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前立腺がんとは?原因・症状・治療法や治療費に備えるためのポイントも解説

前立腺がんは、中高年の男性に多く見られる前立腺の悪性腫瘍で、初期には自覚症状がほとんどなく、発見が遅れることがあります。しかし、進行は比較的ゆっくりで、早期に発見できれば治療成功率も高いがんです。

この記事では、前立腺がんの原因や症状、治療法の種類、統計データを基にした発症リスク、さらには民間の保険による治療費への備え方から公的制度によるサポートまで幅広く解説します。

この記事のポイント

  • 前立腺がんは中高年男性に多く、初期には自覚症状がほとんどないため定期検診が重要である。進行は比較的ゆっくりで早期発見により治療成功率が高い。
  • 前立腺がんは監視療法、手術、放射線治療、ホルモン療法、化学療法など複数の治療法があり、ステージや健康状態に応じて最適な方法を選べる。
  • がんの治療にかかる医療費は治療法や入院・通院状況で変動するが、公的制度やがん保険、先進医療特約などを活用することで経済的負担を軽減できる。

前立腺がんとは

前立腺がんとは

前立腺がんは、前立腺肥大症とともに、中高年の男性において注意すべき前立腺の病気のひとつです。

前立腺がんの発生には男性ホルモンが関与しており、加齢によるホルモンバランスの変化が影響しているものと考えられています。

前立腺がんは主に外腺(辺縁領域)に発生します。ほかの臓器のがんとは異なり、ゆっくりと進行するため、早期に発見できれば、ほかのがんに比べて治りやすいがんであるといえます。

しかし、初期には自覚症状がほとんどないため、 発見が遅れることがあります。進行すると最終的には骨やほかの臓器にまで転移することがあるため、早期に発見し、適切な治療を行うことが大切になります。

前立腺がんの原因

前立腺がんになる発生要因は、いろいろありますが、家族に前立腺がんになった人がいるなどの遺伝や年齢、肥満、カルシウムの過剰摂取、喫煙など主な原因といわれています。

自覚症状が出にくいがんになるので定期的に検査を受けることが重要になります。

前立腺がんの症状

早期の前立腺がんの場合、自覚症状がないケースが非常に多くみられます。

自覚症状がある場合でも、尿が出にくい症状や排尿の回数が多くなる程度の症状なので、早期の前立腺がんは自分では気づきにくいケースが多くあります。

ちなみに、がんの進行度は「ステージ」によって表されます。また治療前に得た情報で判断する臨床病気診断には、「TNM分類」と「ABCD 分類」があります。

ちなみに「TNM分類」とは、Tが原発腫郷、Nが所属リンパ節、Mが遠隔転移の意味になります。

前立腺がんの治療法

前立腺がんの主な治療法は、 監視療法、手術、放射線治療、ホルモン療法、化学療法の5つになります。

治療法は1つ選択しなければいけないものではなく、複数の治療法から選択することができます。前立腺がんの主な治療法5つについて簡単に説明していきます。

① 監視療法

監視療法は、見つかったがんがおとなしく治療をしなくても余命に影響がない場合にとられる治療法になります。

監視療法では、3カ月~6か月ごとに検査を行い経過を見ていく治療法です。

② 手術

手術では、前立腺と精のうを摘出する前立腺全摘除術を行います。

手術はがんが前立腺内にとどまっており、期待余命が10年以上と判断される場合に行うことが最も推奨されています。

③ 放射線治療

放射線治療は、X線や電子線を使ってがん細胞を殺していく方法になります。

がん細胞を小さくするのに有効な治療法ではありますが、放射線治療は、体の負担が重くなる恐れがあります。

④ ホルモン療法

前立腺がんには、 精巣や副腎から分泌されるアンドロゲン (男性ホルモン)の刺激で病気が進行する性質があります。

このアンドロゲンの分泌を弱めるホルモンを投入するのがホルモン治療です。

⑤ 化学療法

化学療法は薬を注射や点滴または内服することにより、がん細胞を消滅させたり小さくしたりすることを目的として行います。

前立腺がんに関連する疾患

前立腺がんと似ている疾患として、前立腺肥大症があります。 前立腺肥大症は、高齢に伴い増える病気です。

症状は、前立腺がんの初期症状と非常に似ており、尿が出にくいことや尿の切れが悪くなることです。排尿後、すっきりしない、夜間にトイレに何度もいくなどの症状があります。

前立腺がんと前立腺肥大症は同時に発症することがあります。

統計からみる前立腺がんの発生率

前立腺がんは統計からみると、前立腺がち新たに診断される人は、1年間で10万人中約 118人です。男性では、胃がん、大腸がん、肺がんに次いで羅患率が高くなっています。

厚生労働省の「平成29年全国がん登録罹患数・率 報告」によれば、日本人男性のがん罹患数を部位別でみると、前立腺がんが全体の16.3%と最多となりました。

■ 平成29年度の日本人男性の部位別のがん罹患数

部位

罹患数

割合

前立腺

 91,215名

16.3%

 89,331名

16.0%

大腸

 87.019名

15.6%

 82,880名

14.8%

肝臓

 26,576名

4.8%

男性合計

558,869名

100.0% 

前立腺がんの罹患者は急増しており、今後さらに増加していくと予想されています。ただし、前立腺がんを発症した場合の5年後の生存率は99.1%と高く、また早期発見で根治も可能な病気です。

前立腺がんの治療費には保険でいくら備えるべき?

前立腺がんの治療費には保険でいくら備えるべき?

