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生命保険(死亡保険)

債務返済支援保険とは?団信との違いや保障内容・注意点を解説

住宅ローンを組むとき、多くの人が団体信用生命保険(団信)に加入します。

しかし団信は、死亡や高度障害には備えられるものの、病気やケガによる「働けなくなるリスク」までカバーすることができません。そこで注目したいのが、住宅ローンの返済を保険でカバーできる「債務返済支援保険」です。

この記事では、債務返済支援保険の補償内容や加入条件、この保険が向いている人の特徴まで、押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  • 債務返済支援保険は、病気やケガで働けなくなった場合の住宅ローンの返済リスクをカバーすることができる。
  • 債務返済支援保険は給付期間に限度がある。長期の就業不能をカバーするためには、公的制度や他の民間保険と組み合わせて備える必要がある。
  • 債務返済支援保険の加入条件や告知内容、補償期間は金融機関ごとに異なる。健康状態や家計の状況を踏まえ検討するのがおすすめ。

債務返済支援保険とは

債務返済支援保険とは、働けなくなった場合に保険金で住宅ローンを返済できる保険のことです。損害保険会社が販売する所得補償保険と補償内容が似ているのが特徴です。

住宅ローンを組んで住宅を購入する場合、一般的には同時に団体信用生命保険(団信)に加入する必要があります。

団信に加入していれば、住宅ローンの債務者が死亡したり高度障害状態になったりしても、残された家族はローンを返済する必要はありません。

しかし団体信用生命保険では、病気やケガで働けなくなった際、多くの場合保障の対象外となります。もし働けなくなり収入が下がっても、引き続きローンを返済していかなければなりません。

そこで団体信用生命保険とは別に、債務返済支援保険に加入することで、病気やケガで働けなくなった場合でも、保険金で住宅ローンを返済することができます。

関連記事:うつ病でも住宅ローンは組める?団体信用生命保険(団信)の審査基準や代替策を解説

債務返済支援保険の加入条件

債務返済支援保険に加入できる年齢は、金融機関によって加入可能な年齢が異なりますが、おおむね下が18〜20歳、上は65〜70歳程度の範囲で設定されています。

また、加入する際には団体信用生命保険と同じように、現在の健康状態を正直に告知しなければなりません。

病気の治療中であるなど健康状態が良くない場合は、債務返済支援保険に加入できないこともあるため注意しましょう。

仮に健康状態を偽って告知した場合は告知義務違反となり、就業不能の状態となっても保険金が支払われません。その場合、困るのは自分自身や自分の家族です。

告知義務違反は必ず発覚しますので、健康状態は必ず正直に告知しましょう。

債務返済支援保険の契約形態

債務返済支援保険金の契約形態は以下の通りです。

  • 保険契約者:金融機関
  • 被保険者及び受取人:住宅ローン債務者

債務返済支援保険は、団体保険の一種であり、契約者は金融機関となります。そのため、団体割引が適用され、より手頃な保険料で加入が可能です。

一方で債務返済支援保険は、団体信用生命保険のように加入が義務付けられているわけではありません。また、住宅ローンの返済中でも加入できます。

債務返済支援保険の補償内容

債務返済支援保険は、基本的に30日を超えて病気・ケガで入院した場合や、医師による在宅療養をした場合に、毎月一定額の保険金を受け取れます。入院だけでなく働けなくなった場合を総合的に補償してくれる保険です。

ただし、通常の生命保険や就業不能保険と同じように、下記の場合は保険金の支払い対象外となるため注意しましょう。

  • 保険契約者・被保険者・保険金受取人の故意または重大な過失
  • 自殺行為、犯罪行為または闘争行為
  • 麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の利用
  • 治療を目的として医者から処方された場合を除く
  • 戦争、外国の武力行為、暴動(テロは除く)、核燃料物質等によるもの
  • 妊娠、出産、早産または流産
  • 頚(けい)部症候群(いわゆる「むちうち症」)、腰痛等で医学的他覚所見のないもの
  • 精神病性障害、知的障害、人格障害、アルコール依存および薬物依存等の精神障害を被り、これを原因として生じた就業障害
  • 自動車または原動機付自転車の無資格運転または酒気を帯びた状態での運転
  • 発熱等の他覚的症状のない感染
  • 地震・噴火またはこれらによる津波

