自動車保険

車両保険は必要?加入がおすすめのケースと保険料を下げるポイントもあわせて解説

自動車保険の中でも、自分の車に対し保険をかける車両保険。

「運転中のもしもの事故で、自分の車が傷ついたり壊れたりしたら修理費用のために車両保険は必要?」と疑問に思う方は多いかもしれませんが、車両保険を付帯することで保険料が高くなるのは避けたいところです。

この記事では、車両保険の必要性を見極めるポイントや保険料を安くするためのポイントについて分かりやすく解説します。この記事を読んで、自分に合った車両保険の選び方をぜひ見つけてください。

この記事のポイント

  • 車両保険は車の損害に備える保険であり、車の年式が古い場合は必要性が低くなるが、ローン購入車や残価設定型ローンの場合は、残債対策として付帯を検討するとよい。
  • 車両保険には「一般条件」と「車対車+A(エコノミータイプ)」などの種類があり、免責金額の設定も可能である。
  • 車両保険を付帯しつつ保険料を抑えるには、エコノミータイプを選択したり、免責金額を引き上げたりすることを検討するとよい。

車両保険は必要か?

車両保険は必要か?

「車両保険はいらない」と言われることも多いため、車に車両保険をつけるかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、車両保険の必要性が高いケースや低いケースについて解説します。

車が古くなるにつれて必要性は低くなる

そもそも、車両保険の金額は自分で好きに決めることはできず、「車両標準価格表」をもとに定められた範囲の中で決定します。

ここでいう車両価格は時価で判断されるため、車両の初度登録以降だんだんと価値が下がっていき、おおよそ10年で車の価値は10分の1程度になると言われています。

例えば、新車で購入した時に車両価格が300万円だったとしても、10年経つと車両の価値は30万円程度になるため、車両保険の保険金額も30万円程度が上限となります。

そうすると、たとえ車両が全損になるような事故があっても、保険会社から受け取れる保険金はこの30万円程度が上限となってしまいます。

車両保険に限らず損害保険は受けた損害を補償する、という性格上、現在の車の価値(=時価)以上の支払いは受けることができません。

そのため車の年数が経つにつれて、車両保険の必要性も低くなってくると言えます。

車をローンで購入しているなら車両保険の付帯はおすすめ

車をローンで購入している場合、車両保険をつけていない状況で全損事故を起こしてしまうと、車が手元にないのにローンだけ残ってしまうことも考えられます。

車両保険をつけていれば、事故の際に保険金でローンの残債を相殺することができます。

特に残価設定型ローンを利用されている方は車両保険をつけることは必須と考えたほうがいいと思います。

残価設定型ローンは、一定期間経過後に車を返却することを前提とした契約です。もし、事故等で車が破損した場合は修理したとしても査定額が下がる可能性もあるため、残価設定額との差額を支払うことになります。

また、事故で車が廃車になってしまうような事態になると、残っているローンを一括で返済することを求められるため、車両保険の付帯は必須と考えた方がいいでしょう。

車両保険とは?

車両保険とは、偶然の事故により自分の車が損害を受けた時の修理費用を補償してくれる保険です。

ここでは車両保険の基本的な補償内容などについて解説します。

車両保険には2つのタイプがある

多くの保険会社では、車両保険は「一般条件」と「車対車+A(※エコノミータイプと呼ぶ保険会社もあります)」の2つのタイプがあります。

一般条件のほうが補償する範囲が広く、車対車+Aは自損事故や相手のわからない当て逃げが補償されません。

補償内容

一般条件

車体車+A

自損事故

×

車同士の衝突・接触

当て逃げ

×

盗難

いたずら

自然災害

火災・爆発

飛び石

当然、補償範囲が狭い「車対車+A」の方が保険料は安くなりますが、警察庁のデータによると2024年の車両単独事故は約1万2,000件あり、そのうち工作物(道路上の人工物)衝突事故は約3,800件でした。割合にして約31.6%を占めます。

自損事故は建物との接触など比較的軽度な事故が多いものの、物損事故の中では比較的多い事故となるため、車両保険のタイプを選ぶ際に参考にしてみてください。

車両保険には免責金額が設定できる

免責金額とは、自己負担額とも呼ばれます。車両保険の補償の対象になるような事故があったとき「○○円までは保険会社は負担しません」というものです。

免責金額の設定は保険会社によってかなり種類が異なりますが、大きく分けると下記の2つがあります。 

定額方式

1回目の事故と2回目以降の免責金額が同じ。(例:10万円-10万円)  

増額方式

2回目以降の事故の方が免責金額が大きくなる。(例:5万円-10万円)

