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終身保険

終身保険の選び方・見直し方とは?保険料を節約する方法をFPが解説

1. 終身保険の選び方4つのポイント

あなたの年齢と家族構成から、何が適切な商品であるかを考えましょう。以下が、終身保険の加入を検討する際に欠かせないポイント4つです。

(1)加入目的を明確にする

(2)満期保険金はいくらに設定する?

(3)払込期間はどれくらいに設定する?

(4)解約返戻金の考え方

これらについて順を追って見ていきましょう。

(1)加入目的を明確にする

終身保険に加入する目的として、主に以下の用途が挙げられます。

1. 死後の葬儀費用など整理資金の準備

2. 遺族に一定額を遺す

3. 教育資金を準備する

4. 相続税相当額を現金で準備する

5. 分けられない遺産をトラブルなく相続できるよう代償分割を可能にする

あなたが終身保険に加入する際にこれらの内どのような目的を持って加入するかによって、次に続く「満期保険金額をいくらにするか」「払込期間はどれくらいに設定するか」といった考え方も大きく異なってきます。

そのため、必ず軸となる加入目的をしっかりと定めることが重要です。

(2)満期保険金額はいくらに設定する?

終身保険を選ぶ際、基本となるのは「加入目的」であると解説しました。

終身保険の保険金額設定についても、この加入目的から逆算して決めていくのがセオリーです。

残された家族が葬祭費用に困らないようにするのが目的であれば、葬祭費用をカバーする分だけの保険金を設定しておきましょう。

鎌倉新書「第3回お葬式に関する全国調査」(2017年)によると、葬儀費用の総額は178万円となっています。

葬祭費用だけを念頭に置くなら、200万円をベースに考えるのが良いでしょう。

ただし、最近は「家族葬」などのコンパクトな葬儀を選択する人も増えています。そうなればかかる費用は小さくなることも考えられるため、どのような葬儀を想定するのか考えておくことも大切です。

関連記事:20〜50代の死亡保険金の相場は?

(3)払込期間はどれくらいに設定する?

払込期間は、大きく分けて

1. 終身払い

2. 有期払い

3. 一時払い

の3つに分けられます。

終身払いは文字どおり、保険料を一生涯払い続ける方式です。

有期払いは、一定の期間や年齢に達するまで払い続ける方式で、払い込みをする年数(10年・20年)、払込が修了する年齢(50歳・60歳など)などから商品を選択します。

選択できる期間は商品によって異なるため、払込を終わらせたい年齢から逆算して商品を選定しましょう。

一時払いは、最初に一括で全ての保険料を払い終えてしまう方式です。

加入者が払う保険料を受け取った保険会社では積立金の運用をしています。

早く払い終えるほど大きな金額を動かせるようになり、解約返戻金の返戻率が大きくなるのが一般的です。

ここでも重要なのが「終身保険に加入する目的」です。終身保険の貯蓄性に着目して加入するのであれば、返戻率が大きくなる「一時払い」が望ましいでしょう。

反対に「無理のない範囲で死亡保障がほしい」という場合は、終身払いも視野に入ります。毎月の支払保険料が少なくなるため、生活状況の変化にも対応しやすくなります。

ただし、老後も保険の払い込みが続くのがデメリットです。収入が少なくなった際に家計を圧迫しないかを、加入する前に考慮する必要があります。

(4)解約返戻金の考え方

解約返戻金(かいやくへんれいきん)

保険を途中で解約した時に戻ってくるお金のこと。

終身保険では、死亡保険金や高度障害保険金の代わりに解約返戻金を受け取ることが可能です。

保険料払込期間中は返戻率は100%を下回る一方、払い込みが終わると100%を上回る設計になっており、必要になる資金が貯まったタイミングで解約することで、目的の資金に充てることが可能です。

解約返戻金の大きさは、保険商品ごとに設定された「返戻率」によっても変わります。

返戻率(へんれいりつ)

