独身に生命保険は必要?選び方のポイント3つをおさえて将来の不安を解消!
結婚して家族がいる方には生命保険が必要とされる一方で、独身の方に生命保険は必要なのでしょうか。
独身の方が無保険の状態では、病気やケガの際にかかる治療費をすべて自己負担する必要があり、貯蓄だけではカバーできない長期療養になった場合、金銭的な大きな不安を抱えることになります。
世帯主に必要な高額死亡保障といった大きな保障は不要ですが、病気やケガをした際、まずは「どんな保険が必要か?」を把握し、自分に合った保障を選ぶことが大切です。
独身に生命保険は不要?必要性に迫ります
独身の方に生命保険が必要なのかどうかについて、検証をしていきます。
病気やケガをした際の自己負担額
入院した際の自己負担額
入院した際の自己負担額については、公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」のデータより把握することができます。
高額療養費制度を利用した人、および利用しなかった人(適用外含む)の入院した際の自己負担額の平均は20.8万円です。
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入院1日あたりの自己負担額は、平均で2万3,300円となっています。
こちらは「1万円から1万5,000円未満」が24.2%と最も高く、以下「4万円以上」が16%、「2万円~3万円未満」が12.8%となっています。
入院した際の自己負担額を入院日数別に見てみますと、入院日数が長くなるほど自己負担額が高くなります。
通院にかかる項目と費用
通院にかかる項目に関しては、
- 入院外医療費
- 医療費以外にかかる費用(交通費や自由診療費用など)
があります。
厚生労働省「平成30年度 医療給付実態」のデータによれば、男性1人あたりの平均入院外(通院)医療費は、1件(1回)約1万5,000円です。
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この数値はあくまで平均の金額なので、当然のことながらこの通院医療費は、傷病別に金額は異なります。
公的医療保険制度の利用
日本は「国民皆保険」のため、誰もが何らかの公的医療保険制度の対象になっています。
ココがポイント
たとえば、公的医療保険制度が適用される医療費を10割として、公的医療保険制度の自己負担割合が3割であれば、病院などの窓口で支払う自己負担額は、3割の金額となります。
医療費が1万円であれば、3,000円を病院などの窓口で支払うことになります。
加入している公的医療保険は、加入者の職業により分かれています。
また、高額な医療費がかかった場合には、公的医療保険制度の中に高額療養費制度があり、加入者の収入により1か月の自己負担限度額が定められています。
このように公的医療保険制度を利用することにより、医療費に関する自己負担額はぐっと抑えられる仕組みとなっています。
関連記事:医療保険とは?公的医療保険制度との仕組みの違いをわかりやすく解説
独身者の生命保険加入率
公益財団法人生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によれば、独身者の生命保険加入率は、
- 全生保※で61.7%
- 民間の生命保険※では48.6%
となっています。男女別に加入率を見てみますと、以下のとおりです。
全生保 | 民間の生命保険 | |
---|---|---|
独身男性 | 61.8% | 48.6% |
独身女性 | 61.6% | 48.7% |
※全生保:民間の生命保険(かんぽ生命含む)、簡易保険、JA、県民共済・生協等を含む
※民間の生命保険:かんぽ生命含む
関連記事:20~50代の生命保険料の相場・死亡保険金の平均は?毎月いくら払ってる?
独身男性・女性が生命保険に入らないとどうなる?
