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学資保険

学資保険のおすすめの選び方をFPが解説!返戻率のしくみや保障を見直す際の注意点も解説

子どもの教育資金の準備を始めたい、もしくはより効率よく教育資金を準備したいという思いから学資保険を選択肢のひとつとして検討している方は多いのではないでしょうか。

この記事では、学資保険の選び方や見直し方についてファイナンシャルプランナーが解説していきます。学資保険を選ぶ際の注意点や保険料の節約方法なども説明しておりますので、ご自身の家計に適した学資保険を選ぶためにぜひお役立てください。

この記事のポイント

  • 学資保険は子どもの教育資金を準備したり特約を付帯することで子どもにかかる医療費に備えるための保険
  • 学資保険は返戻率の高さが重要。返戻率が高ければ貯蓄性の高い学資保険といえる
  • 子どもの大学進学などに保険の満期や満期保険金を受け取るタイミングを合わせることも重要
  • 学資保険の保障が不要と感じたら見直しは早めに行うとよい

1. 新規に学資保険を検討している場合

実際に学資保険を検討する場合、新規加入の場合と見直しの場合とで見るべきポイントを確認していきましょう。

(1)学資保険の選び方〜重視するポイント〜

新規加入の場合、特に重視すべきポイントは以下の4つです。

  • 学資保険に加入する目的
  • 返戻率がどの程度高いか
  • 満期と満期保険金はいつ、どの程度受け取るのか
  • いつまでに支払いを終えるのか(払込期間の設定)

これらについて、順を追って見てみましょう。

(2)学資保険に加入する目的

教育資金の準備、積立

学資保険に加入する主な目的の1つめは、文字通り「子どもの学資金の準備」です。

子育てにかかる費用の大きなウェイトを占めるのが学費であり、通われる学校によっては総額で1,000万円を超えることも珍しくありません。

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によれば、幼稚園から高校まで全て公立で通った場合でも約521万円がかかります。全て私立に通った場合は、約1,766万円です。

授業料や入学金、教材の費用、親元を離れて通学する場合は敷金や礼金なども発生するほか、塾や予備校の費用がかかることも懸念されます。

このような子どもの教育資金による家計への負担を、学資保険によって小さくすることが可能です。

学資保険では毎月保険料を支払う代わりに、加入時に契約したタイミングで満期保険金を受け取れます。

保険会社や契約会社によっても異なりますが、支払った保険料の101%~105%程度の保険金を受け取ることが可能です。銀行預金に預けておくよりも、効率的にお金を貯めることができるでしょう。

子どもの医療保障を得るため

学資保険のもう1つの目的は「医療費の確保」です。

日本は国民健康保険によって公的な医療保障を受けることができますが、病気の内容によっては公的保障でカバーできない負担が発生する可能性もあります。

そんな時の備えには、学資保険に付帯できる特約が有効です。学資保険の特約の中には、入院や手術の際に補償を受けられるタイプが存在します。そのような特約を付けておけば、子どもが病気やケガをした際にも安心です。

ただし、医療保障の特約を付帯させた場合は、将来的に受け取れる保険金の額が少なくなることがあります。

保障の内容と将来受け取れる保険金とのバランスを考慮して、保障内容を決定するのが大切です。

(3)返戻率について

学資保険への加入を検討する際に無視できないのが、返戻率がどの程度の高さかということです。

返戻率(へんれいりつ)

