生命保険(死亡保険)

生命保険(死亡保険)はいらない?不要と言われている理由や必要性がある人・ない人を解説

「生命保険(死亡保険)はいらない」という記事をインターネット上で見かけたり、youtubeなどの動画で見たことはありませんか?その影響で「自分には生命保険(死亡保険)はいらない」とお考えになる方もいらっしゃるでしょう。

はたして、生命保険(死亡保険)は本当に必要ないものなのでしょうか?生命保険(死亡保険)の加入については、その人の家族構成や加入している社会保険、資産状況を踏まえて慎重に判断する必要があります。

本記事では、生命保険(死亡保険)がいらないといわれる理由や生命保険(死亡保険)の必要性が低い人・高い人について解説します。

生命保険(死亡保険)がいらないと言われている理由

一般に、生命保険(死亡保険)がいらないとされる主な理由は下記の3つです。

  • 社会保険を含めた社会保障制度が充実している
  • 死亡などの確率が低いので、保険を利用する可能性が低い
  • 預貯金でまかなえばいい

ココに注意

なお、医療保険と生命保険(死亡保険)は全くの別物です。

生命保険(死亡保険)は、被保険者が死亡したもしくは保険会社所定の高度障害状態になった場合に死亡保険金が死亡保険金受取人に支払われる保険です。遺族、残された家族の生活費を残すことが主な加入目的となります。

医療保険は、被保険者が病気やけが等をし、治療のために入院・手術等の医療費が発生した場合に、医療費の自己負担部分を補うことが目的の保険です。そのため、入院給付金や手術給付金などを受け取ることになります。

社会保険を含めた社会保障制度が充実している

日本には、いわゆる公的年金と表現される、国民年金保険・厚生年金保険という社会保険制度があります。

これは老後の老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)を受けとるためだけのものではありません。

加入者が障害を負った場合であれば障害基礎年金および障害厚生年金を、所定の条件を満たす加入者が亡くなった場合は、遺族の生活費を補助するための遺族基礎年金および遺族厚生年金を受け取ることが可能です。

なお、国民年金はフリーランスや個人事業主、自営業者、専業主婦、学生などが加入対象で、厚生年金はいわゆる会社員や公務員が対象となっています。

国民年金から給付される遺族基礎年金の場合、所定の条件は18歳未満のこどもがいることが前提となります。

※出典:日本年金機構 遺族年金

さらに、老後の公的年金同様、十分な生活費を受け取れるとは限らず、万全ではありません。

公的年金の仕組みを理解したうえで、保険の必要性の有無を判断する必要があります。

関連記事:
保険とは?社会保障制度と社会保険との関わりについて
生命保険(死亡保険)|遺族基礎年金・遺族厚生年金とは?誰がもらえる?金額はいくら?

死亡などの確率が低いので、保険を利用する可能性が低い

令和3年簡易生命表の概況によると、20歳の男性の死亡率は0.00042人(1千人あたり)、女性の死亡率は0.00024人(1千人あたり)です。

男性(抜粋)

年齢 死亡率 平均余命
10歳 0.00006 71.70
20歳 0.00042 61.81
30歳 0.00052 52.09
40歳 0.00092 42.40
50歳 0.00242 32.93
60歳 0.00627 24.02

女性(抜粋)

年齢 死亡率 平均余命
10歳 0.00005 77.78
20歳 0.00024 67.87
30歳 0.00030 58.03
40歳 0.00056 48.24
50歳 0.00142 38.61
60歳 0.00284 29.28

※出典:厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況

死亡率が低いので、生命保険(死亡保険)はいらない、不要だとお考えになる方もいらっしゃるようです。

そもそも、生命保険(死亡保険)は低い確率の万が一が起きた場合に備えるための保険です。ご自身が亡くなったあとのご家族の生活費を、遺族年金や預貯金でまかなえるのであれば不要だといえます。