働けなくなった場合でも、上記のいずれかに該当すると、保険金は支払われません。

特にうつ病などの精神疾患は補償の対象外であることがほとんどです。あらかじめ注意しておくとよいでしょう。

債務返済支援保険の保険金

債務返済支援保険は、ボーナスを含んだ年間返済予定合計額の1/12が、毎月支払われる仕組みです。

例えば、毎月の返済額が9万円、ボーナスの返済額が12万円(年2回)であった場合、下記計算に従い、保険金の額は毎月11万円となります。

(90,000円×12ヶ月+120,000円×2回)÷12

また、受け取った保険金は「身体の傷害に起因して支払いを受ける保険金」に該当するため、非課税となります。

債務返済支援保険の保険金給付期間に注意

債務返済支援保険の保険金は、1回の入院もしくは医師の診断に基づく在宅療養につき、3〜5年が限度となります。

そのため、長期の就業不能をカバーするのには向いていません

また、保険金の支払いには30日の免責期間がある点に注意しましょう。

保険金の支給が開始されるのは、入院したり在宅療養が始まったりしてから約1ヶ月後となるため、ひと月分のローンは自力で返済しなければなりません。

債務返済支援保険の保険料

債務返済支援保険の保険料は、平均月間返済額(年間返済予定合計額の12分の1)の1万円あたりいくらという形で決まります。団体信用生命保険のように金利に上乗せはされません。

例えば、平均月間返済額が11万円で、保険料が平均月間返済額1万円あたり55円の場合、月々の保険料は、下記の計算に従い605円となります。よって年間では7,260円の負担となります。

55円×(11万円÷1万円)=605円

ちなみに、債務返済支援保険は、金融機関が保険料を負担することで、契約者には保険料負担がない場合もあります。債務返済支援保険に加入する際は、保険料負担をよく確認したうえで検討しましょう。

債務返済支援保険の保険期間

債務返済支援保険の補償期間は、基本的に住宅ローンの返済期間中となりますが、金融機関によって補償の開始日や終了日の設定が微妙に異なります。

例えば、池田泉州銀行では、「ローン実行日または加入承諾日の翌月1日からローン完済日の属する月の初日または満76歳到達日の属する月の初日のいずれか早い日」が保険期間となっています。

また、金融機関によっては、ローンの実行日または加入の承諾日の当日から補償が始まる場合があるのです。また補償の終了日について、年齢制限が設けられていない場合もあります。

債務返済支援保険に加入する際は、補償期間がいつからいつまでなのかを入念に確認したうえで、加入しましょう。

債務返済支援保険の必要性が高い人とは

ここまで、債務返済支援保険の具体的な補償内容について解説してきました。それでは、債務返済支援保険は、どのような方にとって必要なのでしょうか?

債務返済支援保険の必要性は、下記のような生活背景によって変わります。

  • 現在の家族構成
  • 片働きか共働きか
  • 預貯金や資産額 など

よって、「保険料を支払ってでも債務返済支援保険に加入する価値があるのかどうか」を入念に検討しましょう。

例えば、住宅を購入した直後の場合、頭金の支払いなどで預貯金が減っている場合が考えられます。

また、子どもが小さい場合は、働けなくなったときのダメージが大きいと想定されます。そうすると債務返済支援保険の必要性は高く、検討する価値があるといえるでしょう。

また、債務返済支援保険の必要性は、公的な医療保険制度や他の医療保険や就業不能保険などともあわせて考えるとよいでしょう。

関連記事:医療保険とは?公的医療保険制度との仕組みの違いをわかりやすく解説

働けなくなった時のリスクを債務返済支援保険以外でカバーする方法

そこで次では、債務返済支援保険でカバーできない範囲や、加入時に考慮すべき公的医療保険と民間の保険商品について解説していきます。

債務返済支援保険は、就業不能状態になった場合の住宅ローンを肩代わりしてくれる保険。加えて給付期間も1回につき最長で3〜5年までの給付となるため、以下のようなリスクに対処できません。

