妊孕性(にんようせい)ってなに?女性のがん保険の選び方

がん治療が、将来の妊娠に影響を与える可能性があります。
この記事では女性の「妊孕性(にんようせい)」について分かりやすく解説します。
抗がん剤や放射線治療が卵子や卵巣機能に及ぼすリスクをはじめ、女性の妊娠の仕組みや女性特有のがんの生存率データを紹介します。
がんと診断された際、治療開始前に絶対に知っておくべき「妊孕性温存」の重要性と、万が一に備えるためのがん保険の必要性をお伝えします。
この記事のポイント
- 妊孕性(にんようせい)とは「将来子どもを産み育てる可能性」のことであり、がんの放射線治療や抗がん剤によって卵巣機能が低下し、妊娠が困難になるリスクがある。
- 乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがんは早期発見で5年生存率が高いため、がん治療後のライフプラン(QOL)をあらかじめ考慮しておくことが非常に重要である。
- 将来子どもを望む場合、がん治療によるダメージを受ける前に主治医へ相談し、卵子や受精卵の凍結保存といった「妊孕性温存」の可能性を検討することが不可欠である。
妊孕性(にんようせい)とは?

妊孕性(にんようせい)とは、将来、子どもを産み育てる可能性のことをいいます。
女性の場合、がんの放射線治療や抗がん剤により、卵巣機能の低下や卵子の数の減少などの影響を受ける可能性があります。
そのため、がんの治療を受けると通常よりも早く閉経する、あるいは子どもを授かることが困難になる可能性があります。
生理・妊娠のしくみ
女性は、卵巣から卵子が排卵され、受精し、子宮に着床することで妊娠します。
生理のしくみ
卵子のもとは、原始卵胞(げんしらんほう)というもので、これは、卵巣内にある卵胞(らんほう)という卵子を育てる袋の中で眠っています。
この原始卵胞は目に見えないくらいの小さなもので、胎児が生まれる時から存在し、当初の原始卵胞の数は約200万個と言われています。
そして、その原始卵胞が生理周期とは無関係に目覚め、若いときは1日平均30~40個、月に1000個ほどが育ち始め、すぐ消えてしまいます。
生まれてから月経のはじまる思春期までに、約170万個から180万個が自然に消滅し、 思春期・生殖年齢の頃には約20~30万個まで減少します。
思春期が始まり生理が始まると、卵胞細胞のごく一部が数カ月かけて18~20mmほどの目に見える大きさまで成長します。
育った卵胞細胞の中からたった1つが卵子として成熟し、月1回の周期で卵巣の壁を破って外に飛び出します。これが「排卵」です。
排卵する卵子が決まると、他の卵子はすべて消えます。
排卵されるタイミングに合わせて子宮内膜を厚くし、受け入れ態勢を整えて受精卵を待ちます。
なお、排卵のタイミングで卵子が受精しなかった場合、準備した子宮内膜がいらなくなり、はがれて体外に排出されます。これが「生理」です。
卵子は加齢とともに数が減っていきます。
卵巣で目覚める卵子も少なくなり、最後の段階まで生き残る卵子もごくわずかです。
一回の月経の周期に約1,000個が減少し、1日にすると30~40個が減り続けている計算になります。
生まれたあとは原始卵胞は増えることはなく、女性の身体の時間の経過とともに、原始卵胞も同じように歳を重ね減っていきます。
妊娠のしくみ
成熟しかけた卵子が卵巣から放出されるところまでの過程は同じです。
卵巣から放出され、卵子は卵管の中で最後の成熟の段階を経ながら、卵管を下り、その途中で精子と出会い受精します。
受精すると、卵子の核・精子の核が融合し、染色体が細胞分裂を繰り返し始め、最終的には桑実胚(そうじつはい)と呼ぶ状態になります。
卵の中の細胞は均等ではなくなり、それぞれの場所に応じた性質の変化が現れ、細胞が分化し始めます。
最初の大きな分化が胚盤胞の形成となり、このタイミングで子宮に着床することになります。
なお、歳を重ねると、卵子の質の低下が起きるため不妊の原因のひとつとされています。
胎生期に産生され卵巣に蓄えられた卵子は、そのまま再生されることなく、本人とともに歳を重ねて老化し、染色体異常も増えてきます。
加齢による妊娠率の低下、流産率の増加に繋がり、結果として年齢が上がるにつれて妊娠・出産が困難なものになっていきます。
