生命保険(死亡保険)

保険不要論は本当か!?新NISAなどの投資や資産運用、貯蓄で備えていれば生命保険はいらない!?

最近、YouTubeやSNSで「生命保険は不要」といういわゆる「生命保険不要論」を目にすることが増えました。しかし、こうした生命保険不要論は本当なのか、疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、「生命保険不要論」が出てきた背景や生命保険がいらないと言われる理由、そして生命保険不要論を果たしてすべての人に当てはめることができるのか詳しく解説します。

また、この記事の内容は下のYouTube動画で解説しています。ぜひあわせてご覧ください!

この記事のポイント

  • 最近の生命保険不要論の広がりには、医療技術の進歩による平均寿命の延伸や入院日数の短縮、また高額療養費制度や遺族年金などの公的保障の充実、加えてNISAやiDeCoなどの資産形成の手段の普及が背景にあると考えられる。
  • 生命保険が不要と言い切れない理由として、生命保険の必要性は個人の収入の安定性、家族構成、貯蓄額によって大きく異なることがあげられる。生命保険の必要・不要は個々のライフプランに基づいて決めるとよい。
  • 生命保険には市場変動の影響を受けにくく、安定した資産形成が可能であったり、死亡保障や税制優遇があるなど多面的なメリットもある。

生命保険不要論が出てきた背景とは?生命保険はいらないと言われる理由

生命保険不要論が出てきた背景とは?生命保険はいらないと言われる理由

そもそも、生命保険不要論が出てきた背景にはどのようなものがあるのでしょうか。それには以下のような要因が考えられます。

  • 医療技術の進歩による死亡率・入院率の低下
  • 高額療養費制度や遺族年金などの公的保障制度の充実
  • 貯蓄があれば保険料を払わなくてもカバーできるという考え

 医療技術の進歩による死亡率・入院率の低下

生命保険に限らず保険は死亡やケガ・病気による入院などの万が一の事態を想定して入るものですが、現在ではその「万が一」の機会がだいぶ少なくなっているということがあります。

医療技術の進歩により平均寿命は延び、入院日数も短くなっています。令和5年に厚生労働省が行った調査によると、平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳という結果となっています。

また入院日数についても、厚生労働省の調査によると令和5年における退院患者の平均在院日数(入院日数)は28.4日という結果になりました。

この平均在院日数は調査のたびに下がり続けており、令和3年の前回調査からは約4日程度短くなっています。

 高額療養費制度や遺族年金などの公的保障制度の充実

日本は医療保険制度や公的保障制度が充実しているから生命保険はいらないという声も多く聞かれます。

例えば高額療養費制度を活用すれば、医療費の負担を大きく軽減できます。

1ヵ月で100万円の医療費がかかったとしても、医療保険制度により自己負担は3割で済み、さらに高額療養費制度によって最終的な自己負担額は約9万円となります(※2025年3月時点の金額)。

また、遺族年金制度があるから生命保険は必要ない、という声も少なくありません。

そもそも遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者や被保険者であった人が亡くなった時に、その人によって生計を維持していた遺族の生活を維持することを目的に支給される年金です。いわば公的な死亡保障ともいえます。

こうした公的保障制度が整備されている日本だからこそ、保険不要論は出てきた考え方とも言えるかもしれません。

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保険料を貯金や投資に回した方が得という考えの拡大

保険料を払う代わりにそのお金を貯金に回したり、NISAなどの投資や資産運用に回した方がお金が増えるという考えも根強くあります。

一般的に経済環境が良好な時には、保険よりもより効率よくお金を増やすことができる投資や資産運用に注目が集まる傾向があります。こうした状況に加え、現在はNISAをはじめとした投資や資産運用をやっている人からの発信を、インターネットやSNSで目にする機会も増えました。

ひと昔前であれば「怪しい」というイメージが先行し、一般の人ではなかなか手を出せなかった投資や資産運用について気軽に情報収集ができ、自分ひとりでも始められるようになったことも保険不要論を後押しする大きな要因のひとつと考えられます。

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保険不要論は正しい?生命保険は本当に不要?