それでは、実際に独身の男性および女性が各種生命保険に入らない場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
男性と女性では、罹患したり注意すべき疾病が異なります。それぞれ見ていきましょう。
男性のリスク
独身男性が生命保険に加入しない場合、葬儀代や身辺整理資金など「死後整理資金」の確保が難しくなります。
自身の預貯金などの資産でカバーできれば良いのですが、カバーできない場合は、親や兄弟に経済的負担をかけることになります。
また妻や子どもがいなくても、生前に親や兄弟の経済的支援をしていた場合には、遺族の今後の生活費や住居費などの準備がご自身で必要となります。
ココがポイント
また、生命保険に加入せずに病気やケガをした場合には、医療費などの経済的負担が大きくなるリスクがあります。
病気やケガが原因で就業できなくなると、収入は健康時よりも減少し、生活費などの費用が不足する可能性もあるでしょう。
病気・ケガをした際にかかる費用は、公的医療保険制度を利用してもカバーできない部分があります。
関連記事:生命保険の必要性
女性のリスク
独身女性が生命保険に加入していない場合も、独身男性と同じように、
- 死後整理資金の確保
- 遺族への生活費・住居費などの費用の確保(自身が他の親族を経済的に支援していた場合)
に関しては、備えが必要です。また、病気やケガのリスクにも独身男性と同様にご自身で備える必要があります。
特に女性の場合には、男性と比べて女性特有の病気に注意が必要です。
罹患率が高い女性特有の病気
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 乳腺症 など
独身女性は結婚や出産を控えているため、子宮の病気やがんに対する備えはとても重要となります。
ココがポイント
なお、国立がん研究センター「2018年 日本の最新がん統計まとめ」のデータによれば、女性で死亡数が多いがんの部位は「大腸→肺→膵臓→胃」の順です。男性の場合「肺→胃→大腸→膵臓」ですから、上位4部位は男女とも同じです。
しかし、女性の場合、5位に女性特有の病気である「乳がん」が入り、その他にも40歳代では、子宮がんや卵巣がんによる死亡の割合も高くなっています。
がんの治療は入院 ・手術だけでなく、先進医療や自由診療、がん治療による逸失収入なども含めて経済的ダメージのリスクがあります。
独身女性も独身男性と同じで、病気やケガなどによる自身の経済的ダメージが、親兄弟など周囲の人への経済的支援を必要とするリスクがあります。
関連記事:女性保険のメリットとは?年代別の必要性やおすすめな選び方を紹介
独身が生命保険を選ぶ際のポイント
独身者が保険を選ぶ場合、日々の生活のなかで起こりうるリスクへの対策として保障を考えていくとよいでしょう。
死亡保障より医療保障の充実を
高額の死亡保険が必要ない独身者は、死亡保障より医療保障を充実させましょう。
ココがポイント
先進医療特約を付加しておけば、健康保険がきかず全額自己負担になる先進医療の治療費をカバーすることもできます。
万が一の際の死亡保障も用意しておきたいのであれば、定期保険より『終身保険』がおすすめです。
終身保険は貯蓄性を備えており、銀行預金より利回りが良いケースがあり、節税対策もできます。
生存時に解約して解約返戻金を老後の生活費にする使い方もできるなど、あらゆる意味でメリットも。
掛け捨ての定期保険に比べると保険料が高くなりますが、若いうちに加入すれば保険料が安く済むこともポイントです。
働けない期間の収入減少に備える
「働けない=無収入」になる自営業者を中心に、会社員にも昨今注目されているのが『就業不能保険』です。
会社員の場合、健康保険から傷病手当金が支給されますが、通常働いているときより収入減少になります。
そのため、療養期間が長期になった際にも安心して治療に専念できるように、自助努力で備えを用意しておくとよいでしょう。
ココがポイント
現在は精神疾患で療養が必要になるケースが多いため、必ず確認すべきポイントとして覚えておいてください。
関連記事:就業不能保険の基礎知識
早めに将来の不安への対策をする
自営業者や、退職金が心もとない会社員は『年金保険』の検討を。
ココがポイント
死亡保障がついているので、生存時に年金として受け取ることができなかったとしても、死亡保障として葬儀代などにあてることも可能です。
なお、注意点は以下のとおりです。
- 満期を待たずに解約すると元本割れを起こす商品が多い
- 急にまとまったお金が必要な際に利用できない など
こうした保険商品特有のデメリットもあるので、可能であれば年金保険と、貯蓄やそのほかの金融商品を併用して用意しておきましょう。
