クレジットカード付帯の海外旅行保険だけで十分?利用付帯・自動付帯の違いや保険の適用条件について解説
クレジットカードに海外旅行保険が付帯されていることは多いですが、付帯の保険だけで十分なのか、海外旅行に行く際に悩む人は少なくないでしょう。また、海外旅行保険が付帯されているクレジットカードを持っているものの、クレジットカードを持っているだけで本当に保険で補償されるのか、また保険が適用されるための条件は何なのか知っておきたいという人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事ではクレジットカード付帯の海外旅行保険で補償内容は十分なのか、利用付帯と自動付帯のそれぞれの特徴や注意点などについて詳しく解説します。
本記事のポイント
- クレジットカードに付帯されている保険には自動付帯と利用付帯の2種類のタイプがある
- 自動付帯とはカードを持っているだけで保険が適用されるサービス
- 利用付帯は事前申し込みは不要であるものの旅行代金等をカードで支払うことが保険適用の条件となっている
- クレジットカードに付帯されている海外旅行保険は、付帯条件によって保険が適用されないケースや補償金額が低いケースがある
クレジットカードに付帯されている海外旅行保険の特徴
保険料の支払いが不要
クレジットカードに海外旅行保険が付帯されていれば、旅行のたびに申し込む必要はありませんし、保険料の支払いも不要です。お得で手間もかからないことが一番の大きな特徴でもあり、メリットでもあります。
他方、内容や条件面においては、カードにもよりますが、一般的に、
- 傷害死亡
- 後遺障害
- 治療費用
- 賠償責任
- 携行品損害
- 航空機遅延
- 救援者費用
があります。
保険代理店などで加入する 任意の海外旅行保険と補償の種類は、ほぼ同じですが、疾病死亡がなかったり保険金額が小さかったりします。保険期間においては90日間が一般的です。
家族も保険適用されるケースもある
また、家族で旅行に行く場合、保険条件を満たせば 同行者も保険が適用される場合もありますが、補償されるのは基本的にカード名義人本人のみです。家族も保険対象にするなら、家族カードや家族特約があると良いでしょう。
とはいえ、未成年者はカードを作成できません。家族特約であれば、生計が同じ未成年者も保険の対象者となります。ただし、カード名義人より補償内容が小さくなるのが一般的ですから、家族特約で問題ないか、別途判断する必要があるでしょう。
自動付帯・利用付帯の違い
クレジットカードの海外旅行保険には、カードを持っているだけで自動的に適用される自動付帯と旅行代金等をカードで決済することによって適用される利用付帯の2種類の付帯サービスがあります。自分が持っているクレジットカードにどちらのサービスが付帯されているか、まずは確認してみましょう。
自動付帯
自動付帯とはカードを持っているだけで適用されるサービスです。事前に保険の申し込みは不要で、保険適用にあたり条件はありません。
利用付帯
自動付帯と同じく事前申し込みは不要です。旅行代金等をカードで支払うことが保険適用の条件となっています。旅行代金等に該当するものとしては、パッケージツアー料金、航空券、空港に向かうまでの電車代、バス代、タクシー代などが該当します。
SuicaやPASMOにカードからチャージして交通費を支払った場合も対象になるカードもありますし、これら公共交通機関の料金を日本出国後に払った場合でも適用されるカードもあります。ただし、出国前に公共交通機関の代金を支払ったなら、保険の開始は「自宅を出てから」ですが、出国後に支払った場合は「支払った時から」となる点に注意が必要です。
なお、補償内容については、自動付帯と利用付帯、一概にどちらが良いといえず、自動付帯の方が補償内容が小さいケースもありますが、ランクの高いカードなら自動付帯の方が補償が大きいこともあります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険のみ利用する場合の注意点
では、クレジットカード付帯の海外旅行保険のみで問題ないでしょうか。注意点を確認しましょう。
付帯条件によって保険が適用されないケースもある
利用付帯の場合、パッケージツアー料金の支払いが保険適用条件になるケースが多いですが、パッケージツアーとは、募集型企画旅行を指す場合が多く、旅行会社にオーダーメイドで作ってもらった旅行企画や個人でホテルや航空券などを旅行会社に依頼して手配した場合は保険適用にならないことがほとんどです。自分のツアーが募集型企画旅行にあたるかどうかは、旅行会社に確認しておいたほうが良いでしょう。
また、交通費については、公共交通機関の料金は適用条件であっても、自家用車で空港まで行った際のガソリン代や駐車場代、帰国後の公共交通機関の料金は適用対象外となるのが一般的です。
補償金額が低い場合がある
クレジットカードに付帯されている海外旅行保険は、一般的には任意で加入する保険より補償金額は低くなっています。
例えば、エポスカード付帯の保険の補償内容と新・海外旅行保険【off!(オフ)】(保険料抑えたいプラン)の補償内容では、下記のように大きな差があります。
エポスカード付帯の補償内容 | 新・海外旅行保険off!の補償内容 | |
---|---|---|
傷害死亡・後遺傷害 | 3,000万円 | 1,000万円 |
傷害治療費用 | 200万円 | 1,000万円 |
疾病死亡 | なし | 1,000万円 |
疾病治療費用 | 270万円 | 1,000万円 |
賠償責任 | 3,000万円 | 1億円 |
救援者費用 | 100万円 | 1,000万円 |
携行品損害 | 20万円(免責3,000円) | 30万円(免責なし) |
