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終身保険

終身保険の解約返戻金と保険料との関係、税金までおさえるべきポイントをわかりやすく解説

終身保険は生きている限り、死亡保障が続く保険です。貯蓄型保険といい、保険期間(保障期間)の途中で解約すると解約返戻金を受け取れるのが一般的です。

本記事では終身保険の解約返戻金について焦点を当て、終身保険の保険料と解約返戻金との関係、仕組み、死亡保険金と解約返戻金の違いや解約返戻金を受け取る時の税金などについてわかりやすく解説します。

終身保険とは死亡保障が生きている限り続く保険

この記事を読んでいる方は、終身保険がどんな保険なのかということを理解されているとは思いますが、念の為のおさらいです。

終身保険(しゅうしんほけん)とは

終身保険とは、保険期間(保障期間)が「一生涯(生きている限り続く)」の死亡保険のことです。

被保険者が死亡したときに、生命保険会社から、死亡保険金受取人へ契約時の所定の死亡保険金が支払われます。

貯蓄性機能があり解約返戻金があるので、「貯蓄型保険(ちょちくがたほけん)」という分類の仕方をすることがあります。

さらに詳しく

解約返戻金がない保険は、「掛け捨て」「掛け捨て型保険」という言い方をします。

保険金と解約返戻金

それでは、解約返戻金とはどんなものなのでしょうか?

解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは

解約返戻金とは、保険の契約を解約した場合に、戻ってくるお金のことを指します。

死亡保険金と解約返戻金。

保険会社が払うお金という点は共通していますが、両者の意味合いはまったく違います。

保険金はどのタイミングで死亡しても、同じ金額が支払われます。
たとえば、500万円の終身保険に入っていたとするなら、加入から2年目であろうが50年後であろうが、満額の500万円を受け取れるわけです。

一方、解約返戻金は解約するタイミングによって金額が変わります。
ざっくりいってしまうと、保険料で積み立てていたお金を戻してもらうといった感覚です。
こちらは払い込んだ保険料を下回る金額になります。

「下回る? 貯蓄型なのに、掛け捨て部分があるってこと?」首を傾げた人もいるかもしれませんね。

でも、保険会社は保障を提供するために、会社を運営していかなければなりません。
人件費もかかりますし、宣伝費用だって必要でしょう。こうした必要経費にも保険料が充てられているのです。

それに、終身保険は単なる貯蓄ではなく、死亡保障がついています。
その保障を買っているのですから、そこにコストが発生することを忘れずに、保険の仕組みを考えることが重要です。

どのくらい戻ってくるの?

解約返戻金は加入期間が経過するにつれて、だんだん増えていきます。といっても、払い込んだ保険料と解約返戻金の割合は一定ではなく、年数に応じて変化します。

払い込んだ保険料の内訳は、はじめのうちは掛け捨て部分が大きく、解約返戻金はかなり少額になります。「有期払」(60歳や65歳といったある年齢で払い込みを終える方法)の場合は、払い込んだ保険料合計と解約返戻金の差額は徐々に縮まっていき、トントンに近い金額に達するのは保険料の払い込みが終わるころです。

終身保険は一生涯の保障で、保険料を払い終わったあとも保障は続きます。

では、解約返戻金はどうなるのでしょうか。

「60歳で保険料を払い終えた。定年後も再雇用で働いていたものの、65歳でリタイアする。老後資金の足しにしたいけれど、いまさら解約をして解約返戻金ってもらえるのかなあ。」そんな疑問も湧いてきます。大丈夫。保障があるということは、あなたは保険に加入中であるということ。保障が続いている限り、解約返戻金も受け取ることができます。

保険料を払い終わったあとも解約返戻金は増える

保険料の払い込みが終われば、あなたはもう保険会社に何も支払う必要はありません。

ところが、解約返戻金はその後も増え続けます。

終身保険は保障機能と貯蓄機能を備えており、解約返戻金は貯蓄部分に当たります。

その貯蓄部分は予定利率によって運用されているので、年数の経過に応じて増えていくわけです。

予定利率とは、保険会社がこの利率で保険料のうち貯蓄部分を運用しますよと契約者に約束する数字を指し、契約当初の経済環境によって定められています。

銀行でいう金利のようなものだと考えればいいでしょう。

解約するまで運用は続けられます。

したがって、予定利率の高い保険なら、タイミングしだいで解約返戻金が払い込んだ保険料を上回る可能性もあります。

もっとも、世の中は非常に低金利の時代ですから、現時点では、予定利率も1%前後と低めに設定されています。よって、びっくりするほど増えるという結果にはならないでしょう。

