胃がんの医療費はいくら必要?胃がんに備えるためにがん保険に加入する場合の注意点
「近しい身内で胃がんになった人がいる」などの理由で胃がんに備えるためにがん保険への加入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
胃がんは、数あるがん中でも比較的メジャーながんです。ドラマや映画などでも闘病シーンが描かれることも多く、がんの中でも特に怖い病気と言うイメージを持っている方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、胃がんに備えるためにがん保険に加入する場合の注意点や保障の選び方について解説していきます。
この記事を読んでいただくことで、胃がんの特徴や必要な保障が分かり、胃がんに対する不安がきっと和らぐはずですので、ぜひご一読下さい。
胃がんの医療費はいくら?
まずは胃がんの医療費でいくらぐらいかかるのかを確認していきましょう。
以下の表は、胃がんにかかった方が治療の際に必要となった医療費と自己負担の平均示したものです。
医療費総額 | 3割負担 | |
胃がん | 650,943円 | 195,282円 |
※参考:厚生労働省「医療給付実態調査(平成29年度)」統計表 第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)
胃がんになった場合の医療費の平均は約65万円、3割負担で約20万円です。高額療養費制度を利用すると、標準的な収入の方でひと月の自己負担額の上限が約9万円に緩和されます。さらに制度を3回利用すると「多回数該当」となり、4回目からはひと月の自己負担は4.4万円となるため、実際の自己負担はさらに低い金額で済むこともあります。
しかし胃がんは、進行した状態で見つかることも多いがんです。転移や再発があると医療費の自己負担は、高額になる可能性があります。例えば、胃がんが他の臓器に転移していた場合の抗がん剤治療では、3週間ごとに外来に通院しての抗がん剤投与を10サイクル、およそ7ヶ月にわたることもあります。その場合の治療費の目安は、3割負担で657,000円です。高療養費制度を利用できたとしても、数万円の自己負担が数ヶ月にわたって続くこともあります。
出典:「国立がん研究センターのがんとお金の本」
また、ご紹介した医療費の平均値には、以下のような費用や損失は含まれていません。
食費
通院するときの交通費
収入の減少
胃がんに限らず、がんに備える場合は治療費だけでなく上記のような諸費用や収入の減少についても考える必要があります。
ここまで、胃がんになった場合の治療費の平均について解説しました。次は、胃がんとは具体的にどのような病気であるかを解説していきます。
胃がんってどんな病気?
胃がんに備えるためにがん保険に加入し保障を選ぶためには、胃がんがどのような病気であるかを知っておく必要があります。まずは、胃がんの基本的な特徴について確認していきましょう。
胃がんとは?
胃がんとは、胃の内側の粘膜を覆っている細胞ががん化することで発症する病気です。
胃は、みぞおちの裏にあたりにある臓器で、口から摂取した食物を消化する内臓です。胃の周りには血管やリンパ管が詰まっています。胃がんが進行していくと大腸や膵臓といった周りの臓器に浸潤していくだけでなく、周りにある血管やリンパ節を介して全身に転移していきます。
胃がんを発見するための検診は、問診と検査に分かれます。検診は、胃部X線検査と胃内視鏡検査に分かれ、50歳以上の方は2年に1度の頻度で受けます。
しかし、胃の壁を硬くそして厚くすることで進行していくスキルス胃がんは、内視鏡検査で発見することが難しく発見された段階では、かなり進行しているため治りにくいとされています。
統計から見る発生率
胃がんは、多くの方がイメージされる通り、死亡する確率や罹患する確率の高い病気。以下は、がん全体の死亡数や罹患数での、胃がんの順位を男女別にまとめたものです。
死亡数 | 罹患数 | |
男性 | 2位 | 1位 |
女性 | 4位 | 3位 |
男女計 | 3位 | 2位 |
出典:最新がん統計
男女共に、死亡数・罹患数が高いがんであることがわかります。特に胃がんは女性よりも男性の方が罹患しやすい点が特徴的です。
胃がんが発症する確率が上がると言われているのは男女ともに50代から、そして80代でピークを迎えます。
原因
胃がんが発症する原因は、喫煙と感染です。特に日本人の胃がんは95%がピロリ菌の感染が原因であると言われています。また、塩分の高い食事も胃がんの原因となりえるそうです。
胃がんの予防に、ピロリ菌検査と除菌をします。ピロリ菌の除菌は健康保険の利用が可能です。また、禁煙や禁酒、栄養バランスの取れた食事も有効とされています。
症状
代表的な胃がんの症状は、胃の痛みや不快感、吐き気、食欲不振、体重の減少などが挙げられます。しかし初期の胃がんでは、自覚症状がほぼないとされています。さらに進行しても症状がないことも多いです。
また、胃の出血が原因による、貧血や黒い便が胃がんの発見のきっかけとなる場合があります。これらの症状は、胃炎や胃潰瘍でも起こりうるため、胃炎や胃潰瘍の検査で胃がんが発見されることもあるのです。
以上のような症状がある場合は、検診を待たずに医療機関を受診しましょう。
治療法
胃がんの治療法には、どのようなものがあるのでしょうか?
