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がん保険

脳腫瘍の医療費はいくら必要?がん保険で備える場合の保障額の目安などを解説

脳の基本的な構造と役割について

脳は、大脳・小脳・脳幹・脊髄、という4つの部位で構成され、髄膜と頭蓋骨によって保護されています。

そして、脳や脊髄からは神経細胞からなる神経線維が走行し、全身の感覚器や筋肉、細胞間に脳からの情報を伝達しています。

また、神経細胞や神経線維は、神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)から栄養分を受取るとともに、この細胞によって固定・保護されています。

脳腫瘍(成人)とは?

脳腫瘍は、脳を保護する頭蓋骨内において発生する腫瘍を総称したもので、大きくは、「原発性脳腫瘍」と「転移性脳腫瘍」に二分されます。

原発性脳腫瘍とは、脳細胞や髄膜、脳神経などから発生した腫瘍のことで、150種類以上に分類されます。

これに対して転移性脳腫瘍は、肺がんや大腸がんなど、他の部位で発生したがんが脳に転移して発生します。

原発性脳腫瘍の分類とその概略

原発性脳腫瘍は、腫瘍が発生した組織や悪性度(グレード)などによって、主に以下のような種類に分けられます。

組織名などによる分類

悪性度(グレード)

毛様細胞性星細胞腫

1

神経鞘腫

1

下垂体腺腫

成長ホルモン産生腺腫

1

プロラクチン産生腺腫

1

副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫

1

ホルモン非分泌性腺腫

1

頭蓋咽頭腫

1

血管芽腫

1

類上皮腫

1

神経節膠腫

1

主な神経膠腫

(グリオーマ)

びまん性星細胞腫

2

乏突起膠腫

2

上衣腫

2

退形成性星細胞腫

3

退形成性乏突起膠腫

3

退形成性上衣腫

3

膠芽腫

4

髄膜腫

グレード1

1

グレード2

2

グレード3

3

脊索腫

2

中枢性神経細胞腫

2

髄芽腫

4

胚細胞腫瘍

4

中枢神経系悪性リンパ腫

4

脳腫瘍の原因

ごく稀ではあるものの、過去に行った脳腫瘍や白血病に対する放射線治療によって、神経膠腫や髄膜腫が発生するケースがあることがわかっています。

ただ、こういったケースを除き、脳腫瘍の発生原因についてはほとんど明らかになっておらず、現在も研究が続けられています。

脳腫瘍の症状とは?初期段階ではどんな症状があらわれる?

脳腫瘍による症状は、多くの脳腫瘍に共通して起こる「頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)症状」と、脳腫瘍が発生した部位に関連する「局所症状」とに分けられます。

頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)

多くの脳腫瘍に共通して起こる症状には、以下のようなものがあります。

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 意識障害

局所症状

脳が司っている体の機能は、各部位によって異なります。

そのため、どの部位が障害されるかによって、症状のあらわれ方が異なります。

腫瘍がある場所

局所症状

前頭葉

  • 運動性失語(言葉は理解できるがうまく話せない)
  • 性格の変化
  • 自発性、集中力、記憶力の低下
  • てんかん発作

側頭葉

  • 言葉を理解できなくなる
  • てんかん発作

頭頂葉

  • 腫瘍と反対側に感覚障害が発生
  • 読み書き、計算ができない
  • 左右の判断ができない
  • 指の名前が言えない
  • 半空間失認(左右片方の刺激が認識できない)

後頭葉

  • 腫瘍がある位置と反対側の視野の欠損

視交叉・視床下部

  • 視力障害、視野障害
  • 尿の濃度を調整できない(尿崩症)
  • 肥満
  • 体温調節異常
  • 意識障害

視床

  • 意識障害
  • 運動片麻痺
  • 手足のしびれ
  • 手足の感覚異常

脳幹

  • 顔や四肢の運動麻痺
  • 感覚障害
  • 複視(ものが二重に見える)
  • 顔面神経麻痺
  • 嚥下障害
  • 聴力傷害

小脳

  • 失調症(細かい動きができない)
  • 歩行障害
  • ふらつき、めまい

脳神経

  • 目の動きが悪くなる(ものが二重に見える)
  • 聴力低下
  • 耳鳴り
  • めまい

統計からみる脳腫瘍の発症率

国立がん研究センター発表のデータによると、1年間で悪性リンパ腫と診断される人の割合は、人口10万人あたり男性が4.9人、女性が4.1人でした(国立がん研究センター『最新がん統計』より。発症率は2014年のデータをもとに算出した値)。

