火災保険は一度使うともう使えない?火災保険を使う際の注意点や保険金(給付金)の請求方法も解説
台風などで被害を受けた自宅の修繕のために、火災保険の保険金(給付金)を請求したいが、次に台風で被災したり、火災に遭った時には火災保険が使えなくなってしまうのではないか、という不安を抱く人も多いのではないでしょうか。
この記事では、火災保険の保険金を請求する際の注意点や、保険金の請求方法について解説します。
火災保険とは
火災保険とは、建物や家財が損害を受けた時に補償してくれる保険です。補償も手厚く、補償範囲も広いのが特徴です。
火災保険の補償対象
火災保険の補償対象は、「建物」と「家財」です。
下の図の通り、①建物のみの場合、②家財のみの場合、③建物と家財両方の3つのパターンから、自分で補償の対象を選ぶことになります。
火災保険の補償内容
火災保険の補償内容は、以下の通りです。ただし、いずれも無条件で補償されるわけではないので注意が必要です。
- 火災、落雷または破裂・爆発
- 水濡れ
- 水災
- 風災
- 盗難
- 雹災(ひょうさい)・雪災
- 破壊・爆発
- 落雷など
火災保険の3つの特徴
火災保険の特徴は3つあります。
- 火災保険は使っても保険料が上がらない
- 一回で受け取る保険金額が上限の保険金額に相当しない限り何度でも申請が可能
- 受け取った保険金の使い道は自由
関連記事:火災保険の基礎知識
火災保険を使う場合の注意点
火災保険の保険金を請求をする際には、以下のポイントに注意するとよいでしょう。
- 地震および地震を原因とする災害は補償の対象外
- 補償対象の建物・家財が全損で保険金請求した場合、火災保険の契約は終了する
- 保険金受取後に被害箇所を修理しないと再度同じ箇所の保険金請求をすることができない
- 給付金の受け取りは平均30日前後かかる
- 保険会社の調査により保険金を受け取れない可能性もある
- 悪徳業者による詐欺行為に巻き込まれるリスクがある
被害箇所を修理しなかった場合、再度被害に遭った際に同じ箇所の申請はできないことと、給付金の支払いは平均30日前後~長いと2ヶ月以上かかるケースもあることが、主な注意点です。
地震および地震を原因とする災害は補償の対象外
地震および地震を原因とする災害によって自宅に被害を受けた場合、火災保険では保険の対象外です。別途、地震保険への加入が必要です。
関連記事:地震保険の必要性とは?保障内容や実際の加入率からマンション・戸建ては地震保険に入るべきか解説!
補償対象の建物・家財が全損で保険金請求した場合、火災保険の契約は終了する
火災保険の補償対象である建物や家財が火事などで完全に焼けてしまった場合は、全損という扱いになります。
契約時に定めた上限の保険金額が支払われることで、その火災保険の契約は終了します。
保険金受取後に被害箇所を修理しないと再度同じ箇所の保険金請求をすることができない
例えば、Aさんが台風で自宅の屋根の一部が壊れたので、一度、保険金の請求をし保険金を受け取ったとします。しかし、保険金を受け取ったものの、屋根の修理をしませんでした。翌年、台風で同じ被害箇所がさらに壊れた場合、Aさんは火災保険の保険金の請求をできるのでしょうか?
