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がん保険

がん保険|悪性リンパ腫の医療費はいくら必要?

悪性リンパ腫とは?

私たちの体内を流れる血液は、骨髄にある造血幹細胞が増殖しながら分化することで作られます。

この造血幹細胞は、「骨髄系幹細胞」と「リンパ系幹細胞」に二分され、骨髄系幹細胞からは赤血球、血小板、顆粒球、単球が、リンパ系幹細胞からはリンパ球やNK細胞が産生されます。

悪性リンパ腫は、造血幹細胞の骨髄系幹細胞からつくられる「リンパ球」ががん化することによって発症する病気です。

リンパ球は白血球の1種であるため、この病気を発症すると全身に様々な症状があらわれます。

悪性リンパ腫の分類とその概略

悪性リンパ腫は、がん細胞の性質や形態によって「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2種類に大別され、非ホジキンリンパ腫は、さらに細かく分類されています。

日本におけるホジキンリンパ腫の発症率は低く、悪性リンパ腫全体の5~10%程度にすぎません。

大分類

小分類

概略

悪性度

ホジキンリンパ腫

白血球中のリンパ球で腫瘍細胞が増える。

非ホジキンリンパ腫

濾胞性リンパ腫

リンパ球中のB細胞から発生。

MALTリンパ腫

粘膜に関連したリンパ組織のリンパ球中のB細胞が腫瘍化。

リンパ形質細胞性リンパ腫

リンパ球や形質細胞ががん化し、骨髄・リンパ節・肝臓・膵臓・血液中に広がる。

マントル細胞リンパ腫

リンパ球中のB細胞から発生

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

リンパ球中のB細胞から発生。

末梢性T細胞リンパ腫

リンパ球中のT細胞から発生。

バーキットリンパ腫

リンパ球中のB細胞から発生。

進行が早く、週単位で病気が進行。

節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型

リンパ節以外の部位から発生。

原発巣が鼻領域にあることが多い。

皮膚のリンパ腫

皮膚組織内のリンパ球ががん化することで発症。

急性リンパ性白血病

リンパ芽球性リンパ腫

リンパ球が成熟前にがん化し、無制限に増殖することで発症。

慢性リンパ性白血病

小リンパ球性リンパ腫

リンパ球のうち、成熟した小型Bリンパ球が悪性化し、無限に増殖することで発症。

成人T細胞白血病

ウイルス感染によって、白血球中のT細胞ががん化し、無限に増殖することで発症。

 

悪性リンパ腫の原因とは?

国立がん研究センターによれば、悪性リンパ腫は、リンパ球の中でおこった遺伝子の異常により、リンパ球の寿命や増え方に異常がおこることなどが一因と考えられています。また、リンパ腫のなかには、成人T細胞白血病リンパ腫のようにウイルス感染したリンパ球からおこるものがあるほか、免疫不全が原因となっておこるものがあることも分かっていますが、原因が明らかではない場合も少なくないとされています。

悪性リンパ腫の症状とは?初期段階ではどんな症状があらわれる?

悪性リンパ腫の初期段階では、首、わきの下、足の付け根、といったリンパ節が多い部分に、しこりがあらわれます。

このしこりには痛みがないことが多く、病気の進行に従って全身に少しずつ広がっていきます。

そして、さらに病気が進行すると、以下のような症状があらわれるようになります。

  • 発熱
  • 体重の減少
  • 寝汗
  • 体のかゆみ
  • 皮膚の発心
  • 気道閉塞
  • 血流障害
  • 麻痺

悪性リンパ腫の病型分類

悪性リンパ腫は、がん化している細胞の特徴などによって、以下のように分類されます。

 

大分類

がん化している細胞の特徴

病型分類

ホジキンリンパ腫

  • 古典的ホジキンリンパ腫
  • 結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫

非ホジキンリンパ腫

前駆リンパ系由来

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫
  • T細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫

成熟B細胞由来

  • 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性
  • リンパ腫濾胞性リンパ腫
  • MALTリンパ腫
  • リンパ形質細胞性リンパ腫
  • マントル細胞リンパ腫
  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
  • バーキットリンパ腫

成熟T/NK細胞由来

  • 末梢性T細胞リンパ腫
  • 成人T細胞白血病/リンパ腫
  • 節外征NK/T細胞リンパ腫、鼻型
  • 皮膚のリンパ腫

統計からみる悪性リンパ腫の罹患率はどのくらい?

