生命保険料控除証明書とは?年末調整や確定申告の際に紛失したり出し忘れたりしたらどうすればいい?
生命保険料控除とは、支払った保険料に応じて課税所得から一定額を差し引く制度です。税負担を軽減するためには、年末調整や確定申告で納税者自身が申告する必要がありますが、申告には「生命保険料控除証明書」が必要です。
この記事では生命保険料控除証明書の概要や紛失時の対処法について解説します。手続きを忘れると控除が適用されず、納める税金が増える可能性があるため、正しく理解しておきましょう。
本記事のポイント
- 生命保険料控除証明書は紛失しても再発行ができる。
- 紙の生命保険料控除証明書の再発行は1週間から10日程度時間がかかる。
- 生命保険料控除証明書を再発行するなら電子データのほうが早く、一般的には保険会社提供の契約者WEBページからダウンロードができる。
生命保険料控除証明書とは?

生命保険料控除証明書とは、年末調整や確定申告で「生命保険料控除」を受ける際に必要な書類です。
保険契約者が1月1日〜12月31日までに支払った生命保険や医療保険、個人年金保険などの保険料額が記載されており、保険会社から毎年10月〜11月頃に送付されます。なお、生命保険控除証明書は「電子データ(電子証明書)」での発行も可能です。
生命保険料控除証明書を紛失した場合の対処法は?
生命保険料控除証明書をなくしてしまっても、保険会社に再発行を依頼することは可能です。
ここでは、生命保険料控除証明書の再発行方法を紹介します。
保険会社に控除証明書の再発行を依頼する
生命保険料控除証明書は、紛失しても保険会社で再発行することが可能です。
契約者向けWEBページなどインターネット経由で依頼する
多くの保険会社は契約者向けのWEBページなどで控除証明書の再発行を受け付けています。
契約者向けのWEBページから生命保険料控除証明書の再発行依頼をすると、一般的には電子データ形式で控除証明書がダウンロードできるようになります。
ダウンロードした保険料控除証明書の電子データは、e-Taxにて確定申告する時に添付書類として利用したり、QRコード付証明書等作成システムで印刷可能な形式(QRコード付のPDFファイル)に変換すれば印刷して確定申告や年末調整に使用したりすることができます。
年末調整の電子化が進んでいる会社に勤めていれば控除証明書も電子データのまま提出することができます。
もし会社にて年末調整の電子化が進んでいない場合にも、控除証明書の電子データをQRコード付のPDFファイルに変換すれば控除証明書を印刷して提出することができます。なお確定申告でe-Taxを利用しない場合も同様の流れとなります。
なおQRコード付証明書等作成システムの利用にあたってはセットアップなど事前準備が必要です。以下e-Taxのホームページを参照してください。また、契約者向けのWEBページサービスは、利用するために事前の登録が必要な場合もあるのでご注意ください。
電話で保険会社に直接依頼する
もし、証券番号など契約にかかわる情報がわからない場合には保険会社のカスタマーサービスなどに直接電話し、生命保険料控除証明書の再発行を依頼することもできます。
なお特殊な事情がない限り、保険会社は契約者以外からの契約にかかわる問い合わせに応じることはできません。よって、生命保険料控除証明書の再発行も、契約者本人から問い合わせた方がスムーズです。
生命保険料控除証明書の再発行を保険会社に依頼すると、多くの保険会社では再発行依頼が受理されてから控除証明書が自宅に届くまで1週間から10日程度かかると考えてよいでしょう。
再発行に時間はそれほどかかりませんが、例年10月~12月にかけて控除証明書にかかわる問い合わせが保険会社に集中するため電話がつながりにくくなったり、再発行に普段より時間がかかったりする可能性もあります。
控除証明書の紛失に気が付いたら、なるべく速やかに保険会社に問い合わせるとよいでしょう。
控除証明書電子交付サービスを利用する
控除証明書電子交付サービスとは、マイナンバーカードを利用し生命保険料控除証明書を電子データとして受け取る方法です。
このサービスを利用すると、以下のことが可能になります。
- マイナポータルサイトを経由した生命保険料控除証明書の受け取り
- 控除証明書を電子データで勤務先や税務署に提出
- e-Taxでの確定申告時に生命保険料控除証明書をオンラインで提出
- 生命保険料控除証明書の電子データを紙で印刷(※QRコード付証明書等作成システムの利用が必要)
平成31年1月以後、この控除証明書電子交付サービスにより生命保険料控除証明書をインターネット上で電子データで発行できるようになりました。電子データとして発行された生命保険料控除証明書は勤務先や税務署にインターネット経由で提出したり、送信したりすることも可能です。
また、保険会社等から発行された電子データの生命保険料控除証明書などは、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成した確定申告書などに添付し、オンラインで送信することが可能になりました。
さらに年末調整においても、給与所得者の保険料控除証明書などを給与の支払者に電子データで提出や送信することも可能です。
なお、マイナポータル連携の機能を使うと、さまざまな電子的控除証明書などを一括で取得し、取得した情報を確定申告書などに自動で入力することが可能となりました。事前準備などについては、国税庁のホームページを参照すると良いでしょう。
もし、生命保険料控除証明書が書面で必要な場合にも、QRコード付証明書等作成システムを利用することで電子的控除証明書等を書面で出力し、提出(提示)することができます。
控除証明書電子交付サービスを利用するには、あらかじめマイナンバーカードの取得やマイナポータル利用者登録などを行ったうえで各保険会社のホームページから利用申し込みを行う必要があります。申し込み方法などは、保険会社のホームページで調べると良いでしょう。
生命保険料控除証明書はいつ送られてくる?

