死亡保険金を分割して受け取る「収入保障保険」の3つの特徴について徹底解説!「収入保障特約」との違いは?
「収入保障保険」とは、一定期間の死亡や高度障害状態を保障し、保険金を毎月分割して受け取ることができる保険です。定期保険のひとつであり、掛け捨ての保険です。本記事では、「収入保障保険」の3つの特徴の説明と、「収入保障特約」の違いについてわかりやすく解説いたします。
本記事のポイント
- 収入保障保険は、一定期間の間に被保険者が死亡したり高度障害状態になった場合に保険金を受け取れる掛け捨ての死亡保険
- 保険金を毎月分割して受け取ることで、金銭感覚がマヒせずにやりくりできる
- 死亡保障額の合計は契約してから時間が経つにつれて減っていく
一定期間の死亡を保障する
収入保障保険は定期保険の仲間です。一定期間の死亡や高度障害状態を保障し、貯蓄性はなく、保険料も掛け捨てです。よく似ていますね。もっとも、定期保険は契約を更新していく更新型が多いのに比べ、収入保障保険には更新がありません。35歳から55歳までのように最初に決めた保険期間が満了になったら、契約は終了します。
定期保険と同様に、選ぶときは保険料を目安にしていいでしょう。喫煙の有無、血圧やBMIといった健康状態に応じて保険料が変わるリスク細分型を採り入れた収入保障保険もたくさんあります。健康に自信がある人はリスク細分型をチェックしてみてください。基準をクリアできれば保険料が大幅に割り引かれるかもしれません。
人間は年齢が上がるにつれ、死亡するリスクが高まります。そのため、加入時の年齢が高いほど保険料は高くなります。とはいえ、近ごろは40歳より50歳のほうが若干安いものも見受けられますので、いくつかの商品を比較しましょう。
保険期間の決め方は、目的によって変わってきます。万一のことがあっても子どもが生活に困らないためにという場合は、子どもが成人するまで、あるいは社会人になるまでといった考え方ができます。いやいや妻の生活が気掛かりだというのなら、妻本人の年金が出るまでを保険期間にする方法もあると思います。
保険金をお給料のように受け取る
収入保障保険には大きな特徴が2つあります。
ひとつは保険金を毎月分割して受け取るスタイルになっていることです。これ、けっこう大事なポイントなんですよ。一度にドンっと大金を手にすると金銭感覚がマヒしてしまい、あれも欲しい、これも買えるとなりがちです。そんなふうに浪費していたら、子どもの学費が必要な時期に「お金がない!」なんて事態もありえます。その点、収入保障保険なら月々10万円や15万円と決まっていますから、使いすぎる心配がありません。つまり、お給料と同じ感覚でやりくりできるのです。
ただし、税金については少々注意してください。
通常、保険金にも税金がかかってきます。一括で受け取る死亡保険金は相続財産と見なされ相続税の対象となりますが、法定相続人1人当たり500万円までは非課税です。一方、収入保障保険のように年金形式で受け取る保険金は、雑所得の扱いになります。遺族の収入と年金を合わせて一定額を超えると、所得税がかかってくる可能性があります。
なお、保険金の受け取り方は年金タイプのほか、一時金タイプ、年金と一時金を併用したタイプなど、商品によってさまざまですので、遺族が受け取りたいであろう方法と税金についてはセットで確認しましょう。
年数の経過とともに保障は小さくなる
もうひとつの特徴は、年数を経るにつれ保障額の合計がだんだん減っていくことです。ここでいう保障とは毎月の年金額ではなく、受け取り総額を指します。具体例で説明しましょう。
35歳のAさんは保険期間20年(55歳まで)で、年金月額10万円の収入保障保険に入りました。Aさんの死亡時期を変えて、22つのパターンを比べてみます。
保険期間は20年残っています。
10万円 × 12ヶ月 × 20年 = 受け取り総額 2,400万円 ( 受け取れる回数240回 )
保険期間の残りは5年です。
10万円 × 12ヶ月 × 5年 = 受け取り総額 600万円 ( 受け取れる回数60回 )
おわかりいただけましたか。このように元気で過ごされる期間が長ければ、万一の際に年金を受け取れる期間がしだいに短くなるしくみなのです。保障は加入当初がいちばん大きく、右肩下がりに小さくなっていきます。
「保険期間が終わる直前で亡くなったら、ほとんどゼロ?」と言った不安は、当然ありますよね。そうした不安に応えて、満了間際での死亡に対しては、2年や5年といった保証期間を設けていることが一般的です。したがって、保証期間の間は遺族は契約で定められた年金を受け取れます。なお、中には保証期間がない商品もありますので注意しましょう。
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「収入保障保険」と「収入保障特約」との違い
保険はメインの保障である主契約と、オプションとしてつける特約でできています。主契約は単体で加入できますが、特約は主契約にセットする形になります。ここまで見てきたのは、主契約としての収入保障保険です。
特約の中にも、収入保障保険に相当するものをオプションでつけられる収入保障特約というものが存在します。
収入保障特約とは
収入保障特約(しゅうにゅうほしょうとくやく)とは、死亡保険に付加することで、被保険者が死亡や高度障害になった場合、保険金を分割形式で受け取ることができる特約で、遺族の生活費を保障することを目的としている。一括で受け取る場合よりも総額は多くなり、分割受け取りできるため浪費せず生活費として使える点が特徴。また、「生活保障特約」や「家族収入特約」とも呼ばれる。
収入保障特約では、上記の収入保障保険のように受け取り総額が徐々に減っていく逓減型のほか、「保険期間中に死亡したら、その時点から毎月◎万円を10年間支払う」といった確定年金型もあります。
毎月10万円を10年間もらう設定では、受け取り総額は 10万円 × 12ヶ月 × 10年 = 1,200万円 になります。
確定年金型では、加入直後に死亡しても、5年目で死亡しても、受け取り総額は1,200万円と変わりません。また、自動更新されるタイプもあり、その場合は更新時の年齢に応じて保険料が上がります。
収入保障保険は一定期間の死亡を保障する保険です。保険金を毎月のお給料のように分割して受け取れ、時間の経過とともに保障が減っていくところが特徴です。なお、収入保障特約もありますが、中には、受取る年数が確定されているタイプもあるので、受取期間や年数は注意しておきましょう。
まとめ
収入保障保険は、一定期間の死亡や高度障害状態を保障する定期保険の一種です。保険料は掛け捨て型で、保障額が徐々に減少していく逓減型が一般的です。適切な保障額と保険期間、リスク細分型や保証期間を考慮して、保険商品を選びましょう。