当然、免責金額を大きくすると保険料の負担も大きくなります。免責金額をいくらにするかは、少額の修理費なら自分の手持ちから出すと考えるか、なるべく手持ちのお金は使わず保険に頼りたいか、といった考え方で選択が変わってきます。

すでに車両保険を契約しているユーザーの中では、「免責5万円−10万円」を選んでいるユーザーが多いようで、保険会社や比較サイトでも見積もり条件の初期設定は「免責5万円−10万円」の設定になっているところが多いようです。

車両保険を使うと等級が下がる

事故の内容にもよりますが、車両保険を使うと多くの場合、等級が3等級ダウンとなります。

向こう3年間保険を使わなかった場合に比べて等級がダウンし、しかも通常の料率よりも高い「事故有り料率」になるため保険料が上がります。

そのため車両保険を使うかどうかは、この等級が下がることによる増加保険料と車の修理費を天秤にかけて判断する必要があります。

例えば以下の例は、19等級の契約で事故を起こしたときと事故をおこさなかったときの保険料の差額です。

上記の例で言うと、事故があった場合となかった場合の保険料の差額の約10万円と修理費を比べて、車両保険を請求するかどうかの判断をすることになります。

なお、上記は簡易的に算出した保険料イメージのため、実際の保険料については保険会社などにご確認ください。

関連記事:自動車保険の等級制度はどんな制度?「無事故」「事故有」の違いとは?

車両保険の補償のポイントとは?

車両保険を付帯した車で事故に遭った際、保険金を受け取ることができるケースなどについてもあらかじめ知っておきたいところです。

事故と車両保険の補償で、知っておきたいポイントを解説します。

相手からの賠償があれば車両保険はいらない?

相手がある事故の場合は、当然相手の保険会社から保険金を受けとることができます。

ただ事故には相手と自分の過失割合というものがあり、例えば過失割合が60:40だった場合、相手の保険会社から受け取れるのは損害の60%分ということになります。

自分の車に車両保険をつけていれば、残りの40%分も自分が加入している保険会社から受け取ることができます。

相手からの賠償があれば車両保険はいらない?

また保険会社から保険金を受けとるタイミングも異なります。相手型の保険会社から保険金を受け取れるのは示談が成立し、過失割合が決まってからとなります。

一方で、自分が加入している車両保険からは示談成立前でも保険金を受け取ることができます。ただし、各保険会社が定める支払い条件を満たしている場合に限ります。

車両保険の支払いの対象となる事例を紹介

ここでは車両保険の補償対象となり、保険金が支払われる事例について解説します。

なお、事故の状況によっては、支払い対象になるか否かの判断が変わる場合があります。個別の事例については、必ず各保険会社にご確認ください。

  • 高速道路を走行中、前を走っていた車の飛び石でフロントガラスが破損した。
  • 駐車場で当て逃げをされた。(一般条件のみ対象)
  • 雪の重みでカーポートがつぶれて駐めてあった車が破損した。
  • 駐車場に駐車していたところタイヤだけ盗まれた。(盗難は補償されるがパンクのみだと対象外)
  • 山道を走っている時に動物と衝突し車が破損した。(一般条件のみ対象)
  • 台風で車が水没した。 など

関連記事:車をぶつけて他人の家の塀を壊した場合自動車保険は使える?

車両保険を検討する際のポイント&保険料を下げるポイント

ここまで主に車両保険の必要性が高いケースや注意点などについて解説しました。

結局、車両保険をつけたほうがいいのかそれともつけなくてよいのか、自分にとっての必要性を検討するためのチェックポイントと、車両保険の保険料を下げるためのポイントは以下の通りです。

車両保険の必要性を検討する際のポイント

  • 初度登録から10年近く経っている場合は優先度が低い
  • 車をローンで購入している場合は車両保険をつけるとよい

車両保険の保険料を下げるためのポイント

  • 一般条件ではなく車対車+A(エコノミータイプ)を選ぶ
  • 免責の金額を上げる
  • 車両保険の保険金額を下げる

まとめ

車両保険は、ご自身の車の損害に備える保険です。車の年式が古い場合は必要性が低くなる一方、ローン購入車や残価設定型ローンを利用している場合は加入をおすすめします。

また、車両保険には、補償範囲が広い「一般条件」と限定的な「車対車+A(エコノミータイプ)」があり、免責金額の設定も可能です。保険を使うと等級が下がり保険料が上がるため、修理費用と増加保険料を比較して利用を検討しましょう。

保険料を抑えるには、「車対車+A」の選択や、免責金額の引き上げ、保険金額の調整がポイントです。愛車と家計を守るために、ご自身の状況に合わせた最適な車両保険を選びましょう。

関連コラム

自動車保険コラム一覧へ戻る