  • 3〜5年以上にわたる長期の就業不能状態
  • 働けなくなった場合の生活費や子どもの教育資金
  • 治療費の自己負担分
  • 入院時の差額ベッド代や食費、通院の交通費

以上のようなリスクに対処するには、債務返済支援保険だけでなく、公的な医療保険制度と民間の保険商品を組み合わせることによって対処が可能です。

債務返済支援保険とあわせて知っておきたい公的医療保険制度

債務返済支援保険の加入を検討するときは、以下の公的医療保険制度における3つの給付制度を押さえておきましょう。

制度名

内容

公的医療保険

受診した医療機関の窓口に健康保険証を提示することで医療費が1〜3割負担となる

高額療養費制度

  • 医療費の自己負担額が所得や年齢によって決まった自己負担上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度
  • 過去12ヶ月以内に3回高額療養費制度を利用した場合は多数回該当となり、自己負担上限額がさらに引き下げられる

傷病手当金

  • 病気やケガなどで4日以上働けなくなった場合に、過去12ヶ月の平均標準報酬月額の2/3が支給される
  • 支給期間は最大で1年6ヶ月まで
  • 健康保険(協会けんぽなど)に加入している公務員や会社員しか利用できない

このように、仮に病気やケガで働けなくなっても、治療費や生活費用はある程度カバーできます。

特に債務返済支援保険によって、働けない間は保険金で住宅ローンを返済できることを考えると、短期間であれば公的医療保険と債務返済支援保険で、生活費などをまかなえる可能性があります。

ただし、傷病手当金や債務返済支援保険には給付期間が定められています。よって、働けない期間が長期間にわたるとまかないきれない可能性もあります。

債務返済支援保険とあわせて検討したい生命保険

上記のように、公的医療保険だけでは治療にかかるお金がゼロになることはありません。たとえ数万円の負担でも、それが続くと家計を圧迫してしまう可能性もあります。

そこで重要になってくるのが、債務返済支援保険では対象外となる部分をカバーできる生命保険です。

保険の種類

内容

医療保険

  • 病気やケガで入院や手術にかかる費用をカバーする保険
  • 特約を付加することで自分自身の希望に合わせた保障を準備できる

がん保険

  • がん(悪性新生物)の治療をサポートする保険
  • がんと診断されると一時金を受け取れるタイプや治療に応じ給付金が受け取れるタイプがある

就業不能保険

  • 病気やケガで長期間にわたって働けなくなった場合に保険金が支払われる保険
  • 免責期間(60日や180日など)が経過しないと給付が開始しない
  • うつ病などの精神疾患では給付期間が2年に制限されるケースが多い

病気やケガで入院した場合の治療費や諸費用などは医療保険やがん保険で、生活費や教育資金などは就業不能保険でカバーできます。

ただしこれらの生命保険は、加入すると保険料を支払わなければなりません。今の生活を圧迫しない範囲で検討するとよいでしょう。

また、医療保険や就業不能保険は、健康状態の審査が比較的厳しい場合があります。加入する場合は、できるだけ早めに手続きしておくのがおすすめです。

まとめ

債務返済支援保険は、住宅ローン返済中の就業不能に備える心強い選択肢です。

一方で、給付には期間の上限があり、精神疾患など対象外となるケースもあります。公的制度や医療保険・就業不能保険と組み合わせることで、生活全体のリスクに安心して対応することができます。

住宅ローンの返済計画が長期にわたることを踏まえ、債務返済支援保険など、自分の家計状況と健康リスクに合ったバランスのよい備えを検討していきましょう。

さらに、住宅購入時に備えるべきリスクについて知りたい場合は、【しっかり保険、ちゃんと節約。】住宅ローンを組んだときの保険の見直し方法!住宅購入時に備えるべきリスクやポイントを解説も参考になります。

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