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ペット保険の窓口精算とは?仕組みやメリット、利用の流れを徹底解説!

高額なペットの医療費の一時的な立て替え。あとからペット保険からの払い戻しがある、といっても負担に感じる、という方は多いはずです。

ペット保険の請求の煩わしさや負担を軽減させたい場合、「窓口精算」ができるペット保険を検討しましょう。今回は、ペット保険における窓口精算の仕組みや通常の請求方法との違い、利用の流れや注意点をわかりやすくお話していきます。

この記事のポイント

  • ペット保険の窓口精算とは、診療費の支払い時に保険の補償額を差し引いた自己負担額のみを支払う仕組みであり、保険金請求の手間や経済的な負担を軽減できる制度である。
  • 窓口精算には、請求手続きの簡略化などのメリットがある一方で、対応できる病院が限定されていたり保険証を忘れると利用できないといった注意点もある。
  • 窓口精算を利用するには、対応病院の事前確認や保険証の提示などが必須となるため、窓口精算の手順や条件を事前に把握しておくとよい。

ペット保険の窓口精算とは?

ペット保険の窓口精算とは?

ペット保険の「窓口精算」とは、通常窓口で全額を支払い、あとからペット保険で清算する動物病院での支払いを、その場で加入中のペット保険からの補償額を差し引いて、支払いを自己負担額のみとできるしくみです。

人間の場合の公的医療保険制度と似たかたちで、飼い主が立て替えることなく、負担を軽くすることができます。

ペット保険の窓口精算と通常の請求方法の違い

ペット保険の窓口精算と通常の請求方法の違いは、保険利用時の負担の違いにあります。

通常、ペット保険を使う際は、いったん医療費の全額を飼い主が動物病院で支払い、後日保険会社に診療明細書や請求書類を提出して払い戻しを受け、清算する必要があります。

一方、窓口精算ができるペット保険では、窓口精算に対応している動物病院が契約者の方にかわって保険金の請求手続きを行うため、補償額を差し引いた自己負担額のみ支払います。 

例えば、以下のようなイメージです。

加入中のペット保険の条件

  • 補償割合70%
  • 免責金額なし
  • 通院補償1日12,000円まで
  • 窓口精算可能

この条件で動物病院で10,000円の診療費の支払いをした場合、自己負担額は以下のとおりです。

  • 保険からの補償額:10,000円 × 70% = 7,000円
  • 自己負担額   :10,000円 - 7,000円 = 3,000円

この場合、3,000円を窓口で支払うことになります。

窓口精算ができるペット保険では、飼い主の方の立て替えや請求といった、保険利用時の負担を大きく減らすことができるでしょう。

ペット保険の窓口精算の対象となる治療費

窓口精算の対象となるのは、保険契約で補償範囲に含まれている診療費に限られます。

ペット保険で一般的に補償対象となる治療費には以下のようなものがあります。

  • 初診料・再診料
  • 入院料
  • 検査料(健康体に行われるものをのぞく)
  • 注射料
  • 薬剤料
  • 処置料(一部の処置をのぞく)
  • 手術料

ただし、補償の範囲内とされるものであっても、補償の対象外となるものもあります。

例えば、以下のようなものがあります。

  • 保険契約前からあった病気や先天性異常によるもの
  • 予防接種により予防できる病気によるもの
  • 予防接種や予防目的の診療費といった予防に関する費用
  • 去勢手術や避妊手術などの傷病にあたらないもの
  • 健康体に行われる検査や健康診断の費用
  • サプリメントなどの費用
  • シャンプー剤やマイクロチップの埋め込み費用など治療費以外の費用
  • 自然災害によるもの
  • 保険契約者・被保険者の故意または重大な過失によるもの

補償内容は保険商品ごとに異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

関連記事:保険のキホン 〜ペット保険の基礎知識〜

ペット保険の窓口精算のメリットとデメリット

窓口精算にはメリット・デメリットどちらも存在します。両面を理解して上手に活用しましょう。

ペット保険の窓口精算のメリット

窓口精算の主なメリットは以下のようなものがあります。

  • 専用の保険証が持てる
  • 支払い負担が軽くなる
  • 保険金の精算が早い
  • 保険金請求の手間がかからない
  • 保険からの補償額をその場で確認できる

窓口精算ができるペット保険では、通常ペットの子専用の保険証が発行されます。

保険証で保険の利用回数なども確認することができ、写真も入るため、大切なわが子のための保険だという意識が高まりますね。

窓口精算では、対応動物病院が保険金の請求手続きや受け取りを行ってくれるため、保険請求の手間がかからず、その場で自己負担額のみ支払います。

手間や負担を大きく省くことができ、ペット保険からの補償額をその場で確認することもできるでしょう。

ペット保険の窓口精算のデメリット

窓口精算のデメリットは、以下のようなものがあります。

  • 保険証を忘れると窓口精算できない
  • 当日の清算が必要
  • システムの都合により窓口精算できない場合がある
  • 対応している動物病院が限られる
  • 保険料が高め