脳腫瘍の治療方法

脳腫瘍の治療方法には、以下のような選択肢があります。

外科治療

外科治療では、手術によって脳腫瘍を摘出します。

腫瘍を完全に摘出できれば、再発リスクはかなり低くなります。

ただし、無理な完全除去をすると症状を悪化させる可能性があるため、そういった場合は部分摘出にとどめ、放射線治療や薬物療法を行います。

放射線治療

放射線治療では、X線をはじめとする放射線を照射し、脳にできた腫瘍を障害します。

治療に使われる放射線には、健康保険適用のものから先進医療に指定されているものまで、様々な種類があります。

薬物療法

脳腫瘍に対しては、細胞障害性抗がん剤や分子標的薬を使った薬物療法がおこなわれることもあります。

また、脳腫瘍を原因とする脳浮腫に対して、ステロイドを用いた治療が行われることもあります。

■脳腫瘍の医療費は平均いくら?

厚生労働省が発表したデータによると、2017年度に悪性新生物(腫瘍)で入院した患者の医療費の平均は、以下のようになっています。

これは、悪性新生物全般のデータであるため、がんの種類によって若干の差異は生じますが、ひとつの目安にはなるでしょう。

健康保険加入団体

1日あたりの診療費

1件あたりの診療費

協会(一般)

65,550円

738,750円

組合健保

70,362円

756,219円

共済組合

70,678円

763,388円

国民健康保険

58,946円

688,234円

先進医療に該当する治療を受ける場合は負担が大きくなる

脳腫瘍に対しては、放射線治療の一種である「陽子線治療」が効果的である場合があります。

ただし、この陽子線治療は先進医療に指定されているものの健康保険適用ではなく、治療にかかる技術料の実費を全額自己負担しなければなりません。

具体的な治療費はがんの種類や症状によって異なりますが、平均314万円ほどであることがわかっています。

つまり脳腫瘍になると、選択する治療法によっては数百万円単位の治療費を負担しなければならないケースもあるのです。

脳腫瘍の治療費をがん保険でカバーする場合の保障額の目安は?

脳腫瘍の治療のために入院すると、患者は70万円前後の治療費を負担することになります。

もちろん、高額療養費制度を活用することで毎月の負担を抑えることは可能ですが、再発などにより何度も入院することになると、治療費の負担は増えるでしょう。

では、治療費をがん保険でカバーするとしたら、保障額はいくらくらいを目安に設定すればいいのでしょうか。

まず、入院保障日額についてですが、こちらは1万円前後を目安に設定してはいかがでしょうか。

医療保険に加入している場合はそちらからも保障を受けられるため、5,000円程度まで減額してもいいでしょう。

がん保険には先進医療にかかる技術料の実費が支払われる「先進医療特約」を付保することもできますので、こちらもつけておくことをおすすめします。

また、近年は入院日数が短縮化傾向にあり、基本保障だけでは治療費をカバーしきれない可能性があります。

そのため余裕があれば、がん診断一時金特約を50万円~100万円程度付加したり、入院一時金特約を10~20万円程度付加したり、といったことも検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

2人に1人ががんになる時代、脳腫瘍になる可能性はあなたにもあります。

いざという時に金銭的な事情で希望の治療を受けられない、といったことがないよう、がん保険でしっかり備えておくようにしましょう。

現在がん保険に加入している人は保障内容の確認を、まだ加入していない人は加入の検討を始めてみてはいかがでしょうか。

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