子どもの医療保険はいつから入るべき?加入率・メリットから見る必要性について
日本は子どもに対する国の公的医療保険制度や、各自治体の医療費助成制度が充実しています。そのため、子どもの医療保険の必要性に疑問を持っていたり、加入を迷っていたりする方は少なくないでしょう。
実際のところ、子どもに医療保険は必要なのでしょうか?必要であるならば、いつから入るべきなのでしょうか?この記事では、子どもの医療保険の必要性や加入するメリット、利用できる公的制度などについて、わかりやすく解説します。
子どもはいつから入るべき?医療保険の必要性
子どもの誕生は、生命保険への加入や見直しを検討するタイミングのひとつです。
ただ、親の死亡保険や子供の学資保険については積極的に検討しても、子どもの医療保険については後回しにしてしまう方が少なくありません。
では、子どもの医療保険は必要なのでしょうか。
ココがポイント
日本は子どもに対する社会保障制度が充実しており、公的医療保険を活用することで医療費の自己負担割合を、義務教育就学前の子どもは2割に、義務教育就学後の子どもは3割に抑えられます。
また、各自治体による医療費の助成制度を活用することで、この自己負担分についても様々な補助を受けられます。ただ、
- 入院が長期化した
- 公的医療保険を使えない治療を受けた
というように様々な事情から、高額な自己負担額を請求されるケースもあるようです。
関連ページ:医療保険とは?公的医療保険制度との仕組みの違いをわかりやすく解説
子どもが病気や怪我をした場合にかかる平均医療費
子どもが病気や怪我をして医療機関を受診した場合、どのくらいの医療費がかかるのでしょうか。
子供の受療率
厚生労働省発表の「平成29年患者調査」によると、人口10万人に対する子どもの受療率は以下のようになっています。
入院・外来ともに、0~4歳までの受療率が高いことがわかります。
人口10万人に対する子供の受療率(入院) | |
0歳 | 1,167 |
1~4歳 | 169 |
5~9歳 | 86 |
10~14歳 | 94 |
15~19歳 | 113 |
人口10万人に対する子供の受療率(外来) | |
0歳 | 7,276 |
1~4歳 | 6,517 |
5~9歳 | 4,377 |
10~14歳 | 2,764 |
15~19歳 | 1,923 |
子供1人あたりの平均医療費
厚生労働省発表の「子どもの医療の費用負担の状況(平成27年)」によると、子供1人あたりの平均医療費※は以下のようになっています。
未就学児の医療費自己負担割合は2割であるものの、0~4歳児の自己負担額が最も高額であることがわかります。
年齢 | 平均医療費 | 自己負担額 |
0~4歳 | 22万3,238円 | 3万6,717円 |
5~9歳 | 12万1,712円 | 2万7,141円 |
10~14歳 | 8万6,768円 | 2万965円 |
15~19歳 | 6万9,962円 | 1万6,206円 |
※診療費(入院・入院外・歯科)と、調剤、食事・生活療養、訪問看護、療養費等の合計金額
子供が入院した場合にかかる平均費用
子供1人あたりの平均医療費のうち、入院費の平均について見てみると、以下のようになっています。
年齢 | 平均入院費 | 自己負担額 |
0歳 | 8万88円 | 8,570円 |
5~9歳 | 1万7,835円 | 2,067円 |
10~14歳 | 1万6,263円 | 1,968円 |
15~19歳 | 1万8,037円 | 2,160円 |
入院費自体は少なくても、
- 食事代
- 調剤費
- 退院後の医療費 など
が必要になりますので、実際はこれ以外にも様々な出費があると考えておいた方がいいでしょう。
国や自治体の医療制度でカバーできない費用とは
子どもの医療費は、国や自治体の医療制度を活用することで、自己負担額をかなり抑えられます。
ただし以下のような費用については公的制度による補助を受けられないため、医療保険に加入するなどの方法により、リスクヘッジをしておく必要があります。
公的制度対象外の費用
- 先進医療など公的医療保険を使えない治療を受ける場合にかかる費用
- 子どもの看病などにより働けなくなった場合の逸失収入
- 差額ベッド代 など
医療機関の全年齢別にみると、年齢に比例して受診率が高くなる傾向にあり、子どもの受療率が目立って高いわけではありません。しかし、
- 0~4歳までの受療率が高く、自己負担額も高いこと
- 入院をした場合に公的制度だけではカバーしきれない費用が生じる可能性があること
を考慮すると、なるべく早い段階で子どもの医療保険に加入しておくことをおすすめします。
子どもの医療保険の加入率は?
