医療保険の保障対象になる三大疾病って何?普通の三大疾病とは違う?注意したいことを解説!
日本人の死因の上位に君臨するがん・心疾患・脳血管疾患の病気3つはまとめて三大疾病(さんだいしっぺい)と呼ばれています。
本記事では、一般的な用語としての三大疾病と、医療保険で保障される三大疾病との違いや、三大疾病を保障対象にする生命保険の特約について解説します。
日本人の死因上位である三大疾病とは
がん・心疾患・脳血管疾患の3つの病気は、一般的に三大疾病(さんだいしっぺい)と呼ばれています。
数ある病気の中でこの3つの病気が特別扱いされている理由は、日本人の死因で常に上位を占める誰もがかかりうる病気であるからです。
厚生労働省が2022年に行った調査では、日本人の死因の4位以内に三大疾病がすべてランクインし、その死亡率の合計は46.3%となりました。亡くなった日本人のおよそ半数が三大疾病を死因としています。
順位 | 死因 | 死亡数 | 全死因に占める割合 |
---|---|---|---|
1位 | 悪性新生物<腫瘍>(がん) | 385,797人 | 24.6% |
2位 | 心疾患 | 232,964人 | 14.8% |
3位 | 老衰 | 179,529人 | 11.4% |
4位 | 脳血管疾患 | 107,481人 | 6.9% |
5位 | 肺炎 | 74,013人 | 4.7% |
6位 | 誤嚥性肺炎 | 56,069人 | 3.6% |
7位 | 不慮の事故 | 43,420人 | 2.8% |
8位 | 腎不全 | 30,739人 | 2.0% |
9位 | アルツハイマー病 | 24,860人 | 1.6% |
10位 | 血管性等の認知症 | 24,360人 | 1.6% |
三大疾病の入院・治療の傾向
三大疾病は死亡率が高く、治療や入院も長引く傾向があります。
脳血管疾患の入院日数は平均でおよそ2か月半です。全患者の入院日数の平均がおおよそ1か月であることから、比較的長期であることがわかります。また、脳血管疾患は体の麻痺などの後遺症が残ることも多く、リハビリなどで治療期間が長期となることも想定されます。
また、がんの入院日数は年々短くなる傾向にありますが、そのかわりに通院による治療期間が長くなっています。長期間入院せずに通院のみで治療を行うというケースも増えており、がんの治療は他の病気に比べても長期戦になります。
一般的な「三大疾病」と医療保険の「三大疾病」は違う?!
三大疾病はリスクの大きな病気のため、医療保険で三大疾病に備えることができます。三大疾病(特定疾病)の保障を特に手厚くした保険もあれば、各種医療保険や生命保険に三大疾病に対する保障を付加できる特約もあります。
ただし、医療保険における三大疾病の定義には気をつける必要があります。一般的な「三大疾病」と、医療保険でいうところの「三大疾病」は必ずしも一致するとは限らないからです。
医療保険で保障される「心疾患」とは?
たとえば心疾患は、一般的には狭心症や急性心筋梗塞など心臓に関わるさまざまな病気が含まれます。しかし、医療保険の保険金が支払われる要件が「急性心筋梗塞」のみと定められている場合、保障の対象は急性心筋梗塞に限られます。
なお狭心症もかかる人が多い心疾患ですが、上記のように要件が定められている場合、医療保険の補償対象からは外されてしまうのです。
医療保険で保障される「脳血管疾患」とは?
医療保険では、「脳卒中」の表記もよく見かけます。しかし、医療保険における脳卒中とは脳血管疾患の中の「脳出血・くも膜下出血・脳梗塞」の3つを指し、それ以外の脳血管疾患は含まれないことが大半です。
三大疾病保険とは
三大疾病保険は三大疾病に保障の的を絞った生命保険です。
一般的に多くの保険会社にて、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病を一時金の支払い対象としています。また、三大疾病保険は定期・終身から選べる商品が多いため、三大疾病にならなくても死亡すれば死亡保険金が出るしくみになっています。
関連記事:生命保険は終身(貯蓄型)・定期(掛け捨て)どちらがおすすめ?違いを比較
三大疾病保険は支払い要件に注意!
三大疾病保険で注意しなければならないことは、「病気になれば給付金を受け取ることができる」という通常の図式が当てはまらないことです。保険会社が定めた「所定の状態」になった場合に給付金を受け取ることができます。では、所定の状態とはどういう状態を指すのでしょうか。
三大疾病保険で保障される「所定の状態」とは?
まず、がんについては悪性新生物(細胞の深いところまで浸潤した悪性の腫瘍)と診断を受けることを、保障の条件に指定している保険会社が大半です。
また、急性心筋梗塞と脳卒中については、保障対象になるには初めて診察を受けた日から60日以上の労働制限期間を設けたり、重度の後遺症がある場合といった条件があることがほとんどです。症状がかなり深刻でないと給付金を受け取ることができないと考えておきましょう。
三大疾病を保障する特約
現在では三大疾病に対応した特約も多いため、すでに医療保険等に加入している場合も、それらの特約を付加することで三大疾病に備えることも可能になりました。以下が代表的なものですが、ひとくちに三大疾病を保障するといっても、特約の場合は内容がさまざまなので注意する必要があります。
三大疾病で保険料の払い込みが免除される特約
医療保険や生命保険には、がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中にかかり所定の状態になると、以後の保険料が一切免除される特約があります。保険料の払い込みが完了したと見なされるため、以後の保険料を負担しなくても保障が続くというメリットがあります。
三大疾病の診断で一時金が給付される特約
三大疾病保険と同じように三大疾病と診断されると一時金の給付が受けられる特約です。支払いの回数は1年に1回や2回など、保険会社や商品によって異なります。
三大疾病による入院給付金の支払い限度日数を延長できる特約
通常の医療保険では、給付金を受け取ることができる入院の限度日数が「30日型」や「60日型」のように決められています。しかし、三大疾病を理由とした入院であれば限度日数を延長できる特約もあります。
また、最近では医療保険の主契約にあらかじめ三大疾病の保障が組み込まれたものあります。時代のニーズに合わせ、これから三大疾病に関わる保障が充実した保険商品や特約が登場することが予想されます。
まとめ
紹介してきたように、三大疾病に焦点を当てた保険商品や特約にはさまざまなものがあります。
繰り返しになりますが、一般的な三大疾病と保険会社が定める三大疾病は同一のものとは限らないことに注意しましょう。また、保障の範囲や内容、給付金の支払い要件も保険会社により異なりますので、それぞれ必ずチェックしておきましょう。もし想定していた病気が補償対象として含まれていなかった場合は、保険を見直してみるとよいでしょう。
なお最近はがん保険には入らず、医療保険に特約をつけ三大疾病をカバーする人も多くなってきました。医療保険も今は支払い要件が緩和されているものや、保障の幅が拡大されているものなどがあります。ぜひいくつか商品を比較・検討してみることをおすすめします。