生命保険の契約内容変更手続きとは?入院給付金・死亡保険金の請求手続きも解説
生命保険の契約は長期間に渡ることが多く、時間の経過・ライフステージの変化とともに、住所変更や結婚による改姓手続き、死亡保険金受取人変更などの手続きが必要となる時があります。また、万が一病気やケガで入院したり、契約者の方が死亡したりした場合には給付金や死亡保険金を保険会社に対し請求するための手続きも必要となります。
この記事では、生命保険加入中ににかかわる一般的にどのような手続きがあるのかについてご紹介いたします。
この記事のポイント
- 保険は基本的に長期間に渡り加入し続けるので、家計の変化などによって契約内容を変更したほうがよい場合がある。
- 契約内容変更手続きはインターネットや電話連絡だけで済むものと、保険会社などに連絡後所定の書類を提出する必要があるものに大きく分けられる。
- 入院・手術給付金の請求手続きはインターネットでも手続きが可能だが、死亡保険金の請求手続きは不可である可能性が高い。また契約者の死亡証明書(診断書)などの必要書類も多い。
契約内容変更手続きで可能なこと
保険は基本的に長期間に渡り加入し続けますので、家計の変化などによって契約内容を変更したほうがよい場合があります。
保障金額を増額する場合には特約を付加したり新たに保険に加入したりする必要がありますが、保障金額を減らす場合には手続きだけで行えます。
契約内容の変更手続きのうち、減額手続きと解約手続きについて解説します。
①減額手続き
減額手続きは、保険料の負担をおさえたい場合など、現状に合わせて保険金額を減額するために行います。
適用されている割引が変更または適用なしとなる場合や生命保険に付加している特約に影響する場合がありますが、減額した保険金額に応じて保険料の支払額を減らすことができます。
また貯蓄性のある終身保険や低解約返戻金型終身保険などの場合、減額により解約返戻金を受け取ることができます。受け取った解約返戻金については、一時所得として課税の対象となりますので注意が必要です。
解約返戻金とは?
解約返戻金とは、生命保険の契約を解約した場合に受け取れるお金のこと。
②解約手続き
解約手続きは、保険料の支払いを継続するのが厳しくなったり、ほかの保険に乗り換えたりするために行います。
特約のみを解約する場合、主契約は継続しますが、主契約を解約するとすべての保障が消滅します。
保障が不要になれば解約も一つの方法ですが、保険料の支払いを減らすためなどであれば、減額(一部解約)などほかの方法も検討しましょう。
なお解約返戻金のある保険を解約した場合、解約返戻金に対して一時所得として課税の対象となります。
関連記事:保険の解約返戻金に税金はかかる?確定申告は必要?ケース別にシミュレーション
改姓による変更手続きについて
結婚や離婚などを機に、改姓する場合には契約している生命保険の変更をしなければなりません。
改姓による契約者や被保険者、受取人の変更だけであれば、保険会社所定の書類に必要事項を記入し、提出するだけです。書類は電話や窓口訪問にて請求するのが一般的ですが、ホームページ上で必要事項を入力して書類を請求できる保険会社もあります。
ただ結婚や離婚などによる変更で、改姓変更だけでなく住所変更や契約者変更などを伴う場合は、手続き方法をまとめて確認しておきましょう。
名義変更手続きについて
名義変更手続きは、契約者や保険金受取人を変更するための手続きで、被保険者を変更することはできません。
結婚などのライフステージの変化で契約者や受取人を変更したい場合があります。ここでは契約者や受取人の変更手続きと名義変更による課税関係について解説します。
契約者変更・受取人変更
契約者や受取人を親から子へ変更したい場合や契約者や受取人が死亡した場合など、契約者や保険金受取人を変更する際には、被保険者の同意を得て所定の手続きをする必要があります。
たとえば、以下の表のように契約者が父親、被保険者が母親、そして死亡保険金の受取人が父親となっている生命保険の契約があるとします。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 |
---|---|---|
父 | 母 | 父 |
もし契約者である父親が死亡した場合、契約者変更や死亡保険金受取人の変更を行えば、この契約の契約者と死亡保険金の受取人を以下の表の通り母親と子どもに変更することもできます。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 |
---|---|---|
母 | 母 | 子 |
名義変更による課税関係
以下の表の通り、課税関係は契約者・被保険者・受取人の関係によって異なるため注意が必要です。
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金区分 |
---|---|---|---|
母 | 母 | 子 | 相続税 |
子 | 母 | 子 | 所得税 |
父 | 母 | 子 | 贈与税 |
なお、契約者変更や受取人変更した際に課税されることはありません。後日、保険を解約した場合や保険事故が発生した場合に、上記の課税関係をもとに課税されます。その際、変更前と後に分けて課税されます。
関連記事:死亡保険金はいくらから税金がかかる?税金がかからない場合もある?損をしない生命保険の契約形態とは?
