団体保険とは?種類や加入のメリットを紹介!
会社で加入できる「団体保険」とは、どんな保険なのでしょうか?
この記事では、団体保険に加入するメリット・デメリット、退職した場合どうなるのか、団体保険といえばどの種類の商品が人気なのかなどを、まとめて紹介していきます。

団体保険(グループ保険)とは
団体保険(グループ保険)とは、企業などを保険契約者、その団体に属する役員などを被保険者とする保険です。
保険契約者 | 企業、官庁 など |
被保険者 | その団体に属する役員、従業員、その家族 |

定期保険の場合、被保険者は10名以上必要な保険がほとんどですが、損害保険の場合は100名以上の被保険者が必要となる保険もあります。
「被保険者10名以上」と小規模の従業員でも活用できることから、
- 総合福祉団体定期保険
- 団体定期保険
が一般的です。
これらは、1年更新型の掛け捨てタイプの死亡保障となります。
ココがポイント
団体保険は、その団体に所属している限り利用することができます。
定期保険以外にも、医療保険・3大疾病保険(特定疾病保険)・普通傷害保険など生損保ともに団体保険があります。
団体保険の種類
団体保険には様々な種類がありますが、一般的には死亡保障を得られる定期保険です。
- 従業員全員が加入するAグループ
- 任意加入であるBグループ
に分けられます。
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Aグループ(総合福祉団体定期保険、ヒューマンバリュー特約)
団体保険のうち、条件を満たす従業員全員が加入する保険を『総合福祉団体定期保険』と言います。
総合福祉団体定期保険とは
総合福祉団体定期保険は、1年更新型の定期保険が一般的です。
総合福祉団体定期保険 | |
保険契約者 | 企業など |
被保険者 | 役員、従業員 |
保険料の負担 | 保険契約者(企業など) |
保険契約時には従業員等の同意が必要となり、保険金の受取人を法人とした場合、保険金を請求時には遺族の了知が必要となります。
以前、従業員等の同意をしっかり得ることなく企業などが保険金を受け取っており、社会問題になったことから、契約時や請求時に所定の手続きが必要となっています。
ココがポイント
従業員等が死亡した場合、企業などは新たな人材を確保しなければなりませんが、そのための費用を「ヒューマンバリュー特約」を付加することでカバーすることができます。
なお「災害総合保障特約」を付加することで、障害給付金や入院給付金を従業員が受け取ることもできます。
Bグループ(団体定期保険)
団体定期保険とは
団体定期保険も企業などが保険契約者、従業員などが被保険者とする1年定期保険です。しかし保険料は従業員などが負担します。
団体定期保険 | |
保険契約者 | 企業など |
被保険者 | 役員、従業員 |
保険料の負担 | 被保険者(従業員など) |
団体保険と言えば、総合福祉団体定期保険・団体定期保険ですが、他にも様々な種類がありますので、参考に紹介しておきます。
そのほかの団体保険の種類
無配当総合福祉団体定期保険(ノンパーグループ保険) |
有配当の総合福祉団体定期保険と比べると、配当がない分、保険料は割安となっています。ただ配当を加味した保険料を比べると、必ずしも無配当が有利になるとは限りません。 |
医療保障保険(団体型) |
公的医療保険制度の補完を目的とした、1年更新型の医療保険です。企業等が保険路湯を負担する「全員加入型」と従業員等が保険料を負担する「任意加入型」があります。 |
3大疾病保障保険(団体型) |
従業員等が所定のがん・心筋梗塞・脳卒中になったときに、給付金や診断保証金を受け取れる1年更新型の団体保険です。 |
団体傷害保険(普通傷害保険) |
国内外問わず、従業員等の急激かつ偶然な外来の事故によりケガをした場合に備えた1年更新型の団体保険です。「就業中のみ」「就業中+日常生活」の2つのタイプがあります。 |
健康増進型保険 |
健康を企業の取組にすることができ、1日当たりの歩数などで一定の基準を満たすと配当金が支払われるタイプの団体保険です。 |
損害保険では、家族傷害保険や所得補償保険などの商品もあります。
損害保険の死亡保険金の受取人を企業などにする場合にも、保険金受取人の指定に関する被保険者同意の確認が必要となります。

