がん保険|原因は紫外線?有棘細胞がんの医療費はいくら必要?
現在、日本はがん社会と言われており、1年間で新たにがんと診断される人は100万人を超えています。死亡原因も1位で年間40万人近い日本人ががんで命を落としているのです。本記事では皮膚がんの一種である有棘(ゆうきょく)細胞がんにスポットを当て、がんの特徴や治療法、治療費に至るまで丁寧に解説していきます。
皮膚とは
人間の体全体をおおう皮膚は、外界の刺激から体を保護しています。それだけではなく、体温調節や水分の喪失防止、感覚器官などの様々な役目があります。生命維持のために大切な役割を担っている器官なのですね。
皮膚は大きく分けて3層に分かれており、表面に近い1番上から「表皮」、その下に「真皮」1番奥の層は「皮下組織」と呼ばれています。表皮は約0.2ミリのとても薄い層ですが、その中でさらに「角質層、「顆粒層(かりゅうそう」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「基底層(きていそう)」の4層に分類されます。
有棘細胞がんとは
皮膚がんは皮膚を構成する細胞から発生するがんのことをさします。どの細胞から発生するかで名称が決まり、日本では基底細胞癌がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫が三大皮膚がんといわれています。他にも皮膚がんには多くの種類がありますが、全てを足しても日本のがん発生率の10位にも入らないので、稀少がんと言えるでしょう。
有棘細胞がんは、表皮の中間層にある有棘細胞ががん化して発生します。皮膚がんの中で基底細胞がんに次ぎ、2番目に多いがんです。
有棘細胞がんの原因
日本の有棘細胞がんの1番の発生原因は紫外線にあると考えられています。中でも中波長紫外線と呼ばれる紫外線は皮膚がんの発生に大きな影響を与えます。
短期間に大量の紫外線を浴びることはがんのリスクを高めますので、夏の海やリゾート地では注意が必要ですね。さらに、子供の頃からの蓄積でも発生しますので、高齢になるほど発生率が上がっています。日焼け止め(サンスクリーン剤)を使用し、過度の日焼けを防止することが遊興細胞がんの予防につながると考えられているので、積極的に活用しましょう。
また発生母地と呼ばれれる他の原因もまとめました。
・ヒト乳頭腫ウイルス・・・子宮頸がんの原因にもなるウィルス
・やけどや外傷の瘢痕(はんこん)
・慢性膿皮症・・・治りにくいお尻のおでき
・皮膚潰瘍・・・膝下にできる治りにくい種類の潰瘍
・慢性放射線皮膚炎・・・放射線治療後に起こることのある皮膚炎
きっかけは様々ですが、完治せずに繰り返す皮膚のトラブルが細胞のがん化に関係しているのですね。さらに、タールや鉱物油などの化学化合物なども有棘細胞がんの発生と関連があると考えられています。
症状
有棘細胞がんはその発生原因によってさまざまな症状がみられます。
一般的に、硬く大きめのイボ状のしこりとして始まります。紅色に膨れ上がり、カリフラワー状に隆起したり、また崩れて陥没することもあります。さらには悪臭を伴うことも。膿や悪臭は、有棘細胞がんが、がんの表面の皮膚を弱らせるので、一般細菌に感染しやすいことに原因があります。
つまむとしこりに触れることができ、出血や潰瘍を伴うような皮膚炎がもしあれば、早急に病院の受診をしましょう。
関連する疾患
早期の治療が根治の鍵となるがんですが、有棘細胞がんには前兆とも言える症状がいくつかあります。どのようなものがあるのか簡単にまとめました。
放置すると皮膚がんになってしまう病気や皮膚の状態のことを皮膚がん前駆症と呼びます。 中でも有棘細胞がんになる病変と言われているのは日光角化症とボーエン病。この2つは表皮の中にだけがんを持っていて、切除することで治りますが、放っておくとがん細胞が皮膚の真皮へと進行していきます。
他にも皮膚がん前駆症として、がんの原因と言われる発生母地が挙げられます。現在はがん細胞は存在しないものの、正常な皮膚に比べて将来がん細胞が出現しやすいので、注意深く観察する必要があるそう。かといって早急な治療は不要なため素人には判断が難しいと言えますね。
統計から見る発生率
日本では皮膚がんの種類別による正確な統計は取られていませんので、推測の値となりますが、有棘細胞がんはどのくらいの発生率があるのか見てみましょう。