内視鏡治療
内視鏡治療とは、胃カメラを口から挿入して電気メスなどで胃がんを切除する治療方法のことです。主にがん細胞がいの粘膜上に留まっており、転移していない初期の段階で行われる治療です。
近年の内視鏡治療では、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」と呼ばれる治療法が主流。元の取り残しや体への負担が少ないだけでなく、再発の防止や胃の機能維持という効果があるとされています。ただし、胃を深く切除するため、出血や胃に穴が開くなどのデメリットもあり、入院を伴う場合もあります。
手術
胃がんにおける手術とは、がんを取り除くために胃を外科的に切り取る治療法のこと。切り取る範囲は胃がんの位置や進行度によって変わります。
胃がんで手術をする場合は、がん細胞が周囲のリンパ節に転移している状態で行われることが多いです。しかし近年は、できるだけ胃を残すように手術が行われているそうです。
術後は、胃の機能が低下することによって様々な症状が起こる「胃切除後症候群」の可能性があります。具体的な症状は、逆流性食道炎や食べ物が小腸に流れ込むダンピング症候群などが挙げられます。
抗がん剤治療
胃がんにおける抗がん剤治療は、他のがんと同様にがんの進行を遅らせたり抑えたりする場合に行われます。
また、手術をする前に抗がん剤治療行って、がんの縮小や転移したがん退治をしてから手術をする場合も多いです。これを術前補助化学療法といいます。
しかし抗がん剤は、正常な細胞も攻撃するため、白血球の減少や貧血、脱毛といった副作用が出る点に注意が必要です。
胃がんに備えてがん保険に加入する場合の保障の選び方
胃がんは、発見された時点で既に進行している場合があるため、早期に適切な治療を行わなれければなりません。がん保険に加入して、保険金を受け取れるようにしておくと、金銭的な心配をすることなく治療を選べるでしょう。
胃がんに備える場合に、おすすめの保障は以下の2つです。
診断一時金
診断一時金とは、生まれて初めての学生悪性新生物と診断された場合に、50万円や100万円どの、まとまった保険金を受け取れる保障のこと。胃がんと診断された時に、まとまった保険金を受け取ることで、胃がんを治療していくための資金を確保でき、ご自身が希望する様々な用途に利用できます。
2019年時点で、がん保険の診断一時金は、診断確定された場合だけでなく、手術や放射線治療を受けた場合など所定の条件を満たす場合に、1年に1回もしくは2年に1回など複数回にわたって受け取れるものも選べます。
診断一時金を複数回受け取れるタイプのものを選ぶことで、胃がんが再発した場合や術後に他の場所への転移が見られた場合も保障され、闘病期間が長期にわたっても安心ですね。
診断一時金は、がんにしっかり備える場合は100万円、保険料を抑えたい場合は50万円を目安に設定してみてください。
治療給付金
治療給付金とは、がんの治療を目的として抗がん剤治療や放射線治療、ホルモン剤治療などを行った場合に保険金や給付金を受け取れる保障です。
月額タイプのものであれば、抗がん剤治療や放射線治療を行った月ごとに10万円や20万円の保険金を受け取れます。
胃がんの手術後に、他への転移や再発を防止するために抗がん剤治療を継続していくことになっても、保険金を受け取ることで、医療費の自己負担だけでなく、働なくなったり勤務に制限がかかったりした場合の収入の減少にも備えられますね。
治療給付金の保険金額は、医療費の自己負担に備えたい場合は、月額もしくは1回につき10万円、収入の減少分も含めてしっかりカバーしたい場合は20万円にするのがおすすめです。
まとめ
がんは多くの方のイメージ通り、死亡する確率が罹患する確率の高い病気です。発見されたときには進行が進んでいる場合もあるため、がん保険などで医療費の自己負担分や収入の減少に備えておくと安心です。
また、胃がんは、ピロリ菌の検査を受け、除菌することで防げる可能性が高い病気です。胃がんに備えるのであれば、がん保険への加入だけでなくピロリ菌検査を受けてみることをおすすめします。
今回ご紹介したおすすめのがん保険の保障内容や保障額はあくまで目安です。必要な保障額はあなたの生活状況によって大きく変わるため、ファイナンシャルプランナーや保険の専門家に相談してみると良いでしょう。
なお、今回の記事は以下のサイトや書籍を参考に執筆いたしました。胃がんについてさらに深く知りたい方は、併せてご一読ください。
参考サイト:NHK健康チャネル、国立がん研究センター 、がん情報サービス、最新がん統計