払込保険料に対して戻ってくる解約返戻金の割合のこと。

返戻率を計算する場合、以下の計算式で求めます。

解約返戻金の額 ÷ 払込保険料 × 100

保障内容が全く同じでも、返戻率は保険会社ごとに異なります。

特約を付加する返戻率は下がるため、付けたい特約と返戻率のバランスを考えた保障内容を検討することが重要です。

目的が貯蓄であれば、将来お金が欲しくなるタイミングで返戻率が100%を超えることが必須条件になります。

2. 終身保険の見直し方2つのポイント

いま加入している終身保険の見直しは、主に次のようなタイミングが挙げられます。

・就職

・結婚

・出産

・住宅購入

・子どもの独立

・定年退職

いま加入している終身保険の見直しを検討する際のポイントは、以下の3つです。

(1)返戻率と解約返戻率

(2)保険料は家計を圧迫していないか

(3)払込期間は適切か

これらについて、順を追って見ていきましょう。

(1)返戻率と解約返戻率

保険の見直しを行う際、

  • 終身保険の返戻率はどのくらいか
  • 受け取れる解約返戻金はいくらになるのか

といった情報は確認するべきです。

加入後すぐに解約した場合は返戻率は100%を下回り、解約返戻金の額が支払った保険金よりも下がるのが一般的です。

死亡の際にどれだけの金額が必要かはライフスタイルに応じて異なるため、見直しの際に「今の死亡保障で適性なのか」をシミュレーションしましょう。

もし備えが多すぎる場合は保険料が安いものに乗り換えるべきですし、不足するなら手厚い保障を受けられる保険に乗り換えを検討します。

このような見直しを進めていくためにも「いまの時点で解約したらいくらの解約返戻金を受け取れるか」という情報は把握しておくべきです。

契約時に渡される「保障設計書」などを確認し、払い込んだ保険料よりも解約返戻金がどこで上回るのかを知っておきましょう。保険の切り替えの時期を決める目安になります。

(2)保険料は家計を圧迫していないか

終身保険は保障が一生涯続くこと、解約時に解約返戻金を受け取れる貯蓄性があることから、定期保険と比べて保険料は割高に設定されます。契約している終身保険の保険料が、ご家庭の家計を圧迫していないかの見直しをするべきです。

生命保険文化センターの調査によると、男女が年間に支払う保険料の平均は以下のとおりです。

年間平均支払額

男性

23万4,000円

女性

16万8,000円

※出典:生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査

上記と比較して支払っている金額があまりに大きい場合、保険料の見直しの必要がある可能性があります。

もちろん、あくまでも平均のため、実際に保険料の支払いが家計に影響を与えるかどうか分かりません。どれくらいの保険料が適切であるかは、契約者の希望や家計の情報を加味して判断します。

今支払っている保険料が家計を圧迫して貯蓄の妨げになっているとすれば、それは本末転倒です。今の死亡保障が生活の支障になっているなら、見直しが必要になるでしょう。

月払いだけでなく、半年払いや年払いに切り替えることで保険料は安くなります。

また、単純に保険料を安くするだけでなく、支払うタイミングも一緒に検討が必要です。

(3)払込期間は適切か

先述したとおり終身保険には、

・保険料を最初に全額支払う「一時払い」

・一定期間内に保険料を払い込む「短期払い」

・一生涯に渡って支払い続ける「終身払い」

があります。

一時払いや短期払いであれば退職して年金生活に入る前に支払いを終わらせられるメリットがありますが、払込期間中の負担は大きい点に注意が必要です。

反対に終身払いの場合、毎月の負担は小さくなる一方で、退職して収入が年金のみになっても支払い続ける必要があります。

どちらの方法が良いのかは、見直しの際にシミュレーションをしてみる必要があります。

たとえば現在は終身払いを選択している人は短期払いを見積もりしてみて、問題なく支払えそうであれば短期払いに変更することで、若いうちに払い終えるメリットを得ることができます。

3. 保険料を節約する方法は?

