平均の昇給率や昇給額はどれくらい?定期昇給とベースアップの違いを解説
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2024年から2026年にかけて、日本の賃上げ率は3年連続で5%を超え、約30年ぶりの高水準が続いています。
一方で、物価上昇により実質賃金は伸び悩んでおり、「給料は上がったのに生活が楽にならない」という声も少なくありません。
この記事では、昇給率の基本的な仕組みや計算方法から、定期昇給とベースアップの違い、大企業・中小企業の最新データなど、知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 昇給には主に2種類あり「定期昇給」は年次や勤続年数などによって毎年自動的に給与が上がる仕組みで、「ベースアップ」は業績の改善やインフレ、経済状況の変化を背景に、年次や勤続年数に関係なく基本給を引き上げること。
- 大企業の昇給の総平均妥結額は19,195円、総平均アップ率(定期昇給含む)は5.39%、中小企業の昇給の総平均妥結額は11,999円、総平均アップ率(定期昇給含む)は4.35%となった。
- 2025年時点の日本の昇給率は、世界的にみても高い水準といえる。
昇給とは?昇給の種類を解説

昇給とは、給与が増えることを言い、ここに賞与(ボーナス)は含まれません。
昇給には主に以下の2つの種類があります。
- ベースアップ
- 定期昇給
ベースアップとは
ベースアップ(ベア)とは、業績の改善やインフレ、経済状況の変化などを受け、年次や勤続年数に関係なく基本給を引き上げることです。
基本的には、景気が良く物価が上がり始めたときには、ベースアップが求められることが多いです。
定期昇給とは
定期昇給とは、年次や勤続年数などによって、毎年自動的に給与が上がる仕組みです。
求人広告の募集要項に、「昇給:年1回(4月)」などと書かれているのがこれにあたります。
なお、定期昇給は定年退職まで続くものではありません。
公益財団法人日本生産性本部が行った調査によると、昇給停止年齢の平均は48.9歳でした。
ただし、このデータは10年以上前のものであり、現在は役割・職務給(ジョブ型賃金)の導入が進んでおり、年齢に連動する定期昇給そのものを廃止している企業も増えています。
昇給率とは?計算方法を解説
では、昇給で給与はどの程度上がるものなのでしょうか。
これを割合で示したものが「昇給率(賃上げ率)」です。
昇給率(しょうきゅうりつ)とは?
昇給前の給料と比較して、昇給後の給料が何パーセント増加したのか示す割合。
昇給率を計算する場合は、各種手当や賞与を除き、「基本給」や「月例給与」をもとに、以下の計算式で求められます。
昇給率( % ) = 昇給金額 ÷ 昇給前の給料 ✕ 100
なお、昇給率がわかれば、数年後の昇給後の給与を計算することも可能です。
昇給率をもとに昇給後の給与をシミュレーションしてみよう
それでは、以下Aさん(22歳・女性)の例で、昇給後の給与について計算してみましょう。
- Aさんの基本給(月例給与):220,000円
- Aさんの賞与:基本給 × 4カ月
Aさんは新卒入社後、1年目で基本給が3,300円アップしました。
この場合、Aさんの昇給率は以下の式で求めることができます。
3,300円(昇給金額)÷220,000円(昇給前の給料)×100=1.5%(昇給率)
上の式から。Aさんの昇給率は1.5%であることがわかりました。
ではこの昇給率で、社会人10年目となったAさんの給与はどうなるでしょうか。
■ Aさんの入社1~10年目までの基本給と昇給額
基本給 | 昇給額 | |
|---|---|---|
1年目 | 223,300円 | 3,300円 |
2年目 | 226,650円 | 6,650円 |
3年目 | 230,049円 | 10,049円 |
4年目 | 233,500円 | 13,500円 |
5年目 | 237,002円 | 17,002円 |
6年目 | 240,558円 | 20,558円 |
7年目 | 244,166円 | 24,166円 |
8年目 | 247,828円 | 27,828円 |
9年目 | 251,546円 | 31,546円 |
10年目 | 255,319円 | 35,319円 |
上の表のように、月給22万円で毎年1.5%の昇給があった場合、10年目の基本給は概算で25万5,319円になります。
10年で月収が3.5万円、年収だと約56.5万円(年4カ月分ボーナスありと仮定)上がることになります。
【2026年最新】日本の昇給率はどのくらい?