保険証を忘れた場合、保険契約を確認できないため窓口精算はできません。

なお、窓口清算できない場合は、料金を一旦全額支払った後、ご自身で直接保険会社に請求を行う必要があります。請求方法は郵送やオンライン、SNSなど、保険会社によって異なります。あらかじめ確認しておきましょう。

また、支払いは当日に済ませる必要があり、清算後の取り消しや変更はできません。くわえて、同日に複数回通院したり、1回の入院にかかる診療費を2回以上に分けて支払いをする場合など、システムの都合により窓口精算できない場合もあります。

窓口精算には動物病院の対応が欠かせないため、お住まいの地域によっては対応している動物病院がない場合もあります。

窓口精算ができないペット保険と比較すると、保険料は高めです。事前に補償内容と保険料負担を照らし合わせながら、比較検討しましょう。

ペット保険の窓口精算を利用できる主な保険会社

ペット保険の窓口精算を利用できる主な保険会社

窓口精算ができるペット保険を利用できる主な保険会社は以下の2社です。

  • アニコム損害保険株式会社
  • アイペット損害保険株式会社

アニコム損害保険株式会社について

アニコム損保では、「どうぶつ健保ぷち」「どうぶつ健保すまいるべいびぃ」を除くプランで窓口精算ができます。対応病院が最も多く、犬・猫以外の動物も加入することができます。

最近の対応病院数は【犬】6,805件 ・【猫】6,836件(2025年4月公式検索ページより)となっています。

アイペット損害保険株式会社について

アイペット損保では「うちの子」の契約で窓口精算が利用できます。アニコム損保より対応病院は少ないものの、対応病院は増加しています。

最近の対応病院数は6,090件(2025年03月31日現在)です。

どちらもオンラインで対応病院を確認することができます。あらかじめ確認しておきましょう。

ペット保険の窓口精算の利用方法と流れ

窓口精算をスムーズに活用するために、事前に利用方法と流れや、必要な持ち物を確認しておきましょう。

動物病院での受付から支払いまでの手順と必要な持ち物

窓口精算は以下のような手順で行います。

  1. 窓口精算対応病院であることを事前に確認する
  2. 動物病院の受付で、保険証を提示する
  3. 動物病院で窓口精算できるかどうかを確認
  4. 診療後、自己負担額をその場で支払い

まずは、動物病院が対応しているか事前に確認しておきましょう。

対応している動物病院はWEBサイトで検索することができますし、通常病院にステッカーが貼られています。対応していることが確認できたら、受付で持参した保険証を提示します。その後、動物病院から保険会社に窓口精算ができるか確認します。

例えば以下のような場合は、窓口精算できない可能性があります。

  • 保険料の入金が確認できない
  • 窓口精算を利用できない期間に該当している
  • 他に提出書類が必要
  • 入院期間が保険期間外にまたがっている
  • 支払限度日数(回数)を超えた

窓口精算ができることが確認できれば、診療後、窓口で自己負担額のみのお支払いを行います。

 なお、窓口精算に必要な持ち物は、以下のとおりです。

  • ペット保険の保険証の現物またはマイページ画面の表示されるスマホなど
  • 支払いのための現金・クレジットカード

ペット保険の窓口精算を利用する際の注意点

ペット保険の窓口精算は便利なサービスですが、以下のような注意点があります。

  • 事前に病院で使えるか確認が必要
  • 補償されない支払いについては別途費用が発生する
  • ペット保険の契約内容や補償割合、限度額の事前確認が必要
  • 診療内容によってはその場で精算できない場合がある
  • 気軽に使いすぎると、翌年以降の保険料があがる可能性がある

前述のとおり、窓口精算に対応している動物病院は限定されます。

また、窓口精算できるのは、加入中の保険の対象となるもので、かつ、自己負担額は補償割合などの契約内容によって変わるため、事前に契約内容や補償割合、限度額などの確認が重要です。万が一の時にできる限り自己負担額を減らしたい、という方は補償割合を高めに設定しておくことも、工夫の1つです。

なお、動物病院では、ペット保険の利用状況は把握していないため、受診の都度、ご自身での確認が必要です。注意しましょう。

また、診療内容やシステムの都合により窓口精算できない場合もあります。念のため、全額支払えるよう、手元には現金やクレジットカードなどの準備をしておきましょう。

保険会社によっては、保険の利用回数などが翌年以降の保険料に影響を与える可能性もあります。事前にご自身の契約内容を確認しておきましょう。

関連記事:ペット保険の選び方とは?知っておきたい補償と保険料のポイントを解説

まとめ

ペット保険の窓口精算は、いざという時の飼い主の負担を減らすことができる便利なサービスです。ただし、利用できる病院が限られていたり、保険のプランによっては対応していなかったり、そもそも窓口精算できるペット保険を取り扱っている保険会社が少ない、といった注意点もあります。

保険に加入する際、最も重要なことはご自身が備えたい”もしも”に備えられるかどうかです。ペット保険を利用するシーンや、活用方法を確認しながら、必要な補償をしっかりとおさえた上で検討しましょう。

事前の準備と計画が、スムーズな保険利用のカギとなります。ぜひ、大切なペットとの暮らしをよりよいものにできるペット保険を選んでください。

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