(1)複数の終身保険を比較する

ひと口に「終身保険」といっても、保険会社ごとにさまざまな商品があります。

複数の終身保険を比較することは、節約のためには必要な作業です。

たとえばパソコンやスマートフォン、家電を購入する時、メーカーごとの性能と一緒に値段の差もじっくりと吟味するでしょう。終身保険もそれと同じです。

保険会社によって、全く同じ保障内容であっても月々の保険料や将来の返戻率が変わることがあります。複数の終身保険を見比べることで、最適な保険を見つけやすくなるでしょう。

従来の保険は保険会社の担当者が対面で販売することが多かったですが、現在ではインターネット上でオンライン加入できる商品が増加しています。

対面販売より低コストで購入できる可能性もあるため、対面と併せて両方を見比べましょう。

(2)終身保険の保険料が安くなる条件

終身保険において、保険料が安くなる要因・条件としては以下のような項目が挙げられます。

・年齢が若い

・保障額が少ない

・特約を付けない

・喫煙しない健康体である

ただし、保険料が安い=お得な保険ということには必ずしもならない点に注意が必要です。

毎月の保険料負担が少なくても、万が一のときに十分な保険料が得られなければ意味がありません。保険料を安くしたいがために特約をセットしないと、十分な保障を受けられず、かえってリスクになる可能性もあります。

(3)保険料はどのタイプが安い?

同じ終身保険でも、保険料は契約内容や払込期間によって異なります。

保険料の払込方法での違い

保険料の払込方法は終身払い・短期払い・一時払いの3種類がありますが、何歳まで生きるかによっても、どの支払方法がお得になるかは変わります。

終身払いは、保険料を一生涯に渡って払い続けるため月々の保険料は安くなり、家計への圧迫も少なく済みます。一方、亡くなるまでずっと払い込みを続けるため、長生きするほど保険料の支払総額が増えることになります。

短期払いの場合は、月々の保険料は終身払いよりも割高になる一方、払込満了期間を過ぎれば保険料の支払が無くなります。払込を終えたあとに長生きすればするほど、最終的な保険料の総額は低くなる可能性が高くなります。

解約返戻金の割合での違い

払込期間中の解約返戻金の割合によっても、保険料は異なります。代表的な商品が「低解約返戻金型終身保険」です。

低解約返戻金型終身保険(ていあいやくへんれいきんがたしゅうしんほけん)

解約したときの返戻金を一定期間の間低くすることで保険料を安く抑えた終身保険。

払込期間中の解約返戻金が通常の終身保険の70%程度に設定されているのが一般的で、保険料払込期間中に解約した場合、解約返戻金が払込保険料を下回ります。

その分だけ、一般的な終身保険より保険料が安くなります。一方で、払込期間が満了したあとは払込保険料を上回る解約返戻金を受け取ることが可能です。

長期間にわたって解約しない前提であれば、一般的な終身保険よりメリットが大きいといえます。

加入する人の健康状態での違い

加入する人の健康状態によっても、保険料は異なります。

健康状態が良好でなくても加入できる可能性がある「引受基準緩和型終身保険」と、リスクに応じて保険料が変わる「リスク細分型終身保険」が代表的です。

引受基準緩和型終身保険(ひきうけきじゅんかんわがたしゅうしんほけん)

持病のある方や一定期間内に手術を受けたことがある方でも加入できる保険。

リスク細分型終身保険(りすくさいぶんがたしゅうしんほけん)

契約者のリスクを細分化し、それぞれのリスクに応じた保障を提供する保険。生命保険会社所定の条件を満たし、リスクが低いと見なされた場合に保険料が安くなる。

引受基準緩和型保険

保険加入時に保険会社に告知する健康上の項目が限定されており、保険会社の引受基準が緩和されています。

再発のリスクが高くても加入できる反面、同じ保障内容でも一般的な終身保険やリスク細分型終身保険より割高です。

商品によっては、契約日から一定の期間に入院日数が少ない場合、健康割引特則が適用されて保険料が割引になる場合もあります。

リスク細分型終身保険

保険会社は、健康リスクの高い人には高い保険料を負担してもらうことで保険の支払リスクを軽くしています。その分、健康体の方にとっては安い保険料で加入できる可能性があります。

たとえば、タバコを吸わない非喫煙者や優良体(メタボでない方など)であれば加入できる可能性がある保険などは、今後病気にかかるリスクが相対的に低いため、保険料が他の保険よりも割安になります。

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