生命保険料控除証明書は、年末調整や確定申告の際には必ず必要になるため、ほとんどの保険会社は年末調整・確定申告に間に合うように生命保険料控除証明書を発送しています。よって、保険会社に改めて控除証明書の発行を依頼する必要はなく、自宅などに送られてくるのを待っていればよいでしょう。
生命保険料控除証明書は一般的に10月から送付が開始し、遅くとも12月頭までには送付が完了します。
ただし控除証明書が送られてくる時期の詳細は契約方式や支払い時期に応じて異なりますので、ご自身が加入している保険会社の公式ホームページで確認しておきましょう。
生命保険料控除を申告する際に必要な書類とは
生命保険料控除証明書は、生命保険料控除を申告する際に必要な書類のひとつです。生命保険料控除証明書のみでは控除の申告はできません。
ここでは、会社員と個人事業主・フリーランスに分け、生命保険料控除を申告する際に必要な書類について解説します。
なお、生命保険料控除を受けるために必要な書類のみ紹介していますので、地震保険料控除や医療費控除を受ける場合は別途書類が必要になる点についてご注意ください。
会社員の場合
会社員が生命保険料の控除を受ける際、年末調整では以下の書類が必要になります。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 生命保険料控除証明書
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主やフリーランスなど、確定申告が必要な方は下記の書類を用意しましょう。
- 確定申告書
- 生命保険料控除証明書
確定申告の際に必要な書類はそれぞれ用意してください。青色申告者の場合は青色申告決算書や貸借対照表、決算書なども必要になります。
関連記事:確定申告での生命保険料控除の申告方法とは?生命保険料控除証明書の見方や書類の添付方法などを解説
年末調整・確定申告の期限を過ぎてしまったらどうすればいい?

生命保険料控除証明書の再発行の手続きをしても、年末調整の書類提出期限や、確定申告の期限に間に合わない場合は諦めるしかないのでしょうか。
ここでは、年末調整や確定申告の期限を過ぎてしまった場合の対処法を説明します。
年末調整に間に合わなかった場合
会社員の方などで、年末調整に間に合わなかった場合は「確定申告」を行いましょう。
確定申告の期限は例年3月15日ですが、この日がもし土曜日や日曜日にあたる場合は、その翌月曜日が期限となります。なお令和7(2025)年分の確定申告の期限は2026年3月16日(月)となります。
よって、もし年末調整の期限に間に合わなくても3月の確定申告まで猶予があることになります。年末調整の期限後に、生命保険料控除証明書がないことに気づいて再発行したとしても、十分に間に合うため安心してください。
確定申告の期限に間に合わなかった場合
年末調整や確定申告の期限に間に合わなかった場合でも、確定申告の期限から5年間は遡って申告することができます。これを「更正の請求」といいます。
各税務署に更生の請求書と、生命保険料控除証明書を提出すれば、過去の生命保険料についても申告可能です。過去何年も生命保険料控除を受けていなかった方も、この手続きで所得税の還付を受けられる可能性があります。
関連記事:【2025年版】年末調整で生命保険料控除を申告し忘れたらどうなる?その対処法を紹介
まとめ
生命保険料控除証明書は、保険料控除を受けるために必須の書類です。毎年10月から12月にかけて生命保険会社から発送されます。ただ、紛失しても保険会社が再発行してくれますし、インターネット上の電子データとして再発行することも可能です。
また、年末調整や確定申告の期限を過ぎた場合も、確定申告の期限から最長5年間は申告が可能なので、ずっと生命保険料控除の申告を忘れていたという方は税務署で手続きを行うことをおすすめします。
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