白血病とはどんな病気?どんな治療がある?がん保険で治療費に備える方法も解説
もし白血病と診断されたら、治療費は一体いくらかかるのだろう…?がんと聞くだけで不安なのに、治療費が一体いくらかかるのか、家計への負担も心配になります。がん保険で備えるべきか、その場合保障額はどのくらいが目安なのか、迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、そんな白血病の治療費に関する疑問を解決します。白血病の概要から、平均的な治療費、そしてがん保険でまかなう場合の保障額の目安まで、詳しく解説します。この記事を参考に、あなたやご家族が治療に専念できるよう、最適な備えを検討しましょう。
この記事のポイント
- 白血病は「血液のがん」とも呼ばれ、骨髄でつくられる血液細胞ががん化して増殖する病気である。男性の約106人に1人、女性の約155人に1人が生涯で白血病になる可能性がある。
- 白血病の治療には化学療法や分子標的治療、造血幹細胞移植などがあり、平均的な医療費は入院で約994万円、外来で約163万円と高額になる傾向がある。
- 白血病の治療費に備えるには、がん保険の入院・手術給付金に加え、がん診断一時金特約や入院一時金特約など、まとまった一時金が給付される保障を検討するのがおすすめ。
白血病とは?

白血病はがんの一種で、「血液のがん」と表現されることもある病気です。
私たちの体内を流れる血液は骨髄でつくられますが、その過程で血液を構成する細胞(赤血球・血小板・白血球)が、がん化することがあります。
このがん化した細胞(白血病細胞)が骨髄内で増殖すると、全身に様々な症状があらわれるようになるのです。
白血病の種類とその概略
白血病は、その進行パターンから、がん化した細胞が急激に増殖する「急性白血病」と、がん化した細胞がゆっくり増殖する「慢性白血病」に大別されます。
そしてこれら2類型の白血病は、がん化した細胞のタイプによって、さらに以下のようなに分類されます。
急性白血病
急性骨髄性白血病 | 骨髄で血液をつくる過程において、骨髄芽球(製造段階にある未熟な血液細胞)に遺伝子異常が発生し、白血病細胞が無限に増殖することで発症。 |
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急性リンパ性白血病 | リンパ球(白血球の一種)が悪性化し、白血病細胞が無限に増殖することで発症。 |
急性前骨髄球性白血病 | 血液をつくる過程において、前骨髄球に遺伝子異常が発生し、白血病細胞が無限に増殖することで発症。 |
慢性白血病
慢性骨髄性白血病 | 血液細胞のもとである造血幹細胞に異常が発生し、がん化した血液細胞が体内で無限に増殖することで発症。 |
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慢性リンパ性白血病 | 白血球の一種であるリンパ球が悪性化し、がん化した血液細胞が無限に増殖することで発症。 |
白血病の原因とは?
白血病の原因については、未だに解明されていない部分もあります。
ただ、これまでの研究により、以下のようなことが判明しています。
急性白血病の原因
染色体異常、遺伝子異常を原因として発症する「急性前骨髄球性白血病」と、過去に受けた抗がん剤治療や放射線治療を原因として発症する「二次性白血病」を除き、白血病の原因については未だはっきりと解明されていません。
慢性白血病の原因
慢性骨髄性白血病の原因は、そのほとんどが染色体9番と22番の異常にあります。
これらの染色体の一部が入れ替わることにより、血液細胞の過剰増殖の原因となるフィラデルフィア染色体が生じるのです。
慢性リンパ性白血病・小リンパ球性リンパ腫の原因については未だ解明されてないところが大きいものの、遺伝的素因の影響が大きいのではないか、と考えられています。
白血病の症状とは?初期段階ではどんな症状があらわれる?