皮膚がんの中で最も発生率の高い基底細胞癌は人口10万人に対して5人の割合で発症し、次に多い有棘細胞がんは10万人に対し2.5人、悪性黒色腫は1-1.5人、皮膚リンパ腫が1人と続きます。
発症年齢は高齢者になるほど多く、女性より男性の方がやや発症率が高くなっています。これは男性が女性に比べて紫外線に晒される機会が多いことが原因と推測されています。また、皮膚の色素が薄い人程肌が紫外線の刺激に弱く、がんの発症率が上がるので、有色人種である日本人に比べて白人は皮膚がんの可能性がかなり高くなるそうですよ。
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治療方法
がんの治療といえば手術、抗がん剤、放射線治療が一般的ですが、有棘細胞がんではどの治療法が有効なのでしょうか。皮膚の表面のがんなので女性は特に治療痕が気になりますよね。皮膚がんはがんの大きさだけでなく、クオリティオブライフの事も踏まえた上で納得のいく治療法を選択しましょう。
有棘細胞がんの治療法は主に病期(ステージ)により決定されます。ステージの低い(=がんが小さい)ものはほとんどは手術により切除されます。ステージが上がるにつれて多くの治療法を併用してがん細胞をやっつけます。手術のほかに、凍結療法、放射線治療、薬物療法も。さらにこれらを組み合わせて治療することを集中療法と呼びます。
このがんの恐ろしい点は、リンパ節への転移が見られる事です。リンパ液の流れに乗って他の臓器へさらに転移していきます。体の表面のがんは気をつけていれば早期発見もふかのうではありません。異変を感じたらためらわずに病院を受診しましょう。
治療費とがん保険の保障の目安
もしもがんになってしまったら、気になるのはその治療費です。有棘細胞がんの治療費の平均はどのくらいなのでしょうか。日本人の半分が発症するというがんは、今や他人事とは言えません。安心して治療を受けるためにはがん保険の加入という選択も視野に入れる必要がありそうですね。
有棘細胞がんは、治療時のステージ、発生場所、がんの広さによって治療法がまちまちのため、その治療費は一概には言えませんが、手術による切除の場合、およそ10万〜30万円が平均です。凍結療法は数万円〜10万円程度、放射線治療は回数や線量によって異なりますが数十万円かかることも。さらに治療後も再発リスクを抑えるため、何度も病院に通って検査をする必要があります。
これらの医療費は高額医療保障制度といって、健康保険に加入していれば医療費の一部を負担してもらうことができます。負担金額は収入によって変わりますが、1ヶ月の自己負担額が4万〜20万円に軽減されるので、とてもありがたい制度ですね。
しかし、高額医療保障制度の対象外となる費用も必要となる場合があります。先進医療等の新しい治療法や治療薬を使った場合はこの制度の範囲外となり、100%治療費を自己負担しなければなりません。また入院中、個室を希望した場合の部屋代や、入院中の病院食も自己負担で賄う必要があります。
もしもがん保険を検討するなら、自分がどのような環境で治療を進めていきたいかのイメージを持つことが大切となります。
まとめ
有棘細胞がんは紫外線や皮膚疾患など、日常生活の積み重ねががん発生に深く関わっています。早期に発見できると根治の可能性が上がる反面、放置するとリンパ液に乗り、他の臓器への移転をする恐ろしい一面もあります。ためらわずに病院に行くことがとても大切ですが、そのためには費用面の備えがあると安心ですよね。がん保険について悩んだ時や困った時は独立系ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。多くの種類のがん保険の中から、適切なアドバイスがもらえるだけでなく、個別の状況に応じた幅広い対応をしてもらえますよ。
国立がん研究センター がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/index.html
国立がん研究センター 稀少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/skin_tumor/index.html