団体保険のメリット・デメリット
次に、団体保険のメリットとデメリットを解説します。

団体保険のメリット
団体保険のメリットは、一般の保険と比べて保険料が割安になる点です。
団体保険では企業等が保険料を集金するなど、保険会社が行う事務手続きの一部を企業等が代行していることなどから、保険料は低くなっています。
また団体保険は、特定の団体で働く健康な従業員などが対象となっていますので、加入に必要な告知は最小限。簡単な手続きで加入することができます。
団体保険のデメリット
団体保険は団体に所属する従業員等が加入の対象となりますので、退職してしまうと利用することはできなくなります。
また1年更新型の場合、年齢が上がると保険料が高くなるため、50代60代の人にとっては団体保険で割引されていても、保険料の負担を感じる可能性があります。
団体保険のメリット・デメリットまとめ
メリット | 保険料が割安 |
加入手続きが簡単 | |
デメリット | 退職すると解約となる |
1年更新型なので、年齢が上がると保険料が高くなる |
関連ページ:20~50代の生命保険料の相場・死亡保険金の平均は?毎月いくら払ってる?
団体保険への加入方法
団体保険は1年更新の保険であるため、募集時期も毎年決まっています。
ココに注意
たとえば毎年4月の上旬から5月中旬までが加入期間とした場合、新規加入はもちろんのこと、掛け金の変更などもこの期間でないと受け付けてもらえませんので、注意が必要です。
前述のとおり、転職や退職をすると継続できなくなるため、メインの保険は個人で掛けておいて、上乗せで安く死亡保障を持つことが望ましいですが、保険の見直し時期にも注意が必要となります。
たとえば子供が産まれたために、保障額を大きくしたい場合、メインで加入している保険会社に見積もりをしてもらうと思います。
ここでポイントになるのは、団体保険は、
- 定期保険
- 収入保険
- 所得補償 など
種類も増えていますが、年齢や保障範囲などの条件によって必ずしも団体保険のほうが安いとは限らないという点。
また折角時間を割いて検討をすすめ、プランを決めたとしても、それが7月だったら次の4月を待たないと団体保険は変更出来ないのです。
ココがポイント
団体保険は時期をみて、比較検討するように心がけましょう。
ただ、加入時の診査は比較的簡易であり、一般的な生命保険が5年前までの傷病告知が必要なのに対して「団体保険は1年前まででいい」などの利点もあります。
加入時期や他生命保険の組み合わせなど、よく検討して選ぶようにしましょう。
団体保険の保険金・給付金を受け取る手順
一般的な保険であれば、保険金や給付金の請求を保険会社に行いますが、団体保険ではどのような流れで請求すればいいのでしょうか。

step
1連絡
step
2書類の準備・提出
step
3保険金・給付金の受け取り
※参考:第一生命「団体保険のご請求手続きの流れ」
団体保険の剰余金について
保険料は、
- 予定死亡率
- 予定利率
- 予定事業比率
の3つの基礎率を元に計算されています。
団体保険は毎年収支計算が行われますが、見込んでいたものと実際の結果に差異が生じた場合に、利益が出たものに関しては契約者に還元される仕組みになっています。

予定死亡率とは
過去の統計を元に、性別や年齢別の死亡者数を予測するための死亡率のことをいいます。
予定利率とは
生命保険会社が資産運用により予め見込まれる利益を元に保険料を割り引いており、その割引計算の利率のことをいいます。
予定事業比率とは
保険契約や保険料の収納、維持管理などにかかる諸経費を見込むための比率のことをいいます。
団体扱保険とは?団体扱保険と団体保険の違い
団体保険と似た契約形態である保険で「団体扱保険」があります。
団体保険の保険契約者は企業などですが、団体扱保険の保険契約者は従業員などとなります。保険料は従業員等が負担しますが、企業などが給与天引きで保険料を集金し、保険会社に支払います。
ココがポイント
団体扱保険は団体保険とは違い、退職しても契約は終了しません。
なお集団扱保険という契約形態もあります。
集団扱保険とは
協同組合等の組合員が加入できる保険。組合員であれば、法人も対象となります。
都道府県職員生活協同組合や、医師協同組合などで取り扱っています。
契約形態の違いまとめ
対象者 | 加入期間 | |
団体保険 | 役員・従業員 | 在職中 |
団体扱保険 | 役員・従業員 | 在職中、 退職後 |
集団扱保険 | 組合員 | 組合加入中 |
団体保険などが利用できる場合の保険の選び方
団体保険や団体扱・集団扱保険を利用できる場合、どのように保険選びをすればいいのでしょうか。
団体保険や団体扱保険などを利用できれば、0~30%程度の保険料割引を適用することができます。
ココがポイント
そのため、団体保険等を利用できる状況であれば、優先して検討した方がいいでしょう。
ただし保険料については、定期保険の団体保険の方が安くなる可能性が高いのは、一般の定期保険と比較したとき。
定期保険の団体保険と一般の収入保障保険を比較すると、年齢によっては収入保障保険の方が安くなる可能性もあります。