契約者が支払う保険料総額に対して受け取ることができる「満期保険金 (+祝い金)」の割合のこと。返戻率が高いほど貯蓄性が高い学資保険といえる。

返戻率が高い払込方法

返戻率が高い学資保険であれば、割安な保険料で効率的に教育資金を貯めることができます。

返戻率の高さは、払込方法によって以下のように変わります。

一時払>年払>半年払>月払

予算に余裕があるという人は保険料をまとめて支払う選択も視野に入れておくと、さらに効率よく準備できるようになります。

ただし、保険料をまとめて支払うと一度に大きな額の保険料が必要となります。

なので、返戻率が高いからと無理をして契約すると、保険料の支払が困難になって解約せざるを得ず損をしてしまうことにもなりかねません。

学資保険に新規で加入する場合は、返戻率が高い商品であっても絶対に無理をしないことが重要です。

返戻率が高い商品を選ぶために

返戻率は、契約者の年齢や性別によっても変わります。

夫婦の年齢によって返戻率が高くてよりリーズナブルな保険料になるものもありますので、必ず夫婦両方で見積もりを取り、どちらの返戻率が高いか比較して検討しましょう。

また、無駄な特約を付加しないことも返戻率が高い商品を選ぶためには重要です。

子ども医療費助成制度をフルに利用できるのであれば、学資保険に入院保障や手術保障などの医療特約などは必要ないと判断できますし、収入保障保険に加入しているのであれば、死亡保障が充実している保障型の学資保険よりも、より効率的に教育費が貯められる貯蓄型の学資保険を選ぶことも重要です。

子ども医療費助成制度(こどもいりょうひじょせいせいど)

子どもが医療機関等で保険診療で診察・調剤等を受けた際に医療費の自己負担額を市区町村が助成する制度。各自治体によって助成対象となる子供の年齢(学年)や窓口における自己負担額、所得制限の有無などが異なる。

学資保険に新規加入するときは、貯蓄性機能や保障の優先順位も考えて学資保険を選ぶとよいでしょう。

ただ、返戻率だけを見るのではなく、配偶者に万が一のことが起こったとき、どちらが家計に影響が出るかも考えて、保険料払込免除特約を付加するかどうかも含めて契約者をどちらにするか相談しましょう。

保険料払込免除特約(ほけんりょうはらいこみめんじょとくやく)

契約者が死亡したとき、病気やケガあるいは不慮の事故によって180日以内に保険会社所定の身体障害状態になった際に、以降の保険料の払込を免除する特約。保険料が免除されても満期金や祝い金を受け取ることが可能

関連記事:学資保険は返戻率で選ぶのがおすすめって本当?返戻率が変わるしくみ

(4)満期と満期保険金はいつ、どの程度受け取るのか

満期(まんき)

学資保険の契約が終了するタイミングのこと。

学資保険では、契約の満期に最後の保険金を受け取る形で契約が終了します。満期をいつにするか決めかねている場合は、満期保険金をいつ受け取りたいかによって決定すると良いでしょう。

学資保険は大学や短大、専門学校への進学時に保険金を受け取れるように設定するのが一般的です。

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」によれば、国公立大学への進学時に入学費用として74.1万円がかかります。4年間にかかる学費499.4万円から、入学費用を抜いた428万円を4年で割ると、1年間の学費は107万円。入学費用と合わせて約181万円が、1年目にかかる計算です。

※出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」 p7

学費と入学費用を同じタイミングで支払う入学時が、もっともお金がかかるタイミングの1つです。

入学時の費用をカバーするなら、保険金を17歳もしくは18歳で一括で受け取るように設定すると良いでしょう。

金額は入学費用とが学費+αをカバーできるように、200万円~300万円を受け取る設定にするのが一般的です。

関連記事:学資保険で貯めたお金はいつ受け取る?決め方を分かりやすく解説

(5)いつまでに支払いを終えるのか(払込期間の設定)

払込期間(はらいこみきかん)

学資保険の保険料を払い続ける期間のこと。

多くの場合、学費のピークを迎える大学入学時を見据えて資金準備を行います。

そのため、多くの学資保険では18歳満期となっています。

3歳の誕生日に加入して18歳になるまで加入することを決めた場合、保険料の払込期間は15年になります。ただし、商品によっては払込期間を選ぶことができる場合があります。

18歳払い込み以外に代表的な何例としては「15歳払込み」が挙げられます。児童手当が支給されている義務教育の間に払い込みを終わらせることが可能です。

子どもが複数いるご家庭では、第一子の大学入学と第二子の高校入学が重なって学費の負担が集中してしまうことがあります。この場合に片方を15歳払い済みにすることで、保険料負担を減らすことが可能です。

ただし、払込期間を短くすると月々の保険料も高くなる点には注意が必要になります。

保険料と払込期間の関係を把握して、無理のない支払い方法を検討していきましょう。

2. 既に学資保険に加入済みで見直ししたい場合

(1)どんな時に見直しが必要?