一部の保険会社の商品には、この予定利率を途中で見直していくタイプもありますが、一般的な終身保険の予定利率は、契約時に決めらた数字が最後まで維持されます。超長期の固定金利だと覚えておきましょう。

低解約返戻金型終身保険とは

ところで、終身保険には通常タイプのほか、「低解約返戻金型終身保険」もあります。

死亡に関する保障はどちらも同じですし、解約すれば解約返戻金が出るところも一緒です。

ただし、低解約返戻金型終身保険の場合、保険料払い込み期間中の解約返戻金が通常の70パーセントに抑えられています。

保険料の払い込みが終われば、解約返戻金は通常に戻るしくみです。

つまり、保険料を払っている間に解約すると大きく元本割れしてしまうのです。

とはいえ、これはデメリットともいい切れません。解約返戻金が抑えられている分、保険料は通常タイプより割安になっています。

そこに魅力を感じてか、最近は低解約返戻金型終身保険の人気が高まっているようです。

60歳や65歳で払い込みを完了したあと解約をし、解約返戻金を老後資金や介護資金に充ててもいいでしょう。

また、払い込みを15年など短い期間に設定して、子どもの学費に回すパターンも増えています。

終身保険は死亡を保障する保険ですが、解約をしたときには解約返戻金が戻ってきます。

解約返戻金は自分が払った保険料を積み立てていくイメージで、年数を経るごとに徐々に増えます。

低解約返戻金型は保険料払い込み期間中の解約返戻金が通常の70パーセントになるかわりに、保険料が抑えられています。

終身保険は、解約返戻金の水準をよく理解して選ぶと後悔することはなくなるでしょう。

解約返戻金を受け取った場合の税金の種類は一時所得!計算シミュレーションは?

生命保険の契約を解約して、解約返戻金を受け取った場合、以下の通りとなります。

契約者=保険料負担者

被保険者

保険金受取人

税金の種類

A(夫)

A(夫)

B(妻)

所得税(一時所得)

生命保険の契約を解約して解約返戻金を受け取ることができるのは、原則、契約者(=保険料負担者)です。

一時所得の計算のしかた

国税庁のHPによると、

一時所得は、

総収入金額 – 収入を得るために支出した金額 (注) – 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

(注) その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

出典:国税庁  No.1490 一時所得

で計算をします。

これを生命保険の解約返戻金に当てはめると、

解約返戻金額 – 払込保険料総額 − 特別控除額(最高50万円)= 一時所得の金額

となります。

他に一時所得となる所得がない前提で、解約返戻金から払い込んだ保険料総額を引いた上で、その差が50万円以下であれば一時所得にはなりません。

実際の課税対象額=上記の式で計算した「一時所得の金額」× 1 / 2 

で計算をします。

解約返戻金の差益が特別控除額の50万円以下だった場合、所得税の対象(一時所得)にならないので確定申告は不要です。

ただし、

「給与所得および退職所得以外の所得金額」が20万円を超えるときなどは、確定申告をする必要があります。

したがって、「給与所得および退職所得以外の所得金額」が満期保険金の受領などの一時所得のみの場合については、特別控除後の金額(一時所得の金額)を2分の1にした課税の対象となる金額が20万円を超えるときは確定申告をする必要があります。

ココに注意

特別控除額(50万円)を引いて計算したあとの金額に1/2をかけた際に、課税対象額が20万円を超えるときは確定申告が必要です。

解約返戻金の税金の計算シミュレーションしてみましょう!

具体的にいくらになるのか計算してみましょう。

契約者Aさん(夫)、被保険者Aさん(夫)、死亡保険金受取人Bさん(妻)
保険金300万円、払込済保険料累計額150万円、解約返戻金100万円

100万円−150万円−50万円=−100万円(そもそも−であるため、所得税の対象外)

一時所得は、その他の所得と合わせて総合課税となるので、

計算できるのは、いくらが一時所得として課税対象額になるかどうか、までです。

死亡保険金の税金は、契約者と被保険者と受取人の関係で決まる

契約者=被保険者で、受取人が被保険者の配偶者だった場合、被保険者死亡時に受け取る死亡保険金は、相続税の対象となります。

契約者=保険料負担者

被保険者

保険金受取人

税金の種類

A(夫)

A(夫)

B(妻)

相続税

まとめ

本記事では、終身保険の解約返戻金に焦点を当て、保険料と解約返戻金との関係や仕組み、死亡保険金との違い、税金などについて解説しました。終身保険は保障期間が生涯続くため、保険料と解約返戻金の関係をしっかり理解することが重要です。また、契約者と被保険者、受取人の関係によって税金の対象が異なることも注意が必要です。終身保険を検討する際には、解約返戻金や死亡保険金についてもしっかり確認し、自分に合った保険を選ぶようにしましょう。

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