預貯金でまかなえばいい

必要死亡保障額を計算してみて、預貯金でご家族の生活費をまかなえるのであれば、生命保険(死亡保険)の加入は不要です。

関連記事:生命保険の必要保障額を自分で簡単に計算する方法

生命保険(死亡保険)のメリット・デメリット

生命保険(死亡保険)のメリット・デメリットは下記の通りになります。

生命保険(死亡保険)のメリット

メリット

  • 万が一に備えることができる
  • 相続税対策に活用できる
  • 生命保険料控除制度が利用できる

万が一に備えることができる

預貯金ではカバーしにくい、高額になりがちな必要保障額を、比較的割安な手数料で備えられます。残される家族のための生活費を確実に確保することができます。

相続税対策に活用ができる

保険金の非課税枠を利用しつつ、死亡保険金は死亡保険金受取人の固有の財産となるため、通常の相続とは別に、資金を残したい人に確実に残すことができます。

相続税は現金納付となるため、相続税の納付資金に充てるということや、相続財産が不動産で遺産分割がしづらい時に、死亡保険金で分割をする等の活用方法が考えられます。

ココに注意

死亡保険金受取人が相続人以外の人の場合、保険金の非課税枠の利用することはできず、相続税の2割加算の対象となるためご注意ください。

生命保険料控除制度が利用できる

生命保険に加入して支払う生命保険料は、保険料の一定額を所得から控除できる「生命保険料控除制度」の対象となります。保険料の一定金額が所得税と住民税から控除され課税される所得を減らす(節税する)ことができます。

生命保険(死亡保険)のデメリット

デメリット

  • インフレリスクの可能性がある
  • 保険料という固定支出が増える

インフレもしくはデフレリスクの可能性がある

基本的に生命保険(死亡保険)はある程度の長期期間の保険契約となることが多いです。

また、契約時に定めた死亡保険金保障額は変動しないため、契約時のときの貨幣価値と、万が一が起きた時点の貨幣価値が変化している可能性があります。

インフレやデフレにより貨幣価値が変わっていた場合、死亡保障額に過不足が生じることも考えられます。

契約内容の見直しをすることで対応は可能です。

保険料という固定支出が増える

生命保険に加入することで、万が一に対して経済的保障と心理的に安心を手に入れることができますが、家計という視点で見た時に保険料という一定の固定支出が増えることになります。

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生命保険(死亡保険)に入っていないとどうなる?

個人個人で異なってくるため、一概には言えませんが、家族がいらっしゃる場合には、一般的に遺された家族が経済的に困窮する可能性が考えられます。

関連記事:「万が一」に備える生命保険は、3つの判断基準で見つけよう

生命保険(死亡保険)の必要があまりない人とは?

こんな方におすすめではない

  • 独身の人
  • 十分な預貯金がある人

独身の人

収入によって生活をしている家族・パートナー等がいないのであれば、独身の人は、葬式代・埋葬料などを含んだ死後整理費用(100〜200万円)があればよいでしょう。

十分な預貯金がある人

必要保障額をカバーできる程度に十分な預貯金がある人であれば、生命保険は不要です。

生命保険(死亡保険)の必要性がある人とは?

こんな方におすすめ

  • こどもがいる人
  • 十分な預貯金がない人

こどもがいる人

ご家族がいる、特に、こどもがいる人については、生活費だけでなく、教育費を含めた形で必要保障額を計算すると高額になりがちです。預貯金ではカバーしきれない可能性が高いので、生命保険(死亡保険)を利用して、必要な期間だけ死亡保障を備えましょう。

十分な預貯金がない人

預貯金で必要保障額をカバーしきれない場合は、必要最小限度の保障額で、生命保険(死亡保険)を利用して死亡保障を備えましょう。

関連記事:生命保険の賢い選び方のコツ|家族構成別(共働き夫婦・専業主婦夫世帯・子どもあり)編

預貯金がいくらくらいあれば生命保険(死亡保険)に加入しなくても大丈夫?

いくらくらいの金額が預貯金としてあれば生命保険(死亡保険)に加入しなくてもいいのかという部分についても、個人個人によって異なるため、やはり一概に言えません。

目安としては以下の通りです。

  • 独身の方:生活費に困る家族がいないのであれば、死亡後の死後整理費用として100万円〜200万円程度。
  • 既婚でこどもがいる、もしくは生活費が必要な家族がいる方:500万円〜(お子さんの年齢によって変化します)

関連記事:生命保険の必要保障額を自分で簡単に計算する方法

まとめ

生命保険(死亡保険)は残される家族の生活費を確保するために加入することが多い保険です。

自分が死亡して生活に困る家族がいる場合には、生命保険(死亡保険)の加入を検討をおすすめします。まず、必要保障額がいくらなのかを知るところから始めましょう。

生活費に困る家族がいないのであれば、生命保険(死亡保険)の必要性は低いので、その場合は、自分のための保険、病気やけがの医療費をサポートする医療保険や、高額になりがちながん治療をサポートするがん保険、働けなったときの収入減少に備える就業不能保険などを検討しましょう。

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