個人年金保険料控除とは?個人年金保険料税制適格特約の条件と注意点
個人年金保険とは
個人年金保険とは、公的年金とは別に個人が保険会社と契約して加入する保険です。
契約時に定めた一定期間受け取れるタイプ・一生涯受け取れるタイプなどがあり、将来設計や保険料に応じて選択します。
年金2000万円問題で多く取り上げられたように、公的年金だけでは老後の生活を賄うことは難しいと言われていますので、個人年金などに加入して老後に備えることを多くの方が検討しています。
個人年金に加入すべきかどうか、個人年金の保険料や保険金額をどう設定すべきかについては、独立系ファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
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個人年金保険料控除とは
個人年金保険料控除とは、条件を満たした個人年金保険に払い込んだ保険料を年末調整や確定申告で申告することで、所得税・住民税の負担が軽減される制度です。個人年金保険料控除を受けられる条件は後ほど説明いたします。
保険料控除には個人年金保険料控除と、生命保険料控除、介護保険料控除が存在します。医療保険や一般的な生命保険は「生命保険料控除」に該当します。
個人年金保険料控除の方法は「確定申告」か「年末調整」の2種類
個人年金保険料控除を受ける方法は「確定申告」もしくは「年末調整」の2種類です。
確定申告の個人年金保険料控除
確定申告とは、個人事業主や副業の所得が20万円以上ある方などが、毎年2月から3月に前年度の所得を税務署に申告して支払う所得税を確定させるものです。住民税の申告も同時に行われ、申告した所得によって翌年度の住民税額が決定します。確定申告の際には、収入や経費、各種控除を差し引いた金額が「所得」になりますので、より多くの控除が適用された方が節税につながります。
個人年金保険料控除を受ける場合は、確定申告書の「所得から差し引かれる金額」の「生命保険料控除」に3つの保険料控除の合計金額を記載します。
内訳については別途記載する欄があります。控除の対象金額は各保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」に記載してある項目を転記するだけですので、難しい計算等は必要ありません。
年末調整の個人年金保険料控除
年末調整は給与所得者が年末に会社から、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が配布されますので、そこに生命保険料控除や個人年金保険料控除の対象となる保険料を記載します。必要な情報は保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」に記載されていますので、そのまま転記しましょう。
個人年金保険料控除を受けるための条件
個人年金保険料控除を受けるためには、下記の条件を満たしておく必要があります。
- 個人年金保険料税制適格特約
- 年金受取者が契約者もしくは配偶者
- 保険料払込期間が10年以上
- 確定年金や有期年金の場合は、受取開始が60歳以降かつ10年以上であること
個人年金保険料控除の対象となる個人年金かどうかは都度その商品を見て確認することになります。個人年金保険料税制適格特約は、無料でつけられる特約ですので、個人年金保険料の控除を受けたい方は忘れずにつけておきましょう。
個人年金保険料税制適格特約とは?
個人年金保険料税制適格特約とは、付加すると個人年金保険料控除を受けることができるようになる特約のこと。
個人年金保険料税制適格特約を付加するときの注意点
個人年金保険料税制適格特約を付加した場合、次のような点に気をつける必要があります。
- 個人年金保険料税制適格特約を付加したら契約内容の変更ができない
- 個人年金保険料税制適格特約だけを解約できない
- 基本年金年額の減額などに伴う返戻金がある場合でも支払いはされず、所定の利息をつけて積み立てられ、年金開始日に増額年金の買い増しに充てられる
特約を付加する場合は、付加した時の注意点も確認しましょう。
個人年金保険料控除で得する金額はいくら?実際にシミュレーションをしてみよう!
個人年金保険料控除で得する金額は、保険料控除の対象となる年間払込保険料と、本人の所得によって増減します。
控除額がこちらです。
●所得税の控除額
・新制度……40,000円
・旧制度……50,000円
●住民税の控除額
・新制度……28,000円
・旧制度……35,000円
これから個人年金保険に加入する方は、「新制度」の控除額を参考にしてください。
生命保険料控除を最大限受けるための保険料はこちらです。
・所得税……8万円を超えたら40,000円の控除額
・住民税……5万6000円を超えたら26,000円の控除額
つまり、毎月7000円以上保険料を払い込めば控除の恩恵を最大限受けることができるということですね。
では、実際に最大限の控除を受けたらいくら税金がお得になるのでしょうか。実際に計算してみました。
所得300万円の場合は個人年金保険料控除でいくらお得になる?
モデルケースは所得が300万円、支払い保険料は年間10万円で計算してみましょう。所得とは、収入から社会保険料や給与所得控除などの各種控除等を差し引いた金額です。所得が300万円の場合、所得税の税率は10%、住民税は所得に関係なくほぼ10%です。
1年間の保険料が10万円の場合は、控除額は所得税は40,000円、住民税は28,000円です。それぞれの控除額に対してかけられる税金が還付or軽減されますので、控除額に税率をかけると金額がわかります。つまり所得税は4,000円、住民税は2,800円の還付が受けられるということです。
年間6,800円ですが10年間払込続ければ6万8000円も税負担が軽減することになります。
個人年金保険料控除の軽減額(年収別)の早見表
下記は、個人年金保険料控除の新制度(所得税4万円、住民税2.8万円)の上限額での課税所得額別の税金の軽減額の早見表です。
課税所得 | 税率 | 所得税の軽減額 | 住民税(10%)の軽減額 |
195万円以下 | 5% | 2,000円 | 2,800円 |
195万円超 330万円未満 | 10% | 4,000円 | |
330万円超 695万円未満 | 20% | 8,000円 | |
695万円超 900万円未満 | 23% | 9,200円 | |
900万円超 1,800万円未満 | 33% | 13,200円 | |
1,800万円超 4,000万円未満 | 40% | 16,000円 | |
4,000万円超 | 45% | 18,000円 |
まとめ
個人年金保険料控除は、生命保険料控除とは別枠で受けることができますし、個人年金自体が保険料の「払い損」にはなりませんので、将来の不安に備える&節税の為に加入してもよいでしょう。加入すべきかどうか、また加入する場合の保障内容などを知りたい場合は、保険会社に属さない独立系ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。