がん保険|がんになった時の子どもの教育計画への影響
もしも自分が、あるいは配偶者が、がんと診断されたら家族はどうなってしまうのだろう?
こうした不安を持つ方も少なくないのではないでしょうか。
とりわけ教育資金や学費が必要となる子どもがいる家庭では、世帯主や配偶者ががんに罹患した際の子どもへの影響を心配する方が多いと言われています。
では、実際にどんな影響が発生するのでしょうか。
今回は一般社団法人キャンサーペアレンツ×ライフネット生命保険共同調査「子育て世代のがん患者における教育費に関する調査」をもとに、親ががんに罹患した家庭における子どもの教育計画への影響と保険の重要性をご紹介します。
「教育計画に影響があった・あると考えている」が5割強
一般社団法人キャンサーペアレンツ×ライフネット生命保険が、子どもを持つがん患者398名を対象に実施した共同調査「子育て世代のがん患者における教育費に関する調査」によると、「がんに罹患したことでその後の子どもの教育計画に影響があったか(今後影響があると考えているか)」に対する回答(複数回答)は以下の通りでした。
- 影響があった・・・・・・・・・・・22.1%
- 今後影響があると考えている・・・・31.7%
さらに上記の「影響があった・あると考えている」世帯の子どもの年齢を見てみると、「13歳以上18歳以下」が最も高く、傾向として中学生から高校生の子どもへの影響が大きいことがわかりました。
中学生から高校生といえば受験シーズン真っ只中で、中学生は高校受験、高校生は大学・専門学校受験を控えており、塾や予備校、家庭教師など、なにかと教育資金がかさむ時期です。さらに親が塾や習い事への送迎を行うなど、教育にまつわる諸費用がかかることも抑えておきましょう。
子どもの教育計画への具体的な影響は大きく分けて2つ
続いて、親ががんに罹患したことで、実際に子どもの教育計画にどんな影響があったのか、具体的に見ていきましょう。
経済的に厳しくなる
子どもの教育計画への具体的な影響として最も大きな要素は、経済的に厳しくなることです。
まず、最初のがん告知(診断)前の世帯年収と、最初のがん告知(診断)後に一番下がったタイミングでの世帯年収を比較してみましょう。
N=398
※調査結果をもとにマガジン編集部で独自に作成
上記の通り、がん告知(診断)前後の世帯収入を比較すると、告知後の変化は、
- 300万円未満および300万円以上600万円未満の割合の増加
- 600万円以上の割合の減少
であることがわかります。
世帯収入が減少する主な理由には、
- 治療のために休職する、もしくは、短時間勤務に切り替える
- やむを得ず退職し治療に専念する など
がんに罹患する前のように仕事ができなくなることがあげられます。
世帯主が働き、配偶者が家事や育児を担っている家庭における世帯主のがんのリスクの大きさはもちろんですが、配偶者が罹患した場合でも世帯主が家事や育児、入院・通院のサポートを行うことが多いため、収入の維持が難しくなります。
これは共働きの家庭でも同様で、
ココに注意
がんに罹患する前の収入を保つことが困難になることを覚えておきましょう。
子どものサポートが困難になる
経済的に厳しくなる一方、物理的に子どものサポートが困難になるという面も、教育計画への影響として多くを占めています。
具体的には、
- 「送迎が困難なため、始めようとしていた習い事を諦めさせた」
- 「学校の親子イベントに参加できなかった」 など
親のサポートや参加を断念せざるを得ない状況がうかがえます。
また、前項の「経済的に厳しくなる」にも関連しますが、
- 「勉強に専念していた子どもにアルバイトを始めてもらった」
- 「金銭的に苦しいため、習い事を辞めさせた」
- 「私学に通っていたが学費の支払いが困難で転学させた」
- 「自宅から通える範囲の公立校を目指してもらい、塾にも通わせなかった」 など
子どもの進路や生活サイクルを変える苦渋の決断も少なくないようです。
ココに注意
がんに罹患すると経済的だけでなく物理的に送迎などを含めた子どものサポートが困難になることもあります。
教育計画への影響がなかった世帯は備えやサポートでカバー
一方、「がんに罹患したことでその後の子どもの教育計画に影響があったか(今後影響があると考えているか)」に対し、
「影響はなかった」と回答した世帯が53.5%
にのぼりました。
なぜ影響がなかったのでしょうか。
その理由として考えられるのが、
- 「がんに対する備え(医療保険・がん保険・生命保険・貯蓄など)が十分にあった」
- 「親世代からのサポートがあった」
- 「子どもが未就学児である(教育計画に影響のない年齢)」 など
です。
ただし、がん患者の親世代である、子どもにとって祖父母からのサポートが受けられる環境だったとしても、支援を受けることで親の老後資金などを減少させてしまうため、なるべく自分たちで事前に準備しておくことが重要です。
また、がんに罹患した時点で子どもが未就学児だったとしても、がん治療が長引くケースを想定すると、先々の教育資金への影響は考慮しておかなくてはいけません。
いずれにしても自助努力は必須と考えておきましょう。
なお、病院や薬局で支払う金額が自己負担限度額を超えた場合、超えた金額が後で払い戻され、医療費支払いの自己負担が軽くなる高額療養費制度など、あらかじめ利用可能な制度を覚えておくことも大切です。
もしものときのために常に情報を確認しておきましょう。
ココがポイント
がんに対する備えとして準備しておきたい保険の重要性
前項で触れた通り、がんに対する備えには貯蓄とともに保険があります。
教育資金や先々の生活費などにも活用できる貯蓄に対し、毎月定められた保険料を支払うことで、所定の診断給付金や入院・手術給付金、通院給付金などが受け取れるのが保険の魅力です。
公的制度の高額療養費制度でカバーできる部分もあるとはいえ、がんの治療には治療費だけでなくあらゆる面で出費がかさみます。
収入が減少するにも関わらず、治療費に加え入院・通院にまつわる諸経費がかかり、通常の生活サイクルが崩れることから生活費もかさみます。
入院せず通院治療のみの場合でも、通常の日常生活が送れるようになるまでには時間がかかり、基本的には症状が安定するまで自宅安静が求められます。
また、高額療養費制度を活用するにしても、差額ベッド代や入院中の食事の自己負担分などは対象外なので、ある程度のまとまった金額が必要です。
こうした事態をカバーするためには、がん治療に特化したがん保険をはじめ、生命保険や医療保険の活用がおすすめです。
加えて、特に自営業者は働けない期間の生活費のカバーに就業不能保険を検討してみてはいかがでしょうか。
子どもの教育計画への影響が心配な世帯は、学資保険であらかじめ教育資金を準備しておきましょう。
万が一の事態に備え、最適な保険の検討を
医療技術の進化に伴い、がん患者の治癒率や生存率が上がっており、がんは治る時代と言われるようになりました。
ただし、今回ご紹介した通り、まとまった治療費や治療に伴う諸費用の捻出、収入減少に加え生活費の圧迫により子どもの教育計画への影響が懸念されます。
万が一の事態に備え、まずは保険の検討をしてみてはいかがでしょうか。
専門家のアドバイスが必要な方は独立系FPに相談してみましょう。