関連記事:AYA世代のがんの傾向とは?がんのデータから女性のがん保険の必要性を解説
女性特有のがんの生存率はどれくらい?
生存率(せいぞんりつ)とは
生存率とはがんの診断から一定期間後に生存している確率のこと。
がん診断やがんの治療の進歩により、がんの5年生存率は大幅に改善したことも最近のニュースでも話題になっていたので、ご存知の方が多いかと思います。
一般的に、生存率は百分率(%)で示されます。
がん患者の生存率は、がん患者の治療効果を判定する上で、最も重要かつ客観的な指標です。
生存率は診断から何年経ったのか、時間の経過で異なってきます。
部位別生存率を比較する場合やがんの治療成績を表す指標として、5年生存率がよく用いられています。
がんが治療等で消失し、表面上治ったように見えたとしても、再発・転移している場合があります。
ただし、目安として、治療後5年の間に再発がなければ、その後の再発はまれであるため、便宜上5年生存率を治癒率の目安としています。
目的に応じて、1年、2年、3年、5年、10年生存率が用いられます。
生存率は、計算する対象の特性(性別や年齢)、進行度(早期のがんか進行したがんか)や、計算する対象の選び方(外来患者さんを含めるか、入院患者さんだけか、来院した患者さんをすべて含んでいるかなど)に大きく影響を受けます。
そのため、複数の施設(病院)を比較したり、いくつかの部位を比較する場合は、どのような対象について生存率を計算しているか注意する必要があります。
以下はがん研究センターが2019年12月14日に発表したがんの5年生存率のうちの女性特有のがんの相対生存率 ※ です。
■ 2010-2011年5年相対生存率
女性の乳がん | 子宮頸がん | 子宮体がん | |
|---|---|---|---|
全体 | 92.2% | 75.0% | 82.2% |
ステージ1 | 99.8% | 95.0% | 96.8% |
ステージ2 | 95.7% | 79.6% | 91.7% |
ステージ3 | 80.6% | 62.0% | 72.8% |
ステージ4 | 35.4% | 25.0% | 22.3% |
女性特有のがんは部位が女性特有のものであり、また、妊孕性の問題に直接的に関わるものですが、表から非常に予後が良いことがわかります。
ただし、これはあくまでも5年相対生存率の話であって、がんを克服した後の生活の質(QOL)について保障する数値ではありません。
がんと診断された女性の中には、 将来子どもをもつことを望む方もいることでしょう。
がんと診断されたら「妊孕性の保存」も検討を
女性特有のがんだけでなく、どの部位のがんであっても、がん治療は妊孕性に関係してきます。
放射線治療、抗がん剤の影響で卵巣機能が低下したり卵子の数が減り、通常よりも早く閉経する、あるいは子どもを授かることが困難になることもあります。
せっかく、がんを克服しても、こどもを望む人にとって、その可能性がなくなってしまうことはできる限り避けたいことでもあります。
また、小児や若年者は、将来について考えることは難しいかもしれませんが、考えることが難しいからこそ、がんと診断された段階で将来の選択肢を狭めないようにするということは重要です。
将来の選択肢を狭めないために、がん治療を開始する前に妊孕性を温存することが大切です。
しかし、病状や治療の状況によっては、妊孕性温存が困難なこともあります。
万が一、がんと診断された場合には、がん治療に関して考えると同時に、できるだけ早く妊孕性温存に関して主治医(腫瘍専門医)に相談するようにしましょう。
関連記事:男性の妊孕性(にんようせい)に影響するがん治療-妊孕性温存のための費用と男性のがん保険の必要性とは?
まとめ
将来子どもを授かる可能性を残す「妊孕性の温存」は、本格的ながん治療を開始してからでは間に合わないケースが多くあります。
だからこそ、診断を受けたらご自身の希望を早めに主治医へ伝え、治療と並行して選択肢を探ることが大切です。
また、こうした予期せぬ事態に直面した際、経済的な理由で選択肢を狭めないためにも、健康なうちからがん保険などでしっかり備えておくことをおすすめします。
妊娠・出産、不妊症については下記の記事も参考にしてみてください。





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