生命保険文化センターの調査によると、平成30年における子どもの生命保険(全生保)の加入率は、51.1%でした。また加入件数は、1.2件となっています。
世帯主の生命保険(全生保)加入率が85.6%、医療保険(民保加入世帯ベース・かんぽ生命を除く)加入率が88.5%であることと比較すると、子どもの生命保険や医療保険への加入率はやや低いものの、半数以上の方が何らかの生命保険に加入しているということがわかります。
※出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
子どもの病気や怪我に備える5つの方法
子どもの病気や怪我に備えるには、以下のような方法があります。
⒈ 終身型医療保険に加入する
終身型医療保険とは
生涯にわたり保障が続く医療保険です。
このタイプの保険は保険料が一生変わらず、子どもの頃に加入すると、安い保険料で一生の保障を用意することができます。
関連ページ:終身医療保険とはどんな保険?定期型との違いをわかりやすく比較
⒉ 傷害保険に加入する
「子どもの怪我のリスクに備えておきたい」という方は、傷害保険の検討をおすすめします。
傷害保険とは
怪我による通院や入院、手術に対して保険金が給付される保険。
子ども単独での加入はもちろん、被保険者を家族全員に広げられる商品もあります。
⒊ 共済組合などの医療共済に加入する
「手頃な掛金で子どもの病気や怪我のリスクに備えたい」という方には、共済組合などの医療共済への加入もおすすめです。
- 月額1,000円前後で保障を受けられる商品
- 通院治療まで保障される商品 など
いろいろな商品が販売されています。
⒋ 子どもの学資保険に医療特約を付加する
学資保険の中には、入院給付金と手術給付金を基本保障とする医療特約を付加できる商品もあります。
ココに注意
ただし、医療特約を付加すると保険料が上がり、貯蓄性が下がってしまいます。
そのため特約の付加にあたっては、特約保険料と医療保険単体で加入する場合の保険料を比較し、慎重に検討することが大切です。
関連ページ:学資保険とは?人気商品をランキングでチェック
⒌ 親の生命保険などに医療保障の特約を付加する
子どもの医療保障を用意する方法としては、親の生命保険などに、配偶者や子どもといった家族の医療保障までカバーできる特約を付加するという手段もあります。
ただし、親の生命保険を解約すると子どもの保障も無くなってしまうため、その点については注意が必要です。
関連ページ:医療保険と生命保険の違いとは|どっちがおすすめ?両方に入るべき?