航空機寄託手荷物遅延等費用 | なし | 10万円 |
参照:エポスカード「海外旅行傷害保険」
損保ジャパン「新・海外旅行保険【off!(オフ)】商品プラン」
保険金額以外にも、治療費においてはエポスカードの場合は、旅行後48時間以内に発病した疾病で治療をした場合に保険金が支払われますが、off!は72時間以内が条件となっているなど、細かな違いがあります。
なお、上記のoff!の保険料はハワイ7日間の旅行の場合、約2900円です。
トラブル時のサポート体制が整ってないケースもある
クレジットカードの海外旅行保険でもトラブル時は24時間365日、日本語対応してくれます。各国に事故受付の窓口があり、無料で電話をかけられます。繋がらない時のためにコレクトコールでかけられる番号も準備されています。
とはいえ、任意の海外旅行保険では病気やケガで病院に行きたい場合は、保険会社から直接治療費が支払われるキャッシュレス対応の医療機関を紹介してくれます。病院で治療費を支払ったとしても、健康保険の海外治療費制度によって一部医療費の払い戻しを受けられますし、もちろん、保険金支払い対象であれば後日保険金を受け取ることもできます。
しかし、海外での医療費は高額です。例えばアメリカの医療費について、外務省のホームページでは
病気や怪我など1回の入院で数百万円から1千万円になることを覚悟してください
と注意喚起されています。よって一時的とはいえ、医療費の立て替えは非常に厳しいと予想できます。
クレジットカード付帯の海外旅行保険でもキャッシュレスで対応してくれる病院を紹介してくれることはありますが、任意の保険であれば現地通訳サービスや医療相談など、独自のサポートが充実している会社もあります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険のみの利用で十分なケース
旅行期間が短い・行き慣れた土地への旅行の場合
クレジットカード付帯の海外旅行保険は一般的に補償金額が小さいですから、
- 旅行期間が短い
- 行き慣れた土地
であるなどリスクが小さく、その補償内容で問題ないと判断するならクレジットカード付帯の保険だけで十分でしょう。
複数カード所持で補償内容が十分な場合
また、海外旅行保険が付帯されたカードを複数枚持っている場合、それらの保険がすべて適用されれば補償内容は大きくなります。
死亡・後遺障害は複数カードのうち、最も高い金額が限度となりますが、その他の補償は複数カードの保険金を合算した範囲内で、実際の損害額を限度として保険金が支払われます。
複数カードの内容であれば補償が十分ということであれば、カード付帯の保険だけでも良いでしょう。
クレジットカード付帯以外の海外旅行保険を利用した方が良いケース
トラブルが多い地域・初めての海外旅行の場合
トラブルが多い地域や初めての海外旅行だとクレジットカード付帯の保険のみだと不安になるかもしれません。 クレジットカードの海外旅行保険の内容では不十分と考えるのであれば、任意保険をおすすめします。
この場合、クレジットカード付帯の保険と任意の海外旅行保険を併用することになり、補償内容は合算されます。死亡・後遺障害は保険金を合算して両方から支払われ、その他の補償は合算した範囲内で、実際の損害額を限度として保険金が支払われます。
クレジットカードの海外旅行保険の利用付帯条件が満たせない場合
また、利用付帯の場合、カードによっては公共交通機関の利用では保険適用できないカードもあります。
この場合、ツアー料金をカードで支払うことで保険適用になるため、保険を適用できるのはパックツアーしか対象になりません。個人でホテルや宿を手配して旅行するなど、海外旅行保険適用の条件を満たせないなら、任意の海外旅行保険に入る以外にないでしょう。
クレジットカードの海外旅行保険の使い方
それでは、海外で保険を使う場面になった時、どのように行動すれば良いでしょうか。エポスカードに付帯されている海外旅行保険のケースを紹介します。
- ツアー料金や出国前の公共機関の交通費をカードで支払い、利用付帯の条件をクリアさせます。
- 出国後、怪我や病気になった、盗難にあったなど事故が起きた時は、エポスカード海外旅行保険事故受付センターに電話します。
- この際、カードの会員番号や利用付帯の条件をクリアさせた明細、出国日を確認できる航空券を手元に準備しておきましょう。
- 事故受付センターは世界の主要国に設置されていますが、設置されていない国でも全世界対応の受付センターにコレクトコールで電話できます。
病気や怪我のケース
病気や怪我で医療機関にかかりたい時は、自己負担なしで治療を受けられる医療施設の紹介をしてくれます(キャッシュレス・メディカルサービス)。キャッシュレス・メディカルサービスを利用した場合、治療費は保険金額の限度内で保険会社から直接医療機関に支払われます。
一方、自分で治療費を建て替えた場合は、病院で診断書と領収書をもらい、保険金を請求します。海外から保険金を請求する場合は、小切手での受け取りとなるため、現地に銀行口座がなければ受け取ることはできません。帰国後に保険金を請求する場合は、エポスカード海外旅行保険事故受付センターに連絡します。
盗難のケース
盗難にあった場合は、警察に連絡して盗難届出証明を受け取ります。保険金請求書に盗難届出証明、損害額を証明する書類などを添付し保険金請求をします。
まとめ
海外旅行に行ってトラブルにあったり病気や怪我をした時は、お金の心配はもちろんですが、サポートセンターに電話をする方法や病院での受付の仕方、警察への説明などについても不安になることと思います。
自分が持っているカードの保険だけで十分かどうか、利用付帯か自動付帯か、利用付帯の場合の適用条件は何か、事前に十分確認してから出発をしましょう。