学資保険は保険期間の途中で解約をすると損をしてしまうことがありますが、そうはいっても以下のように「見直しをしなければいけないケース」も出てきます。

  • 子どもの教育方針が変わったとき
  • 希望していた進路を変更するとき など

出産などのタイミングで契約者である親は子どもの将来を想像し、将来の子どもの希望を叶えるための教育資金準備の手段の一つとして、学資保険への加入を検討する方が多いでしょう。

しかし、子どもが成長していくにつれ、好きなこと・嫌いなことがはっきりしていき、親の希望や子どもの小さい頃の夢にも変化が生まれることがあります。

たとえば、最初は国立大学を希望していても、途中で「医者になりたい」という夢を持ち、医学部のある私立大学に進学希望先を変更した場合、大学進学にかかる費用は約321万円(国立大学)から約2,274万円(私立医歯系)と約7倍もの差が出てきます。

子どもが生まれてからの18年間でこの費用を学資保険で積み立てようとすると、国立大学なら毎月約1万5,000円のところ、私立医歯系なら毎月約10万5,000円もの積み立てが必要になります。

関連記事:学資保険はいつからいつまで加入可能?早めの加入がおすすめな理由

(2)教育資金準備を増額するなら?

学資保険を含め生命保険は、契約時の審査などから、一度契約した保険金の額を途中で増額することは簡単にはできません。よって、準備額を増やしたい場合は、新しい学資保険に追加で加入することになります。

その際には、最初に加入した学資保険よりもさらに予定利率が高い商品はないか、他社商品も比較をして検討するとよいでしょう。

また、当初加入した学資保険よりも予定利率が高かったり、保障がより充実している商品がある場合には、それまでの契約を払済保険へ変更し、保険料の支払いをストップさせながら保障を継続させ、新たな学資保険に加入することも可能です。

払済保険(はらいずみほけん)

現在契約している保険の保障期間は変えずに保険料の支払いを済ませること。

払済保険の手続きは解約に比べて損を少なくすることができるので、学資保険の見直しをするときには絶対に覚えておきたい制度のひとつです。

(3)特約の見直し

子どもの医療特約についても、見直しが必要なケースがあります。

現在、各自治体で子ども医療費助成制度がありますが、お住まいの自治体によって対象年齢が「小学校卒業まで」や「中学校卒業まで」と差があります。

子ども医療費助成制度が対象となる間は医療特約を付加せず、対象期間が終わり医療費がかかるようになったら医療特約を追加で途中付加することもできます。

(4)合わないと思ったら見直しは早めに

学資保険の見直しは、保障の追加や払済保険への変更だけではありません。

必要ないと判断した保障を削ることも、見直しのひとつです。

効率的に子どもの教育資金を貯めたいと考えている人が、営業マンのトークに流されて貯蓄型ではなく保障型の学資保険に加入してしまったケースなどはその典型例でしょう。そのまま放置していると、必要のない保障があるせいで返戻率が下がり、効率的に教育資金を貯めることができずに目的を達成できないという恐れもあります。

そういった場合には必ず、自分の希望と加入している学資保険の保障内容を再確認して、必要ないと判断した保障を削ったり、契約自体を見直す手続きをしましょう。

学資保険の見直しをする際には、学資保険以外で加入している保険の見直しも一緒にするとさらに効果的です。

まとめ

生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の世帯加入率は88.7%なのに対して、実際に加入している保険の保障内容に満足している割合は46.1%と低く、加入者の2人に1人は保障内容に満足していないということがわかっています。

※出典:生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査

また、同調査の中で保険に加入した経緯を聞いたところ「生命保険会社の営業マンから加入した」という人が、53.7%と半分以上を占めました。

複数の生命保険会社を取り扱っている「保険代理店などから加入した」人の17.8%を大きく上回ることから、保険の見直しや他社との比較をすることで保障内容が改善されたり、保険料を節約することができる可能性があることもわかります。

もし学資保険以外の保険の見直しをすることで、全体的に保険料の節約をすることができれば、その浮いたお金を学資保険の予算に回すことも可能になります。

そのため、学資保険の見直しをする際には、必ず他に加入している保険も一緒に見直すようにしましょう。

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