昇給率は、企業規模や業種、職種などによって大きく異なります。
また、毎年の賃上げ水準は「春闘」と呼ばれる労使交渉の結果に左右される部分も少なくありません。
春闘(しゅんとう)とは?
「春季生活闘争(しゅんきせいかつとうそう)」「春季闘争(しゅんきとうそう)」の略で、日本で毎年春頃(2〜3月)に行われる労働運動のこと。
春闘では、ベースアップなどの賃金の引き上げや労働時間の短縮などといった労働条件の改善について、主に労働組合が要求し、使用者(経営者)と交渉し決定を求めます。
2026年の春闘は、米国の高関税政策などにより、経営環境の不透明感が増す中で行われました。
それでも、人手不足の深刻化や物価高への対応を背景に、高水準の賃上げが3年連続で実現しています。
連合(日本労働組合総連合会)が2026年7月3日に発表した最終集計によると、定期昇給込みの平均賃上げ率は5.01% となりました。
2024年(5.10%)・2025年(5.25%)に続いて 3年連続で5%を超えたことになります。
■ 平均賃上げ率の推移
年 | 平均賃上げ率 |
|---|---|
2024年 | 5.10% |
2025年 | 5.25% |
2026年 | 5.01% |
上の表のとおり、平均賃上げ率はバブル期以来、約30年ぶりの高水準が定着しつつあるといえます。
なお、春闘で決まった賃上げ相場は、労働組合のない企業の賃金決定にも間接的に影響を与えることが多くあります。
そのため、自分に関係ないと考えずに、動向をチェックしておくことをおすすめします。
大企業と中小企業の昇給率は?
日本の賃上げ率は、長らく2%前後で横ばいが続いていましたが、2023年以降大きな転換点を迎えています。
以下は、経団連の最終集計に基づく、大手企業・中小企業の賃上げ率(定期昇給を含む)の推移です。
年 | 大手企業アップ率 | 大手企業引き上げ額 | 中小企業アップ率 | 中小企業引き上げ額 |
|---|---|---|---|---|
2022年 | 2.27% | 7,562円 | 1.92% | 5,036円 |
2023年 | 3.99% | 13,362円 | 3.00% | 8,012円 |
2024年 | 5.58% | 19,210円 | 4.01% | 10,712円 |
2025年 | 5.39% | 19,195円 | 4.35% | 11,999円 |
2023年に30年ぶりとなる3%台を記録したのを皮切りに、2024年・2025年は一気に5%台へ跳ね上がりました。
2025年は、大手企業で妥結額が19,195円(5.39%)、中小企業でも11,999円(4.35%)と、いずれも力強い賃上げが実現しています。
労働組合のない中小・零細企業を含めた昇給率は?
ただし、上記のデータはあくまで連合に加盟する労働組合のある企業、あるいは経団連の会員企業を中心とした集計結果です。
日本の企業の大多数を占める中小・零細企業や、労働組合のない企業の実態を十分に反映しているとは言い切れません。
厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、2025年の賃金改定率は4.4%で、連合・経団連の集計値よりもやや低い結果となっています。
また、企業規模が小さくなるほど改定率は低くなる傾向があり、100〜299人規模では3.6%にとどまるというデータもあります。
昇給率・昇給に関するよくある質問
ここでは、昇給率や昇給に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q.海外における昇給率はどれくらいですか?
A.世界有数の組織・人事コンサルティングファームである「ウイリス・タワーズ ワトソン(WTW)」の調査によると、2025年の各国・地域の昇給率は以下の通りです。
国名 | 昇給率 |
|---|---|
ブラジル | 6.3% |
サウジアラビア | 4.1% |
中国 | 3.8% |
イギリス | 3.6% |
アメリカ合衆国 | 3.5% |
カナダ | 3.5% |
ドイツ | 3.4% |
フランス | 3.1% |
Q.海外と比べて日本の昇給率は低いですか?
A.名目上の昇給率だけでみれば、2025年時点での日本の昇給率(5.0%)はアメリカ合衆国(3.5%)を上回っています。
かつて、日本の昇給率は2%前後で推移しており、コーン・フェリーの2022年調査でも「世界で最低レベルの2.1%」と予測され、アジア太平洋地域の平均に対しても、大きく後れを取っていました。
しかし、2024年・2025年と春闘で5%台の賃上げが実現したことで、日本の昇給率は各国と比較しても高い水準になっています。
Q.日本の昇給は物価上昇に追いついていますか?
A.食料品やエネルギー価格の高騰が続いた影響で、名目の賃金上昇率から物価上昇率(インフレ率)を差し引いた「実質賃金」は依然としてマイナスを記録しています。
インフレとは?
モノやサービスの価格が継続的に上がり、相対的にお金の価値が目減りする状態のこと。インフレ率は一定期間内にどのくらい物価が上昇したかを割合で示したもの。
たとえば、昇給率が5%でも、同じ期間に物価が4%上がっていれば、実質的な購買力の向上は約1%にとどまります。
つまり、「給料は増えているものの物価も上がっているので、生活の豊かさはそれほど変わらない」ということです。
なお、2025年通年の実質賃金は前年比マイナス0.5%となり、4年連続でマイナスを記録しています。
そのため、「給料は上がったが、それ以上に物価が上がった」という状態が続いているのです。
一方で、物価上昇率の鈍化もあり、実質賃金は上昇しつつあります。
厚生労働省の調査によると2026年5月時点の実質賃金は1.4%のプラスです。
Q. 昇給率が上がらない、または低い場合はどう対策すればよいですか?
A. 社内での昇進や資格取得による手当の獲得を目指すほか、転職によって年収自体を上げる方法があります。
また、会社の給与が上がりにくい場合は、「就業不能保険」などで働けなくなった際のリスクに備えるのも一つの方法です。
そのうえで、資産運用の検討や固定費(保険料など)の見直しを行って、生活設計を整えることも大切です。
ライフプランを考える際には、名目の昇給率だけでなく、物価動向との兼ね合いで自分の「実質的な手取りの購買力」がどう変化するかにも目を向けてみましょう。
関連記事:働けなくなったときの備え!就業不能保険の必要性とメリット・デメリットを解説
まとめ
給料は、安定して働き続けられるという前提があって、初めて上がるものです。
最近は仕事のストレスや、予期せぬ病気や事故により長期間仕事ができないケースも増えています。
特に短期間で回復が見込まれる病気やけがであればともかく、精神的な疾患だと容易に復帰できるとは限りません。
どうしても目先の給料に意識が向きがちですが、昇給の交渉とあわせて将来の「働けないリスク」にも備えておけば、安心して日々の仕事にも打ち込めるでしょう。
近年は、病気やけがで長期間働けないときに「就業不能保険」で備えることができます。
うつ病をはじめとした精神疾患がカバーできる商品もあるため、ぜひ検討してみてください。














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