入院・手術給付金、死亡保険金などの請求手続きについて
入院給付金や手術給付金などの給付金請求手続きと、死亡保険金や高度障害保険金などの保険金請求手続きについてまとめます。
給付金請求手続き
給付金にはおもに、入院給付金や手術給付金など医療保険やがん保険から支払われるものがあります。
給付金請求は、インターネットや電話、代理店経由などで行い、保険証券の番号や傷病名、治療内容などの情報が必要となります。保険会社から送られてくる所定の請求書を診断書などの必要書類とともに保険会社に提出し、保険会社の確認後、給付金が支給されます。
なお、入院給付金など身体の傷害に基因して支払いを受けた場合、その給付金は非課税扱いとなります。
関連記事:病気やけがで入院・手術!医療保険の給付金請求の手続き・請求方法の注意点とは?
死亡保険金請求手続き
保険金にはおもに、死亡保険金や高度障害保険金、満期保険金など死亡保険から支払われるものがあります。
保険金請求も給付金請求と同様に保険会社に対して請求しますが、代理店経由で連絡しサポートしてもらうこともできます。
ただ、保険金請求は給付金請求と比べるとインターネットでの請求ができない保険会社があるなど違いがあります。公式ホームページで確認するか、保険会社に電話で直接請求するとよいでしょう。保険金請求の際の連絡先は契約のしおりや約款等にも記載されています。
保険会社への請求後は、送られてくる死亡証明書(診断書)を医療機関に記入してもらう必要があります。保険金請求書などの必要書類とあわせて保険会社に提出し、保険会社の確認後、保険金が支払われます。
関連記事:誰でも生命保険(死亡保険)の受取人になれる?保険金受取りの税金や手続きについて解説
なお遺族が受け取った死亡保険金は相続税の課税対象、契約者本人が受け取る満期保険金は一時所得として所得税の課税対象となります。またリビングニーズ特約で契約者本人が生前に受け取った死亡保険金や契約者本人が受け取った高度障害保険金はいずれも非課税扱いです。
その他の変更手続き
その他の変更手続きとして、住所・電話番号の変更、保険料支払方法の変更、契約者貸付の請求についてまとめます。
住所・電話番号変更
住所や電話番号の変更は、電話やインターネットによる連絡だけで手続きが完了します。変更する証券番号と新しい住所や電話番号を準備の上、連絡しましょう。
保険料支払い方法等変更
保険料支払方法には、口座振替扱への変更・振替口座の変更、クレジットカード払への変更・クレジットカードの変更、払込方法(回数)の変更などがあります。
手続き手順は保険会社によって異なりますが、一般的に保険会社ページ内の「契約者向けページ」や「マイページ」などに変更方法が記載されており、その手順に従いHP上からやメール・電話で変更したい旨を伝え、送られてくる書類に必要事項を記入し返送します。
契約者貸付等
契約者貸付は、解約返戻金の一部を借りられる制度で、保険の解約をせず資金が必要なときに活用することができます。契約者貸付を利用するためには証券番号を準備し、請求保険会社に連絡するか窓口を訪問します。保険会社によってはアプリやホームページで「契約者向けページ」や「マイページ」などに手順が載っているケースも多いので、それに従って、依頼をしてみてください。
所定の書類を準備する必要がありますので、電話であらかじめ必要書類を問い合わせたほうがスムーズに手続きを進められます。
まとめ
生命保険の変更手続きについてまとめましたが、手続きは大きく「インターネットや電話連絡だけ」「連絡後に所定の書類を提出」に分けられます。手続き内容によっては書類を提出する必要があり、必要書類も変わってきますので、どのように変更したいかを明確にしたうえで保険会社に確認するようにしましょう。