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火災保険

2024年に火災保険の保険料が値上げ!水災に関する料率も5区分に細分化 - 大手損保会社では10月より約10%火災保険料を値上げ

火災保険は災害などで住宅が被害を受けた場合に生活再建に大きな役割を果たす損害保険です。

2024年には火災保険料が全国平均で13.0%引き上げられ、水災に関する料率(以下、水災料率)も地域のリスクに応じて5区分に細分化される見通しです。大手損害保険会社より、2024年10月より火災保険料値上げを実施することも正式に発表されました。本記事では、火災保険料の値上げ率や、値上げを見すえた火災保険の見直しポイントについて解説します。

本記事のポイント

  • 2024年に火災保険料の参考純率の引き上げおよび水災料率が細分化が実施される見通し。大手損保会社4社は10月より10%程度の火災保険料値上げを正式に決定。
  • 火災保険の保険料は、建物の構造、築年数、所在地などの要素で決まり、建物の構造級別や築年数、所在地によっても変わる。
  • 2024年に行われる火災保険料の値上げは2022年以降で最大となる見込み。少しでも保険料を抑えるためには、火災保険の見直しが重要。

2024年に行われる火災保険の参考純率の改定と水災料率の細分化とは?

2023年6月28日に損害保険料率算出機構が火災保険の参考純率の改定について発表しました。

住宅総合保険の参考純率について、全国平均で13.0%引き上げ、水災料率を5区分に細分化するというものです。参考純率の改定が決定した主な理由には、近年の自然災害などによる保険金支払いの増加があります。

水災料率の細分化については、今まで全国一律であった水災料率を保険料が最も安いグループである「1等地」から最も高いグループである「5等地」までの5区分に細分化することで、契約者間の水災リスクの違いによる保険料負担の公平化などをねらいとしています。なお水災料率の細分化は市区町村単位となるため、同一の都道府県であっても市区町村により改定率は異なります。

ココに注意

参考純率および水災料率の改定により、個別具体的な火災保険の保険料がすべて値上げとなるわけではありません。

大手損害保険会社は2024年10月から火災保険料の値上げを正式決定

損害保険料率算出機構の参考純率改定を受け、損害保険会社各社では火災保険料値上げの時期を検討していましたが、このたび東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損害保険の損害保険大手4社において、2024年10月より火災保険の値上げを行うことを決定しました。各社で10%程度の値上げを予定しており、同時に水災料率の導入も決定した会社もありました。

なお、具体的に値上げの影響を受けるのは保険の始期が2024年10月1日以降である契約や、2024年10月1日以降に更改を行う契約です。2024年10月1日以前を始期とする契約の場合、契約の満期日までは改定前の保険料率が適用されます。

火災保険料を決める要素とは

火災保険の保険料は、おもに建物の構造、築年数などで決まります。

まず、建物の構造には、柱・はり・外壁等があり、素材によって燃えにくさなどに差があります。建物の構造(素材も含む)は火災のリスクの度合いに直結するため、建物の構造級別で火災保険の保険料に差が出てきます。

建物の構造は、下の図のように3種類に分類されています。M構造(鉄筋コンクリート造等で、耐火建築物)、T構造(耐火構造、準耐火構造)、H構造(M構造、T構造以外の木造など)があります。

次に建物の築年数(5年未満、5年以上10年未満、10年以上)で保険料が変わります。築年数が浅いほど、保険料は安くなりますが、一方で築年数が経っている建物については、保険料が高くなります。電気・給排水設備(台所・トイレ・風呂)などの老朽化で、火災・水濡れリスクや台風・大雪などによる損壊リスクなど火災保険におけるリスクが高い実態があるためです。

最後に、建物所在地によっても保険料は変わってきます。都道府県別に保険料の基準が設定されているためです。なお、建物所在地は今回の水災料率の改定において保険料に特に大きく影響を及ぼす要素となります。建物所在地の水災等地が1等地から5等地のいずれに該当するかは、損害保険料率算出機構が提供している水災等地検索ツールで調べることができます。