また退職が近い場合、これからが医療保険が重要となる時期であることから、退職後の医療保障を考え、医療保障を充実させるために一般の医療保険などに切り替えることも一つの方法です。
たとえば保険の加入期間を平均寿命までと考えると、50歳で保険の見直し・検討をした場合でも30年以上の保険期間があります。
団体扱保険は退職後でも利用できますが、保険料の割引が5%前後になることも。
ココがポイント
保険は、平均寿命までの保険料総額を比較して、保障内容とのバランスを考えて選びましょう。
団体保険などは同じ種類の保険同士を比較すれば保険料は安いですが、より良い他の類似商品と比較した場合には保障内容との比較となります。

この点は保険選びの基本ですので、「団体保険等=安い・お得」だけで保険を選んでしまわないようにすることがポイントです。
関連ページ:医療保険と生命保険の違いとは|どっちがおすすめ?両方に入るべき?
団体保険といえばどの保険?
団体保険は、保険募集や保険料の給与天引などを会社側が行うことで、保険会社に通常かかる経費を削減できるために保険料が割引かれる制度のことを指すため、その会社が募集した保険を引き受ける「引受保険会社」が存在します。
さらに詳しく
たとえば大手スーパーの「イオン」では、保険の相談に行ける窓口もありますが、従業員向けの福利厚生として割安で加入できる団体保険が存在します。
そういった多数の企業が募集した団体保険を引き受けて、個人情報の管理や維持、支払いなどを行う引受保険会社が、
- 日本生命
- 損害保険ジャパン
- ジブラルタ生命 など
の保険会社になります。
その他に県民共済などでお馴染みの共済保険ですが、これにも団体保険が取り扱われています。
ココがポイント
団体生命共済は、こくみん共済・全労済・教職員共済など多数の共済保険が取り扱っています。
いずれにしても、年末調整が簡単・給与天引で支払い漏れがない・保険料が安いなどのメリットがある一方で、退職や転職に伴う保険の解約・年齢を重ねるごとに保険料が上がるなどのデメリットもあります。
年齢や家族の有無など、ライブステージによって必要な保険は変わりますので、今の自分にどんな保険が必要なのかは、よく見極めて加入しましょう。
団体保険の注意点
団体保険は1年更新であるため、年齢を重ねると保険料は上がっていきます。
年齢の括りは企業によって異なりますが、たとえば
- 20〜24歳
- 25〜29歳
- 30〜34歳 など
年齢のグループが上がるにつれて、保険料も少しずつ上がっていくのです。
次に、団体保険は退職や転職などでその企業に在籍しなくなった時には、継続することが出来ません。
ココがポイント
契約者は企業であり、その企業に所属しているからこそ団体割引で加入できているからです。
たとえば、定年を迎えるまで個人的な保険に加入していなかったとしましょう。
それまでは団体保険で500万円の定期保険に加入していましたが、定年退職して会社を辞めたので、その保険は解約になりました。しかし死亡保障はゼロという訳にはいきません。
ココに注意
そこで60歳から新しく死亡保障を持つとすると、保険料は相当な高額になります。
しかもその歳から保障を掛けるとなると、定期保険ですら高額な保険料になる上に、10〜15年で更新がありますので、保険料はどんどん上がった後に80歳で消滅してしまいます。

まとめ
団体保険の保険料は割安なので、団体保険をメインに保険選びをして、上手に活用するといいでしょう。
保険選びのコツは、先入観にとらわれることなく、保障内容と保険料を確認し、比較することです。
団体保険で取り扱う保険の種類によっては、一般の保険を活用した方が保険料の負担が軽減される可能性もありますので、気になる人は一般の保険との比較もしておくと理想的です。
退職してしまうと団体保険を活用できなくなりますので、団体扱に変更することができないか、勤め先に相談しておくと安心です。