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就業不能保険

会社員夫が働けなくなったら?30代夫婦のカバーすべき必要生活費はどれくらい?

毎日激務でストレスを抱えながらもバリバリ働いていた夫。ところがある日突然、うつ病を患い、働けなくなってしまったとしたら……果たして一家の生活はどうなってしまう?!具体的にどの程度の金額を準備しなければいけないのでしょうか。30代夫婦のモデルケースでご紹介します。

本記事のポイント

  • 会社員・公務員が病気やけが等で長期間働けなくなった場合、健康保険から傷病手当金が出るが、フリーランス・自営業は国民健康保険のため傷病手当金が出ない
  • 働けない場合に必要となる費用は、住居費、水道・光熱費、食費、通信費、被服費、医療費、教育費、日用品等の費用が必要
  • 傷病手当金だけではまかないきれない可能性が高く、足りない幅が6万円〜10万円前後、預貯金があるならできるだけ取り崩さず、就業不能保険があると良い

モデルケースでみる就業不能の状態

毎日激務でストレスを抱えながらも会社でバリバリ働いていた夫。ところがある日突然、うつ病を患い、働けなくなってしまいました。……家族の生活はどうなってしまうのでしょうか?

 精神疾患の場合、治療のため、会社を休んで療養になるケースが多く、もちろんこれはその他の病気やケガでも同様です。治療費は医療保険などでカバーするにしても、想定外の収入減少に対する備えを考えておきましょう。では、具体的にどの程度の金額を準備しなければいけないのでしょうか。30代夫婦のモデルケースでご紹介します。

今回のモデルケースの家族構成

  • 夫:35歳/大手企業のサラリーマン
  • 妻:34歳/専業主婦
  • 子:7歳/小学生

夫は大手企業の正社員、妻は子育て中の専業主婦、子どもは小学校にあがったばかりの育ちざかりという3人家族を想定。

住宅は分譲マンションを購入し、毎月住宅ローンの返済あり。

交際費などで赤字が発生する月もあるとはいえ、ボーナスで補填でき、そのうえで貯蓄もできる程度の余裕ある生活。

順調に年収も伸びており、昇進する予定もあって年収アップが計算できそうな状況のため、「そろそろ2人目の子どもを」と考えはじめたところ。

ただし、これで世帯主が働けなくなると、大変なことに!

療養期間中の収入

必ず知っていて欲しいポイントとして、会社員・公務員が病気やけが等で長期間働けなくなった場合、健康保険から傷病手当金が受け取れます。一方で、フリーランス・自営業は国民健康保険のため傷病手当金が出ません。

サラリーマンの療養期間の収入は、健康保険から傷病手当金が支給されるため、基本的に傷病手当金を軸に考えます。計算式は以下の通りです。

35歳男性サラリーマンの平均年収と月収

平均年収:502万円
平均ボーナス:100万円(夏冬合計)
月収換算:約34万円(ボーナス除く)
※モデルケースで算出した平均年収と月収例。

ボーナスを除いた月収(税込)が傷病手当金を算出するためのベースになります。

傷病手当金

226,650円(最長で1年6ヶ月保障)
※傷病手当金の計算にはボーナスは含まれない。必ず月収(税込)で計算する。

1. 標準報酬月額の平均値を計算する。
340,000円
※今回のモデルケースでは毎月の給料が1年間同額と仮定。

2. 1日あたりの金額を計算する。
340,000円÷30日=11,333円
※小数点以下四捨五入。

3. 1日あたりの金額の2/3を計算する。
11,333円×2/3=7,555円
※小数点以下四捨五入。

4. 上記2/3の1ヶ月分を計算する。
7,555円×30日=226,650円

上記の計算式で算出した傷病手当金が毎月支給されます(最長で1年6ヶ月保障されています)。

傷病手当金の補足

傷病手当金を受け取ることができる条件は以下の通りです。

  1. 業務外の事由による傷病である。
  2. 療養のため、働くことができない。
  3. 連続する3日間(待期期間)を含み4日以上休業している。
  4. 給与の支払いがない、あるいは額が傷病手当金より少ない。

「2. 療養のため、働くことができない」とは、専門医の診断を受け、支給申請書に労務不能であるという医師の意見を記載してもらう、医師の診断書を発行してもらうなど、医師の証明が必要になります。「4. 給与の支払いがない、あるいは額が傷病手当金より少ない」に関しては、有給などをすべて使い、給与の支払いがない状態で休業しているときが対象です。