保険不要論は正しい?生命保険は本当に不要?

しかし、上で解説したような理由から生命保険をはじめとした保険は不要と本当に言い切ってもよいのか、と疑問に思う方も多いかもしれません。そもそも、保険の要・不要を判断するにはまず以下のような個々の状況を考える必要があります。

  • 収入の有無と安定性
  • 家族構成
  • 貯蓄額 など

例えば、収入が不安定な自営業者や、子どもが小さく将来の教育資金が必要な家庭では、万が一の際には生命保険が重要な役割を果たすといえます。しかし一方で、大手企業に勤めていて十分な収入や貯蓄があり、万が一の際にも家族が困らない状況ならば、生命保険の必要性は低いかもしれません。

よって、生命保険の要・不要は個々の事情によって異なり、一律に「生命保険はいらない」と断じるのはいささか乱暴といえるでしょう

生命保険が自分にとって必要もしくは不要なのかちゃんと判断するためには、まずは自分や家族のライフプランのシミュレーションを組み、次に、将来必要になるお金を保険で準備するべきなのか、それとも貯蓄など他の方法で準備すべきなのか、考える必要があります。

生命保険に加入することのメリットとは?

では、生命保険を持つことのメリットにはどのようなことが考えられるのでしょうか。また生命保険の必要性が高くなるのはどのようなシチュエーションなのでしょうか。

保険なら安定した資産形成ができる

2024年1月から新NISAが始まったことをきっかけに、投資や資産運用を始めたという方も多いのではないでしょうか。1月以降は日本株もかなり右上がりで推移しましたが、8月になり市場が暴落、耐え切れずNISAを解約したという人も多く見られました。

保険は基本的に国債によって運用されている商品が多いため、このような市場の暴落にも強いという特徴があります。市場の相場感が下落傾向であったり、デフレ環境下では保険の必要性は増すといえます。

また、投資の基本である「分散投資」という観点からも、もしもに備えて保険をひとつ持っておく、というのは正しい対策といえます。NISAやiDeCoといった投資商品と比較すると、保険はリスクが低い安定した資産運用手段としても活用できます。そのため、投資と生命保険を組み合わせてリスクを分散するのも一つの方法です

死亡保障が付いている

亡くなった時の死亡保障を持っておきたい、という人にとっても保険の必要性は高いといえます。

特に世帯主ひとりの収入源に頼っているような家庭では、世帯主に万が一のことがあった際にも、生命保険に入っていれば、家族に資産を残すことができます。遺族の生活保障にも生命保険や死亡保険が役立つといえるでしょう。

税制優遇がある

生命保険が有効なケースとして、特に相続対策や税制優遇が挙げられます。生命保険で受け取る死亡保険金は一定額まで非課税となるため、相続税の対策となります。

またその保険金を相続に活用すれば、相続時の遺産分割にかかわるトラブルを避けられる可能性も高くなります。

関連記事:死亡保険金はいくらから税金がかかる?税金がかからない場合もある?損をしない生命保険の契約形態とは?

まとめ

結局のところ、生命保険の要・不要は個人の価値観によるところも大きいといえます。日本人は「安心感」を重視する傾向があるため生命保険に加入している人が多いとも考えられますが、万が一の際に自分の貯蓄で対応できる可能性が高い、また保険料を払うより投資や資産運用に回したいと考えるのであれば、生命保険は不要と考えるのもひとつの選択肢となります。

以上のような理由から、生命保険不要論は一概に「正しい」とも「間違い」とも言えません。しかしまずは自分自身のライフプランや家族構成を見直し、公的保障制度でどれくらいカバーされるかなど調べたうえで自分にとって生命保険は本当に不要かどうかを判断することが重要といえるでしょう。

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