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女性医療保険

帝王切開の費用は保険適用になる?出産時に利用できる公的制度をご紹介

妊娠・出産は人生に大きな喜びをもたらす大事なイベントです。病気ではありませんが、さまざまなリスクを伴うこともあるため、病院で定期検診を受け、病院で出産を行うケースがほとんどです。妊娠・出産にかかる費用、異常分娩のひとつである帝王切開の費用や、公的な経済的支援、民間保険が適用になるのかなどを紹介します。

そもそも帝王切開とは?

帝王切開は、母親か赤ちゃんに何らかの問題があり、通常の経腟分娩ができない場合に、手術をして赤ちゃんを出産させる方法です。手術となりますので、麻酔を使います。母親と赤ちゃんへの影響を極力少なくするために、局所麻酔が第一選択となりますが、状況により全身麻酔を使うこともあるようです。

帝王切開には、選択帝王切開と緊急帝王切開があります。

選択帝王切開は、事前の検査などで経腟分娩が適さないと判断され、計画的に帝王切開を行うものです。多胎妊娠、逆子、前置胎盤などが要因となり、一般的に37~38週に手術を行います。

緊急帝王切開は、通常の経腟分娩を予定していたが、妊娠中または出産の進行中に経腟分娩が不可能と判断され、急に行う帝王切開をいいます。お産が長引きリスクが高いと判断される場合や、赤ちゃんの健康に問題があると判断された場合などに行われます。

帝王切開が行われる確率は上昇傾向にあり、現在では5人に1人が帝王切開での出産となっています。(厚生労働省「2020年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」より)

病院によって異なりますが、通常の経腟分娩の場合、経過が良好な場合の出産日を0日として4日程度で退院となります。帝王切開の場合出産日を0日として5日~10日程度での退院となり、正常分娩より若干入院が長引くようです。

出産時にかかる費用や帝王切開になった場合の費用

正常分娩にかかる出産時の費用はどのくらいかかるのでしょうか。

生命保険文化センターの調査※によると2022年度の全国平均は482,294円。

施設別では、公的病院が463,450円、私的病院が506,264円、診療所・助産所が478,509円です。この数値は正常分娩の場合で、室料差額などは除いた金額です。このうち約280,000円が正常分娩費用です。

 

では、帝王切開になった場合の出産費用はどのくらいかかるのでしょうか。


<帝王切開術の費用>

緊急帝王切開

選択帝王切開

診療報酬点数

22,200点

20,140点

治療費(1点=10円)

222,000円

201,400円

自己負担額(健康保険3割負担の場合)

66,600円

60,420円

 

正常分娩費用約280,000円と比較すると、健康保険を使える帝王切開の方が分娩費用自体は安くなります。出産費用をトータルで考えると、帝王切開では分娩後の入院期間が長くなることから、費用は正常分娩と同じくらいになるようです。

帝王切開が適用となる保険は?

先に述べたように、妊娠・出産に伴う入院費用・分娩費用は健康保険対象外ですが、異常分娩は健康保険の対象です。帝王切開の他にも、妊娠高血圧症候群、重度の悪阻(つわり)、貧血などに対する医療行為や陣痛促進剤、吸引・鉗子分娩出術費用などは健康保険対象になります。

民間の医療保険では給付対象になるでしょうか。

医療保険

最近の医療保険では、公的医療制度が適用になる入院や手術があった場合、給付金を払うという要件が多くなってますので、正常分娩の場合は給付対象外ですが、妊娠中の異常に伴う入院・手術については対象となります。

例えば、切迫早産や切迫流産、妊娠高血圧などで安静が必要となり入院した場合、入院費用は給付されます。

分娩時の帝王切開では、手術給付金はもとより、帝王切開が行われた入院は、入院初日から退院まで入院給付金が支払われます。

女性疾病特約

女性疾病特約を付帯している場合は、さらに上乗せとして、手術給付金と入院給付金が支払われることとなり、手厚い保障となります。

帝王切開での分娩は健康保険対象となり、入院期間が長いことや、出産後の回復にも時間がかかり、出費がかさむことが考えられます。女性疾病特約は、女性特有の病気に加え、がん全般も保障しますが、すべての病気やケガを保障しているわけではなく、保障範囲が限定されているため、保険料が比較的安いのが特徴です。医療保険加入の際は選択肢のひとつとして考えてみましょう。

出産お祝い金

商品によっては、数は少ないですが、出産お祝い金が支払われる保険もあります。

共済保険の中には出産時に5,000円程度の出産祝金を支払う商品があります※。

また、満期一時金を受け取る養老タイプの保険には、出産時にも祝金を払う保険もあります。ただしこのタイプの保険は加入者が積立を行い、その中から祝金を支払うような形で、名前は祝金ですが積立の前払いとも言えます。よく検討してから加入しましょう。

 

妊娠・出産時に利用できる制度

出産には大きな費用がかかりますが、さまざまな公的支援があります。

妊婦健診公費負担

妊娠の確定診断後は、出産までに妊婦健診を定期的に受けることが必要です。一般的には妊婦健診の回数は14回程度※。

かかる費用は自己負担になりますが、各自治体から補助や助成があります。

各自治体によって異なりますが、妊娠届の提出後に受診票が交付されます。受診票で健診費用がすべて無料になるわけではありませんが、国が推奨する妊娠中に受けるべき様々な検査費用が公費負担となる仕組みです。

出産育児一時金

健康保険や国民健康保険の被保険者が出産した時に受けられる一時金です。令和5年4月から従来の42万円から50万円に引き上げられました。出産にかかる費用の全国平均は約48万円なので、出産費用は賄える金額といえます※。

出産時に医療機関にまとまった金額を支払う経済的負担を軽減するために、出産育児一時金を医療機関へ直接支払う制度もあります。大変便利な制度ですが、医療機関が限られています。出産をする医療機関が対象施設か事前に確認しましょう。

出産手当金

女性が出産のために会社を休み、給料を受けられない場合に給付される手当金です。会社の健康保険、公務員などの共済組合の被保険者本人が対象となります。

出産日以前42日から出産翌日〜56日までの範囲内で、会社を休んだ期間、1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2相当額が支払われます。勤め先の担当者に早めに届け出ましょう※。

※参照:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート「母性健康管理に関する用語辞典

自治体による出産祝金など

出産時に祝金を支払う自治体があります。商品券や現物で提供する場合もありますが、第3子の場合50万円支払うような自治体もあります※。お住まいの自治体のHPなどで確認してみましょう。

妊婦歯科検診

妊娠中はホルモンのバランスがくずれ、つわりにより食生活が変化することもあり、虫歯や歯周病が発生しやすくなるため、妊娠中の歯科検診の無料券を発行する自治体があります※。受診率は低いようですが、積極的に受診しましょう。

まとめ

晩婚化が進み、第一子の出産年齢も、平均27.0歳(平成元年)から平均30.7歳(令和元年)へ高くなる傾向があります。出産年齢が高くなることで、分娩時のリスクが高くなり、帝王切開の比率も上がっています。緊急帝王切開になる場合も想定し、事前に経済的な備えを十分にしておくことをおすすめします。民間の医療保険は妊娠確定後、加入はできるものの、妊娠出産にまつわる部分を不担保にする条件がついてしまう可能性が高くなります。パートナーと相談の上、医療保険は早めに準備しましょう。

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