なお、業務中の事由による傷病の場合、労災保険から支給になりますが、今回は割愛します。

療養期間中の支出

289,500円
※モデルケースで算出した支出例。

小学生の子どもがいる家族3人の支出例です。内訳をみていきましょう。

住宅ローン

90,000円

親子3人で住みやすい、1LDK〜2LDKの都心、あるいは都心近郊のマンションを購入。管理費なども含めると大体90,000円程度になります。

水道・光熱費

23,000円

水道光熱費はエアコン、暖房を常時利用する季節などで高くなり、月ごとに大きく異なる傾向がありますが、平均すると3人家族で23,000円程度です。

食費

60,000円
※1日2,000円×30日で算出。

夫が3食自宅で食事することを考えると、食費をこれ以上減らすことはむずかしいと考えたほうが無難です。

なお、療養期間のため、外食は基本的にないものとします。ただし、まったく外食がなくなってしまうと子どものストレスになりかねません。また、妻が看病で時間をとられるため、むしろ外食が増える可能性もあります。そう考えるともう少しかかる、あるいはレジャー費を通常時と同額で想定するといいでしょう(今回は夫の療養期間ということでレジャー費も削減した前提で計算しています)。

通信費

15,000円

子どもが小学生以上になると携帯を持たせる家庭が増えているため、親子3人で所持している前提で算出しました。最低でも15,000円程度は考えておいたほうがいいでしょう(MVNOによる格安スマホを利用することで節約の余地あり)。

教育費

26,000円

子どもが公立小学校に通っていることを想定し、学校と習い事を含めた月々かかる教育費の平均です。地域や条件によって多少平均値の変動があると考えておいてください。

子ども服

3,500円

育ち盛りの子どもはすぐに大きくなるため、どんどんサイズが変わることを考えると、大人以上に子ども服は消耗品と捉えるのが◎。平均で3,500円程度はかかるものと想定しておいたほうがいいでしょう。

生活日用品

10,000円

シャンプー・洗顔料・洗剤・トイレットペーパー・常備薬など、定期的に必要になる日用品は、毎月の価格の違いがあるとはいえ、平均して毎月10,000円程度になります。

保険料

46,000円
夫:21,000円
妻:15,000円
学資保険:10,000円

世帯によって大きく異なる保険料ですが、平均すると30代夫婦の3人世帯で46,000円程度といわれています。妻が掛け捨ての医療保険のみの加入の場合、もっと安くなりますが、その分、子どもが病気・ケガをした際の医療保険に加入していることが多いです。上記平均値程度は想定しておいたほうがいいでしょう。

テレビ視聴料

4,000円

NHKの視聴料、格安の有料放送を合計して算出しました。通常であればもっと高額になるケースが多いですが、夫が療養期間なのでなるべく最低限に。

お小遣い

5,000円

夫が療養中なので、夫婦のお小遣いは2,000円ずつで合計4,000円。子どものお小遣いは1,000円。

自助努力で用意しなくてはいけない金額

62,850円
※289,500円(支出合計)−226,650円(傷病手当金)=62,850円(差し引きした金額)

治療にまつわる支出を医療保険で全額カバーできる想定で計算すると上記金額になります。あくまでも最低条件での算出なので、実際はもっと必要だと考えておいてください。

また、療養期間が1年6ヶ月を超える場合、傷病手当金がなくなるので、30万円程度は必要になります(ただし、傷病手当金が終わると障害年金をもらえる人が多いので、実際には30万円まで準備不要なケースがほとんどです)。

治療にまつわる支出の補足

前述の通り、治療にまつわる支出は医療保険などで全額カバーした想定で計算していますが、通院特約や一時金特約を付加していない、あるいは特約の給付金以上にかかる場合、さらに自助努力で用意しなくてはいけない金額が上がります。入院・通院する病院までのタクシー代がかかったり、妻が看病に時間をとられるため食事を外食で済ます機会が増えるなど、世帯主の療養期間中は想定外の支出が増えることを覚悟しておいてください。

そう考えると、毎月10万円〜15万円程度は用意しておいたほうが安心して暮らせるでしょう(先々のためにも貯蓄は切り崩さない方向性で考えたほうが◎)。

なお、自営業は傷病手当金がないため、支出全額を自助努力で準備する必要があります

もしものときに備える就業不能保険でカバーを

働きざかりの世代を中心に、うつ病などの精神疾患にかかるケースが増えています。また、日本人の死亡原因第一位のがんは年々若年層にも広がっており、「我が家の夫はタフだし精神的にも強いから大丈夫!」といった楽観視は禁物です。

社会から遠ざかっていた専業主婦が代わりに働くとなっても、心理的に躊躇してしまうだけでなく、よほど専門性の高いキャリアを持って働いていた女性でなければ現実的になかなか職が見つからず、あっという間に家計が緊迫というケースも少なくありません。子育てと夫の看病をしながら働くのもむずかしく、今度は妻が倒れてしまったら……想像しただけでも滅入ってしまいますよね。

ストレス社会の昨今、こうした事態を防ぐためにも収入減少を自助努力でカバーすることは重要です。そんなときこそ、役に立つ保険でカバーを。精神疾患まで給付対象になった就業不能保険を検討し、世帯ごとの「もしものとき」に備えてみてはいかがでしょうか。

関連ページ:就業不能保険の条件は厳しい?加入条件・支払い条件について解説

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