実はこの場合、Aさんは火災保険の保険金の請求はできません。
理由としては、修理をしていないことで火災保険の重複申請としてみなされるためです。ただし、修繕が行われていた場合は、全く同じ箇所であっても火災保険の保険金請求は可能です。
保険金の受け取りは平均30日前後かかる
保険金(給付金)を受け取ることができるのは申請してから30日前後となっています。ただし、被害状況などが写真で簡単にわかるほど大きな被害の場合は給付金は早く受け取れますし、実際に鑑定人が調査をしに来る場合などは30日を超える場合もあります。
保険会社の調査により保険金を受け取れない可能性もある
火災保険の保険金申請をした際に、保険会社から調査に来た鑑定人の調査結果によっては保険金が受け取れない可能性もあります。
悪徳業者による詐欺行為に巻き込まれるリスクがある
数年前から、火災保険でリフォームが可能とうたう業者が増えています。中には、火災保険の保険金請求ができないにも関わらず、保険金請求を行う悪質な詐欺行為を行う業者もいるため注意が必要です。
万が一、詐欺行為により保険金を受け取っていた場合、返還請求などが発生するリスクは当然あります。ただ、「不正請求」を行わない限り問題にはなりませんし、大きなデメリットかは捉え方によって異なります。
火災保険を使うメリット
火災保険を使うデメリットはないと言いましたが、火災保険を使うメリットは以下のようになります。
- 被害箇所の修理やリフォームに資金を回せる(自腹が減る)
- 給付金を好きに使うことができる
火災保険は個人であれば非課税であり、受け取ったお金の使用用途も自由です。火災保険自体は、年々値上がりをしている状態であり、受け取れるのは被害にあってから3年以内という制限もあるため、注意が必要です。
被害箇所の修理やリフォームに資金を回せる
火災保険で受け取った保険金で自宅の壊れた箇所の修理が可能です。
見た目が気になる方や修繕をしたい方にとっては、給付金で被害箇所が直せるのでかなりメリットがあると言えます。また、受け取った保険金を被害箇所のリフォームの資金の一部として使うことも可能なため、より良いものにしたい際などの資金にすることも可能です。
しかし、リフォームを理由に火災保険の保険金を請求することはできないので注意しましょう。
関連記事:火災保険でリフォームは可能?火災保険の対象となる修理とは?火災保険の保険金(給付金)で知っておきたいことを解説
給付金を好きに使うことができる
火災保険の保険金を修繕に使わなかった場合は、その保険金を好きに使っても問題ありません。
実際に保険金を貯蓄や住宅ローンの返済に使う人はいます。火災保険の保険金の使い道は法的に定められてはいないため、何にでも使うことができます。ただし、本来「被災箇所を修繕するために支払われるお金」ですので、生活に支障が出るような被害は修繕をおすすめします。
火災保険を使うべきなのはこんな人
以下の2つを満たしている場合、火災保険を使うことをお勧めします。
- 自然災害による被害を受けた
- 自然災害による被害を受けてから3年が経っていない
これらを満たしている場合は火災保険を申請して保険金を受けることができる可能性があります。
火災保険の保険金請求(申請の仕方)について
火災や自然災害で住宅に損害を受けた時の火災保険の保険金の請求方法について確認しておきましょう。一般的な請求の流れを紹介します。
step1 保険会社に連絡
まず、契約する保険会社に損害を受けたことを連絡してください。契約者氏名、保険証券番号、事故内容、被害状況などを伝えることとなります。
step2 保険会社から必要書類等が送られてくる
保険会社に連絡すると、保険金の請求に必要な書類や案内が送られてきます。内容をしっかりと確認するようにしましょう。
step3 保険会社に必要書類の提出
保険会社からの案内に従って必要な書類を用意して保険会社に書類を提出しましょう。保険会社指定の保険金請求書、修理費用の見積書、被害の状況がわかる写真などが必要となります。
step4 保険会社による鑑定人の調査
鑑定人が被害状況の確認・調査を行います。調査結果と契約者からの申請書類などをもとに保険金の支払対象か審査を行い、支払われる保険金の金額が確定します。
step5 保険金の入金
保険金の金額が確定したら、契約者指定の口座に保険金が支払われます。
まとめ
火災保険を使うデメリットは全くないため、被害にあった際には保険金請求を行い、保険金を受け取ることをお勧めします。なお、保険金の請求で以降の保険料が上がることはありません。安心して火災保険を利用しましょう。
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