国立がん研究センターが発表したデータによると、2020年における悪性リンパ腫の罹患率は、人口10万人あたり男性が31.4人、女性が25.9人で、男女比は約3:2と男性に多く、70〜80歳が発症のピークとなっています

悪性リンパ腫の治療方法

悪性リンパ腫の治療方法には、以下のような選択肢があります。

化学療法

化学療法では、抗がん剤を使った治療を行います。

通常は、悪性リンパ腫の病型に応じて4~5種類程度の抗がん剤を組み合わせ、投与します(多剤併用療法)。

治療は、3~4週間を1クールとし、入院もしくは外来で数コース実施するのが一般的です。

分子標的療法

分子標的療法では、がん細胞の表面にある分子を標的とし、「分子標的薬」を投与します。

薬剤の作用によってがん細胞自体を直接的に破壊するのはもちろん、がん細胞を標識することによって体内の免疫細胞の働きをこれに向け、破壊させることもできます。

放射線療法

放射線療法では、放射線を体外から照射し、がん細胞を破壊または損傷させます。

化学療法と併用して行うケースもあります。

造血幹細胞移植

悪性リンパ腫の治療のために化学療法や放射線治療を行うと、骨髄機能が低下してしまうことがあります。

この治療では、事前に採取しておいた造血幹細胞を投与し、骨髄機能の回復を目指します。

無治療経過観察

進行が遅い悪性リンパ腫は、発症しても何年も症状が出ないことがあります。

こういった場合、治療を行うメリットがないと判断されると、積極的な治療を行わず定期検診で腫瘍の様子を観察し、何らかの症状があらわれた段階で治療を開始することもあります。

悪性リンパ腫の医療費は平均どのくらい?

厚生労働省が発表した『医療給付実態調査』によると、2017年度において、悪性新生物(腫瘍)で入院した患者の治療費負担は以下のようになっています。

健康保険加入団体

1日あたりの診療費

1件あたりの診療費

協会(一般)

65,550円

738,750円

組合健保

70,362円

756,219円

共済組合

70,678円

763,388円

国民健康保険

58,946円

688,234円

高額療養費制度を活用することで、1ヵ月あたりの負担額を抑えることはできますが、悪性リンパ腫の治療を受ける場合、患者は数十万円単位の負担を余儀なくされる場合がありそうです。

また、これはあくまでも健康保険適用の治療を受ける場合であり、自由診療扱いとなる免疫療法を選択した場合、治療費の全額を自己負担しなければなりません。

例えば、薬価が高いことで話題になったオプジーボは、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対してのみ、保険適用での使用が認められています。

そのためこれ以外の悪性リンパ腫に対してオプジーボを使用する場合、1回あたり406,463円という高額な薬代を、全額自己負担しなければならないのです(薬価は2019年8月1日現在)。

がん保険で備える場合の保障額の目安は?

高額な治療費を負担しなければならないケースもある、悪性リンパ腫の治療。

その治療費をがん保険でカバーするには、どのくらいの保障を用意しておく必要があるのでしょうか。

近年は、入院日数が短縮化傾向にあり、悪性新生物を発症した患者の平均入院日数は18.2日となっています。

そうすると、基本保障の入院給付日額を1万円にしたとしても、それだけでは治療費の全てを賄いきれない可能性があります。

そこでおすすめしたいのが、がん診断一時金特約や入院一時金特約を付加する、という方法です。

がんと診断された場合に、あるいは入院した場合にまとまった保険金が給付されると、これを治療費に充てることができるからです。

自由診療に属する高額な治療にもしっかり備えたいという方は、がんになった場合に数百万、数千万円単位の保険金が給付される、特定疾病保障定期保険に追加で加入するのもひとつの選択肢でしょう。

まとめ

悪性リンパ腫は、年間10万人あたり30人程度発生する可能性のある病気です。

いざという時に金銭的な問題から治療法の選択肢が狭められてしまう、といったことがないよう、がん保険を上手く活用して様々なリスクにしっかり備えておきましょう。

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