子どもが医療保険に加入するメリット
子どもが医療保険に加入することには、以下のようなメリットがあります。
メリット① 安い保険料で一生涯の保障を確保できる
上述のように終身医療保険は、加入時のまま一定の保険料で、一生涯にわたり保障を受けられます。
そして医療保険の保険料は、加入時の年齢に比例して高くなります。
ココがポイント
そのため子どもの間に終身医療保険に加入すれば、安い保険料で一生涯の保障を確保できるのです。
また、医療保険の申込みにあたっては健康状態に関する告知をしなければならず、既往歴や持病などが原因で、引受けを断られることがあります。
「大病を患ったため医療保険に加入できない」といったリスクを回避するためにも、健康な子どもの間に一生涯の医療保障を用意しておいてはいかがでしょうか。
メリット② 経済的リスクへの備えにより治療の選択肢が広がる
近年は医療技術の進歩により、治療法が多様化しています。
中には「先進医療のように効果があることは認められているものの公的医療保険の適用外で、高額な費用を全額自己負担しなければならない治療」も存在します。
ココがポイント
医療保険の中には、先進医療にかかる技術料の実費が保障されたり、三大疾病になった場合にまとまった額の保険金が給付される商品もあります。
こういった医療保険に加入して子供の病気や怪我に伴う経済的リスクに備えておけば、経済的事情のために治療法の選択肢が限られてしまう、といった事態を防ぐことができるでしょう。
関連ページ:どの医療保険がおすすめ?人気ランキングはこちら
各自治体が行う子供の医療費助成制度とは
子供の医療費に対しては、公的医療保険以外に、各自治体による医療費助成制度もあります。
医療保険の保障内容は十分なものであることが大切ですので、自分が利用できる制度にはどのようなものがあるのか、正しく把握しておきましょう。
子供の医療費の自己負担割合は2〜3割
子供の医療費は公的医療保険を使うことにより、自己負担割合を以下のように抑えられます。
義務教育就学前 | 2割 |
義務教育就学後 | 3割 |
ココがポイント
また、医療費が高額になった場合は高額療養費制度を使うことで、1ヵ月あたりの自己負担額を一定限度額内に抑えられます。
1ヵ月あたりの医療費自己負担限度額は、収入によって異なります。
住む地域によって異なる子供の医療費助成制度
子供の医療費の自己負担割合は2割ないし3割ですが、この自己負担分についても医療費助成制度を利用することで、負担をさらに軽減することが可能です。
']ココに注意
ただし、子供の医療費助成制度は各自治体によって運営されているため、対象となる子供の年齢や助成を受けられる額、所得制限の有無や額など、住む地域によって制度の内容に違いがあります。[/balloonTermsDescription]
たとえば、助成制度の対象となる子供の年齢に着目してみると、自治体によって以下のような違いがあります。
自治体 | 助成制度の対象年齢 |
横浜市 | 中学3年生まで |
東京都 | 中学3年生まで |
大阪市 | 18歳に達した日以後における最初の3月31日まで |
また、助成を受けられる額についても、以下のような違いがあります。
自治体 | 医療費助成額 |
横浜市 | 保険診療の自己負担分。小学4年生から中学3年生の子供の通院については1回につき500円の負担あり。 |
東京都 | 保険診療の自己負担分。 |
大阪市 | 保険診療の自己負担分。ただし、1医療機関ごとに1日当たり最大500円(月2日限度)の負担あり。 |
子供の医療費助成制度の概要については各自治体のホームページなどに記載されておりますので、自分が住んでいる地域の医療費助成制度がどのようになっているのか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
[balloonTermsDescription title='注意ポイント
最近は所得制限なしで小児医療費助成を打ち出す自治体も増えてきました。所得制限が厳しいことで知られる横浜市でも、来年度中には所得制限が廃止される見込みです。
※出典:朝日新聞 子ども医療費タダ、自治体間競争に 「最低」と言われた横浜も動いた
まとめ
日本は子供に対する医療費の助成制度が充実しているものの、入院が長期化したり、保険適用外の治療を受けたり、といった事情により自己負担額が高額になる可能性もあります。
子供の病気や怪我のリスクに備えるには様々な方法がありますが、終身医療保険に加入しておくと、安い保険料で一生涯の保障を用意できます。
医療保険への加入を検討するにあたっては、利用できる公的制度について理解しておくことも大切ですので、まずは
- 自分の子供が病気になったり怪我をしたりした場合にどのくらいの費用がかかるのか
- その費用のうち公的制度によりまかなえる額がどのくらいなのか
- 医療保険でどのくらいの備えを用意しておく必要があるのか
を具体的に考えることから始めてみましょう。