ銀行は、ユーザー様から要望を多くいただくのですが、現時点では提携できていません。そのため、今後はユーザー様がお持ちの銀行口座の多くをカバーできるよう大手金融機関と提携していきたいと思っています。

何かのきっかけで「finbee」を知り、ダウンロードしてくれた方がお持ちの口座の中で少なくとも一つは連携でき、貯蓄機能を利用できる環境を作りたいというのが、直近実現したいことです。

そして、将来的にはラクに、楽しく貯金できた後に、そのお金をどう使うか、というところにアプローチしていきたいと考えています。

ただ貯めるだけではなく、ユーザー様がお金を賢く使える世界を実現するための一助となることにこのサービスの存在意義があるように思います。

まとめ(編集後記)

貯金をする時に、アプリと連携しており、自分で選んだルールに合わせて自動的にお金を貯めてくれると、楽しく貯められそうです。良く行く場所を訪れた際に、自動的に貯金されるチェックイン貯金は是非使ってみたいと思いました。貯金に悩んでいる方は、是非ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

田村栄仁 プロフィール


東京大学工学部卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。
7年半の銀行業務を経て、ライブドアに入社。2005年11月、プリペイド型電子マネー「BitCash」代表に就任。退任後、ソフトバンクペイメントサービス顧問などを経て、2011年にコンサルティング会社を設立。大手ネット企業のペイメント事業立ち上げ支援や、M&Aを行う。2015年にはインドネシアのローカル銀行PTBankMutiaraTbk.のIT担当Managing Directorとしてジャカルタ勤務。
帰国後、2016年株式会社ネストエッグを創業、代表取締役に就任。

関連記事

児玉 隆洋著『未来のお金の稼ぎ方』について|Insurtech最新動向

2022/10/17

児玉 隆洋著『未来のお金の稼ぎ方』について|Insurtech最新動向

「お金の不安に終止符を打つ」をミッションに掲げFintech事業を展開する株式会社ABCash Technologiesの児玉 隆洋 代表取締役社長に、今話題のご著書『未来のお金の稼ぎ方』についてお話を伺いました。