がんの治療にかかる自己負担額については、明確にいくらかかるとはいえません。なぜなら人によって治療方針は大きく異なるからです。

参考として、厚生労働省の医療給付実態調査によれば、入院治療費の平均はいずれも6~8万円程度入院外治療費(通院)の平均は4,000円~1万1,000円程度となっています。

なお、この金額は、公的医療保険制度を適用した後の金額です。もし想定以上に長期の入院や通院が必要となった場合には、さらに費用がかかることになるため、その点を考慮する必要があります。また、がんの種類によって、入院治療費の平均、入院外治療費(通院)の平均は異なることに注意が必要です。

最近は、 入院日数も短くなり前立腺がんの場合は手術をしても1週間かからずに逃院できるケースも多いようです。しかし、がんの治療は手術をして終わりというわけではありません。定期的に通院する必要がありますし再発してしまうことも考えれます。

よって、医療費に充てられる資産や治療方針によってもがん保険で備えるべき金額は異なります。

がん保険の場合、 がんと診断されたら50万円、100万円、 200万円程度出るものが多いので保険料との兼ね合いはありますが、一時金が100万円程度出るもので準備しておけばひとまず安心感は大きいといえます。

関連記事:がんの治療費と自己負担額は平均でいくら?手術や抗がん剤治療などの治療別に解説

前立腺がんで民間の保険から受け取れる給付金とは?

前立腺がんと診断された際に、民間の医療保険やがん保険などから受け取ることができる給付金は、主に6つあります。

① 診断給付金

診断給付金は、がんと診断されたときに受け取ることの出来る給付金です。

まとまったお金が一括で入るのでがん保険の保障の中で一番ありがたい保障になります。

② 入院給付金

入院給付金は、入院した時に受け取ることのできる給付金です。給付金は入院1日目から受け取ることが出来るタイプが一般的になっています。

また、最近は、1日でも入院したらまとまったお金がでるタイプの保険もあるようです。

③ 通院給付金

入院日数が減っていることからも分かる通り、がん治療の主流は、入院から通院に変わってきています。

通院した時に給付金が出る通院保障もぜひ検討するとよいでしょう。

④ 三大治療の給付金(手術、放射線治療、抗がん剤治療)

がん治療の主な治療法である、手術、放射線治療、抗がん剤治療を行った場合に受け取ることが出来る給付金です。

⑤ 複数回診断給付金

がんが再発してしまった時に、受け取ることが出来る給付金です。

⑥ 先進医療給付金

先進医療とは、公的保険の対象外ですが、大きな治療効果を期待することが出来る最先端の治療法になります。高い治療効果を期待することができる一方、公的保険の対象外なので治療費が全額自己負担になってしまいます。

がんになったすべての人が先進医療を受ける可能性は低いものの、いざがんになった時に、治療の選択肢を広げるためにも。先進医療特約を検討するのがおすすめです。

なお、先進医療特約の保険料は、毎月100円程度となります、

関連記事:がん保険の特約の種類はどんなものがある?特約の選び方を解説

前立腺がんで利用できる公的制度とは?

前立腺がんを患った際に利用できる公的制度には、「高額療養費制度」「傷病手当金」などがあります。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1か月間(1日から月末)の医療費が高額になったとき、自己負担限度額を超えた分が加入する健康保険制度から払い戻されるものです。自己負担限度額は年齢と収入によって個人ごとに異なります。

また、医療費を支払う前に申請により「限度額適用認定証」を取得しておけば、病院での支払いは自己負担限度額の範囲内で済みます。

関連記事:高額療養費制度は医療費がいくら以上から使える?自己負担額引き上げの可能性も?さらに医療費の負担を軽くする制度も紹介!

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガで会社を休み会社から給与が支払われない場合などに支払われる健康保険の給付です。

支給期間は最長で支給開始から1年6ヵ月、給付金額は直近1年間の標準報酬月額の2/3です。支給条件は以下の4つの条件をすべて満たすことです。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと

関連記事:傷病手当金とは?退職したらもらえない!?退職後の支給条件や計算・申請方法を解説

前立腺がんと診断されても入れる保険はある?

前立腺がんと診断された方、もしくは過去に患った方でも入れる保険は、「引受基準緩和型保険」と「無選択型保険」です。

「引受基準緩和型保険」は一般の保険より加入条件が緩く告知項目も限られています。「無選択型保険」は告知も不要です。どちらも一般の保険と比較して保険料が高く、また保障内容も制限されています。

保険会社によって異なりますが、引受基準緩和型保険の告知項目は主に以下の通りです。

  • 過去3ヶ月以内に医師から入院・手術をすすめられたことがありますか?
  • 過去2年(1年)以内に、入院・手術をしましたか?
  • 過去5年以内にがん・肝硬変と診断されたことがありますか?

また「引受基準緩和型保険」「無選択型保険」ともに医療保険や終身保険がありますので、罹患状況とニーズにあわせて商品を選択することができます。

関連記事:がん経験者でも入れる保険はある?申し込み可能な保険の種類やおすすめの選び方も紹介!

まとめ

前立腺がんは早期発見が重要であり、定期検診や自己チェックが治療成功の鍵となります。治療法には監視療法や手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法などがあり、症状やステージに応じて最適な方法を選択できます。

また、医療費の自己負担を軽減するための公的制度や、診断給付金や入院給付金などの民間の保険からの給付金を活用すれば、前立腺がんの治療費にも安心して備えることができます。

がんによる経済的な不安を最小限に抑えるために、もしがん保険への加入を検討する際には、コのほけん!の無料相談サービスもぜひご利用ください。

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