白血病の症状は、その類型によって症状のあらわれかたが異なります。
また、急性白血病は病気の進行が速いため症状が急にあらわれる場合が多いのですが、慢性白血病は進行が遅いため、初期段階ではほとんど症状があらわれません。
そのため慢性白血病は、健康診断の血液検査などにおいて、偶然見つかるケースが半数以上となっています。
急性骨髄性白血病 |
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慢性骨髄性白血病 |
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WHO分類が主流!白血病の病型分類
一般に、がんはその進行の程度を、「病期(ステージ)」という基準で表現します。
しかし、白血病はがん化した白血病細胞が血液を介し全身に広がっているため、「病期」により進行の程度を示すことができません。
そこで用いられるのが、「病型分類」です。
その方法には「FAB分類」と「WHO分類」の2種類がありますが、現在はWHO分類が主流となっています。
WHO分類では、腫瘍細胞が骨髄・血液中で増殖している病型を「白血病」、リンパ組織で増殖している病型を「悪性リンパ腫」とします。
白血病に関連する疾患
「白血病」という名前こそついていないものの、以下のような病気も、白血病に関連する疾患として扱われます。
悪性リンパ腫
私たちの体内を流れる血液の中には、外部から侵入してきたウイルスや細菌を排除する役割を担う、「白血球」が存在します。
そしてこの白血球は、顆粒球・単球・リンパ球で構成されています。
悪性リンパ腫は、ウイルス感染によって白血球を構成するリンパ球に影響が及び、そのリンパ球からがん化した細胞が増殖することによって発症します。
骨髄異形成症候群
血液細胞を構成する赤血球・血小板・白血球は、造血幹細胞が増殖・分化することでつくられます。
骨髄異形成症候群は、この造血幹細胞に異常が生じることによって発症します。
発症すると血液中の正常な血液細胞が減少し、全身に様々な症状があらわれます。
白血病になる確率はどのくらい?統計からみる白血病の発症率
国立がん研究センターが2020年に実施した調査によると、白血病の罹患率(1年間に人口10万人あたりがんと診断される人)は人口10万人あたり男性が13.7人、女性が9.1人という結果でした。
また、人が生涯において白血病に罹患するリスクは、男性が1.1%、女性が0.8%という結果になっています。これは男性の95人に1人、女性の133人に1人が生涯において白血病になる可能性があるのです。
白血病の治療方法
白血病の治療には以下のような方法があり、患者の年齢や全身状態、治療効果のあらわれ方などに応じて、適切な治療方法を選択します。
化学療法
化学療法では、抗がん剤を使用します。
初期治療ではいくつかの抗がん剤を併用し、白血病細胞を破壊します(寛解導入療法)。
ただし、初期治療後も白血病細胞は体内に残っているため、これをゼロに近づけるべく、さらに治療が続けられます(寛解後療法)。
分化誘導療法
分化誘導療法は、急性前骨髄球性白血病に対する治療法です。
この治療法では白血病細胞を破壊するのではなく、これを分化・成熟させることで、正常な白血球と同じように死滅させます。
分子標的治療
分子標的治療は、再発または難治性の急性骨髄性白血病に対する治療法です。
この治療法では分子標的薬を使い、これと白血病細胞を結合させることで、白血病細胞を死滅させます。
造血幹細胞移植
ドナーから造血幹細胞の提供を受け、これを移植する治療法です。
化学療法に比べて質の高いQOLが得られる場合、再発時、予後の改善の可能性があるときなどに、検討されます。
支持療法
白血病による症状や合併症、治療による副作用などの予防・軽減を目的として行われる治療です。
白血病細胞そのものにアプローチするわけではないため、この治療によって白血病細胞が死滅したり減少したりするわけではありません。
白血病の医療費は平均どのくらい?

白血病を発症した場合、やはり気になるのは「治療にどのくらいの費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。
健康保険組合連合会の調査によると、健保組合の加入者で、白血病により医科入院をした受診者ひとり当たりの医療費は994万3,306円と他のがんに比べても非常に高い結果となりました。
この傾向は入院をしない外来などの医科入院外においても同様で、受診者ひとり当たりの医療費は163万3,216円と他のがんに比べ非常に高い結果となりました。
白血病の医療費が高くなる要因のひとつに、入院の長期化があげられます。健康保険組合連合会の同じ調査によると、白血病による推計の平均入院日数は47.20日と他の代表的ながんの入院日数が1ヵ月未満であるのに比べ、非常に長い入院日数となっていることがわかります。また、1入院当たりの医療費も204万4,455円で、他のがんに比べ最も高い結果となっています。
なお、もし保険適用外の治療を受けた場合、その治療費は全額自己負担しなければなりません。
現在は保険適用が認められていますが、1回あたり3,349万円という薬価がつけられたことで話題になった「キムリア」という薬を使う場合、かつてはその薬代の全てを自己負担しなければなりませんでした。
関連記事:がんの治療費と自己負担額は平均でいくら?手術や抗がん剤治療などの治療別に解説
白血病の治療費にがん保険で備えるなら保障額はいくら必要?
がんを発症した場合に、様々な保障をうけられる「がん保険」。白血病の治療費をがん保険でカバー仕様とする場合、その保障額はどのくらいにすればいいのでしょうか。
上述のように白血病の治療には、1入院あたり200万円程度の費用がかかります。もちろん、これは1入院あたりの治療費になりますので、再発などで複数回入院する場合、その度に治療費を負担しなければなりません。
そういったリスクも想定すると、入院給付日額を1万円程度に設定するということはもちろん、がんになった場合にまとまった保険金の給付を受けられるような保障内容にしておくことをおすすめします。
具体的には、以下のような方法があります。
- がん診断一時金特約をつける
- 入院一時金特約をつける
- 特定疾病保障定期保険に加入する
関連記事:がん保険の選び方・見直し方を大解説!選ぶ際の注意点や保険料の節約方法も調査してみました
まとめ
白血病は、誰もが発症する可能性のある病気です。
そしてこの病気は初期治療後も継続的な治療が必要な場合があり、患者はその都度、治療費を負担しなければなりません。
金銭的な事情で治療に専念できない、といったことのないよう、がん保険などを上手く活用して十分な備えを用意しておきましょう。