関連記事:個人年金保険の基礎知識
独身の方におすすめの生命保険とは
前項の独身者が保険を選ぶ際のポイントを踏まえた上で、おすすめの保険商品をご紹介します。
医療保険
病気やケガを原因とした出費をカバーする『医療保険』は、主に入院・手術をしたときに給付金を受け取ることができます。「独身者がまず加入すべき保険」といってもいいでしょう。
死亡保障が必要ない年代や、葬儀代などは貯蓄でまかなう人でも、必要最低限の医療保障は保険で準備しておくのをおすすめします。
医療保険は、医療現場の進化に沿って開発・改良が繰り返されており、昨今の医療事情にあわせて日帰り入院・手術や外来手術に対応した商品が多いことが特徴です。
先進医療特約をはじめ、
- 通院特約
- 一時金特約
- 保険料払込免除特約
など、ニーズにあわせてさまざまな特約を付加できます。
終身保険
高額の死亡保障が必要ない独身者ですが、万が一の際に親・兄弟に金銭的な負担をかけないためにも「葬儀代くらいは用意しておきたい」と考える人が多いといわれています。
数百万円の葬儀代のためであれば、以下の特徴を備えた『終身保険』が最適です。
- 亡くなるまでの一生涯保障が続く
- 万が一のときに死亡保険金がおりる
ココがポイント
医療保険は定期的に見直ししたほうがいいため、医療保険、終身保険はそれぞれ分けて加入するのがおすすめですが、なるべく保険をまとめたい人は、終身保険に医療保障特約を付加して加入するといいでしょう。
関連記事:終身保険の基礎知識
がん保険
罹患者層が年々若年化しているため「まだ若いから大丈夫」などと安心できないのが、がんに関する対策です。
日本人の2人に1人が、一生のうちにがんと診断されるリスクがあります。
がん治療は放射線や抗がん剤といった、がんならではの治療方針が浸透しており、通院治療が長くなることが特徴のひとつ。
そのため、がん治療の傾向にあわせた保障内容が充実している『がん保険』に加入しておけば、ストレスを抱えることなく安心して治療に集中することができます。
なお、がん保険はがんにかかってしまうと加入できないため、健康なうちにまずは検討しておきましょう。
関連記事:がん保険の基礎知識
就業不能保険
がんをはじめ、昨今ではうつ病などの精神疾患が増えており、長期療養のリスク対策としてますます注目を集めているのが『就業不能保険』です。
働けなくなると無収入に直結してしまう自営業者を中心に、自助努力の備えとして準備しておくことをおすすめします。
”療養期間のリスク”のひとつに、収入が減ったとしても、
- 家賃
- 食費
- 水道代
- 光熱費
といった生活費は変わらずかかるのはもちろん、加えて治療にともなう出費もかかることが挙げられます。
なお、こういった費用は会社員でも公的保障だけでカバーすることは難しく、さらに自営業者になると公的保障がないため、すべて自分で用意する必要があります。
こうしたもしものときのために、就業不能保険でリスク対策をしておけば安心です。
とりわけ、入院や在宅療養が長期化しがちな「こころの病」はストレス社会で増加傾向にあり、精神疾患まで給付対象になった商品が登場したことで、今後さらに就業不能保険の重要性が増してくるといわれています。
検討および加入の際は、必ず精神疾患が給付対象になっているかどうかも確認するようにしましょう。
年金保険
将来的な備えとして、老後の生活費は『年金保険』で用意するのが適しています。
ココがポイント
毎月口座から引かれれば、残った範囲内でやりくりする癖がつくので「貯蓄は苦手」「ついつい使ってしまう」という独身者にもぴったりです。
若い世代であれば、安い保険料で加入することができるので、貯蓄癖をつけるためにも若いうちに加入しておくと◎。
医療特約を付加することができる商品であれば、貯蓄しながら入院や手術などに備えることも可能です。
まとめ
独身者の保険に関するスタンスは「必要性を感じないため、一切加入しない」あるいは「必要以上に大きな保障を付けて加入している」という両極に分かれる傾向があります。
これは、どちらも「自分に必要な保障をきちんと見極めていない」ことが原因です。
保険といえば、高額の死亡保障と医療保障が付いた生命保険をイメージしている人も多く、
- どんな保険商品が市場に出回っているのか知らない状態で、保険外交員にすすめられるがまま加入した
- 大きな保障は必要ないので加入せずにいた
ということも。
今回ご紹介した通り、独身者に適した保険は多く展開されており、個々人のニーズや現状にあわせて選ぶことができます。
まずは貯蓄額や生活スタイルなどを考え、必要な保障を書き出しながら、自分にとって本当に必要な保障が準備できる保険を比較検討および加入してみてはいかがでしょうか。