知っておきたい医療保険の基礎知識 ❘ 主契約と特約って何?主契約のタイプと特約の保障内容を詳しく解説します!
医療保険は、保険会社によってさまざまな保障がついていることがあります。最初から主契約と特約がセットになっており、パッケージ商品として販売されている場合、保障も充実した内容となっています。
このような商品が主契約と特約から構成されていることを理解すれば、他の商品とも比較検討しやすくなるでしょう。
この記事では医療保険の主契約と特約について、わかりやすく解説します。
医療保険の仕組み
医療保険の保障は、保障の基本となる「主契約」と保障を任意で選べる「特約」で構成されます。
主契約に特約を付加しているため、主契約を解約すると特約も解約となります。
また特約のみを解約することはできますが、特約のみで医療保険に加入することはできません。
医療保険の主契約とは?
医療保険の主契約は、病気やケガで入院したときに支払われる入院給付金と手術したときに支払われる手術給付金で構成されていることが一般的です。
基本的に日額5,000円や10,000円などの入院日額を決めて加入します。入院給付金と手術給付金はこの入院日額に応じて支給されます。
なお最近は、入院一時金を主契約とする医療保険に人気の集まる傾向があります。
主契約の種類と特徴
医療保険では、病気やけがで入院や手術をしたときの保障が主契約となります。
医療保険加入時に決定した日額に基づいて給付金が支払われるタイプ(給付金タイプ)と、入院をしたら入院日数に関わらず一時金が支払われるタイプ(一時金タイプ)があります。
それぞれのタイプのおもに保険料に影響する保障内容をまとめると次のようになります。なお保険料払込期間によっても、トータルでかかる保険料は変わります。
給付金タイプ
- 入院日額(日額5,000円など)
- 支払限度日数(60日型など)
一時金タイプ
- 一時金の額(10万円など)
給付金タイプの場合、「日額5,000円」より「日額10,000円」のほうが保障として手厚いものになります。
一時金タイプなら一時金の額が「5万円」よりも「10万円」のほうが受け取り額が大きくなります。
ただしいずれの場合も保障額を大きくすると保険料は高くなるので注意が必要です。
関連記事:医療保険|日額タイプと一時金タイプについて
主契約の保障内容は保険料にどれくらい影響する?
主契約の保障内容を変更するとどれくらい保険料が変わるか確認します。
35歳男性が給付金タイプと一時金タイプに加入した場合の保険料を比べてみましょう。
給付金タイプ
今回は生命保険会社大手のO社の保険商品で、入院日額5,000円と10,000円の場合を比較します。
入院給付金は「日額 × 入院日数」、手術給付金は「日額 × 倍率」で支給額が決まりますので、日額を5,000円から10,000円にすると、給付金額も倍になります。
日額5,000円と10,000円の保険料を比較すると、2倍弱の違いがあることがわかります。
長期入院した際には日額10,000円のほうが保障が手厚いといえますが、入院日数は短期化の傾向にあるため日額5,000円で十分だと判断することもできます。
一時金タイプ
一時金タイプは、一時金の額によって保険料が変わり、その額を増やすほど保険料は高くなります。
今回は生命保険会社大手のN社の保険商品で、一時金5万円と10万円の場合を比較します。
先進医療特約以外の特約を付加しない場合、5万円から10万円にしても保険料の差は369円です。
以上のように給付金タイプと一時金タイプを比べると、手術ありの入院の場合、入院給付金と手術給付金を受け取ることができるため、受取総額は給付金タイプのほうが多くなります。ただし保険料は一時金タイプのほうが割安です。
病気やけがで入院や手術をした場合の家計への影響を考え、手厚い保障が必要な時期は日額10,000円とするなど、状況に合わせて選択するとよいでしょう。
医療保険の特約とは?
特約とは医療保険の主契約に足すことで、保障を手厚くすることができるオプションです。
入院給付金や手術給付金、入院一時金など主契約の保障に特約を付加することで、特に気になるリスクに対する保障を充実させることができます。
特約の種類
特約にはさまざまな種類があり、保険会社によって保障内容や支給要件は異なります。ここでは一般的な特約の種類とその特徴を紹介します。
① 先進医療特約
先進医療特約は、厚生労働省が指定する先進医療技術で治療した場合に、その技術料相当額が支払われる特約です。がん治療の技術が大半を占めています。
② がん特約
がん特約は、がんと診断されたらがん診断一時金、がんで入院・手術をした場合はがん入院給付金・がん手術給付金が給付されるがんに特化した特約です。
保障内容は保険会社によって異なりますが、支払限度日数が無制限となるなど、医療保険にはない保障を得ることができます。
③ 女性疾病特約
女性疾病特約は、女性特有の病気になった場合に、保障が医療保険に上乗せされる特約です。
主契約を必要最小限におさえ医療費の負担を減らしつつ、女性疾病特約を付加して必要な保障を充実させることができます。
④ 入院一時金特約
入院一時金特約は、入院したら一定額が支払われる特約です。入院一時金特約を付加することで、手術のない短期入院でも一定額を受け取ることができます。
⑤ 三大疾病一時金特約
がん・心疾患・脳血管疾患について、医師に診断されたり、所定の状態になったりした場合に一時金が支払われる特約です。医療費が高額になりがちな三大疾病の保障を手厚くします。
がんについてはがんと診断されたら支払われるタイプが一般的ですが、心疾患や脳血管疾患については保険会社によって支払条件が異なりますので注意が必要です。
⑥ 保険料払込免除特約(特則)
保険料払込免除特約は、所定の状態になった場合に、保障を受けつつ、以降の保険料が免除される特約です。保険料が免除される要件は、保険の種類や保険会社によって異なります。
関連記事:医療保険の特約とは?知っておきたい9つの特約を詳しく解説!
特約が保険料に及ぼす影響
上で紹介した特約を付加するとどのくらい保険料が変わるのか、給付金タイプと一時金タイプに分けてシミュレーションしてみましょう。
今回は35歳の男性と女性の場合で比べてみます。
給付金タイプ
O社の医療保険および女性医療保険で、入院日額を5,000円にした場合を比較します。
まず男性は以下の通りになります。
入院給付金・手術給付金・先進医療を基本とすると保険料は1,735円ですが、100万円の三大疾病一時金を付加すると約3,000円高くなります。
また入院一時金(10万円)を付加すると、880円高くなります。
次に35歳女性の保険料は次のとおりです。
女性の場合、入院給付金・手術給付金・先進医療を基本とすると保険料は1,960円ですが、100万円の三大疾病一時金を付加すると保険料は2,470円高くなります。
また入院一時金(10万円)を付加すると、930円高くなります。
以上のように、男性も女性も三大疾病一時金を付加すると保険料が高くなります。保障内容とのバランスを考え、必要かどうかを検討するとよいでしょう。
一時金タイプ
入院一時金10万円の契約に先進医療特約を付加すると、保険料は40円ほど高くなります。また保険料払込免除特約を付加すると600円ほど高くなります。
なお保険会社によっては、特定疾病や女性疾病の場合に一時金を増額する特約もあります。
特約は任意で選択できますので、必要な保障と保険料を確認しながら、最適の保障を探してみてください。
まとめ
主契約と特約を確認したいときはパンフレットや保険証券を見てみましょう。「〇〇特約」と記載のある保障は任意で付け外しすることができます。
なかには契約のはじめから自動的に主契約に付加される特約もありますので、主契約と特約の区別がつきにくいかもしれません。当記事の内容を参考にしながら、主契約と特約を区別し、検討を行っていきましょう。