関連記事:火災保険の基礎知識

保険料の基準となる純保険料率と付加保険料率

このように複数の要素で火災保険の保険料は決まるわけですが、損害保険料の基準となる損害保険料率は「純保険料率」と保険会社の必要経費にあたる「付加保険料率」の2つで構成されています。純保険料率が事故発生時に保険会社が支払う保険金に充当される部分になります。損害保険機構は、「純保険料率」の参考数値である「参考純率」を算出し、会員保険会社に提供しています。

保険会社が保険商品の「純保険料率」の算出に際し、参考純率をどのように使用するのか(そのまま使用する・修正して使用する・使用せず独自に算出するなど)については、保険会社ごとの判断によります。

つまり、損害保険会社ごとに、商品ごとに保険料が異なること、地域差があるため、一概に値上げになるとはいえないわけです。

関連記事:保険会社が教えてくれない保険料の秘密?!保険料の決め方や内訳をくわしく解説!

どのくらい火災保険料が値上がりするの?

それではどのくらい保険料が値上がりするのかというと、損害保険料率算出機構の算定では以下の通りとなっています。

■ M構造

改定率(水準の改定のみ)

水災等地別の改定率
(1等地~5等地)

東京都

+10.4%

+4.3%~+20.2%%

大阪府

+16.9%

+11.6% ~+25.9%

愛知県

+13.7%

+7.6% ~+23.6%

宮崎県(値上げ率最大)

+23.9%

+20.4% ~+29.9%

香川県(値下げ率最小)

+10.5%

+3.7% ~+21.3%

■ T構造

改定率(水準の改定のみ)

水災等地別の改定率
(1等地~5等地)

東京都

+13.3%

+5.2%~+26.8%

大阪府

+21.5%

+14.9% ~+32.6%

愛知県

+14.8%

+7.2% ~+27.2%

群馬県(値上げ率最大)

+23.2%

+16.9% ~+33.6%

山形県(値下げ率最小)

+9.2%

+3.7% ~+18.4%

■ H構造

改定率(水準の改定のみ)

水災等地別の改定率
(1等地~5等地)

東京都

+6.3%

▲1.3%~+19.0%

大阪府

+17.3%

+11.4% ~+27.1%

愛知県

+8.9%

+1.9% ~+20.6%

群馬県(値上げ率最大)

+18.1%

+12.3% ~+27.7%

東京都(値下げ率最小)

+6.3%

▲1.3%~+19.0%

なお、上表は各県の平均の改定率を示しているため、同一の都道府県であっても市区町村により改定率が異なる可能性があります。また、保険料が大幅に上昇する契約については、契約者負担軽減の観点から保険料の引き上げ幅を抑制しています。

関連記事:火災保険・地震保険や家財保険は年末調整・確定申告で保険料控除の対象?火災保険の保険料控除制度について解説

火災保険の参考純率はどれだけ引き上げられてきた?

実は火災保険の参考純率が引き上げられるのは今回が初めてではなく、過去にも度々引き上げされてきました。なお、今回の参考純率の引き上げは2022年以降最大です。

火災保険参考純率 平均引き上げ率

2005年

8.7%

2014年

3.5%

2018年

5.5%

2019年

4.9%

2022年

10.9%

2023年

13.0%

火災保険の保険料を安く抑えるには?火災保険の見直しのポイント

過去最大の火災保険値上げに備え、ぜひおすすめしたいのが火災保険の見直しです。見直しの流れは下記のとおりに行ってみるとよいでしょう。

火災保険の見直しの流れ

  • 現在加入している火災保険(地震保険)の内容を把握する
  • 現在の契約で今後保険料が上がるのか確認する
  • (値上げ対象契約)2024年10月の保険料率改定前に火災保険の見直しを行う

まず、現在加入している火災保険の補償内容を再度確認し、もし今後の保険料改定の影響を受けるようであれば以下の変更や見直しが可能か検討してみるとよいでしょう。

  • 契約の保険期間を長期にする
  • 保険料の一括払いを行う
  • 補償範囲や特約の見直しを行う

なお、もし2024年中に火災保険への新規加入を予定している場合、保険料の値上げが行われる10月1日以前になるべく契約することをおすすめします。

まとめ

現在、火災保険に加入しているのであれば、保険料の値上げ前に一度、火災保険の見直してみることをおすすめします。また、2024年中に火災保険への新規加入を予定しているのであれば、火災保険料の値上げ前に早めに検討するとよいでしょう。

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